BIBLIOMANIAX内検索 / 「その2、訓練開始」で検索した結果

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  • その2、訓練開始
    2、訓練開始 『はーい、まもなく開始時間だよ★ ここからはファンキーレディオ放送局の一二三愛が中継しちゃうよ★ コメンテーターは、本日の訓練で使用される色々な機器を用意してくれた、オフィス・フォートランから【LOGO777 (喪失言語)】ユリア・パパラートちゃん、ブラックシープ商会からは建築とデザインの専門家【マジックボックス(驚異的空間)】ミヒャエル・バッハさんが搭乗だ★』  いや、そこは「登場」だろう。聞いていた全員が思ったが、愛の変換ミスはいつものことなので誰もあえて口をはさむことはしない。 『それにしても、何かの陰謀としか思えないくらいにいい別れ方になったね★ これじゃあ、絶対に協力プレイなんてできないと思うよ』 『そうですね……こんなことは言いたくないですが、心配です。今回の訓練には、我がオフィス・フォートランが新しく開発した警備システムを投入しているのですが……あれは単独で...
  • 篭森 珠月
    ... その1、訓練当日 その2、訓練開始 その3、開始30分 その4、開始1時間 その5、開始1時間15分 その6、開始1時間50分 その7、開始2時間 その8、開始2時間30分 終章、翌日 ties ~束縛の絆~ties 1 ties 2 ties 3 ties 4 ties 5 ties 6 ties 7 ties 8 ties 9 ties 終章 女よりも悪いもの1 女よりも悪いもの2 女よりも悪いもの3 女よりも悪いもの4 コウノトリシンドローム 前編 コウノトリシンドローム 中編 コウノトリシンドローム 後編1 コウノトリシンドローム 後編2 不連続シリーズ 授業風景 一時限目動物学 授業風景 二時限目数学 あの人とおしゃべり あの人とおしゃべり お茶会編 その他 短編水と葉の庵 ロイヤルベルベットブルー お茶とお茶菓子 Sister & broth...
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    ... その1、訓練当日 その2、訓練開始 その3、開始30分 その4、開始1時間 その5、開始1時間15分 その6、開始1時間50分 その7、開始2時間 その8、開始2時間30分 終章、翌日 ties ~束縛の絆~ties 1 ties 2 ties 3 ties 4 ties 5 ties 6 ties 7 ties 8 ties 9 ties 終章 女よりも悪いもの1 女よりも悪いもの2 女よりも悪いもの3 女よりも悪いもの4 コウノトリシンドローム 前編 コウノトリシンドローム 中編 コウノトリシンドローム 後編1 コウノトリシンドローム 後編2 不連続シリーズ 授業風景 一時限目動物学 授業風景 二時限目数学 あの人とおしゃべり あの人とおしゃべり お茶会編 その他 短編水と葉の庵 ロイヤルベルベットブルー お茶とお茶菓子 Sister & broth...
  • その1、訓練当日
    1、訓練当日  『避難訓練』実施日。  問題の建物の周囲には、異様な数の生徒が集まっていた。ただし、九割は見物人である。 「……物見高い方々ですこと」  朧寺緋葬架はため息をついた。思ったより多くのランカーが集まっている。同じ四十物谷調査事務所からは、揺蘭李が参加だ。普段寝てばかりいる彼女がどうやって脱出する気なのか、緋葬架には想像もつかない。  野次馬の間をライカナール新聞社の記者や、野次馬に弁当を売り付けに来たブラックシープ商会のスタッフが歩き回っている。ちょっとしたお祭り騒ぎだ。  トランキライザーにおいては、予科より本科のほうが暇――もちろん進学できた場合だが――特にほとんどポイントをためてしまっているランカーと呼ばれる成績上位者は、多少さぼっても卒業できるため余裕があるのだ。そうでない下位ランカーであっても一日二日さぼっただけで生活がやばくなるような生徒は、全体で見れば多くな...
  • 序章 これは訓練ではない
    序章 これは訓練ではない  ゾアックソサエティ・ライザーインダストリー  元日系企業が寄り集まってできたこの巨大企業が、かつての世界大戦の前、日本と呼ばれた国があった場所に立てた学校がある。  その名を学園都市・トランキライザーという。六年間の予科――ただし飛び級可能――と十年間の本科からなり、予科から本科に進学できるのは全体の1%程度。その1%さえ卒業までにたやすく命を落とす、強いものだけが生き残る修羅場である。  その超エリート学校の中でも、特に次世代のリーダーとなるに相応しい序列300位以内の超成績優秀者のことを『上位ランカー』あるいは単に『ランカー』と呼ぶ。ランカーは学生の身分でありながら、あらゆる分野において世界を舞台に活躍している。 「避難訓練をしようと思うんだ」  学園都市・トランキライザーのイーストエリア。ダイナソアオーガン会長室にて、二人の人物が向かい合っていた...
