――時は少し遡る。
「四番機小破、被害状況:主砲破損。五番機小破、被害状況:シールド破損。二番機中破、被害状況、推進部損傷……これでまともに戦える機体は、一番機と六番機だけですわ」
「いやはや、今回は中々の強敵みたいですねぇ」
「六番機、戦闘形態にトランスフォーム。目標との格闘戦に入りました」
「ふむ……」
淡々と告げられるミントの状況報告に、ウォルコットは髭を弄りながら片目を眇める。
それは、まるでSF映画でも観ているかのように非現実的な光景だった。
モニタースクリーンの中を所狭しと飛び回り、激しく火花を散らしながらぶつかり合う二体の巨人を、ミントとウォルコットは固唾を呑んで見守る。
否――正確には〝見守ることしか出来なかった〟と言う方が適当だろう。
管制として基地に残ったミントが戦闘の直接参加することなど出来る筈が無く、また仮に出撃していたとしても、この〝常識外れの戦い〟に割って入る程の勇気も技量も無い。
それは出撃した他のエンジェル隊員達も同様らしく、画面に映し出される虚空の戦場は、今や〝二人のデスティニー〟のためだけの舞台と化していた。
もっとも、この時点で既にミルフィーユ機以外の紋章機は被弾し、そもそも戦闘の続行そのものが難しい状況にあるのだが。
文字通り〝目にも留まらぬ迅さ〟で斬り結ぶ二体の巨人を画面越しに眺めながら、ミントが感嘆の息を吐く。
――その時だった。
「ミントさん。そろそろ貴女も出撃て頂けますか」
無言で戦況を見守っていたウォルコット中佐が、管制席のミントに唐突に発進を要請したのは。
「……何故、このタイミングで?」
怪訝そうな眼で問うミントに、ウォルコットはいつもの好々爺然とした笑みを浮かべて答える。
「いやね……実は先日開発部からロストテクノロジーを利用した新兵器の試作品が送られて来ましてね、性能試験をエンジェル隊でやって欲しいとか」
「この機会についでにそれも済ませてしまおうと、そう考えた訳ですか……ということは今わたくしの紋章機には、その訳の分からない新兵器とやらが積まれているんですね?」
「はい、つい先程搭載が完了したと格納庫から報告がありました」
いけしゃあしゃあと答えるウォルコットにミントは不愉快そうに眉間にしわを寄せ、モニタースクリーンの隅に愛機のデータを呼び出した。
画面上に映し出される、弧を描くような左右のアームが特徴的なライトブルーの機体の中央部には……成程、確かに何やら見慣れない武装が取りつけられている。
如何にも試作品らしく配線を一部剥き出しにした、洗練されているとはとても言い難い不格好な大型の銃器。
それが――、
「――Aクラス新型戦略兵器、通称〝マイクロウェーブ・キャノン〟?」
カタログデータに目を通しながら胡散そうに眉を寄せるミントに、ウォルコットもばつが悪そうに視線を逸らす。
エンジェル隊を束ねる老獪な狸親父は普段通りの曖昧な笑みを浮かべ、しかし暗がりのせいか、その顔はまるで本当に困っているようにミントには見えた。
――ギャラクシーエンジェル隊基地、管制室。
ミント・ブラマンシュ少尉とウォルコット・O・ヒューイ中佐の会話記録より。
「トリックマスター……?」
全天周モニターの端に映り込む、見覚えのあるライトブルーの機体の名を、シン・アスカは無意識の内に口にしていた。
この場にいない筈の最後の紋章機、管制役を引き受けた搭乗者と共に基地に残った筈の機体が何故……?
