1
もしもシンがプレインズウォーカーだったらこんな感じだろうか
シン・アスカ (1)(赤)(白)
[+1]:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/0の修正を受けるとともに速攻と先制攻撃を得る。
[-2]:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。シン・アスカはそれに4点のダメージを与える。
[-6]:速攻と飛行と二段攻撃を持つ無色の6/6のアーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
忠誠度3
2
シン「お嬢!本当に行ってしまうのか?」
みほ「シン君…うん、わたしのせいで黒森峰が負けちゃったから」
シン「あれはお嬢のせいじゃない!俺だってあの場面なら助けようとしたさ!」
みほ「でもお姉ちゃん達の伝統に傷を付けちゃったのは事実だし…これから行く学園艦は戦車道が無いんだ。西住流はお姉ちゃんが継いでくれるだろうしわたしの戦車道はこれでおしまい」
シン「この前まほさんのお世話させて頂いてる時に嬉しそうに聞かせてくださった自分だけの戦車道を見つけるって約束はどうするんだ?」
みほ「お姉ちゃんに謝っておいて、合わせる顔が無いし」
シン「わかった。お嬢、達者でな」
みほ「うん、じゃあねシン君」
まほ「シン、みほは行ってしまった?」
シン「はい、自分だけの戦車道を見つけられずごめんなさいと仰っておりました」
まほ「撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流。だけどみほなら自分だけの戦車道を見つけてくれると思ったのだけど」
シン「みほ様はお優しいのでお仲間のことを常に気にかけていらっしゃっておりました。それが偶々あんなことになってしまっただけです!」
まほ「いえみほを責める気はないわ。みほなら助けようとすると思っていたから。フラッグ車を身動きのとれない場所に配置した私のミス」
シン「でしたらそのことをみほ様に!」
まほ「みほは一人暮らしは初めてだったかしら?」
シン「へ?あ、はい!確かその筈です」
まほ「家には菊代さんがいるから大丈夫。みほの世話をお願いお母様には私から言っておくから」
シン「はい!わかりました!」
まほ「伝言頼んだから」
3
シン「お嬢は…まだ眠ってるな」
まだ投稿時間には早い。もう少し夢を見てもらっていてもいいだろう。
そうシンは考えると着替えを始めた。さすがに同室で着替えるのははばかられるので脱衣所で着替える。
今シンが着ている服は木綿で出来た簡易的な着物だ。戦車道をやるならば軍服でもいいのだろうがあいにくシンは男だった。
シン「今日の朝飯は何にしようか?」
マユのために作った事もあったし万能なレイや女性であるルナよりも得意だった料理はこちらの世界に来て更に磨きがかかっていた。
昨日のうちに炊いていたご飯を確認し冷蔵庫を開ける。納豆と鮭が入っていた。
ご飯と味噌汁に焼き魚。それに納豆というメニューにすることにした。
鍋に水と昆布を入れ弱火をかける。ここで重要なのは沸騰させないことだ。
火をかけている間に鮭に塩をふる。こうすることで身の中の余計な水分を出し、熟成させて旨みが出る。その間にグリルは前もって火をつけて温めておく。すると網に付かないのだ(余談だがアルミ箔を乗せると更に掃除が楽になる)
とはいえ沸騰するまで20分弱、鮭にも15分程待たなくてはならない。待つまでの間に味噌汁の具を用意してもいいのだがふとお嬢の顔が気になった。
みほ「やっぱりケーキは苺ショート…」
シン「何だ寝言か。 でもお嬢はショートケーキ派か。学校に行っている間に作ってやろうかな」
そうこうしている内に15分が立つ。だが焼きたてを味わってもらうためまだ鮭は焼かない。
沸騰直前の鍋から昆布を取り出し1カップぐらいの鰹節をいれて中火で加熱する。表面の灰汁を取り再沸騰させた後火を止め2分程置く。鰹節が沈んだら濾し布でだし汁を濾す。
このタイミングでグリルに鮭をいれて7分程待つ。
