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東方小ネタ-13

1

シン「パルシィ!出てこい!またパルったな!」
パルシィ「あらばれてたのね。だって仕方がないじゃない……貴方が他の女性ばかり……ネタマシイ」
シン「パルシィ……//」
パルシィ「後、パルったって言い方はやめてくれない?何だか、だれかさんのらき☆すけ発動したみたいで……」

シン「……」

2

~ある幻想郷の場合~
あるいは一人の種馬の悲哀

霊夢「ん」
シン「あ?どうした霊夢。って、お守り?」
霊夢「あんた、今日誕生日でしょ」
シン「あー・・・そういやそうだったか。すっかり忘れてた」
霊夢「自分の誕生日くらい覚えておきなさいよ。ったく、だからあんたは変な異変に巻き込まれるのよ。そのお守りで少しは自制しなさい」
魔理沙「おーっす!!シン、誕生日なんだってな!はいこれ、魔理沙様特性の精力増強剤!」
シン「ちょ!?お前!なに渡してきやがる!?」
魔理沙「えーいいじゃん別に。あたしと一緒の時に使ってもいいし、霊夢の時でもいいし。なんだったら全」
シン「いわせねぇよ!!」
霊夢「はぁ・・・ま、今日はどうせ色々な奴らが来るでしょうからね・・・はぁ、参拝客が逃げるわ・・・」
早苗「まぁまぁ。はい、シンお誕生日おめでとうございます」
シン「・・・さなえ、これはいったい・・・」
早苗「子宝成就のためのお守りです!!すごいですよー。神奈子様や諏訪子様と一緒に一ヶ月以上力を注ぎ込んだ自信作です!!」
シン「いや、だからってあからさま過ぎるだろうが・・・」
早苗「実は、神奈子様や諏訪子様が『早く子供を産むように』とか『早苗とシンの赤ちゃんが見たい!!』といわれるものなので」
シン「・・・あたまがいたい・・・」
霊夢「ちょっと早苗。これ、私達にもきくんでしょうね?」
魔理沙「そうだぞー。あたし達だって、ここにいない奴らだって欲しがってるんだからな?」
シン「お前らちょっと自重しろ!!!」

3

陽が傾きかけた昼間。守矢神社へと続く長い参道を進む者がいた。
赤い着物を着た、黒髪に赤い瞳の、排他的な妖怪たちの住むこの山には非常に珍しい人間の青年だ。
青年――シン・アスカが何気無く進むその道は、多くの妖怪や神々が暮らす幻想郷唯一の山にある場所だ。当然、人里の人間たちは妖怪たちを恐れて足を踏み入れたりなどしないし、基本的によそ者を嫌う山の妖怪たちも外部からやってくる者にいい顔をしたりはしない。
実際、今のシンの姿は荒事の後なのか、端から見て随分ボロボロだった。
赤い着物は地面を転がり回ったかのような、事実そうなのであろう土や泥に汚れ、顔や素肌も擦り傷や青あざだらけだ。彼のこんな姿をこの山で見る者がいれば、何があったかなど想像するまでもないだろう。
だがそんな姿でも、シンは気負う様子もなく歩いていた。その様子からは怯えもやり場のない怒りも見て取れず、とても理不尽な暴力に遭遇した後の人間には見えない。

「あっ、いたいた」

そうして彼が進んでいた長い参道は、彼自身の呟きと共に終着を迎える。
彼の赤い瞳は既に緑色の髪をした少女の後ろ姿を捉えていた。

「ごめんくださーい!」
「はい!」

こちらに背を向けて竹ぼうきで道の埃を掃いていた少女は元気に振り向いた。

「こんにちは! 参拝の方ですか? それともなにかご相談事ですか?」

それはまるで輝くような笑顔だった。老若男女見る者全てが好感を持つであろう、その笑顔を見るだけで幸福を感じられそうな、まるで神の祝福を受けた乙女のように清らかな笑みだった。そしてそれは、あながち間違ってもいなかった。
彼女の名は東風谷早苗(こちやさなえ)。守矢神社の風祝(かぜはふり)――云わば巫女であり、現神人の少女である。
しかし、そんな慈愛と親愛に満ち満ちた彼女の笑顔は、シンの顔を見るなりあっさり消え去った。

