すっかり綺麗に片付いたキッチンの中が、三つのカップが立てる良い香りで満たされていく。
鈴姉はコーヒー、リンカはココアで、それから俺は暖かい煎茶だ。
@リンカ
「お兄ちゃーん、まだ~?」
@
主人公
「もうちょっとー。大人しく待っててくれよ」
@リンカ
「はーい。あ、クッキーもよろしく♪」
@主人公
「……はいはい」
@主人公
「ったく、リンカも鈴姉もたまには自分でやってほしいもんだよ……」
なんて嘆きながらもせっせと用意する俺って奴は、ほんとにいい奴だ……。
毎日恒例になっているこの食後のティータイムは生前両親が提案した家族行事だ。
父も母さんも「一緒に美味しいお茶でも飲んで話せば、すぐ仲良くなれる」とか言っていたっけ。
今日何があったとか、今度何をするとか、そんな他愛ない話をお茶を片手に話すのだ。
二人が居なくなった今でも、この行事だけは欠かさずにやっている。
準備はほぼ例外なく、俺がやるんだけど。
[暗転:2.0]
BG004c//自宅リビング 電灯光源 夜
stand rinka001 face003// 立ち絵 鈴香デフォ にっこり
@リンカ
「ふぁー……いきかえるぅ~……」
@リンカ
「ねえココアってなんでこんなに美味しいの? 魔法?」
@主人公
「魔法のおかげにされるのは心外だな。美味しいのは俺が頑張って作ったからだよ」
@リンカ
「……インスタントのくせに」
@主人公
「……~~っ!」
@リンカ
「あははははっ! ごめんごめん~」
stand rinka001 face001// 立ち絵 鈴香デフォ デフォ顔
@リンカ
「でも、自分で入れるより、入れてもらった方が美味しく感じるよねー?」
@主人公
「そりゃどういたしまして。ならたまには俺も作ってもらいたいもんだよ」
@リンカ
「んー……今度ね? 今度!」
主人公
「その台詞、何度聞いた事だか……」
全く、俺にも是非美味しいお茶の一つでも入れてほしいものだ。
とはいえ、鈴姉ならまだしもリンカを台所に立たせるのは、正直後が恐ろしい。
彼女が腕を振るうといつもの倍以上片付ける物が増えて、結局俺の仕事が増えるからだ。
料理の腕はそう悪くないんだけど、手際が悪いというか勢い余るというか……。
リンカはいつでも色んな意味で元気がありすぎるのが問題だ。
stand suzune001 face003// 立ち絵 鈴音デフォ 呆れ
@鈴音
「ねえ、私のコーヒーはもう少し頑張って作ってくれないかしら」
@主人公
「えっ! も、もしかして美味しくなかっ……た?」
stand suzune001 face001// 立ち絵 鈴音デフォ デフォ顔
@鈴音
「不味い」
@主人公
「!!!!!」
stand suzune001 face003// 立ち絵 鈴音デフォ 呆れ
@鈴音
「とはいわないけど」
@主人公
「(よかった……死ぬかと思った)」
@鈴音
「だいぶ薄いわよ、これ」
@主人公
「す、すいません」
@主人公
「でも昨日……」
@鈴音
「なに?」
@主人公
「いや……なんでも」
「昨日濃いから薄くしろと言ったのは鈴姉だろ」
なんて口が裂けても言えない。
ころころ気分の変わる鈴姉のご期待に添えるコーヒーを入れるのは、かなり至難の業だ。
もし淹れられるようになったら俺はたぶん喫茶店のマスターにでもなれるだろうな。
@主人公
「……あ、そういえばリンカ」
stand rinka001 face001// 立ち絵 鈴香デフォ デフォ顔
@リンカ
「ふぇ? なにー?」
@主人公
「お前明日も夏期講習あるんだろ? 寝なくていいのか?」
stand rinka001 face002// 立ち絵 鈴香デフォ きょとん
@リンカ
「!!!!」
@リンカ
「お兄ちゃん……」
@主人公
「な、なんだよ」
stand rinka001 face006// 立ち絵 鈴香デフォ 伏し目 ポーズ3