豆腐はさいの目に切り、長ねぎは小口切りにして、乾燥わかめは水で戻し、水気をきっておく。鍋にだし汁を入れて火にかけ、豆腐、わかめを入れ、煮立たせる。煮立ったら、みそを少しずつ溶き入れ、沸騰する直前で長ねぎを加え、火をとめる。
味噌汁と焼き魚の完成だ。時計は6時45分を指していた。
シン「お嬢。朝だぞ」
みほ「う~ん、何かいい匂い~」
シン「焼き魚が冷める前に早く着替えてくれ。その間にご飯をよそっておくから」
みほ「わかった~」
初めの頃は大変だった。厳しい家庭で育てられたためか目を覚ますと慌てて掛け布団を畳み、男であるシンがいるのも忘れて着替えようとするのだ。
いつも慌てふためくのはシンばかりで当の本人といえば「あ、そっか。もう家じゃないんだ」と気にもかけない。
血は争えないのかお嬢にもお母上であるしほ様の血が流れているようだった。
みほ「シン君おはよう。今日の朝ご飯は何かな?」
シン「お嬢、おはよう。ご飯と焼き鮭と味噌汁と納豆だ。足りないようなら海苔もつけるか?」
みほ「海苔はいいや。それにしてもシン君のお味噌汁は絶品だね。何かコツでもあるの?」
シン「手間がかかっているだけだよ。お嬢ならすぐ俺より上手になるさ」
みほ「でもシン君がいる間は甘えちゃおうかな?」
シン「任せてくれ。食べ終わったようだな。食器を洗ってくる」
みほ「あっシン君。わたしも手伝うよ」
シン「お嬢の手を煩わせるなんてとんでもない。一人でやるよ」
みほ「いつも美味しいご飯を食べさせてくれるお礼じゃ駄目かな?」
シン「わかったわかった。じゃあお嬢は拭きを頼む」
みほ「うん、わかった」
二人で並んでもまだ広く感じる台所はさすが良家の娘の一人暮らしと思わせる(正確にはシンがいるため一人暮らしではないのだが)
手が触れ合って恥じらうような初々しい関係でもないため洗い物はスムーズに進む。
食器を洗い終えグリルの掃除をしているところ話しかけられた。
みほ「前から気になってたんだけどシン君って昼間は何してるの?」
シン「何って部屋の掃除とか食料の買い出しとか。あと最近アルバイトを始めたんだ。秋山理髪店っていうんだけどそこの娘さんもお嬢と同学年なんだって」
みほ「へぇそうなんだ。でもわたしのクラスじゃないな。秋山さんって人クラスにいないし」
シン「お嬢、クラスメイトの名前と
誕生日を全員分覚えたんだっけ」
みほ「うん、いつ友達になってもいいようにって」
シン「その成果は?」
みほ「うぅ言わないで…」
シン「まあ俺も友達が多かった方じゃないけどいつかきっと気の合う友達が出来るさお嬢なら。っとそろそろ時間じゃないか?」
みほ「あっそうだね。戸締りお願い」
シン「ああ、わかったお嬢いってらっしゃい」
みほ「いってきます!」
部屋に掃除機をかけ洗濯物を干す。今日は一日晴れの予報なので外に出して置いても大丈夫なはずだ。
アルバイト先に向かうため着物から普通の服へと着替える。相も変わらず無難なパーカー類の服であった。
淳五郎「やぁシン君おはよう。まだバイト時間には早いんじゃないか?髪でも切って待ってるか?」
好子「もうお父さんったら。ごめんなさいねシン君。この人ったら年頃の子に話す話題が無くって」
淳五郎「なにぃ!じゃあお前だって優花里の趣味がわかるのか?」
好子「戦車にそこまで詳しくないのはお父さんもでしょう」
シン「あっあの!今日は用事があるので早くあがってもいいですか?」
淳五郎「いいけど何をするんだい?」
シン「お嬢の為にケーキを作ってあげたくって」
好子「優花里もシン君みたいな趣味ならねぇ。シン君にそこまでしてもらえるお嬢さんは幸せね」
シン「いえ、そんなことは…仕事始まりますし準備してきますね」
理髪店でアルバイトする以上寝癖のついたままの髪型ではお客様の前には立てない。
zaftの友人は女性のような手入れをしていたレイに何故かそそり立つアホ毛のルナ。前髪にケチャップついたようなヴィーノなど普通のセンスを磨くのに苦労したものだった。
シン「お疲れ様でした!」
淳五郎「ご苦労様またよろしくね」
アルバイトも終わり帰路につく。ケーキをスポンジから作ってもいいのだが(作者の知識不足の為)生地を買い、生クリームを塗って苺をトッピングするだけにした。
夕飯前に帰ってくるだろうしオヤツ代わりにいいだろう。
みほ「…ただ…いま」