  • その6、開始1時間50分
    6、開始1時間50分  アサルトライフルの鋭い銃撃音が響く。力任せに警備ロボを突破して、朧寺緋葬架は息を吐いた。慎重に残りの銃弾を確認する。12階から4階まで一緒にやってきたアサルトライフルにはもうほとんど銃弾が残っていない。  訓練を受けていない者ならば男でもよろめくほどの銃を片手で担いで、緋葬架は周囲を警戒する。普段は使わない軍用の銃は、初めのうちこそ使いなれない感じがしたものの今ではすっかりに手になじんでいる。  アサルトライフルは、素人が『ライフル』と聞いて思い浮かぶような銃よりややごつい外見をしている。当たり前だ。通常、緋葬架が狙撃に使うスナイパー・ライフルが、遠距離からの単発狙撃を前提として精密射撃にこだわっているのに対し、アサルトライフルは戦場において兵士が使うための銃だ。日本語ではそれぞれ、狙撃銃と突撃銃というように分けられ、おなじライフルでも用途がまったく違うものであ...
  • その8、開始2時間30分
    その8、開始2時間30分 「なるほど、エレベーター内の点検用梯子か」 「それにしても罠だらけですわねぇ」  珠月と緋葬架は黙々とトラップを解除していく。  珠月は普段から防御のためトラップを仕掛けていて、緋葬架は普段から標的に近付くためトラップをかいくぐっているため、手つきは慣れている。その間、藤司朗は上を警戒する。 「ところでさ、戦闘においては上の位置のほうが下の位置より有利だってことは知ってるよね」 「知ってるから一番上にアーサーがいるんじゃない。余計なこと話かけるな」  視線すら向けようとはせず、珠月は言いきった。慎重に細い糸を外していく。藤司朗はため息をついて、梯子の上のほうにいる白骨を見上げた。 「信用ないなぁ」 「殺意を向けてくる心配はしてないけど、私たちを突き落とすくらいならやりそうだから」 「ふふ、篭森さんに認めてもらえるなんてうれしいな」 「ふふ、どっかで誰かに殺されて...
  • その5、開始1時間15分
    5、開始1時間15分 「殺す殺す殺す殺す殺す――――建物出たら覚えてろ」 「そう言いながらも、きちんと避難訓練はしてるんですね。ふふ、単純馬鹿で扱い安くてなんともうれしい限りです。そういうところは大好きですよ」  音を立ててバールが振り下ろされた。うお、とおっさんくさい声をあげて、陽狩はそれを回避する。何も事情を知らない相手がみれば、チンピラに若手サラリーマンが絡まれているように見えなくもないが、中身を知っている者はその着崩したスーツの男――陽狩のほうが性質が悪いと知っている。 「危ないですね。当たったら、脳挫傷起こして死にますよ?」 「殺す気でやってるんだよ」 「なんて酷いことを」 「酷くない。ほんの一時間前に人を盾にしようとしたお前には言われたくない」 「その代わり、つい先ほど予告なく非常階段が爆発した時は教えて差し上げたでしょう?」 「その後、がれきで半分埋まってるエレベーターの...
  • その4、開始1時間
    4、開始1時間  卵大の物体が、床に着弾すると同時に爆発する。視界が戻る前に跳び出す。  あちらこちらから銃声と爆発音がする。上の階からも下の階からも音がすることから、自分が今、真ん中あたりの進度なのだと珠月は確認する。  流れるような動きで太もものフォルダーからナイフを抜き出し、そのまま投げつける。拳銃を持ったマネキン人形は、足を切断されて無様に倒れた。遠隔操作型のミスティクなのだろう。だが、どうやらこちらを確認する手段はないらしい。カメラを噴煙で覆った瞬間、動きが鈍くなった。 「意外と面倒くさいな。けど、いい訓練になる」  久々のナイフや銃の感触に、珠月はほほ笑んだ。リスクが大きくあまり多様できない珠月の能力の性質上、射撃やナイフの腕を磨いておくにこしたことはない。実際、隠れて努力はしている。クラスこそミスティックの単独履修だが、並みのスカラーやソルジャーに負ける気はしない。  時計...