@リンカ
「酷いよ……なんで……リンカにそんな事思い出させるの……?」
@主人公
「いや、酷いっていうか、俺は事実を言ったまでで……」
stand rinka001 face007// 立ち絵 鈴香デフォ 泣き
@リンカ
「ふえぇぇ……ぇ~ん!」
@主人公
「…………」
@主人公
「鈴姉、最近リンカの嘘泣きに磨きがかかってきたと思うんだけど、どう思う?」
stand suzune001 face001// 立ち絵 鈴音デフォ デフォ顔
@鈴音
「そうね……。でも、私に言わせれば、この程度ならまだまだヒヨッ子ってとこだわ」
stand rinka001 face002// 立ち絵 鈴香デフォ きょとん
@リンカ
「……!」
stand suzune001 face002// 立ち絵 鈴音デフォ 微笑
@鈴音
「女の武器は、ここぞって時に効果的に使わないとね?」
stand rinka001 face002// 立ち絵 鈴香デフォ きょとん
@リンカ
「女の武器……」
@主人公
「(鈴姉が言うと妙に説得力があるのが恐ろしい……)」
@鈴音
「涙なんて使い所によっちゃ必殺技よ? 例えば…… で…… の時……」
@リンカ
「ふんふん……なるほど。メモメモ……」
@主人公
「そういう勉強ばっかりしてどうすんだ、受験生。鈴姉もいらない事教えない」
@リンカ
「~~っ!」
stand rinka001 face005// 立ち絵 鈴香デフォ 怒り
@リンカ
「き、きたる時のために必要なの! ばかにき!」
@主人公
「きたる時っていつだよ……」
@リンカ
「そ、それは……内緒!!!」
@リンカ
「だいたい! おかしくない!? 人は何故まなばなければならないのか!」
@主人公
「随分哲学的だな……」
@リンカ
「数学なんて出来なくても生きていける! でしょ!? そうでしょ!?」
@リンカ
「化学だって! リンカ別に科学者になるわけじゃないし!」
@リンカ
「古文ってなんだ! ありおりはべりいまそかり!」
@リンカ
「いとおかし! いとおかし!!!!」
SE005//びっくり音
@主人公
「わ、わかったから落ち着け」
@リンカ
「はぁ……はぁ……」
stand suzune001 face003// 立ち絵 鈴音デフォ 呆れ
@鈴音
「あのねぇ……人は馬鹿だから勉強するのよ」
stand rinka001 face002// 立ち絵 鈴香デフォ きょとん
@リンカ
「え?」
@主人公
「す、鈴姉……また哲学的な返しを……」
stand suzune001 face001// 立ち絵 鈴音デフォ デフォ顔
@鈴音
「人だけじゃない、どんな生き物も学びながら生きてる」
@鈴音
「学ぶ事を止めたら、それは生きるのを辞めるのと同じだわ」
@リンカ
「………………」
@主人公
「ほらフリーズした……」
@主人公
「なんか話が大きくなってるけど……、普通に進学するためだろ?」
@主人公
「川柚学園に行きたいって言ってただろ。”制服がカワイー”って」
@リンカ
「え!? あー……進学……ね」
stand rinka001 face006// 立ち絵 鈴香デフォ 伏し目
@リンカ
「その事……なんだけど……」
@主人公
「?」
@鈴音
「…………」
stand rinka001 face003// 立ち絵 鈴香デフォ にっこり
@リンカ
「なっ、なんでもない!!」
@リンカ
「お、お兄ちゃんはどっかいかないの!? 夏休みでしょ!?」
stand rinka001 face001// 立ち絵 鈴香デフォ デフォ顔
@リンカ
「友達と遊ぶとか、旅行行くとか……」
@リンカ
「あとはその……」
@リンカ
「彼女……とか?」
@主人公
「ぐっ……!」
@リンカ
「あれ? まずい事聞いちゃった?」
@主人公