シン「お嬢、おかえり。どうしたんだ?元気ないみたいだけど」
みほ「あのねシン君。大洗で戦車道復活したんだって。わたしが経験者なのもバレちゃってるみたい」
シン「…お嬢はどうしたいんだ?」
みほ「戦車道にあまりいい思い出が無いしやりたくない…」
シン「じゃあいいんじゃないか?やらなくても。俺は前の世界で戦いたくない人が戦わなくてすむ世界を作ろうと戦ってきた。この世界でだってお嬢がやりたくないことをやらなくていいようにするくらいいけるさ。さぁお嬢、ケーキを作ったんだ。召し上がれ」
みほ「…シン君…ありがとう…」
シン自身はまほ様との約束やあの生意気なエリカ嬢の鼻を明かしてやりたい気持ちもあったので戦車道復活はいい機会だと思った。
西住流としての戦車道を要求され常にシャンと立つことを求められた黒森峰とは違う。ここ大洗は古き良き下町のような雰囲気が学園艦からも醸し出されている。皆で協力して勝ちたいと思うお嬢には合う気風だ。
しかし本人がやりたくないと言うなら話は別だ。経験者がお嬢一人ということからも負担が大きいのは目に見えている。
そう考えながらケーキを食べているとお嬢が口を開いた。
みほ「ねぇシン君。友達が出来たんだ」
シン「やったじゃないか。どんな人なんだ?」
みほ「武部さんっていう社交的で女の子っぽい人と五十鈴さんっていう芯が通って大人っぽい人」
シン「そうか。よかったなお嬢」
みほ「うん!」
ふとレイとルナを思い出した。武部さんとやらはルナのように気軽にお嬢に話し掛けてくれたのだろう。レイとは殴り合って友情を結ぶどこのスポ根ものだというような感じで仲良くなったが女の子同士で殴り合いはしないだろうしきっと武部さんと一緒に話し掛けてくれたのだろう。
本当に本当に自分には勿体無い程の出来た友人達だった。
みほ「シン君、必修選択科目は何を選べばいいかな?」
シン「何々、戦車道のほかには茶道に華道、香道に書道に弓道、長刀道に合気道、仙道と忍道ってなんだこりゃ?」
みほ「女の子っぽいのがいいんだけど何がいいかな?」
シン「え~と経験者が少なそうな香道なんてどうだ?」
みほ「いいかも。じゃあそれにするね」
戦車道なんてものがある時点で薄々感じていたが仙道や忍道に疑問を持たない辺りこの世界は特殊らしい。
合気道ぐらいならばシンでも教えられそうだったが女の子らしいことをしたいというお嬢の気持ちを無碍にすることもない。
それに匂いには気をつけているつもりだが男も一緒に住んでいるのだ。いい香りになるよう香道を学んでもらうのもいいだろう。
シン「お嬢は夕飯に何食べたい?」
みほ「シン君に任せるよ」
シン「作る側としてはそれが一番困るんだが…まあいいか」
朝食に魚を食べたので肉料理にしたいところだが学園艦という船の上のため必然的に肉より魚が多くなる。歯応えだけでも肉に似せてみようかと自分は鰯豆腐バーグを作ることにした。緑が足りないのでお嬢にも手伝ってもらおうか。
シン「お嬢。ちょっと料理作ってみないか?サラダでいいんだけど」
みほ「甘えてばかりじゃ駄目だよね…うん!やってみる!」
シン「わかんないことがあったら聞いてくれよ」
豆腐をキッチンペーパーで包み ザルに入れて重しをのせてザルの下に受け皿を置き 冷蔵庫で1時間位いは置き、よく水切りする。
耐熱皿にみじん切りにした玉ねぎを入れ、レンジ強で加熱して火を通し 冷ましておく。
ボールに先ほど準備した豆腐と玉ねぎ、鰯のすりみ・卵・パン粉を大さじ2・味噌と胡椒を少々加え 手でよく練り混ぜる。
フライパンに油を熱し、練り混ぜたタネを丸く平たく落として並べ、両面を焼いて蓋をして中まで火が通ったら 一旦お皿に取る。
フライパンをキッチンペーパーで拭いて綺麗にし、酒・みりん・砂糖・醤油を入れて煮立てて甘辛いたれを作る。
焼いた鰯豆腐バーグを戻し たれと絡めてお皿に盛り 上におろし生姜をのせる。
これで鰯豆腐バーグは出来たのだがお嬢の方を見てみるとフレンチドレッシングの配分を間違えたのか随分とたくさん作っていた。
シン「これじゃ明日からもサラダ三昧だな」
みほ「シン君が料理上手だからついつい任せちゃって上手くなれなかったんだよ…」
シン「まぁビタミンは重要だしいいじゃないか」