  • 訓練風景
    訓練風景  うすぐらい倉庫のような空間で二人の人間が対峙していた。壁には窓の一つもない。それでも明るいのは天井から光を投げかける照明のせいだ。死角なく、ただしまぶし過ぎない程度に部屋を照らし出す明かりは、破壊されないように鉄格子と強化硝子で覆われている。  一人が動いた。巨大な軍用ナイフのようなものを片手に一気に間合いを詰める。それに対してもう一人は相手から目を離さぬまま大きく後ろに跳び、さらに牽制とばかりに細いナイフを投げつける。しかし一直線に迫る相手はわずかな身体の動きでそれを回避した。逃げる相手は間合いを計りながら相手の横に入り込むように動く。だが、それを見越して巨大な刃物をもつ方の相手は迎撃体勢にはいる。  するどい金属音がした。跳躍し、勢いと体重をかけた一撃が振り下ろされる。巨大なナイフの人物は、自分の獲物でそれを防いだ。対するほうは細身のナイフ二本をうちこんだが、折れたのは細...
  • その7、開始2時間
    その7、開始2時間  観客席は変なテンションで盛り上がっていた。賭けをしている者は自分の札を握りしめて固唾をのんで勝敗の行方を見つめ、そうでないものはのんびりと菓子や弁当を食べながら観戦モードに突入している。競馬場と映画館を足して二で割ったような感じだ。 「あ、繍ちゃんだ」  ル・クルーゼの弁当を買いそこなった代わりに、ブラックシープ商会が販売していた弁当を購入してモニターを見つめていた、序列189位【スコーレ(暇人の学問)】矯邑繍(ためむら しゅう)は、気だるそうに顔をあげた。その目に手を振りながらこちらに歩いてくる、序列249位【アルヴィース(賢きもの)】冷泉神無(れいぜい かんな)の姿がうつる。繍は片手をあげて挨拶をした。 「観戦、来てたんだ」 「たった今ね。さっきまでブラックシープ商会で商談しててさぁ。まだ終わってなくてよかった」 「終わってないどころか、混戦してるよ。みんな仲悪...
  • その3、開始30分
    3、開始30分 某チョコレート中毒者の場合 『えーと、予想通りというかなんというか、結構みなさんばらばらに動いてるね★ そんんなワンマンプレイヤーのみなさんには、強調と強力と言う言葉を贈りたいね』 『協調と協力ですね。すでに強調と強力は、十分存在すると思います』 『十分というか、むしろそれしかないというか』  観戦席は異様な盛り上がりを見せていた。ランカーを中心に快進撃が進んでいる――からではない。全員が苦戦しているからこそ、会場は盛り上がっている。誰であっても、普段は頭が上がらない人間が苦労しているところというのは、見ていて気分のいいものだ。 『現在トップは、9階にいる翔さん&揺蘭李さんチーム★ それを追うのが、移動中の篭森さんと篭森さんを物理的な意味で追っているジェイルさん。やや遅れて、緋葬架さんと契さん。そのかなり後ろをガエクワットさん。ゆったり移動してるのが藤司朗さん+αで、不死...
  • 2、黄昏の街
    2、黄昏の街  夕闇が迫っている。  ひとが二人並んで歩けるかどうかといった狭い道を、木枯秋人は歩いていた。頭上には今にも落ちてきそうな原色のカラー電球や、様々な言語で書かれた看板がぶら下がっている。  西区の中心から少し離れた場所。歓楽街からもやや離れ、スラム街にはまだ遠い場所。 明らかな違法建築の建物が並び、建て増しに建て増しを重ねた街は、それ自体が一つの迷路のようになっている。  人の気配があちこちからするのに、ほとんど姿は見えない。奇妙な活気と歪な外見の街はどことなくかつての中国・香港を思い出させる。  秋人の足元を鼠が走って行った。空を見上げると、ずいぶん遠くに色を変えつつある空が見える。建物と看板のせいで、その姿はほんの少ししか見えなかったが、なんとなく秋人はほっとした。空は大切だ。ここが閉鎖された空間でないことを思い出させてくれる。 「相変わらずだね、西...
  • 2、参加者集結
    2.出場者集結  ライザー学園は、旧東京都に作られた巨大学園都市である。  その中には、学園所有の施設もあれば、個人の施設や企業のもの、リンクと呼ばれる生徒の作った組織の所有する物件もある。そしてそれと同じくらい多く存在するのは、持ち主不明の廃屋やスラム街だ。  とはいえ、それは全体を見渡しての話。  学園本部のおひざ元であるメインヤードは、他の区画からすれば信じられないほど近未来的な美しい街並みが広がっている。  その一角。さまざまな文化施設が並ぶ通りに、エンジェルエッグ所有の多目的ホール《シャングリオン》はある。普段はコンサートや舞踏会などのイベントに使われているが、今日はそこは良いにおいに包まれていた。 「本日最終回! ブラックシープ商会推薦の健康食品はいかがですか?」 「ブルーローズの新作、白桃の蒟蒻ゼリーです。有機栽培で作られたブランド白桃を贅沢に使...
