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ツンつん×デレでれ 2話

「なぁなぁ、ゲームを現実化出来るとしたらシンはどんなんがええ?」

魔法が使えず、必然的に事務仕事やらコンピューターのセットアップやら、OSの書き換え作業をやり、正直未成年に対する労働時間とかそういう法律はどうなってるんだよオイと言うところで八神隊長が桃色の蛆の湧いた様な事を言ってきた。
俺は、隣りに座るティアナが差し入れに持ってきてくれたハムサンドを口に入れると右隣に座るスバルが淹れてくれたお茶で流し込む。
隊長という職務にありながら器物破損(木っ端微塵を破損というのか甚だ疑問だが)をし、それの後始末をする為に5日分の睡眠時間を俺は犠牲にしていた。
デュエル風に言うなら

『ドローカード!!五日分の睡眠時間のカードを生贄に働くお兄さん、シン・アスカを召喚。リバースカードオープン!!ティアナとスバルの差し入れをフィールドに召喚!!』

こんな感じか?やったことも見た事も見る気もしないからサッパリわからんが。
そして、俺はキリキリとこめかみのあたりに奔る痛みを辛うじて堪えながら、そっと両隣の友人に目配せをする。
友人二人はこくりと一つ頷く。

「スバル、ちょっとその辺にある棒取ってくれる?」
「鉄パイプでいいかなぁ?」
「ああ、全然問題ないって。鉄パイプ(笑)だし」
「そうだね鉄パイプ(笑)だもんね」

(笑)と付けるだけで全てが恙無く、波風立たず穏やかに過ぎ去っていくと思う。
(笑)を考えた人間に俺は個人的にノーベル文学賞とノーベル平和賞を送りたい。
戦争、汚職、不倫、禁断、純愛、撲殺、といった物騒極まりない言葉も(笑)が付くだけでこうなる。
戦争(笑)、汚職(笑)、不倫(笑)、禁断(笑)、純愛(笑)、撲殺(笑)と。
するとどうだろう、世界が一気に明るくなるじゃないか。
キラ・ヤマト(笑)、ラクス・クライン(笑)、アスラン・ザラ(凸)となる。
フム、実に良い。
ディモールトに良い。

俺はとても穏やかな気持ちで、そっとスバルに春のそよ風を届けようとするように囁きかける。

空の境界でルナマリア声のツンデレに「君は女の子なんだから」と言ったときのような感じを想像してくれれば良い。

「スバル、俺にも鉄パイプ(笑)を取ってくれ」
「オッケー」


「『オッケー』やない!!!!何なの?私の事どうするつもりやったの!?」



俺と、ティアナとスバルが頭と耳と口から煙を上げながら作業している横で少女コミックに先程まで読み耽っていた上官。
どろっどろに溶けたモモでもそのボブカットの中には詰まってるんじゃないだろうかという上官。
胡散臭い喋り方(カンサイベンというらしい。どうでもいいけど)をする上官。

そんな我らが上官を前にして俺とティアナとスバルは視線を合わせると一斉に言う。


「「「撲殺(笑)」」」


「即答ッ!?」




「さすがにカンサイ人はツッコミスキルがだんちだわ…」と呟くティアナは既に今日で三徹目。
うっつらうっつらと酔拳のようにふら付いているスバルは力仕事に狩り出されて四徹目。
そして俺は五徹目。
あと一日あれば、神様だったら世界が作れてしまう。
ドラゴンボールの神様だったら神龍呼び出して世界と人間を復活させた後にハリウッド版のスレを立てて一日三スレ消費出来る。
俺だったら凸の残り少ない希望をメイリンとの写真をアスハへの物質にして毟り取ってやれる。
まぁハリウッド版と凸の毛根は放っておけば自滅するが。

しかし、そのツッコミに流石に上官を物的証拠の残る方法で■る事の拙さを思い出した俺たちは着席する。
一度立ち上がって座り込むと一気に疲労が身体中に広がっていく。
ティアナが「あああ…」と悩ましい声を上げる。

誘ってるのかこの野郎!!