夕飯を盛り付け食事を開始する。結局お嬢が作ったのはキャベツとレタスをちぎったものに切ったトマトを乗せたものだった。
シン「そういや大洗では干し芋が有名なんだってな」
みほ「あ、知ってる。乾燥芋っても言うらしいね」
シン「明日は大学芋なんかどうだ?」
みほ「うん食べてみたいな」
洗い物や炊飯器の予約をしているうちに夜が更けり風呂に入る。シンは男なので勿論お嬢の後だ。
本来は違うシャンプーにするべきなのだろうがお嬢の「違うシャンプーを買うのって面倒でしょ?同じでいいよ」と男前な台詞から同じ物を使わせてもらっている。コンディショナーなど面倒臭がってやらないためシャンプーの減りだけ妙に早いのが難点だが。
シンが風呂から上がるとお嬢はまだ起きていた。
シンは風呂から上がった旨を伝え布団を敷く(お嬢はベッドだが奉公人であるシンは布団なのだ)
みほ「シン君お休みなさい」
シン「ああ、お嬢お休み」
目を閉じてシンは考える。嫌がるならばさせるべきではないが本当にそれがお嬢の為になるのか、姉上であるまほ様との守れなかった約束が将来しこりになりはしないかなどと。
だが所詮シンは奉公人だ。お嬢の判断に従うしか出来ず、また諭す事が出来る程に成熟しているわけでもなかった。
ステラを助けようと足掻いていたころからなにひとつ成長できていないと自嘲しながら眠りについた。
4
「あの~……駿河さん」
「アスカ君、確かに君は阿良々木先輩の話によると学年的には私が上になるようだが、それもたった数ヵ月の違いだ。
だから、私は駿河と呼び捨てでいいと何度か言っている筈だが?
そこまで気ににする必要もないだろう?」
「いや、それでも年上ですし駿河さんで……じゃなくて、何で俺達は土曜の真っ昼間から暦さんをつけなくちゃいけないんですか?」
神原駿河さん……暦さんの学校の後輩で元バスケットボール部のスター選手だったらしい。
そして――――猿に願った人。怪異は既に解決しているらしいが、左腕に巻かれた包帯の下には猿に良く似た悪魔の腕を持つらしい。
「ところでアスカ君」
「いや……俺の質問に――――」
「尾行って、なんか響きがイヤらしくないか?」
追記、暦さん曰く最強の変態。
「だって尾を見て着いて行く、つまりは――――」
「だぁ!! そう言うことばっかりしか考えられないのか、アンタは!!
じゃなくて先に俺の質問に答えろ。何で俺達は暦さんの後を着けなくちゃいけないんですか?」
ハッと我に返って口許を押さえて暦さんの方を見る。よかった、バレてないや。けど何で準備運動?
「アスカ君、今日こうして私達が阿良々木先輩をつけているのは戦場ヶ原先輩からのお願いでだ」
「お願い? 脅しの間違いだろ?」と言う言葉を飲み込んで、俺は暦さんを監視しながら話を聞き続ける。
にしても、暦さん、体柔らかいなぁ……何であんな念入りに体伸ばしてるんだ?
「戦場ヶ原先輩曰く最近阿良々木先輩から知らない女性の香りばかりするらしいのだ」
香りって何だよってツッコミたかったが、この人ではきっと解らないだろうとそれを我慢する。てか逆にわかったら怖い。
「そのために、まあ……浮気してないか調査をしてこい。との名目でお願いされたのだ」
なるほどね、つまりは暦さんが心配なのだ。阿良々木ハーレム(駿河さんが勝手に言ってるだけ)の暦さんに対する認識は‘あれ’である。他人の為にとんでもない無茶をするとか。本人曰くも何回か死にかけてるらしい。
つまりは浮気でなく、無茶をしないかの監視と言うことだろう。
「まあ、今日は普通にツーリングだけの様だな、こんな公道でストレッチを始めるのはどうかと思うが……阿良々木先輩も受験生。色々と溜まってるのだろう。私も是非ともその発散をお手伝いしたいものだ」
……普通に先輩思いな後輩の科白の筈なのにこの人の言葉には含みしか感じない。
「と――――言ってる間にクラウチングスタート? からの全力疾走!?
おお、流石は阿良々木先輩、私も惚れ惚れするくらい見事なスタートダッシュだ。今日の用事が監視でなければ先輩と共にランニングをして爽やかな汗を流したかった。
ついでに先輩の匂いも――――」
駿河さんの目を輝かせながらの解説通り、暦さんは実に見事なダッシュで幼女に抱きつきに行った。――――え? 何んだこれ? 止めた方が良いんじゃないのか?