  • 上にいるひと
    上にいるひと  眼下では二つの勢力が拮抗していた。  一つはビル内部に陣取って敵を迎え撃つチーム。もう一つはそのビルに籠ったチームが守るものを破壊しようとするチームだ。上からみると両者の動きがよく分かる。攻めるほうは大部分を正面にやって陽動をかけながら、精鋭部隊をたくみに動かし守り手の隙を突こうとする。反対に守るほうはそれを見抜いて、最小限の人数で正面を守りつつ単騎での戦闘にたけた面子を細かく動かして隙を見せない。  長引くかもしれないな。向かいのビルの屋上からその様子を見下ろして、ダイナソアオーガン社長【イノセントカルバニア(純白髑髏)】篭森珠月は思った。 「私ならここでこっそり正面勢力の一部と精鋭部隊の面子を入れ替えて、陽動に見せかけた正面突破を狙うけどなぁ」 「カゴ、警備保障会社の社長である君が何故攻める戦法のほうを考えているんだ?」  呆れたような声がした。振り向くと、上司であ...
  • 2、硝子玉は宝石になれるか
    2、硝子玉は宝石になれるか  目を開くと殺風景な部屋がうつる。誰もいないし、来る気配もない。面会というイベントの発生しない牢獄はただの退屈な空間だ。普通の懲役刑ならまた事情は違うのかもしれないが、普通ではない囚人であるオズには関係のない話だ。  オズは手を伸ばした。死人かと思うほど白い自分の手が見える。この肌を白磁のようで美しいと称える馬鹿には結構会ったが、オズはこの色が嫌いだった。生きている感じのしない色を見ていると、自分は本当に死人に近い何かなのだと自覚する。  この白い手で、オズは仲間の首を絞めて殺そうとした。だから、オズは投獄された。簡単な因果関係だ。  寝がえりを打つと殺風景な部屋の向こうに鉄格子が見えた。笑いがこみ上げるほど分かりやすい檻だ。寝がえりをうった拍子に手足につけられた手錠が音を立てる。両手首同士と足首同士をつなぐそれは十分に長く、行動を大きく阻害するほどのもので...
  • 第二楽章 戦争、開始(1)
       第二楽章  戦争、開始  「うむ……双方、動き出したようだな。タイミングがいいことだ」  地平の彼方に、小さくうごめく人影が見える。この場所からは蟻ほどにしか見えないが、しかしそれらは明確な意思を持って動いていた。  すなわち、勝利という目的のために。  「七重と二十重にはとりあえずしっかりと働いてもらおうか。我らの仕事には全滅――殲滅という形でしか成功はないのだからな」  【デスペラードコンダクター】澪漂・七重と、【ボトルズボトム】澪漂・深重は並んで荒野のど真ん中に立っていた。向かう方向に見えるのは大きな岩山――革命軍が拠点としている地である。  今、視界の奥には地を埋め尽くすほどの人々が押し寄せてこようとしていた。多くは歩兵として、そして一部は装甲車に乗り込んで。おそらく武装は相当レベルの高いものだろう。ゾルルコンツェルンが援助をしているという時点で、装備...
  • 第二楽章 戦争、開始(2)
     七重の猛攻を止めたのは、以外にも軍用サーベルによる一撃だった。  撒き散らされた死体の弾幕を乗り越えて振るわれたサーベルの攻撃を、七重はしかし余裕をもって回避し、その攻撃の主を睨みつける。  「……ふぅん、やっと骨のありそうな人が出てきたわね」  七重に攻撃をしてきたのは他でもない、革命軍の指揮をとっているアンディであった。  「何者だお前等……どうやら【マリアスコール】の手の者じゃなさそうだが……」  アンディはこめかみに青筋を浮かべ、七重にサーベルの先端を突きつける。当然のことだが、相当怒っているようだった。  七重は直刀をくるくると回転させながら、嘲笑にも似た笑みを浮かべる。  「澪漂第七交響楽団団長、【デスペラードコンダクター】の澪漂・七重よ。名前を聞けば分かるかと思うけど、お察しの通り、アンタたちが敵対している【マリアスコール】とは何の関係もないわ」  「澪漂か...
  • 授業風景 一時限目動物学
    授業風景 一限目動物学 「よくぞ、いらっしゃいました」  まるで道に迷って困り果てた時に思いがけず人に出会ったような、そんな切羽詰まった表情で出迎えられて、【ラブレス(愛を注ぐもの)】空多川契は嫌な予感に襲われた。だが、友人宅に来てこのまま回れ右をして帰るというのもおかしな話だ。 「……突然の訪問失礼するのですよ。篭森ちゃんは御在宅で?」  だから、出迎えた【マジックボックス(驚異的空間)】ミヒャエル・バッハに対してつとめて落ち着いた様子で受け答えをした。答えは聞かなくても分かっている。彼がこんな表情をしているということは、家主たる【イノセントカルバニア(純白髑髏)】篭森珠月の機嫌が悪いか、嫌な客が来ているかのどちらかだ。 「はい……ただお客様がいらしています」  今回は後者らしい。ふんと契は鼻を鳴らした。  契は友人を大事にする主義だ。それが女の子で、かつ可愛ければよりよい。そんな友...
