第五話 蘇る運命
二年前にシンが出くわした事件。
忌まわしい事故から三年、シンは軍学校(アカデミー)に入隊していた。
家族を殺した連中に復讐するための“ちから”を手に入れるためである。
元々才能があったのか、厳しい訓練に耐え抜くうちに眠っていたMSパイロットとしての適性が開花。
赤服にも選ばれ、新型MSインパルスのパイロットにも任命される。
望むものを手にいれ、自分に足りなかった“ちから”が手に入りつつあることを実感するシン。
しかし、彼は迷っていた。
犯人は憎い、家族を死に追いやった奴も許せない。
しかし、相手を殺す事が・・・復讐するだけことが、自分が生き残った結果だとしたら。
育ててくれた両親や、庇おうとして死んだマユが、あまりにも報われないのではないか。
手にした“ちから”で自分がすべき復讐は、本当に『相手を殺す事』だけなのか。
それは本当に『自分が求めているもの』なのか。
そんな矢先、教官の一人『ナイフのフレッド』が何者かに殺害される事件が起こる。
軍内部は怨恨関係で捜査を開始。
疑いの目を向けられたシンは、無罪を主張するものの、アリバイがないためそれを証明することができない。
窮地に陥った彼の前に、チームを組んでいた『ルナマリア・ホーク』と『レイ・ザ・バレル』が駆けつける。
はたして彼らは冤罪をはらし、真相を暴くことができるのか?
この出来事が、その後の彼の生き方を決定づけることになる。
《ダイジェストシーン》
ルナ「ねえ、また手紙が届いてたわよ。八神って人から」
シン「そこに置いといてくれ」
ルナ「・・・ねえ、シン。お節介かもしれないけど、大事に取って置くくらいなら
どうして返事を書かいてあげないの? 手紙をくれてるのって、シンの・・・」
シン「うるさいぞ、ルナ! 用が済んだなら出てけよ!」
ルナ「はいはい。全く、意地張っちゃって」
シン「・・・返事なんて出せるわけないだろ。俺は、あの人を裏切って軍学校に入ったんだ。
はやてさんも、俺の事なんて忘れてくれればいいのに・・・」
シン「くそ、俺は誰も殺してない。けど、それを証明できる方法なんて・・・」
ルナ「あれ? 意外に元気そうじゃない。気落ちしてるなら慰めてあげようと思ってたのに」
シン「ルナマリア、それにレイまで。どういうつもりだよ。だいたい、どうやってここに」
ルナ「見張りよ見張り。そういう口実つけて助けに来たの。助けあうのがチームでしょ。」
レイ「お前が捕まるのはいいが、真犯人を野放しにするわけにはいかないからな」
ルナ「まったく、どいつもこいつも素直じゃないんだから」
シン「そうは言うけど、俺が本当に犯人だったらどうする気なんだ」
ルナ「シンが犯人? ないない、天地がひっくりかえっても、あんたに計画犯罪なんて不可能よ」
レイ「俺も同感だ。証拠を現場に一切残さないなど、お前には無理難題だろうからな」
シン「ちっ」
レイ「で、どうする」
シン「まずは、当時の状況と現場の捜査資料を照らし合わせて矛盾点を探る。
真犯人が俺に罪をかぶせようとしたなら、偽装した痕跡が何か見つかるはずだ」
ルナ「・・・」
レイ「・・・」
シン「な、なんだよ。おかしな事は行ってないだろ」
ルナ「あんたがレイみたいな事言ってる時点で充分おかしいわよ。
っていうかなに? いきなりどうしちゃったわけ?」
レイ「ずいぶん手慣れているな。身近に警察の関係者でもいたのか?」
シン「・・・恩人がちょっとな」
マーレ「問題はこの凶器のナイフだ。身に覚えがないとは言わさないぜ」
シン「・・・ちょっと待て。それはまさか・・・」
マーレ「そう、被害者を刺殺したのは“お前のナイフ”だったんだよ」
レイ「な」
ルナ「な」
シン「なんだってぇぇぇええええっ!」
<エピローグ>
シン「はやてさん、どうしてここに」
はやて「シンが、逮捕されたって、聞いて・・・。弁護、しようと・・・。」
レイ「残念ですが、それはできません。」
はやて「何で、なんでやねん! 私はシンの保護者なんやで!」
ルナ「えっと、軍の裁判に一般の弁護士が介入することはできないんです。」
はやて「そないなこと私の知ったことやない! 私にはシンを守る義務があるんや」