「何で、ミントが――」
『三番機、目標を捕捉。これより戦闘を開始致します』
思わず口に出たシンの声を塞ぐように、聞き慣れた声が通信モジュールを介してコクピットに反響する。
同時に紋章機トリックマスターの周囲を浮遊する、三枚のブレード状の羽根で構成された無線誘導型飛行砲台〝フライヤー〟が一斉射出、デス子を取り囲むように展開した。
「〝とっておき〟をお見舞いしますわ――フライヤーダンス!!」
朗らかに微笑むミントの声に合わせて、デス子を包囲するフライヤーが紫電を放ちながらエネルギーを集束する。
瞬間、放たれたプラズマレーザーの嵐が全方位からデス子を襲い――密着するトゥルーデスティニーごと、容赦なく撃ち抜いた。
『ぬぉああああああああああっ!?』
『ゎきゃあああああああああっ!!』
スピーカー越しに響くシンとデス子の悲鳴を聞きながら、ミントはやり遂げたような晴れ晴れとした笑顔で、一言。
「最小限の犠牲で最大限の効率……我ながら今のは見事でしたわ」
鬼だった。
『こ、殺す気か……っ!?』
「あら? 生きていらっしゃったんですか、アスカさん」
徐々に晴れる爆煙の中から悪態と共に平然と姿を現わすトゥルーデスティニーに、ミントがわざとらしく感嘆の声を上げる。
傍に確認出来るデス子もただ被弾の衝撃で目を回しているだけのようで、傷らしい傷は見当たらない。
揃いも揃って常識外れの頑丈さだ……と、原形を留めているどころか寧ろ掠り傷程度のダメージしか負っていないらしい鋼鉄の巨人達に、ミントは呆れたように息を吐く。
気絶したデス子を引き剥がし、トゥルーデスティニーがトリックマスターを(首が無いので身体ごと)振り返った。
全天周モニターの側面部に通信用ウィンドウが開き、憤怒に顔を歪めるシンの顔が映し出される。
どうやら味方――それが自分であったという点については問題にしてはいないだろう、シン・アスカとはそういう男だ――ごと撃ったことが余程気に入らなかったらしい。
恐らく罵声の一つや二つでも言わないと気が済まないとでも思っているのだろう。
……だがそれは、こちらも同じなのだ。
『ミント、お前……!』
「目は覚めましたか?」
案の定、激昂したように声を上げようとするシンを制し、ミントは冷やかな眼でそう口にした。
『何をいきなり――』
「アスカさん、貴方わざと死のうとしてませんでしたか? 彼女――デス子さん、だったかしら?――になら殺されても良いと思ってませんでしたか?
こうなったのは自分のせいだからとか、彼女を捨てた自分が全て悪いんだとか……そんな自分勝手な言い訳を並べて逃げようとしてませんでしたか?」
『――っ!!』
図星を衝かれたように表情を歪めて黙り込むシンに、ミントはますます冷然と続ける。
「ふざけないで下さい。貴方独りが死ねばそれで済むとでも思っているんですか? 貴方にそれだけの価値があるとでも思っているんですか? 自惚れるのも大概になさい。
彼女の暴走の責任が自分にあるのだと、アスカさんがご自分でそう思い込むのは勝手です。しかし、ならば尚のこと、貴方は安易に死んではならない筈ではないのですか?
