夜向性氏の番外編-01

第二部 零話「舞い降りたクリスマスプレゼント」


これはシンが過去の世界(第一部)から帰還して、数週間たった頃のお話

クリスマスイブから一夜明け、クリスマス本番となった今日。
世間がカップルや家族と過ごす中、新人組みとシンはぞろぞろと揃って街中を歩いていた。
前日の遅くまで機動六課の総出で(みんな予定を空けていた)クリスマスパーティーを
開いていたため、みんな少々お疲れ気味だ。

スバル「まさか、クリスマスにお使い頼まれるとは思わなかったね」
シン「俺はむしろこっちにもクリスマスがあるのが驚きだったな。
   まあ、居酒屋なんてものまであるし、あってもおかしくはないんだろうけど」
エリオ「ミットチルダに広がり始めたのはここ最近ですよ」
キャロ「なのはさんや八神部隊長がインタビューで話したことがきっかけみたいです」
スバル「うちの隊長さん達は、なんだかんだ言っても有名人だからね」

忘れられているかもしれないが、世間での機動六課の評価は極めて高い。
なのはは管理局に入ってくる女の子達の目標であるし、フェイトもはやても美人で実力派だ。
彼女達も知らない間に、世間では『世の中の平和を守るお茶の間のヒロイン達』というポジションに収まっていた。
(あくまで、ミッドの世間一般の評価です。現実とは大きく異なりますのでご了承ください)

スバル「ねぇ、折角だからこれが終わったらみんなでお買い物に行かない? おいしいアイス屋さんがあるんだよ~」
ティア「あんたはそっちが本命なんじゃないの~?」
エリオ「う~、酷いよティア~。ほら、シンからも何か言ってやって!」
シン 「・・・」
ティア「ちょっと、シン? あんたさっきからボーっとしてるけど、一体何を見・・・」
シン 「・・・・」

兄「折角だから、何でも好きなものを一つ買ってあげるよ」
妹「わぁ~い、お兄ちゃん大好き♡」
兄「それじゃあ、何が欲しいんだ?」
妹「え~と、え~と、じゃあねぇ・・・」

新人四人組は戦慄した。
昔シンがこの光景を見たときは、三日も凹んで大変だったのだ。
せっかくのクリスマスを暗い雰囲気で終わらせるわけにはいかないと、焦りに焦ってフォローにまわる。
エリオ「(や、やばい。話題を逸らさないと!)シ、シンさん! そういえば僕達はどこへ行くんでしたっけ?」
ティア「(エリオ、ナイスフォロー!)せ、聖王協会から用事があるって呼び出されたのよ。
    う、うっかり忘れちゃうなんてお茶目さんね~、エリオは(苦笑)」
キャロ「(ティアさん言葉使いおかしくなってますよ!)そ、そうだよ。もう、エリオ君ってば~(苦笑)この前だって・・・」
スバル「あれ? シン何を見てるの?」
三人「わーー!わーー!!*1)」

シン「ああ、あの兄妹仲いいなって思ってな。少しマユのことを思い出してた」
スバル「あれ? マユって確かシンの妹さんの・・・・・(むぐっ)」
エリオ「スバルさんこっちに良いアイス屋があるんですよ行きましょう奢りますから行きましょうすぐに行きましょう。ストラーダ! セットアップ!」
キャロ「エリオ君、かなり加速がついちゃうから気をつけて! お願い、ケリュケイオン 
    ブーストアップ! アクセラレイション!」
スバル「え、なに? なに? って、きゃああああ!」
ティア「シ、シン、昨日は楽しかったわね~。特になのはさんや八神部隊長なんかはいつも以上にぶっ飛んでいたし・・・」

スバルの口をふさいで、文字通り雷の如く離脱するエリオと、一瞬で的確な補助呪文を詠唱するキャロ。
畳み掛けるように話題をはずすティアナ。このときの彼らのコンビネーションはこれまでで最も完成されていたと、
後にシン達をサーチャーで観察(監視?)していたなのは達は語ったという。

シン「ティアもキャロもどうかしたのか? それに今スバルとエリオが亜音速で飛んでった気が・・・」
ティア「気にしない気にしない! あいつらはちょっと野暮用があるんだって。
    それより早く協会の用事を済ませて、昨日のパーティーの片付けをしないとね!」
キャロ「そうですよ、シンさん。でも、わたしあんなに騒いだクリスマスなんて初めてでした」
ティア「私だってそうよ。なにせ部隊の大半は家族が足りな・・・・」