「アスカ君、阿良々木先輩は流石だな。何事にも全力だ」
いやいや、あれは止めようぜ? 暦さんが犯罪者に……ああ、あの人キスまでしてるよ。俺があまりの光景に言葉を失っていると、駿河さんは実に落ち着いた様子で立ち上がった。
「アスカ君、そろそろ帰るとしよう。これ以上は大丈夫だろう」
何が? 何が大丈夫なんだよ!?
「阿良々木先輩もお疲れな様だしな、ああ言うことを人に見られていたと知れば悲しくなる筈だ。しかし――――あの人はホントに友達が居ないのだなぁ」
後半の呟きは聞こえなかったが、駿河さんが歩き出した為にそれに続く。
「さて、戦場ヶ原先輩は今日は一日中お父様と御一緒らしいから……電話をかけるのは無粋だな。報告は明日にしよう」
何故か言い訳っぽく聞こえたのは気のせいだろうか。
「さてアスカ君。今日は付き合わせて悪かったな。お詫びと言ってはなんだが、何か軽食でも奢らせて貰おう」
「えっ? いや、悪いですよ」
「まあまあ、そう遠慮はするな。一人でのストーキングは確かに興奮するが、二人でストーキングと言うのもなかなか楽しかった。私はそのお礼をしたいだけなのだ」
はははと笑いながら言う駿河さんだが、きっと、この人も俺を気にしてくれているんだろう。けどストーキングって。
阿良々木先輩の両親の好意で空き部屋をかして貰っているとは言え、この世界では俺と同じくらいの年齢の人の殆どは学生だ。俺くらいの年の頃青少年が平日に町をぶらつけば警察に話かけられる可能性は必然的に高くなる。しかも暦さんの両親もあれだ。
だから俺は家の中に居ることが多い。たまに外に出るのも夜に暦さんが散歩に誘ってくれたりする程度だ。だからファイヤーシスターズには俺の瞳の色もあってのか「吸血鬼みたい」とからかわれた(実際の吸血鬼は暦さんなのだが)。
691 :シンの嫁774人目:2013/04/10(水) 21:59:11 ID:JKQjTG5A
今日だって本来なら駿河さん一人でよかったのを火憐経由でワザワザ誘ってくれたのだ。きっと俺の事を暦さんから聞いていたのだろう。
それとも、あの人がそれも見越して――――いや、まさかだな。あの人は意外と普通の人だ。
「わかりました、じゃあドーナツなんかどうですか? 今安いらしいですよ?」
昨日忍さんにドーナツを大量に買わされたと嘆いていた暦さんの事を思い出しながら提案する。
「おお、ドーナツか。ふむ、悪くないぞ、アスカ君。よし、ではミスタードーナツまで走ろうではないか」
満面の笑みで頷いたと思ったら駿河さんはすぐに走り出した。
俺も直ぐにその後を追う。
元の世界には早く帰りたい。けど――――この人達と居るのは、きっと暫く飽きないだろうなぁと思いながら。
その夜、ストーキングをしてた事は誤魔化しながら暦さんにあの少女が何者なのかを聞くと、嬉しいような、そして、何処か悲しそうな顔をされた。
そして、友達だよ……と呟くように教えてくれたのだが、この時の暦さん悲しそうな顔の理由を知るのは、あの少女――――八九寺真宵が何者なのかを知ったあとだった。
5
「かつて……この世界には、世界を渡る力を持った人々がいた」
「シン・アスカ…君の身体には、その遺伝子が眠っている…」
それは、世界から逃げた青年の物語
「どうも…便利屋のシン・アスカです」
「あ…いらっしゃい、シンさん!」
「今日は…依頼があって来たんですけど…」
「シンさん…全て、分かっていますのよ?」
「どこかで…会ったような…」
「君の探しているものは、ここには無いんじゃないかな?」
逃亡した世界での、新たな出会い…
「さぁ…暴れ回れよ、ジコチュー!」
「何なの…こいつ…」
「少なくとも…プリキュア四人よりは、アレのほうが厄介だな」
そして再び…戦いの幕が開く
「……変身!」
複数の残像が重なりあい、身体を人間のものから人外のものへと上書きしていく…
その肉体に宿るのは、世界を救った英雄達の力…
数多の戦いの歴史が…今、たった一つの肉体に集束する
「ねぇ…私を見てよ…私だけを…」
最終更新:2014年02月02日 11:55