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単発-02

 無限に続く階層都市構造の中を、俺は一人の少女と当てもなく歩いていた。
「この階層にも、君の仲間は……?」
「ううん、居ないみたい」
 彼女の感覚域は広い。彼女に見つからなければ、俺に彼女の仲間を探す事は無理だろう。
 距離感の狂ってくる程巨大な空間だ。精々数千キロしか離れていない近場に、
全長がプラント程もある『建設者』が新たな階層を作りつつあった。

「もう……私の仲間は見つからないのかな?」
 ふと気付くと、少女が歩みを止めて俯いていた。ぽつぽつと乾ききった超構造体の床に
涙の跡が刻まれ、直に乾いて消える。
「私……もうこの世界で独りぼっちなのかなあ。ねえ――シン?」
 震える小さな肩を、俺は無意識の内に抱きしめていた。
「そんな事無いよ、絶対俺が君の仲間を見つけてやる!」
「でも……私、シンに護られているばかりだし――本当の記憶も良く覚えていないし」
「な……俺だって、君が居なかったらこの時代で右も左も分からずにどうなっていたか!」

 メサイア攻防戦の最中、裏切り者アスランの駆るインフィニットジャスティスに撃墜され
月面に叩き落された俺は気がつくとこの世界……いや、この『時代』に居た。
 ザフトのパイロットスーツと、いつの間にか持っていた棒切れだけで目を覚ました俺は、
床や壁から自動的に作出される食料や衣服にほっとしながら、とてつもなく広大な
階層都市構造を彷徨う中で、一人の少女出会った。
 仲間と記憶の多くを失った彼女からでも、俺は一人で知り得たことより遥かに多くの事を
教えてもらう事が出来た。ここは異世界ではなく未来である事。月を飲み込む階層都市構造と
超構造体〈メガストラクチャー〉を作る『建設者』達。とてつもなく長い時間経過の中で、
かつて持っていた遺伝子情報を変化させてしまった人類。

 俺の腕の中で震える女の子も、肌が病的に白い。ゆっくりと撫でる髪はざらざらと
ワイヤーのように硬い。だがそれがどうした。
「君のその……一族も、統治局やセーブガードの手を潜り抜けて生き延びている人達が、
必ずどこかに居るはずだよ! 他の誰よりも君が諦めちゃあ駄目だ」
「シン……」
 腕の中の、ナチュラルとは少し違う、俺とも少し違う……只の女の子の震えが止まる。


「でも……私と一緒にいると、シンまで不幸な事になりそうな気がするの」
「俺はこの世界に来てから一度、君に救われているんだ。今更そんな事!」
 確かに敵は多い。彼女の一族を殲滅しようとするセーブガード、そして何故だか
俺を捕らえようとする統治局の刺客――霧亥とかいう男。だが、それでも――
「君の仲間を見つけるまでは、絶対にこの俺と……"アロンダイト"が護ってみせる!」
 背中に負った棒切れ――この世界に来た際手にしていた第一種臨界不測兵器を掲げて見せた。
 護れなかった多くのもの。この果てしなく広く、遠い世界で唯一信じられる彼女。
 ――今度こそ、護りきってみせる!
「そろそろ行くよ……プセル」
「分かった、シン」

 SEED-BLAME! Never End





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最終更新:2008年07月15日 19:35
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