ルナ「それにその・・・もう終わってますし」
はやて「なにが!」
レイ「裁判です。シン・アスカの無罪は証明されました」
はやて「・・・へ? え、で、でも、弁護士もなしで」
ルナ「シンが自分で自分の弁護をしたんです。すごいんですよ、まるで本物みたいでした」
レイ「門前の小僧習わぬ経を読む。あれは、あなたを見ていたからだったのですね」
シン「俺、軍人をやめて弁護士になります」
はやて「そ、そないなあほな事言うたらあかん! 絶対に駄目や!」
シン「え、ええ!?(軍に入るのに反対してたはずじゃ)」
はやて「シンの様子はずっとトダカさんに知らせてもらってたんよ。
えらい褒めてたで。シンには才能がある。すぐにエースパイロットになれるって」
シン(それで俺の事をあんなによく知ってたのか)
はやて「せっかく見つかった自分の居場所を、私への気遣いでなくす必要なんてない。
シンは、自分のしたい事をしたいようにすればいいんよ」
シン(そんな風に思ってくれてたのか。でも・・・)
はやて「はやてさん、別に俺は誰かに遠慮して弁護士になりたいなんて言ってるわけじゃないんです」
はやて「じゃあ、どうして・・・」
シン「軍に入ってからも、俺ずっと迷ってました。俺がしたかった“復讐”は
憎しみで憎しみをねじ伏せることでいいのか。俺が選択するべき道は、本当にこれでいいのかって」
はやて「シン・・・」
シン「復讐が間違ってるとかでもなくて、なんていうか・・・分からなくなってたんです。
俺がするべきこと、俺が本当にやりたいこと。でも、今回の事件で思い出せました」
シン「三年前、俺は俺の全てを奪った犯人を憎みました。でも、それ以上に憧れたんです。
あの日、俺を救ってくれたあなたに」
はやて「うぇ!?」
シン「だから、俺もそうなりたいって思った。
俺は、人を救うことに一生懸命なはやてさんみたいな弁護士になりたい。
本心からそう思ったんです」
はやて「そ、そないに褒めてもらっても。わ、わたしは、そんな大層な人間ちゃうし・・・」
シン「そうですね。手紙はほとんどが失敗談だったし、昔なんて前略が全略になってたし」
はやて「う、ううぅ・・・」
はやて「もしも、犯人が現れたらどうするの?」
シン「捕まえますよ。そして、そいつが必死に隠したがっていた全ての“真実”を明らかにしてやります。
それが、俺の“復讐”です」
シン「はやてさん。軍に入って三年たったら除隊申請ができる。そうしたら、俺を八神法律事務所に入れてください」
はやて「・・・うん、ええよ。その気持ちが、本気だっていうのは伝わった。弁護士は人を信じるのが仕事やもんね」
そして、現在
シン「はやてさん! 資料は出したら片づけてくださいっていつも言ってるじゃないですか!」
はやて「うう、せやけど忙しくて」
シン「なんでまたコンビニ弁当なんですか。いい年なんだから、料理くらいできるようになってくださいよ!」
はやて「で、できるよ。ただ、一人だと美味しいもんも美味しくないっていうか・・・味が変わらないっていうか・・・」
シン「だからってこんな体に悪いものばかり食べなくたって。…ちょっと、冷蔵庫の中身を見せてください」
はやて「あ、あかん!」
シン「・・・何にもない。電気代の無駄だな。棚も乾麺ばっかりだったし」
シン「これからは俺がきっちり管理します。食事も当番制ですからね」
はやて「うう、なんでこないなことに・・・。私が所長のはずなのに・・・」
シン「返事は!」
はやて「はい!」
主な登場人物
新人弁護士 シン・アスカ(23)
愚直なまでに依頼人を信じ、熱い心と真っ直ぐな信念で真実を暴き出す新人弁護士。
子供の頃に家族が事故で他界しており、そのときのトラウマが元で弁護士になった。
まだまだ腕は未熟だが、種割れ状態になると恐ろしく洞察力が高くなる。
相変わらず女難に遭っているようだが、偶にそれがいい方向に向くことがあるらしい。(なお、本人は全力で否定している)
「なんでいつもこんな目にあうんだーっ!!」
「また、嘘なのかよ! あんたって人はーーーっ!!!!」
「大丈夫だ。俺がきっと無実を証明して、君を守って見せる!!」
「異議あり!!!」
弁護士助手 その1 デス子(デスティニー)(?)
