メリークリスマス
聖夜に雪が降る。
並行世界に雪が降る。
それはシン・アスカへのプレゼント。
シン・アスカが傭兵となった世界で雪が降る。
エマ「敵勢力の撃破を確認、任務終了です。 ……お疲れ様でした、レイヴン」
シン「ああ、エマもジナもお疲れ様」
ジナ「やれやれ、世間は聖夜だと言うのに救い様の無い連中だ」
そういったジナイーダの方を見ると、撃破したばかりの残骸が辺り一帯に転がっている。
シン「それをいったら、聖夜の日に仕事してる俺達も、余り人の事は言えないけどな」
ジナ「……違いないな、 あっ」
シン「どうした? おお。」
ハッチを開け外に出るシン。
そこには粉雪が降っていた。
本来白い筈の雪が、黄金色の満月に照らされて、僅かに金色を帯びていた。
ジナ「……雪だ」
エマ「……雪ですね」
二人は雪に見惚れている様だった。
シン「なんだよ、二人共、雪見たことなかったのか?」
シン自身雪には良い思い出が無いが。あえてそれを押し殺した。
ジナ「ああ、レイヤードで人工雪はみた事があるが、天然物ははじめてだ」
エマ「私もです」
シン「あっ、そうだ! エマ、この後空いてる?」
エマ「えっ……そ、それって」
シン「実はさ、知り合いを集めてクリスマスパーティーやるんだ。 よかったらエマも来ないか? いいだろジナ?」
ジナ「ああそうだな、そういう集まりは人数が多ければ多い程楽しいものだ」
エマ「(なんだ誘われたわけじゃ無かったのか、ちょっと残念) ええ 喜んで参加します」
人によっては殺し合いをした後、パーティーする彼らを異常と思うかもしれない。
しかし正気と狂気の境界に立ち、常に生死の狭間に身を置き、命のやり取りをしているからこそ、
正気で有るために、傭兵から人間に戻る時間、休息が必要なのだ。
飛び続けねばならない死を喰らう魔鳥に、今一時の、羽休まる安息を。
シン・アスカが志同じ仲間と共に戦う世界に雪が降る。
テンペスト「ええー、ではこれより復讐同盟リベンジャー臨時会議(という名の飲み食い)を始めたいと思う。」
テンペスト「司会進行は復讐ブルーこと、テンペスト・ホーカーが務める。 何か異論はあるか?」
周囲を見渡すテンペスト。
レイ「はい」
レイが席から立ち上がり挙手をした。
テンペスト「なんだ、バレル?」
レイ「シンの奴がまだ来ていません」
カナード「どうせまた女連中に追い回されているんだ、ほとぼりが冷めたら来るだろう」
ルルーシュ「鍋が煮えすぎて、まずくなる。先に食おう」
ゼスト「うむ」
フリッツ「どうした、レイ?」
レイ「……いや、クリスマスに鍋はどうかなと思っただけだ」
テンペスト「安心しろ 、友人に頼んで七面鳥のローストを焼いてもらった」
ルルーシュ「ピザも頼んであるから鍋だけではないさ」
レイ「それはいい」
なんだかんだで宴会が始まり、盛り上がり始め、テンペストが一息付けた所に二人の人影が近づく。
ゼスト「ホーカー殿。隣宜しいか?」
その隣にはフリッツ・パーンの姿も見える。
テンペスト「ええ、構いませんよ。グランガイツさん、パーン君」
どうぞと二つの席を動かした。
フリッツ「フリッツでいいですよ」
ゼスト「ゼストで構いません」
テンペスト「なら、私もテンペストと呼んでください」
にこやかに笑い食事を始める三人。
ゼスト「楽しいですな」
噛み締める様にゼストは言った。
テンペスト「ええ。家族を失って以来、こんなに楽しいクリスマスは、はじめてです」
過去に思いを馳せ、テンペストは答える。
フリッツ「やはり、貴方もでしたか」
テンペスト「ここにいる連中はみんなそうですよ。 でも彼らは前向きだ。 日の光に目を背けず、上を向いて歩いている」
若いグループを見つめ、しみじみとテンペストは言った。
ゼスト「俺達も見習わないといけませんね」
フリッツ「今日はとことん飲みましょう」
どこから出したのかグラスを三つに、シャンパンを取り出すとそれを注ぎ二人に渡した。
イスラ「……なんだいこの鍋? 肉が入ってないぞ?」
一方鍋をつついていたグループは異変に気付いた。
カナード「肉係は誰だ?」
ルルーシュ「……あっ」
レイ「ルルーシュ。 まさか!?」
ルルーシュ「おっ、俺じゃない 肉係はシンだ!」
アギト「お前がシンに頼んだんだろう、 このうっかり野郎!」
イスラ「これじゃ寄せ鍋じゃなくて、野菜鍋だ」
みんなの視線がルルーシュに突き刺さる。
そんな時起死回生の音がッルルーシュの耳に届いた。
トントン
ノック音だ。
カナード「肉(シン)か!?」
レイ「俺が行きます」
しかしそこにいたのはシンではなかった。
??「やあ、レイ( ´∀`)」
レイ「あなたは凸……? いや、アスラン!」
白い目で見られるアスラン。 それも仕方ない。
何しろアスラン・ザラの名は時を越える不死身の同性愛ストーカーとしてあまりにも有名だ。
アスラン?「酷いなぁ……(;´∀`) シンからみんなが集まってるって聞いて、折角ロールキャベツもってきたのに」
レイ「! その顔、まさかあなたは?」
カナード「どうでもいいが肉(シン)は?」
アスラン?「ああ、雪に埋まってたから引っぱってきた。 すぐ来るよ( ´∀`)」
デス子「寒いです!」
頭に雪を乗っけたままの格好でデス子は扉から家の中へと飛び込んだ。
ゼスト「む、デスティニーか」
フリッツ「シンはどうした?」
デス子「肉を抱えて今来ます。 ああ暖かい」
新雪を踏む足音が、扉に近づいていた。
シン・アスカがフレームランナーになった世界で雪が降る
シン「すっかり遅くなったな、 ステラやルナ。八神部隊長たち怒ってるかな?」
機動六課隊舎に向かい、飛行形態で飛行中のジェフティのコックピットの中で、シンは相棒二人に問いかけた。
デス子「仕方ありませんよ、ロストギア調査中に巨大生物に襲われるだなんて思いませんよ」
シンの右肩に乗る妖精のような金髪の少女デスティニーの精霊(自称)デス子は答えた。
エイダ「申し訳ありません、私の計算ミスです」
目の前のコンソールが光り、独立型戦闘支援システム、エイダは答えた。
デス子「エイダちゃんのせいじゃないです、悪いのはあの……」
シン「ストップ。 責任の譲り合いはやめて、早く帰ろう」
「「はい!」」
エイダ「あっ、シン。 雪です」
シン「おおー、すごいな、止む前に帰るとするか!」
光の痕跡を残し、ジェフティはミッドチルダの空を駆けた。
そして、それぞれの世界でシン・アスカは待ちわびていた人たちに向かい、同じ台詞を口にするのだ。
「みんな遅れてごめん。 そしてメリークリスマス!」
最終更新:2008年09月22日 13:21