  • その後
    【噂のあの人-その後-】 今日あった事を桜花に話すと 「………はぁ?」 と呆れたような声を出された。 「うー……」 シュンと頭を下げる牙裂紅に桜花は更に言葉を続ける 「この弟子が行き成り何を言い出すのかと思えば……」 「すみません…。」 「あのねぇ……それは…」 「それは…?」 「なんでもないよ。  それにしても、良く怖がりもしないで話し掛けたものだね」 「? フランベルクの人たちはいい人ですよ?」 「いや、それよりも…よくあの人たちが弟子の話を聞いてやったという事の方が驚きだよ。」 「……。」 「よほど暇だったんだろうね」 「とにかく、サクの『それ』は大した事じゃないから。そんなの気にしてないでさっさとそこの掃除しなさい。」 「はいっ!師匠…あの、変な事聞いてしまってすみませんでした…。ありがとうございました!」 ◆◇◆◇◆ みんなキャラクターが解らないです……。
  • Genio o Cretino
    【Genio o Cretino】 「1+1=2、1+2=3……999,999+999,999=1,999,998。覚えた?」  丈之助は小さく頷き、初めから一言一句間違える事無く復唱する。 「よし。足し算はオッケーっと。次は引き算だね」  沙鳥は再び延々と数式を口にする。  原理などを説明しても記憶する事が出来ないのなら、徹底的に一から数式を叩き込めば良い。  24時間であればどんな物でも完璧に記憶しておく事が出来るのだから。  そう考えた沙鳥による指導は、試験の24時間前……否、念のためにと22時間前から延々と続いた。  加算から除算までが終わると、ようやく試験に出るであろう数式を文字通り「1」から。 「うにー。ねむー。ねむむー。」  全てを記憶し終わる頃には、すでに日が昇っていた。  試験に行くのにちょうど良い時間だ。 「じゃあ、行って来る」 「うし。行って来い」  眠さを微塵も感...
  • Sister & brother
    Sister & brother  連続して響いた銃声に、通行人たちは音源を探して周囲を見渡した。しかし、ウエストヤードのごちゃごちゃした街並みが邪魔をして、音源となるような物はみえない。  さらに音がした。銃声は反響し正確な位置を掴むことはまたしてもできない。しかし、確実に銃声が近付いてきていることに気づいて通行人は顔をこわばらせた。中には身構えるものも多い。戦闘態勢に入っている通行人やすみやかに移動を始める通行人の多くは、この学園の生徒だ。服に着いた校章や仕草もさることながら、服装と年齢ですぐにそうだと分かる。予科生は十七歳以下。本科生は十代前半から二十代前半というのが、この学園の常識だ。  学園都市トランキライザー。かつて企業ではなく国家というシステムが世界を支配していた時代には東京都と呼ばれたこの土地に、世界最高峰企業の一つであるライザーインダストリーが学園を建てたのはたかが十...
  • そのチカラ
    うーん、皆出払ってるとは…現場は久しぶりだねー、デスクワークばかりだったけど、腕は鈍ってないかな?  そう思いながら宿彌は石壁を掴む指に少し力を込める。石壁は土くれを砕くように簡単に、ぽしゅと気の抜けた音をたてて崩れ落ちた。  「どうやら力は落ちてないみたいだね、勘はどうだろうか。 どうだと思う? 君たち」  そう、宿彌は対峙する男たちに告げる。 男たちと言っても、実際に無事に対峙しているのは後一人。 残りは壁や地面に体を埋め込まれ、異様なアートができあがっていた。  「どうかな、これ結構シュールな映像だと思うんだけど、笑えない?」  男の顔が強張る。宿彌はにこにこと人の良さそうな笑みを浮かべる。  「笑わないなー、また間違ったかな? まぁさ、君たちにも色んな事情があったと思うんだけど。 僕も依頼主は護らなくちゃいけないし」  男が狂ったよ...