「……って、なんだシンさんじゃないですか」

優しく細められた目付きはじと目然とした半眼に変わり、柔らかく吊り上げられていた口の端は逆方向に下がりヘの字を描いた。
そんな早苗のあからさまな反応に、シンはただ苦笑するしかなかった。
その間に彼女もこちらの状態に気づいたのだろう。早苗の視線が自分の頭から爪先まで巡るように走ったのを感じると、彼女の表情が渋面から今度は呆れ顔に変化した。
ぼろぼろの人間に対するにはあまりに適当な様子で、溜め息までおまけしてくれた。

「またボロボロじゃないですか。いい加減飽きませんか?」
「うん、まあ……そういうわけで、また救急箱貸してくれない?」
「いいですけど、隅でやってくださいね。貴方みたいにボロボロな人がここにいるのを天狗の方々に見られたら何を書かれるか分からないんですから」
「分かってるよ。悪かったって」
「そう思うならお賽銭でもしていってください。ここは神域であって病院じゃないんですからね」

ぷい、と顔を背けて建物の中に入っていく少女の背中を、シンは苦笑いで見送るしかなかった。
普段のシンなら、例えばこれが他の人間の態度なら、買い言葉の要領で悪態の一つでも返しただろう。しかし彼女の場合は話は別だった。初めて会って以来、彼女には何度も危ないところを助けられた。そして今日のようにこうして面倒をかけることも一度や二度の話ではない。それでもなんだかんだで世話を焼いてくれる彼女に、どうにもシンは頭があがらないのであった。
それから少ししてから、言われたとおりに境内の隅っこで座るシンの元に、救急箱と水を貯めた桶が届けられた。
桶の水に手拭いを浸し、顔に付いた泥を拭う。
水の冷たさが擦り傷に染みるが、このくらいの痛みには馴れている。むしろ山を歩くうちに熱り、汗をかいた肌にとても気持ち良い。
あまりに気持ちよかったので、思わず桶をひっくり返し頭から水を被りたくなる欲求に駆られるが、そうするとまた早苗に水を汲んできてもらわなければならなくなるのでそれはやめておいた。
顔を洗い終え、次に着物をはだいて身体を拭き始める。
そんな自分の後ろから、縁側に腰掛けていた早苗が口を開いた。

「それで、今度は誰になんて言われたんですか?」
「誰って?」

馴れた手つきで包帯を巻きながら、シンは顔を早苗に向ける。

「山に入った理由ですよ」
「ああ……」

シンは虚空を見上げると、こうしてボロボロになる事になった顛末を思い返した。
よくある話である。
人里にある、とある商家の長男として生まれた男がいた。
その男は俗にいう放蕩息子というやつで、家の仕事を手伝うわけでもなく、かと言って自分で仕事を探すわけでもなく、いつも里を遊び歩いていた。
そいつはどうしようもないやつで、ある理由から金を欲した男は、里の居酒屋で出会った妖怪の口車に乗せられ博打に手を出した。男からすれば多少の自信はあったのだろうが、そんな上手い話などあるはずもなかった。

「案の定、負けたそいつは死んだ母親の形見の櫛を取られたって泣いてたんだ」
「それで今度もまたボロボロになったんですか……」
「違うって。俺もそんなお人好しじゃないよ。ただそいつが妹の結婚祝いの金が欲しかったって言ってたから……ほら、せっかくの結婚式なのに、馬鹿な兄貴のせいでいやな思いをしたら可哀想だろ?」
「それでなんの関係もないシンさんが妖怪と話を着けに危険な妖怪の山に入って、ボロボロになってようやく櫛一つ取り戻したというわけですね。馬鹿なんじゃないですか?」
「うう……」

早苗にばっさり切り捨てられるシン。もし仮にシンが早苗の立場だったら自分も同じことを言うだろうと容易に理解できるため、呻くしかない。

「おーい、だれもいないのー?」
「はーい! 私がいますよー!」

と、神社の入り口の方から誰かの声が聞こえたと思うと、早苗は再びあのきらきら輝く笑顔で駆け出して行った。

「はやー……」

包帯を巻き終えたシンは感心しながら着物を着なおすと、なんとなく物陰から早苗の様子を伺ってみる。
先ほどの声の主は河童の少女だった。少女の名前は知らないが、何度か見かけたことがある。
河童の手にはきゅうりを積んだざるが抱えられている。どうやらおすそ分けにきたらしい。早苗は喜んだ様子で会釈するときゅうりを受け取った。