貴方が今なすべきことは、自責に溺れて死ぬことではなく、生きて彼女を止めることではないのですか? 貴方がやらなくて、一体誰が彼女を止められるというのですか?」
厳しく叱咤するミントの言葉に、ウィンドウの中のシンが愕然としたように一瞬大きく目を見開いた。
逡巡するように視線を彷徨わせ、やがて観念したように、シンは吐息を零しながら自嘲するように口元を歪める。
『……とても敵味方お構いなしに撃った後、最小限の犠牲がどうとか言ってた奴の科白とは思えないな』
「それはそれ、これはこれですわ」
シンの皮肉を、ミントは笑って誤魔化した。
「――でも、頭は冷えたでしょう?」
『……ああ、そうだな』
その時、トゥルーデスティニーの傍を漂っていたデス子が身じろぎした。
瞬間、シンは紋章機の背面バーニアを全力噴射、トリックマスターの傍まで機体を一気に後退させる。
『見ていて清々しくなる程の逃げっぷりですわね』
「戦略的撤退って奴も時には必要なんだよ、前線の兵隊には。いつも安全な基地の奥に引っ込んでる参謀様には解らないだろうけどな」
回線越しに軽口を交わしながら、しかしシンもミントも、虚空の向こうでゆっくりと身を起こすデス子から目を離さない。
『どう戦いましょうか、アスカさん? フライヤーでは火力が足りないことは確認済みですし、このマイクロウェーブ・キャノンは色々な意味で未知数です』
「俺が接近戦で倒すってのも難しいしな……本当、八方塞がりだよ」
ウィンドウを介して互いに見つめ合いながら、二人は揃って溜息を吐く。
「――でも、今ここで俺達が何とかしなきゃいけないんだ。俺と、ミントと、ミルフィーユの三人で」
『ふぇ!?』
パイロットシートを挟んだ全天周モニターの反対側で、唐突に名前を呼ばれたミルフィーユ・桜葉が、ウィンドウの中で呆けたような表情を浮かべていた。
目を覚ました時、彼女の傍に愛しい主の姿は無かった。
まるで母親の温もりを求める幼子のように、彼女は主を探して視線を彷徨わせ――そして虚空の向こうに、見慣れない紋章機の傍に寄り添う首の無い鋼の巨人を見つけた。
「ギャラクシーエンジェル……また新しいタイプですか」
最初に黙らせた三機ではない、あの鬱陶しい花飾りの女の機体でもない、そして勿論、主を奪った忌々しい偽物とも違う〝六機目の紋章機〟を、デス子は嫉妬の眼で睨みつける。
まただ、またギャラクシーエンジェルにマスターを奪われた……!
主を奪い、自分を暗くて寒くて誰もいない闇の中に閉じ込めた怨敵に、またもやマスターを掠め取られた!
主が自分を見てくれていたのに、殺し合いの瞬間(とき)だけは自分がマスターを独占出来たのに。
戦いの中でしか、あの人は自分を顧みてくれないというのに……!
なのに……それすらもギャラクシーエンジェルに邪魔されてしまった。
またあの女達にマスターを、自分にとっての全てを奪われた!
「赦さない……!」
紅の瞳に憎悪の炎を宿し、デス子は凍てつくような声で低く呟いた。
赦せない、自分から居場所と主を奪ったギャラクシーエンジェルを。
赦せない、自分ではなくあの女達の傍を選んだマスターを。
赦せない、愛しいあの人を憎まなければならない自分自身を。
何もかもが、赦せない……!
だから――薙ぎ払うのだ、何もかもを。
それだけが、彼女に残された全てであるのだから。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
片手に握るトゥルーデスティニーの頭部(の残骸)を握り潰し、デス子は背中の対艦刀を引き抜き、雄叫びを上げながらトリックマスターとトゥルーデスティニーへ突進した。
トゥルーデスティニーも迎え撃つように片手の大剣を水平に構え、もう片方の手で傍のトリックマスター側面のアームを掴み、まるで馬に跨るようにその背中の上に乗り上げる。
首なし騎士……その時、その場の全員の脳裏に同じ言葉が去来した。
紋章機の背に乗り虚空を駆ける首なしの巨人の姿は、御伽噺の中に登場する死神そのものだった。
「デスティニー……もう過去に囚われて戦うのはやめろよ」
ミントの機体と共に宇宙(そら)を翔けながら、トゥルーデスティニーのコクピットからシンがデス子に呼びかける。
「過去をどれだけ求めても何も手に入りはしない、俺達は『きのう』に戻ることは出来ないんだ」
「――っ!」
シンの言葉に、デス子は愕然としたように表情を凍りつかせた。
一番聞きたくない言葉だった。
マスターにだけは、言って欲しくなかった科白だった。
鋼鉄の巨鳥の背に乗り、大剣を構えて迫る首なしの巨人の背後に、デス子は別な鋼の巨人を幻視する。
刃金の剣を振り被るトゥルーデスティニーと重なるように、光の剣を掲げる真紅に彩られた鋼鉄の騎士の幻影が見える。
――〝ジャスティス〟!
