第0話
高木「ほう、君が小鳥君が見つけたという行き倒れていた若者かね」
シン「……いや、確かにそうだけどいきなり直球だなアンタ」
高木「細かいことは気にしないでくれたまえ。さて、君の今後についてなんだが」
シン「いやいやいやちょっと待った、アンタ俺が話したこと信じるのか? 俺だって信じられな
いってのに」
高木「別の世界からやってきたという話かね? 嘘ならもっと真実味のある嘘をつくだろうし、
そんな嘘をついて君が得をするとは思えんよ」
シン「そりゃそうかもしれないけど……随分落ち着いてるな?」
高木「これでもポーカーフェイスが得意なほうでね。たとえ内心動揺したとしても顔には出ないタ
イプらしいのだよ」
シン(……顔に出ないって、アンタ顔見えないじゃん。つかやっぱ動揺してんじゃないのか?)
高木「話を戻そうか。身寄りはなし、というよりもそもそも身元が不明。これが君の話を真実とす
る証拠にはならないが、確かなことはこのままでは浮浪者一直線だろうな」
シン「……ホントに直球だな」
高木「まぁ気を悪くしないでくれたまえ。本題はここからなんだが、アイドルに興味はないかね?」
シン「アイドル? アイドルってあの歌って踊って週刊誌とかに写真が載る、あのアイドル?」
高木「そう、そのアイドルだ」
シン「ひ、ひょっとして俺が……?」
高木「いや、見ての通り我が社は小規模でね。今は女性アイドルのプロデュースをメインにしてい
るところだ」
シン「ということはまさかの女装っ!?」
高木「……なかなか愉快な発想をしているようだが違う。さっきも話したとおり我が社は小規模で
社員の数もたかが知れている。アイドル候補生の数に比べてプロデューサーが一人しかいな
いという状況なのだよ」
シン「ということは……?」
高木「君には今いるプロデューサーの補助、というよりは彼と二人で我が社のアイドル候補生たち
をプロデュースしてほしい。その代わりというのもなんだが、少ないが給料と雨風をしのぐ
場所を提供する。悪い話ではないだろう?」
シン「でもそんな経験ないし……というか、俺まだ16歳なんだけど?」
高木「なぁに、バレなければ問題あるまい」
シン「オイ」
高木「それに私は君の面構えを見てティンときたのだよ、君ならばやれると!」
シン「(……大丈夫かこの会社)ま、まぁ他に当てもないし、そうして貰えるなら助かるけど……」
高木「交渉成立だな、分からないことがあれば小鳥君かもう一人のプロデューサーに聞くといい。
我が社のアイドルたちも君と年齢が近いからすぐに気は合うだろう。あぁそれと言い忘れて
たんだが……」
シン「はい?」
高木「我が社のアイドルたちは現在のところ10人いる。キツイとは思うが頑張ってくれたまえ」
……その日から、シン・アスカは『忙殺』という言葉を身に染みて味わうことになった……
最終更新:2008年07月11日 20:11