「…………」

そんな楽しそうに歓談している早苗を見ていると、なんだか複雑な気分になってくる。早苗と知り合ったばかりの頃は、彼女もあんな風に自分と接してくれていたのだが。

「……仕方ないか。迷惑ばかりかけてるもんな」

彼女の優しさに甘えてついつい頼りっぱなしでいたが、シンのような人間を神社に入れていることが山の妖怪たちに知られれば彼女の立場は悪くなるだろう。
一応、シンも山に入るときは酒などを献上してスジを通すようにしてはいるが、それでも大目に見てもらっていることには変わりない。
困っている人間を見過ごせずつい口出ししてしまったが、彼女の事を思えば今回のようなことはもう控えるべきだろう。

「もう来ない方がいいかもな……」

とりあえず、今日のところは早苗が戻って来たところでお礼を言っておいとましよう。そう思いながら振り向いた時だった。

「…………」

角から顔を出していた人物と目が合い、思わず足が止まった。
その人物のことは知っている。確か名前は八坂加奈子。ここ守矢神社が祀る神の一柱だ。
覗かれていたことよりもむしろ注連縄を背負った人物の姿に気づけなかったことに軽く驚きつつも、なんとか会釈する。
こちらが会釈したのを見て、八坂神奈子はなにか考える素振りをみせると、角から出て歩み寄ってくる。
だんだん近づいてくる、神様という未知の存在になんとなく気圧されている間に、八坂神菜子はシンの目の前で立ち止まる。

「…………」
「…………」

相手の言葉を待つが、なぜか何も言ってこない。

しばしの間、八坂神奈子と見つめあう形になってしまい、シンは首をかしげた。

「あの……なんですか?」

そう訊ねると、神は突然シンの肩をぽんぽん、と叩くと、そのまま手を置いたまま口を開いた。

「早苗と仲良くしてあげてね……」
「はあ……」

何やらしみじみとしている神に、シンは曖昧に答えるしかなかった。
そこへ話を終えたのか、早苗がきゅうりを乗せたざるを抱えて戻ってきた。

「すみませんシンさん。お待たせして……神奈子様、なにしてるんですか?」

それは早苗から見てもおかしな光景だったのだろう。怪訝な顔で訊ねる早苗に、神はなんでもないと言うように手を振るう。

「いやいや、なんでもないよ。気にしないで。じゃあねー」

そう言残し、神は去っていった。単に廊下の曲がり角を曲がって姿が見えなくなっただけだが。

「……神奈子様と何のお話をされてたんですか?」
「え? いや、特には何も」
「そうですか」

別段早苗も気にしなかったのか、それだけでこの話は終わった。
変わりに彼女は驚くべきことを口にする。

「……シンさん。今日はもう遅いですから泊まっていってください」
「え?」
「え? じゃないですよ。当たり前でしょう。もう夕日も落ちてきてるんですよ」

言われてみれば、すでに陽は傾いていた。どうやら随分と長居していたらしい。

「いや、でもそういうわけには……」

とはいえそこまで面倒を見てもらうのも気が引ける。断ろうとするシンを、早苗は半眼で見やる。

「いまさら何を遠慮してるんですか。それにもし帰りにシンさんが襲われたりして、守矢神社から帰る途中で妖怪に襲われたなんて噂が里で広まったらどうしてくれるんですか? そうなれば私たちの神社の評判はがた落ち、そうなったら責任取ってくれるんですか?」
「……いや、まあ……でも迷惑じゃないか?」
「迷惑してますよ。いつになっても夕飯の支度ができないですから」
「あー、うん……じゃあそうさせてもらおうかな」

「そうしてください。ほら、分かったのなら早く上がってくださいよ」

とうとう業を煮やした早苗に、シンはズイズイと背中を押してくる手に逆らわず前に進んだ。
そんなこんなで玄関まで来たところで早苗は手を離すと、シンに言う。

「じゃあシンさんは居間でのんびりくつろいでてください。私はお野菜を洗ってきますから」
「手伝おうか?」
「いりません。奇跡で済ませますから」
「あ、そう……」

安い奇跡だな。そう思いつつ履物を脱ごうと屈むと、不意に後ろから早苗が続けた。

「それからさっきの話ですけど……別にイヤじゃありませんから。シンさんの面倒を見るの」
「え?」

シンが振り向いた時には、既に玄関が閉められていた。玄関の向こうで早苗の影がパタパタと駆け足で去っていく。

「………………」

言葉の意味を図りかね、しばしその場で立ち往生するシンだったが、また後で聞けばいいかと結論付け居間へと上がることにした。

廊下を歩きながら、ただなんとなく、自分が思うほど早苗には嫌われてはいないのかもしれない。そう思うと心持ち気が軽くなるシンなのであった。

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最終更新:2011年10月24日 03:21
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