胸の中でその名を叫んだ瞬間、デス子の中で「何か」が弾けた。
「あなたが……あなたがそれを言うんですか!?」
ハイライトの消えた赤い瞳でトゥルーデスティニーを睨みつけ、デス子はシンに怒号する。
「過去に一番囚われてるあなたが! 『きのう』から一歩も前に進もうとしないあなたが!!」
「それもまた『きのう』の俺だ!!」
「そんな理屈っ!!」
絶叫しながら対艦刀を振り下ろすデス子に、トゥルーデスティニーはトリックマスターの背を蹴り跳躍、振り抜いた大剣でデス子の刃を受け止めた。
トゥルーデスティニーを援護するようにトリックマスターがフライヤーを展開、デス子を背後から狙い撃つ。
高出力プラズマレーザーの弾丸がデス子の背中に突き刺さり、左右の翼が千切れ飛んだ。
「くぅ……このぉ、いい加減ウザいんですよっ!!」
苦悶に顔を歪めながら、デス子はトゥルーデスティニーを蹴り飛ばし、まるで槍投げのように対艦刀を投擲した。
矢のように虚空を突き進む対艦刀は寸分の狂いもなくトリックマスターの背中に命中、装甲を突き破り機体を貫通する。
紋章機の腹部中央に取りつけられた虎の子の新型兵器も、その攻撃であっけなく破壊され――ていなかった。
そもそもトリックマスターの機体そのものから、マイクロウェーブ・キャノンは忽然と姿を消している。
一体どこへ……?
消えた敵の新兵器を探して、デス子は焦ったように視線を忙しなく周囲に走らせる。
その時――、
「――換装完了! バーンって撃っちゃいますよ!!」
どこか緊張感に欠けるミルフィーユの声が、デス子の頭の上から響き渡った。
慌てて頭上を見上げたデス子の目に、長距離砲の代わりにマイクロウェーブ・キャノンを機体腹部に取りつけた桜色の紋章機が、自分に銃口を向ける姿が飛び込んでくる。
「換装って……そんなのいつの間に!?」
「勿論、貴女が気付かない内に」
驚愕の声を上げるデス子をモニター越しに眺めながら、大破したトリックマスターの中でミントが薄く嗤う。
砲身側面部に取りつけられた羽根のような装甲板がX字を描くように四方に展開し、マイクロウェーブ・キャノンの砲口付近に光が紫電と共に集束を始める。
「チャージなんてさせないですよ!!」
怒号を上げながら虚空を蹴るデス子の脚を、その時〝爪のような何か〟が掴まえた。
反射的に足元に視線を落としたデス子は、次の瞬間思わず息を呑んだ。
ワイヤーチェーンに繋がれた鋼鉄の鉤爪が、まるで足枷のようにデス子の足首を掴まえている。
「アンカークロー!? 何でこんなのが……?」
破壊した筈の敵の武装が、文字通り「足を引っ張る」形で再び自分の邪魔をしてきた事実に、デス子は動揺したような声を上げる。
ワイヤーチェーンの繋がる先を、デス子は無意識の内に視線で追い――千切れたチェーンの先端を握り締める、首なしの巨人を見つけた。
「チャージの邪魔なんてさせない」
不敵に笑うシンの科白に合わせて、トゥルーデスティニーは手元のチェーンを手繰ってデス子を引き寄せる。
「何これ、何なんですかそれは!? 識らない、わたしはそんな戦い方なんて識らないですよ!!」
「言っただろ……お前が識った気になっている俺は、所詮『きのう』の俺に過ぎないんだよ!!」
アンカークローに掴まえられたまま為す術も無く引っ張られながら、狼狽えたような声で叫ぶデス子に、シンも負けじと叫び返した。
片手でワイヤーチェーンを手繰り寄せながらトゥルーデスティニーは背面バーニアを点火、大剣を構えて自分もデス子に突進する。
「デスティニー、お前の『きのう』は俺が持っていく。お前を苦しめる過去のしがらみは、俺が全部薙ぎ払ってやる! だから……お前も『あした』を見て生きろ!!」
「――っ!?」