この前ふざけてハーフネルソンやらノアゴッコを酔った勢いでやった時に、ボロンチョとばかりに俺に対して普段思っていた事を吐き出して、そのままオールナイト三本勝負に突入してしまったときの記憶が甦る。
いや、お前普段憎まれ口ばっかり叩くじゃんと言いたくなったが、その言葉の裏には何というか言葉にすると砂糖が毛穴中から溢れてきてしまいそうな色々な色々を、真っ赤に頬を染めて潤んだ瞳で言ってくるティアナがかなり犯罪的に可愛く、俺は………


まぁ何と言うか一言で言えば「新品を中古」にしてしまった。
だからといって、持っているDVDをメタメタのバッキバキに砕いてしまってはいけない。
ソレを送ってはいけない。


作者もキラと握手したシンを見て「そんな奴と握手するくらいなら、その可愛い泣き顔のままお姉さんの胸に飛び込んで来なさい!!」とフローリングに爪を立てながら喚いたが、何とかジエッジのアスランとキラの部分のページを引き裂くのを堪えたのだから。


まぁ、作者の事情はさておき、疲れから来る色々持て余すエナジーと必死に格闘しているウチに、どうやら隊長はヒートアップしていたようだ。


「つまりな、ゲームの設定を数日間現実に出来るっていうのをウチの開発部が作ったんよ」


そういう無駄遣いが六課の受けを悪くしてる要因なんじゃねぇのかよと思いながら、ジト目で睨み付けると何故か隊長は「いやん」と身をくねらせた。何が「いやん」だ。
スキンケアを疎かにしているせいでヴィヴィオやキャロはおろか、徹夜を重ねたティアナやスバルよりも肌がアレな事になっているのに。



「ハイハイハイ!!私だったら『鉄拳』を現実化して欲しいです!!」



ゲームの話に興味を引かれたのか、さっきまで俺の肩を枕に眠りこけていたスバルが手を上げる。
徹夜でハイになっているというのもあるだろうが……

「お前は素で空中コンボかますから今更鉄拳を現実化する必要もないんじゃないのか?」
「えええ~だってクマやパンダと闘ってみたいモン!!」

止めておけ、動物愛○団体の皆様から怖いお叱りを受けるぞ。
そして、同じ事を思ったのか八神隊長も首を振る。



「甘い、甘いでスバル。私が推すのは断然『魔界村』や!!ワンヒットでシンが下着一枚に……ぐへへへへへ」



コイツ、人が徹夜で仕事してる間ずっとゲームセンターCX観てやっがった!!!



俺とスバルは直感的に気付いた。
そして、アイコンタクトを取ると、ゆらりと立ち上がる。


「マグネットパワー……プラス!!」
俺は雄々しく叫ぶ。


「マイナス!!」
スバルは凛々しく叫ぶ。



「「クロス・ボンバー!!」」

「ゆでたまッ!!」

俺とスバルの猛々しい声が木霊し、悪でありyagamiであったものは倒れた。
ズシャリと重々しく、ゆっくりと倒れる隊長を見下ろしながらソファーで先程から静かなティアナを見る。
いつの間にかティアナは可愛らしい寝息を立てていた。
スバルは嬉そうにサムズアップをする。


「持ち帰っちゃいなよ、シン君」


持ち帰り!そういうのもあるのか。


焦るんじゃない、俺はただティアナをお持ち帰りしたいだけなんだと思いながら、やれやれと呟くと、ティアナの背中と膝の後ろに手を回した。いわゆるお姫様抱っこだ。もちろん、お持ち帰りしたものは残さず食べなければならないのは今更言うまでもない。
俺は疲労感と共に、心地良い満足感でyagamiの倒れる部屋を後にした。





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最終更新:2009年04月06日 02:19
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