  • try!! 3
     意識が戻って初めに感じたのは奇妙なほどに適切な温度と湿度。刷り込まれた危機管理の本能は、覚醒と同時に目を開けるよりも先に周囲の気配を探る。複数の気配がする。少しだけ手足を動かすと椅子に座った状態で足を縛りつけられていることが分かった。奇妙なことに腕は手錠か何かをかけられている気配はあるものの、後ろ手にされていることもなければ、縛られてもいない。手だけは決して傷つけないようにとの配慮に、相手の意図が透けてみえる。 「気づいたか……?」  神無は返事をしなかった。タヌキ寝入りを決め込む。だが、髪を掴まれて叩き起こされる。しぶしぶ目を開けると、サングラスや仮面で顔を隠したスーツ姿の男がぞろりと立ちふさがっていた。部屋は妙に暗い。数回瞬きをして目が慣れてくると、その薄暗い部屋一面にあるものがあるのが分かった。 「…………後期印象派」  額縁だ。その中には様々な作家の作品、それも現在行方不明とされ...
  • 講談「とら侍」その壱
    【※ ●は張り扇で釈台を叩く音を、_は少しの間、―は_よりも多めの間を表してます。なお( )内に行動などが記してある場合はト書きです】  (早良、スススッと高座に上がり、正座)  ●_●_本日はまことにありがとうございます。お相手は崇道院早良が務めさせていただきます。(一礼)  旧世紀の頃にはどうであったのか、とんと存じ上げないのでございますが善だの悪だのさほど騒がれなくなりました昨今におきましてはぁ●“勧善懲悪”なる事象はその絶滅を危惧されている次第、というのは皆様ご存知の通りでぇございます●●  胸中より爽やかなる薫風が吹きますような、スッ―とするお話はそうそう現実にはないわけでぇございますな_●しかしながらいつ如何なる時代におきましても“時代劇”というのは趣が異なる●●“勧善懲悪”それこそルール、善は栄えて悪は滅びる、愉快・痛快・爽快な、胸のすくような物語なのだとわたくしなんぞは捉...
  • 終章、翌日
    終章、翌日  イーストヤード・ダイナソアオーガン本社。  会長室の扉が勢いよく開けられた。中にいた狗刀宿彌は読んでいた新聞から顔を上げる。 「やあ、珠月。昨日は楽しかった?」 「不快だったよ。見物人は楽しそうだったから、ガス抜きにはなったと思うけどね」 「みたいだね」  『避難訓練悲喜交々 ジェイル&珠月熱愛疑惑? 纏にマゾ疑惑が?』と書かれた記事が見えるように新聞を机の上に置いて、宿彌は椅子に座りなおした。  今日も珠月は黒い服を着ている。よほどのことがない限り明日も黒い服なのだろう。そしてその手には大きな旅行カバン。 「…………流石に休暇はもうあげないよ?」 「違うよ。見て」  ずりずりとかばんを引きずってくると、珠月はそれをあけた。その中には、封筒に入った書類と大量の現金詰まっていた。現金は数億はあるだろうか。そこから珠月は書類だけを取り上げる。 「これは何?」 「宿彌が言う、良く...
  • コウノトリシンドローム 後編2
     緋月は走っていた。  工事中のビルの足場や非常階段の手すり、付き出た看板を足場に道なき道を進む。学園には地図通りの道をいくのを面倒くさがって、こういう三次元ショートカットを試みる人間が多いため、大概の足場になるような場所は丈夫に作られている。もちろん、そこを通る人が怪我をしないような配慮――などではない。勝手にそこを道にする人間に、自分の不動産の一部が壊されないようにするための措置だ。  時々携帯電話で学園公式ページにアクセスする。学園掲示板の片隅に、リアルタイムで不審者の追跡情報が上がってきている。投稿してくるのは興味本位で追跡している武闘派生徒や、純粋に通りすがりにそれを見かけた生徒たちだ。そして、訓練を受けている生徒たちが実力を惜しみなく発揮したそれは、かなり正確だ。 それほど苦労することなく、目的の人物を追跡する生徒の発見までは至った。声をかけると、展開を予想していたのがご...
  • First Contact/澪漂二重&朝霧沙鳥
       First Contact 澪漂二重&朝霧沙鳥  「あれ? 団長、出かけるの?」  「出かけるの?」  ある日の昼下がり――西区画・九龍城砦。 愛用の外套を肩に羽織った【エターナルコンダクター(悠久の指揮者)】澪漂二重に、部下である杏藤波音と花音の双子姉妹が声をかけてきた。  「ん? ああ……ちょっと中央のさっちゃんのところにな」  「今日は万具堂で、さっちゃん主催のお茶会なんだ」  二重に続いてそう言ったのは、二重の相方である【アルカディアフレンド(理想郷の大親友)】澪漂一重である。彼女も外出用のコートを羽織って、二重の隣に並んでいた。  「ふーん、じゃあ私達はお留守番だね」  「お留守番―」  常に無表情の杏藤姉妹は、どうとでもとれるような口調でそう言うと、さっさと自分の机に戻ってしまった。二重はそんな二人に苦笑して、一重の肩に腕を回すと、オフィスから出...