「う、うるさいな! そんな事に縁があったら毎日家で家事なんかしてないっつーの!」
@リンカ
「あれ? じゃお兄ちゃんって……彼女ナシ?」
@主人公
「わ、わざわざまぜっかえすなよ……」
@リンカ
「……そっかそっか」
stand rinka001 face003// 立ち絵 鈴香デフォ にっこり
@リンカ
「えへへ……」
@主人公
「なにがおかしい!」
@リンカ
「ん~、色々♪」
@主人公
「(ったく、リンカがこういう顔をする時は、大抵ロクな事が無い気がするんだけどな……)」
stand suzune001 face001// 立ち絵 鈴音デフォ デフォ顔
@鈴音
「ねえ、なんだかまるで家事するのが嫌みたいに聞こえたけど」
@主人公
「え! い、いやそういうわけじゃ……」
stand suzune001 face002// 立ち絵 鈴音デフォ 微笑
@鈴音
「私の食事が作れるんだから、楽しい毎日よねぇ?」
@主人公
「はは……は」
stand suzune001 face004// 立ち絵 鈴音デフォ にっこり
@鈴音
「それとも何か、”ご褒美”でも欲しい? ふふ……」
@主人公
「!!!!」
SE005//びっくり音
SE030//鼓動音
@主人公
「(た、谷間が……!!)」
これが”女の武器”というやつか……。
足を組んでわざとらしく前かがみになった鈴姉の胸元があからさまに見えている。
どう考えてもわざとなのだが、つい目が……。
stand rinka001 face005// 立ち絵 鈴香デフォ 怒り
@リンカ
「ちょっとお兄ちゃん! 何処見てんの!?」
@主人公
「……~っ!!!!」
@主人公
「べっ、べつにどこも……!!」
stand suzune001 face002// 立ち絵 鈴音デフォ 微笑
@鈴音
「ふふ……コーヒーのお替り、よろしく」
@主人公
「……わかりました」
stand rinka001 face004// 立ち絵 鈴香デフォ 拗ね顔
@リンカ
「はぁ……」
@リンカ
「お兄ちゃんってなんでそんなにお姉ちゃんに頭あがらないかなぁ」
@リンカ
「もしかしてお兄ちゃんってM男?」
@主人公
「う……」
しかしながら、即座に否定出来ない自分が居るのも事実だ。
鈴姉との間にはごく自然に主従関係が出来てしまっているというかなんというか……。
そしてそれをさほど嫌に思っていないというか……。
も、もしかして俺って本当にM男なんだろうか。
stand suzune001 face003// 立ち絵 鈴音デフォ 呆れ
@鈴音
「まぁ、主人公は私のモノなんだから当然すぎるほど当然よね」
stand rinka001 face002// 立ち絵 鈴香デフォ きょとん
@リンカ
「!!!」
stand rinka001 face003// 立ち絵 鈴香デフォ にっこり
@リンカ
「……あのさー」
stand suzune001 face001// 立ち絵 鈴音デフォ デフォ顔
@鈴音
「なに?」
@リンカ
「お姉ちゃん、それいつも言ってるけど」
@リンカ
「お兄ちゃんは誰のモノでもないんじゃないかなぁ~……?」
stand suzune001 face002// 立ち絵 鈴音デフォ 微笑
@鈴音
「それは、どういう意味かしら……?」
@リンカ
「べつに? そ の ま ん ま の 意 味 だ け ど?」
@主人公
「(お、重い、重いぞ……! 空気が重い……!)」
彼女達が”モノ”の話をしだした時はまずい。非常にまずい。
この二人、のわがままっぷりと所有欲の強さは半端じゃない。
ケーキ、アクセサリー、化粧品、テレビのチャンネルetc……。
二人の取り合いは日常茶飯事だ。
大抵は鈴姉が勝つんだけど、もめだしたらとことんまで揉める。
これはなんとか空気を変えないと。。。
最終更新:2012年02月15日 23:53