ピシリというガラスが砕けるような音がして時間が静止した・・・様な気がした。

キャロ(ま、まさかティアさんが自爆するなんて・・・きっと、スバルさんのKY(空気読めない)病が感染したんですね)
ティア(お、終わった。あたしったらなんて迂闊な・・・)
シン「・・・なるほどな、それで皆ギクシャクしてたのか」

静止する時間の中で一番に動き始めたのは意外にもシンだった。
それどころか、仲のいい家族の姿を見ても昔のように取り身ださず平然としている。

シン「そんなに気を使ってくれなくたっていいよ。俺だっていつまでも子供じゃないし、
   このくらいの事で、毎度毎度落ち込んだりなんかしないからさ」
ティア「・・・でも」

シンの過去のことは新人組も簡単にだが聞かされていた。
その時の苦しみが言葉で伝わるほど甘くないということも、辛い過去を持つもの同士理解できる。
だからこそ、シンが無理をしてるんじゃないかと心配になったのだが、どうやら杞憂だったようだ。

十年前の海鳴市で得た経験は、確実にシンを成長させていた。
中でも一番影響を与えたのは、リインフォースを救うために取り込まれた『夢の牢獄』だろう。

シン「なんて言ったら良いんだろ・・・。このごろ、あんな風に暖かい家族を見ても悲しいとか、
   寂しいとか思わなくなってきたんだ。自分でも不思議なんだけど、たぶんこれが乗り越えたってことなんだと思う」

あの場所で、例え幻でも妹と向き合ったことで、改めて自分の罪と進むべき道がわかった気がする。
あの一件があったから過去の自分と決別して新しい道に進めたのだと、シンには確かにそう思えた。
シン(マユ、レイ、ありがとう。おかげで俺は少しだけ前に進めた気がするよ)

シン「さてと、そろそろスバル達を迎えに行かないとな。・・・どうかしたのか、ティア」
ティア「ふえ? ななななんでもないわよ、馬鹿!!! こここっち見るな!!!
(こいつなんで唐突にかっこいい顔、落ち着くのよ、落ち着きなさいティアナ! 平常心! 平常心!!)」
シン「ほんとに大丈夫なのか? 心なしか顔が赤い気がするけど、もしかして熱でも・・・」
ティア「だ、だぁから覗き込むなって言ってるでしょうが!!! ああもう、いいからとっととスバル達を迎えに行くわよ!!」
シン「お、おい背中を押すなよ。キャロ、なんでこいつは怒ってるんだ?」
キャロ「自業自得ですよ(見てるこっちが赤面しそうなやりとりです)」
シン「??? (さっぱりわからん)」

その後迎えに行った先で、シンと違って泣きそうな顔をしながら財布を握り締めてるエリオと、
満足げにアイスを食いまくっているスバルの姿が発見された。
何故かシンがそのアイスの金額を肩代わりする羽目になったのだが、ここは面倒なので省略するとしよう。



  • 聖王教会
シン 「やれやれ、ようやく着いたな」
スバル「そうだね。って、なんでみんなそんなに疲れてるの?」
エリオ「ぜぇぜぇ、お二人こそ・・・なんで・・平気なんですか」
キャロ「も、もう一歩も歩けません」
ティア「はぁはぁ、こ、この体力馬鹿どもに聞くだけ無駄よ! 」

ティアナ達がへばるのは無理もない。町を越え、山を越え、森を越え、実に約四時間も歩きっぱなしだったのだ。
これだけ歩いて息を乱さないこの二人がむしろ異常である。
ちなみに、こうなった原因は至極単純だ。ヘリを操縦できるヴァイスやアルトは二日酔いでダウン、
今日は雪が降っていたのでバイクが使えず快速レールウェイもお休み。
もちろんこの五人が乗用車なんて持ってるわけないし、(免許も無い)
ミットチルダでは魔法で空を飛ぶにも許可が要るためこれも断念。
結果、万里の長城並みの距離を黙々と歩く羽目になってしまったわけだ。

ティア「もう喉がカラカラよ。とにかく、中で水でも飲ませてもらいましょう。」

ティア「で、カリムさんに紅茶を入れてもらったわけだけど・・・」
スバル「・・・なんで時間がとんでるの?」
ティア「特に書くことが無かったからよ。それでカリムさん、何故我々を呼ばれたんですか?
    僭越ですが、護衛や重要事項ならあたし達より隊長たちの方が適任だと思いますが?」 