  • Infancy(揺籃期)Ⅱ
    InfancyⅡ(揺籃期) 「入れ替わりだったね」  久しぶりの長期休暇の後、初めて会ったときから一回引っ越した現在の篭森家に更衣昴が戻ると、家中もので溢れていた。その中で、平然とした顔で珠月はモノの整理をしている。 「……何これ?」 「ん。昨日、久しぶりに両親がそろって帰ってきてね。私の誕生日がこの前だったから、プレゼント置いて帰ったの」  家中に溢れるようなこれは、すでに誕生日のプレゼントなどという可愛らしい領域にはない。だが、珠月はなれた手つきで選別していく。 「置き切れないから、使わないものは売りに出すよ。仕舞っておくのも勿体ないし」 「捨てるじゃなくて売りに出すってところが君だよね」 「何言ってるの?」  くるりと珠月は振り返った。うすいガーベラの花をかたどったレースが揺れる。 「お金は大事だよ」  びしりと珠月は昴の前に人差し指をつきだした。昴は苦笑する。 「大金持ちの家でこ...
  • 四十物谷調査事務所調査ファイル №2
     ノースヤードの一角。  ライザー学院内において、ノースヤードはアンダーヤードの次に治安が悪いといわれている。場所によっては他のヤードのビジネス街に引けをとらないところもあるし、安全地帯皆無に近いアンダーヤードに比べればまだまし、という考えもあるが―――― 「本当に人気がない。被害者はなぜこんなところを歩いていたんだろう」  崩れかけた建物を見上げて、宗谷は息を吐いた。  空はどんよりと曇っている。周囲のコンクリートの建物は、立ったままで朽ち果てているような陰鬱な気配を放ち、かつては舗装されていたらしい道路はひびで覆われている。  宗谷はしゃがみこんで地面に触れた。  砂利、コンクリート、木片――――脳内に周囲を構成する物質の要素と割合が次々浮んで消える。道路の原材料、周囲にあるもの、それがどういう由来を持つか、いつからあるか。莫大な情報の中から一つを探し出す。  【立体捜査...
  • 授業風景 二時限目数学
    授業風景 二時限目数学  一般的な知識レベル――旧時代でいう義務教育やせいぜい高等学校くらいのレベルの教育において、数学や理科や歴史などの授業が速攻で役に立つことは少ない。語学くらいなら場合によっては役に立つが、できなくても死にはしない。  だが、それらが役に立たないのはそれが本当に基礎的な知識にすぎないからだ。重要なのはそれをどう応用し活用するか。例えば数学。プログラムや各種計算を行うためには情報数学の知識が必要だ。計算それ自体はコンピューターがしてくれるとしても、そこに計算させたい数値を入れるのは人間だ。人間が計算結果出てくるものの正体を把握していなければ、話にはならない。もっと身近なところでいうとならば、理科の実験。薬品を使用する量を計るのにも数学の知識は必要だ。設計や経済学にも数学は欠かせない。  そして、黄道暦を迎えた現在世界最高峰の教育機関の一つと称えられる我らがトランキ学園...
  • ドームシティ崩壊 後編
       非常階段を駆け降りていた聖は、同じくこちらに走ってくる同僚の緋葬架に気づいて手を振って合図をした。 「よお、首尾は?」 「誰に聞いてますの? 完璧です。そちらこそどうですの?」 「案外口が堅くて手こずったが、ほら」  聖は片手に持ったアタッシュケースを掲げて見せた。 「薬に手を加えてた証拠と、あとは俺らの抹殺依頼の証拠。これがあればピースメーカーが出てきても正当防衛の言いわけが立つってわけだ」 「法なんてあってないような世界のくせに、けむたいユグドラシルを筆頭に妙なところだけルールが御座いますからね。企業間抗争とはいえ、こちらに非がないことはきちんと証明しなくては」 「煙たいとかいうな。あれでも世界の秩序の一角何だぞ? 下手なこというと消されるぞ」 「ともあれ、御苦労ですわ。そろそろ時間ですもの。撤退です」  聖の役目はすべてが終わった後に、対外的にこの抗争の正当性を証明できるだけ...
  • First contact/戦原緋月&星谷遠
    First contact 戦原緋月&星谷遠  道にうつぶせで人間が横たわっている。手は前に伸ばし、どうみても行き倒れだ。  それ自体はスラム街などでは珍しいことではない。純粋なる疲労や空腹の行き倒れは勿論、行き場のない老人や家を亡くした人間、病人が道の端で横になっていることは珍しくない。たまにそこに薬物中毒者や強盗被害者も混じる。中には行き倒れのふりをして声をかけてきた人間から金をすり取るような悪質なものすらある。  だが、学園内の比較的人通りのある場所にそいつは倒れていた。思わず凝視するが、夢でも幻でもなくそれはそこにいる。 「…………」  戦原緋月。今年で14になる。  現在のところ世界の頂点であり世界の覇者といってもいい十二の企業、黄道十二企業の一角ライザーインダストリーが次世代教育のために作りだした教育機関、巨大学園都市トランキライザーで生活している。数百万の生徒を抱えるこの学...