元MSだが色々あって人間モードになった。まぁ、細かい突っ込みは無しで・・・。
常にシンの影となり日向となり、支えられている居候。
余談だが、シンの給料の大半は彼女の胃袋に消えている。
軽い天然だが、彼女の一言が逆転の発想をもたらす・・・かもしれない。
本人はデス子でなく、ティニーと呼んで欲しいらしい。
「マスター、おなかが減りました~」
「マスターのはったり、見破られてるみたいですね」
「マスター、あんまりふざけたこと言ってるとビームライフルで撃ち抜かれますよ。私から」
弁護士助手 その2 パル子(インパルス)(?)
デス子と同じく元MSで、何故か弁護士としての知識ははやてより上。
料理や家事全般もでき、同じ居候でもデス子とは雲泥の差である。
もっとも、たいていは家で寝ているので探偵パートで絡んでくることはめったに無い。
本人はパル子ではなく、イルスと呼んで欲しいようだ。
パル子「弁護士に必要なことは二つあります。依頼人を信じること、そして冤罪なら必ず無実にすることです」
パル子「またなの、デス子? もう少しでお夕飯ができるから大人しく待ってなさい。
主様、お皿を頼みます」
パル子「その程度の偽証で誤魔化そうとは呆れてものも言えませんね? 主様を舐めているのですか?」
シン(俺、全然分からなかったんだけど・・・)
弁護士事務所の所長 八神 はやて(25)
シンの師匠にあたる凄腕?の弁護士。若くして独立し八神法律事務所を開く。
妄想と虚言の王「YAGAMI」と誠実と真面目の王「はやて」をたくみに使いこなし
シンに迫っていく。
が、いつも詰めが甘いので肝心なときに逃げられているらしい。
はやて「シ~ン~、初日から五分も遅刻やんか。として今度の日曜日は付き合ってもらうで」
はやて「どうしたん? 資料を読んどくんは弁護士の基本やで?」
はやて「なんや、私のポジションがパル子さんに食われとる気がするんよ」
『立ちはだかる個性的な検事達』
ライバルであり親友でもある氷の天才検事 レイ・ザ・バレル(23)
学生時代からの親友で、立場が分かれてもその友情に変わりは無い。
出生に関して重大な秘密を持っているらしいが・・・?
レイ「証人に明確な発言を願いたい。・・・正直困ります」
レイ「確かにあの承認は手ごわい。発言も的確だ。だが、奴のアリバイには決定的な矛盾がある」
シン「どう見てもそいつが犯人だろ!」
レイ「気にするな、俺は気にしてない」
シン「ごまかすな!」
元祖「キレデレ」、鞭ではなく羽を飛ばしてくる第1ドール
水銀燈(?)