ティアナはこの任務を受けたときから考えていた疑問を真っ直ぐカリムにぶつけた。
戦闘の腕なら隊長たちのほうが上だし、聖王教会の手に負えない難題を自分達が解決できるとも思えない。
お茶に呼ばれたという線も、プライベートでは知り合いですらなかったから可能性はゼロ。
なら、隊長たちに言えないような事態が起こったと考えるのが普通だ。

カリム「・・・・実はね」
ティ・スバ・エリ・キャ「「「「実は・・・!?」」」」

カリム「遅くなったけどクリスマスプレゼントを渡そうと思って」
ティ・スバ・エリ・キャ「「「「はぁぁ!? 」」」」

盛大にずっこける四人。この場にシンがいれば即座に「散々引っ張っておいてこんな落ちなのかよ! あんたって人はー!」と
叫んでいたことだろう。

カリム「あら、嬉しくなかったかしら?」
スバル「い、いえ、嬉しいには嬉しいんですが・・・」
キャロ「ちょっと想像していなかったもので・・・」

綺麗な包装が施された箱が、修道女さんたちの手によってティアナ達に渡される。
どれも大きさは違っても中身はずっしりと重かった。

カリム「さ、開けてみて。気に入ってもらえるかは自信が無いのだけれど・・・」

カリムに促され箱を開けて、みんな一様に驚いた。
プレゼントの中身は、いずれも普通のルートでは手にはいりそうに無い代物ばかりだったからだ。
中にはロストロギア指定ギリギリのものまで混ざっている。
これだけの代物を用意できるとは、さすが聖王協会といったところか。

カリム「戦闘用の装備ばかりでごめんなさいね。あまり時間を裂けなくて、このくらいしか見つからなかったの」
スバル「すごい!このホイール特注品だ・・・。 ありがとうございます、カリムさん」
エリオ「でもよかったんですか? 八神部隊長ならまだしも、僕達がこんなに重要なものを貰っちゃって・・・」
カリム「気にしなくても良いわ。お礼ならあなた達が出世したあとに、いくらでも便宜をはかってもらうから」
ティア「(ぶほっ)って、それ賄賂じゃないですか!」
カリム「ふふっ、うそうそ冗談よ。 はやてがいつもお世話になっているお礼だと思っておいて」

カリムの本音にしか聞こえない冗談に、ティアナは飲んでいたコーヒーを盛大に吹いた。
今まであまり話したことがなかったからわからなかったが、この人もやっぱり八神部隊長の友達なのだ。
類は友を呼ぶと言うが、昔の人はいいことを言ったものである。

スバル「それにしても、八神部隊長も教えてくれればよかったのに、何で黙ってたんだろう?」
カリム「折角だから驚かそうと思って私が頼んだのよ。予想通りの反応で嬉しかったわ」

『相手をからかった時の反応を見て楽しむタイプ、人心を掌握する術を持っていることからある意味YAGAMIよりも危険』と、
ティアナは心のブラックリストに追加で書き込んでおく。

キャロ「そういえばここに着いてから姿が見えませんけど、シンさんはどうしたんですか?」
カリム「彼へのプレゼントは大きすぎて部屋に入らないのよ。裏の倉庫にあるから後で見に行ってみると良いわ。
    たぶん、彼は迎えに行ってあげないと帰ってこないだろうしね?」

意味ありげに微笑むカリムに、まったく意図が掴めないスバル達は顔を見合わせる。

ティア(やっぱりそちらが本命か。私たちはそのための護衛兼おとり役だったってわけね。
    でも、管理局までごまかすような真似をしたのは一体・・・?)