シンの言葉に、デス子の眼から涙の雫が零れ落ちる。
直後、横薙ぎに振るわれたトゥルーデスティニーの大剣がデス子の脇腹にめり込んだ。
斬られたような感触は無い、寧ろ鈍器で殴られたような痛みだった。
前のめりに倒れるデス子の身体を、トゥルーデスティニーの鋼鉄の腕が抱き留める。
「安心しろ、峰打ちだ」
薄れゆく意識の中で、そんな優しい主の声を聞いた気が――、
「駄目……シン君逃げて!!」
――瞬間、全てが真っ白に塗り潰された。
こうしてシン・アスカの、ギャラクシーエンジェル隊での最初で最期の任務は終わった。
「――ということがあったんですよ」
「へぇー、お姉ちゃん達とそんなことがあったんですか」
過去を懐かしむような顔で話を締め括るデス子に、アプリコット・桜葉が感嘆の表情で相槌を打った。
他のエンジェル隊の面々も興味津々といった様子で聞き入っている。
ルーンエンジェル隊員寮、ヴィラ・エンジェル。
洗濯物を干し終えた後の、とある晴れた休日の昼下がりだった。
トランスバール軍が開発した試作兵器、マイクロウェーブ・キャノン――正式名称、物体縮小波照射装置。
その名の通り物体を縮小する特殊な光線を発射する、ロストテクノロジーを応用した恐るべき兵器。
マイクロウェーブ・キャノンの直撃を受けたデス子は、その大きさを人間の子供程度にまで縮小、戦意喪失したところをギャラクシーエンジェル隊に保護された。
その後、軍の教育プログラムを経て正式にエンジェル隊の一員となり、保護責任者であるシン・アスカのルーンエンジェル隊への異動に伴い所属をNEUE軍に移して、今に至る。
「あの時のわたしは、もうマスターと一緒に飛べないって思い込んで、それで勝手に絶望して、何かに八つ当たりしたかっただけなんです。
過ぎ去った『きのう』ばかり追い求めて、『いま』とか『あした』とかを全然見ようとしないで……これじゃマスターのこと言えませんよね」
「デス子ちゃん……」
自嘲するように笑うデス子に、アプリコットはかける言葉が見つからなかった。
「――でも今は、マスターとずっと一緒にいられます。もうマスターの翼にはなれないですけど、わたしはわたしのやり方でマスターの〝デスティニー〟であり続けます」
そう言って明るく笑うデス子の顔には、孤独に震えていた頃には絶えず真紅の瞳の奥で渦巻いていた深い闇は、最早どこにも見当たらなかった。
「それに今や、マスターはわたしがいないと何も出来ないロクデナシさんなのです。マスターはずーっとわたしのものなのです!」
「勝手なこと言ってんじゃねーっ!!」
段々と危ない方向に暴走を始めるデス子の科白に、どこからともなく怒号が響き渡る。
デス子の胸元がもぞもぞと動き、そして次の瞬間――、
「――ぷはぁ!」
制服の胸ポケットから、シン・アスカがひょっこりと顔を出した。
「あ! こんにちは、お兄ちゃん」
「相変わらず小さいですね、アスカ中尉」
「ドやかましい! お前らにポケットに入れて持ち運ばれる屈辱が解ってたまるか」
呆れたように言うリリィの挨拶に噛みつくように言葉を返すシンは、現在身長8センチ。
マイクロウェーブ・キャノンが放たれたあの時、シンはトゥルーデスティニーと共にデス子の巻き添えとなり、その大きさを手乗りサイズまで縮小してしまったのだ!
物体の縮小には成功したトランスバール軍だが、拡大する技術は未だ完成していない。
そのためシンは元の大きさに戻ることなく、エンジェル隊の愛玩隊員(マスコット)として、隊員達に弄られながら生きることを余儀なくされているのだ。
頑張れシン・アスカ、負けるなシン・アスカ。
運命(デスティニー)は、きっと君の味方なのだから!
――と、信じたい。
――END
最終更新:2009年07月28日 15:31