親であるローゼンが殺された事件を追うために検事になった。
犯人は『真紅』と思い込み、激しい憎悪をたぎらせている。
シンに気があるもののまるで気付かれていないようだ。
水銀燈「ふふふ、怒っちゃ駄目、血圧上がっちゃうわよ 。乳酸菌取ってるぅ?」
シン 「そういえば最近取ってないな。昨日も確か・・・」
パル子「主、私達は昨日何も食べていません。ちなみにおとといも素麺だけでした」
シン「そうだったな。デス子のせいで食事代が足りなくなったんだった」
デス子「・・・・・・・(お腹が減りすぎて、機能停止している)」
水銀燈「・・・この裁判が終わったら何か奢ってあげるわぁ」
歩く常勝無敗、生きた不敗伝説、検事局の白い冥王 高町なのは(25)
弁護士である八神はやての最大のライバルであり親友。
若くして検事局のエースオブエースの地位を勝ち取り、数百の裁判を経ていまだ無敗。
そのため、恋愛経験も少なかったらしく、シンにベタ惚れ(?)してはいても接し方がわからないようだ。
なのは「判事さんはその木づちをたたいて“有罪”と言えばいいの。それがあなたのすべきことよ」
なのは「・・・犯罪者さん。少し・・頭冷やそうか・・・」
なのは「ねぇシン、この裁判が終わったらどこか美味しいものでも食べに行かない?
あ、答えは聞いてないから」
シン 「裁判所でレイジングハートを出さないでください。なんで、持ち込めたんですか、それ」
アティ「・・・・まあ、いいでしょう。あまりやりすぎないでくださいね?」
シン(いいのかよ!!!)
『妙に濃い脇役』
警視庁のエリート女刑事 ジナイーダ(24)
シンの学生時代の女友達の一人で、警視庁でも将来を嘱望されているエリート。
刑事部長だった兄を尊敬しており、なぜ警察をやめたのか疑問に思っている。
ジナ「あいかわらず、また事件に巻き込まれているのか。ほら、検死の結果と被告人の供述書」
シン「いつも悪いな。今度何か奢るよ」
ジナ「断る。お前に奢られると汚職になるからな。ただ・・・その・・私が奢るのなら問題ないんだ。
だから、また一緒に食事にでも行かないか? も、もちろんお前が嫌じゃなかったらでいいんだ」
シン「嬉しいけど、それって本末転倒じゃないか?」
普段は温厚だが切れると抜剣覚醒 アティ裁判長
持ち前のおっとりした雰囲気で、裁判の殺伐としがちな空気を和ませている。
天然で一見頼りなく見えるが、最後は必ず正しい判決を下すのは有名な話。
シン「そんなこともわからないのかよ、あんたって・・・」
アティ「アスカ弁護士、私は口の悪い子は嫌いですよ(無言で抜剣覚醒)」
シン「・・・すいませんごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
パル子「はぁ、情けないです」
『倒すべき宿敵』
狂気の連続殺人者 ラウ・ル・クルーゼ(33)
国際指名手配を受けるほどのテロリストで常に仮面をかぶって姿を隠している。
名前の知名度に反して、本人に関する情報が驚くほど存在しない。
隠されているのではなく、元から存在しないのである。
そんな事情もあって、始めからどこにもいなかった人間であったかのような印象をシン達に与えた。
既に精神は崩壊しており、世界の全てを憎んでいる。
特に自分を生み出した俗人達への憎しみは深く、財界の大物だろうが閣僚だろうが幕僚だろうが関係なく殺してきた。
何度か捕まったこともあるが、そのたびに証拠不十分で釈放されたり、裁判所から脱出したりして難を逃れて来た。
「愉しみは後に取っておくとしよう」
「実に愉快だな君は。それでこそ、私が対峙する価値があるというものだ」
「貴様もつくづく無能だな。ええ?」
「やってくれる。新人とは言え、ここまで真相を暴露した腕前は素直に評価しなければな」
「まだだ。私の復讐劇は、まだ終わっていないのだよ!」
最終更新:2011年06月07日 09:41