そんな中、ティアナだけがカリムの真意に近づきつつあった。



  • 倉庫
一人だけ別に連れ出されたシンは、シスターシャッハに教会裏の倉庫に案内されていた。
目の前にそびえる巨大な門は、ただの倉庫にしてはあり得ない位厳重に魔法で封じられている。
現に、シンが不用意に門に触れたときなど、瞬時に形成された魔法弾が有無を言わさず顔面に飛んできたくらいだ。
なんとかかわしたものの、直撃を貰えばシンといえども昏倒していただろう。
彼女の説明によれば、特定の人間以外は触れることもできないようになっているらしい。

シン「シャッハさん、俺に見せたいものって何なんですか?」
シャッハ「あなたなら、いえ、あなたしか価値を見出せないものです」

シャッハはそう言うと、自分の三倍もある格納庫のドアをゆっくりと開け始めた。
その常人離れした光景を見ても(この人のパンチはアスランの何倍も痛いだろうなぁ)
ぐらいしか思い浮かばないあたり、どうやらシンも相当六課に毒されてきたようだ。
強さの基準が、いや、人間の基準そのものが大きく歪んでしまっている。

シャッハ「ふう、少々立て付けが悪いようですね。シン、先に入ってみてください」

立て付けが悪いとかそんな問題じゃないだろ、と突っ込みたいのを我慢しながら、
シンは古ぼけた格納庫の中に入って中を見回してみた。

魔力を持たず、それに関する知識もないシンにとって、両端に綺麗に陳列されているロストロギアが、
例え世界を滅ぼせる力を持っていたとしても意味を成さない。
だが、真ん中に無造作に置かれている物体だけは・・・そう確かにシンにしか価値がわからないものだった。

シン「これは、ZGMF-X56Sインパルス!!」

腕や足ももげているし、塗装も所々剥げてボロボロになってはいたが、それは間違いなく昔のシンの愛機インパルスガンダムだった。
見間違えるはずがない、自分が戦場で何度も命を預けた機体なのだ。
初めてシンが手にした力だけに、その思い入れも並ではない。

シャッハ「やはり、あなたのものでしたか。ある次元世界でたまたま発見されたのですが、
     あまりにデスティニーに似ていたので輸送してもらったんです」

目撃者によれば、突然何もない空間から落ちてきたらしい。
恐らくは、デスティニーもそうして空間転移してきたのだろう。

シン「そうだ、パイロットは! シャッハさん、コクピットに誰かいませんでしたか! 」
シャッハ「それなんですが、どうもコクピットらしき場所には最初から誰も乗っていなかったようなんです」
シン「誰もいなかった?」
シャッハ「はい。ですから、あなたの他にこの世界に跳ばされた人間は残念ながらまだ見つかっていません」

とりあえず、ルナマリアが巻き込まれていないことを知り、胸をなでおろすシン。
しかし、どうして? 中破した衝撃でこっちに来たのならパイロットが必ず乗っているはずだ。
可能性を少しずつ消していくと、答えはあっさり思い浮かんだ。ようは月面での戦闘の際に一緒に次元転移してきたのだろう。
ルナマリアがミネルバのクルーに回収されたのなら、誰も乗っていなかったことにも説明がつく。
だが、どうやって世界を渡ったかなど、シンにはどうでもいいことだった。

ぼろぼろになったインパルスの姿が自分の姿と重なる。
シン「・・・そうか、お前もあの悲しい世界から逃げ出してきたのか。大丈夫、この世界はあっちよりもずっと暖かい。
   俺を受け入れてくれたぐらいだからきっとお前も受け入れてくれるさ」
シャッハ「・・・私はしばらく席をはずしています」
シンがお礼を言うと、シャッハは照れくさそうに倉庫の外へ歩いていった。

シン「・・・そういえば、お前には助けられっぱなしだったな。そのくせ、俺はお前を人殺しの道具としてしか見てなかった気がする」

デス子と違い、ロストロギアを取り込んでいないインパルスは物言わぬ機械だ。
それでも、シンにはインパルスが自分の言葉をじっと聞いてくれているような気がしていた。

シン(MSに話しかけるなんて、ヨウランにでも見つかったら精神病院直行だな)

デス子の事もあり、いつの間にかシンは唯のMSでも道具として見ることができなくなっていた。
もっとも、これは別におかしな考えではない。日本でも八百万の神と言って、どんな物にでも神が宿ると信じられていた。
長く使われた物に宿る付喪神などがいい例だろう。
まして、当の元MS(デスティニー)に『あの時もう少し粘れば勝てた』だの『冷静さが欠けていたから負けた』だのと
過去のことで愚痴られ続ければ、誰でもこう思うはずだ。
例え、機械の塊でも魂が宿ることがあるんじゃないかと・・・

シン「帰ったらすぐにお前を元通りにしてやる。そしたらお互いの命を預けあうパートナーとしてまた一緒に空を飛ぼう。
   殺すためじゃなく、今度こそこの力で誰かを救うために」

そんなシンの様子を、新人組みとカリム達はそっと眺めていた。

エリオ「シンさん、嬉しそうですね~」
ティア「そうね、前の世界での初めての愛機みたいだし、きっと思い入れが強いのよ」
スバル「へ~、あたしとマッハキャリバーみたいなものかな」
カリム「どうやらプレゼントは気に入ってもらえたようで嬉しいわ。さて、どうやって運びましょうか」
キャロ「あの、シャッハさん。あれって一応教会の所有物なんじゃ・・・。個人でどうこうしても大丈夫なんですか?」
シャッハ「・・・・・・言わないでください。カリムは一度言いだすと聞かないんです」



  • 機動六課 
迎えに来てくれたカリムから、クリスマスプレゼントとして正式にインパルスを受け取ったシン。
ヘリで機動六課に輸送してもらい、すぐさま修理に取り掛かろうとしたのだが、とんだ伏兵に邪魔されることになった。

デス子「お、オネ―サマーーーーッ!!!!」
キャロ「で、デス子ちゃん落ち着いて」

先程からデス子がインパルスにくっついて離れないのだ。
溶接やパーツの取替えなどもするのだから、これでは危なくて作業が始められない。
修理に協力することになったシンもこれには頭を抱えるしかない。

デス子「お、おいたわしや、お姉様!! こんなボロボロのまま捨てられて、さぞや寂しい思いを・・・ううっ」

ヘリの整備場所の一角にインパルスを置かせてもらっているのだ。
このままでは隣で作業にいそしむ整備員達のいい笑いものである。

シン「・・・スバル、ティア、修理の邪魔だからそいつ連れてってくれ」
ティア「しょうがないわね。さ、行くわよ、デス子」
デス子「ちょっ! 何するんですか! マスター絶対に直すんですよーっ!!! 」
シン「あ~もう、作業に集中できないだろうが! 」
デス子「絶対ですよ! もし直らなかったら、ヴァイス陸曹に借りたマスターの秘蔵コレクションを全部ばらしますからねー」

ティアナとスバルがぴたりと止まる。エリオとキャロもぴたりと止まる。
シンにいたっては、冷や汗プラスでぴたりと止まった。
面白半分で修理を手伝っていた整備員などは、既に緊急避難シェルターへの退避を開始している。
機動六課の修羅場の凄さを身近で味わっている彼らは、これから起きる惨劇の気配も敏感に悟ったらしい。

ヴァイス「・・・さよならだ、シン。呪うなら自分の女難を呪いな」
シン(やばい、やばい、やばい、やばい。きっと来る! あの人たちがきっと来る!! )
はやて「デス子ちゃん。ちょっとお話聞かせて貰おうやないか?」

予想通り、赤い服ではなく、赤く燃え上がる闘志を背負った季節はずれの鬼さんが
金棒ならぬデバイスを引っさげて飛んできた。壁を破っての最短距離で。
これって修理費は経費で落ちるのかと現実逃避を試みるシンだったが
反対側からの壁抜き(スターライトブレイカー)が目の前を通り過ぎた瞬間、彼の試みは儚く散った。

なのは「そんなくだらないものは全て焼却処分なの。さあ、隠し場所まで案内してくれるかな?」

続いて完全に鬼の目になったツインテールがシンに銃口を向ける。

ティア「シ~ン~? あたしもその話詳しく聞きたいわね」
はやて「私というものがありながら、他の女に走るなんて浮気者やな~シンは」
フェイト「そうだね、ここに美少女がたくさんいるのにね」

止めにどこから現われたのか、はやての妄想に見事な便乗をかますフェイト。

後門は壁、前門には女難、すでに彼には後がない。

リインⅠ「その後、いつものパターンを打破するために意識が飛ぶまで攻撃を避けきって見せたと」
シン「魔力切れまで粘ったお陰で両足がはれて医務室行きになったけどな」
リインⅠ「・・・シン、言いづらいのだが」
シン「・・・・・・」

リインⅠ「始末書と医療費の見積もりだ。それとインパルスの修理費は経費で落ちないらしい」
シン「・・・くそおおおおおっ」

ちなみに、お金は隊長たちに頼みこんでなんとかしました。





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年09月10日 16:45
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。

*1 (空気呼んでよ、おバカーーーー!!!