  • 終章、後日談
    終章 後日談 「なるほど。ランカーが七人も集まって取りものですか。へえ。まあ、それはいいんですよ。取りものでも鬼ごっこでも何でもしてください。ただし、自分の区画でね」 「それは申し訳なかったと思ってます」 「思ってます」 「はい」  発言者以外の全員が視線を明後日の方向にそらした。いらだった様子で、発言者の少女は机の端を叩く。 「ハトさん、トモさん、東華さん、半月兄弟、藤司朗さん、秋人さんはメインヤード。桔梗さんはウエストヤード。篭森さん、ジョフ、桜夜楽、アルシアはイーストヤード。なのに、なぜこのノースヤードで喧嘩をしているんですか? 御蔭で地下の一部は倒壊、付近の建物にも甚大な被害が出ました。幸い、周囲の住人に死者が出なかったからよかったようなものの、ランカーならもっと周囲に気を使って戦いなさい!!」 「だから、弁償はするよ」  開き直った口調で珠月は言った。 「...
  • 四十物谷調査事務所調査ファイル №3
     暗い。  おそらく出来たころはきっと照明が輝き、綺麗に着飾った人間がたくさん歩いていたのだろう。今はあちこちが崩れ、地下水が噴出している。足場らしい足場はなく、光もほとんどない。ただ、半分崩れた入り口から差し込む日光だけが、うっすらと内部を照らしている。 「入ってすぐに左右、どちらも崩れている。でも、住み着くには湿気が多すぎる。だから、ここに人は滅多に来ない」  人気のない地下道に、桔梗の声が響く。 「一人でぼんやりしたいやつが、たまにふらりと来ていたらしいが……死体が出てからは、誰もこなくなった」 「感染症は怖いからねぇ」  ずれたことを言って、宗谷は周囲を見渡す。 「なんというか、ここまでたくさんの地下通路や地下施設を作り続けた、旧東京の人っていうのは、本当、すごいよね」  中に入った瞬間、むっとする腐臭が漂ってくる。宗谷は袖で口と鼻を覆った。それで腐臭が誤魔化せるわ...
  • ヘヴィロック 1曲目
    サウスヤードの中心地から少し離れたところにロックンロールロックスターが経営するライブハウスがある.最大収容人数100人程度の小さなライブハウスで,主に初心者から中堅のバンドがよく出演する.したがって,普段は出演バンドの身内とコアなファンが見に来る程度で,最大収容人数の半分も客が集まることはまずない.しかし,そんなライブハウスが今日は異常なまでの熱気に包まれていた. 「それじゃぁ,ラストの曲いくぜぇええええ!!」 ヴォーカルが叫ぶと同時に,ギターのピックスクラッチの音が鳴り響き曲の開始を告げる.客の歓声の圧力にも負けず,激しくそして力強く演奏を行うバンドメンバー達.その中でもギターは特に際立っていた.そのあまりの存在感にもはやギターソロとも思えるほどだ.そのギタリストの名は佐倉直也.ここ最近,人気が急上昇しており,今日のこの盛り上がりも直也によるところが大きい.そして,直也目当てできた客の...
  • ties 2
     三人が旧日本国東京跡地にある巨大学園都市トランキライザーに戻ったのは、どたばた劇から三日後だった。色々あって遠回りする羽目になったものの、仕事自体早めに終わっていたため予定より早い帰国となった。 「帰ってきましたね」 「やはりホームグランドは落ち着きますね」  荷物を抱えて降り立った黒雫の姿に、周囲の生徒が視線を投げかける。隣にいるジェイルがスルーされているのは、彼の『存在をその場にいて当たり前のものであるかのように錯覚させる』特殊能力のせいだ。通行人は雫と織子しか見えていないため、またランカーの恋愛事件かと目を輝かせている。 「…………雫さん、注目されてるみたいだけど」  落ち着かない様子で織子は周囲を見渡す。自分のせいでさらに注目を集めているとは考えていないようだ。  雫はため息をついた。 「僕も先輩も……そこそこ成績がいいので、目立つんですよ」 「へえ……エリートも大変なのね」  ...
  • 四十物谷調査事務所調査ファイル №7
    「……というわけで、加害者はメモリー診療所のほうで治療を受けています。こういういい方はあれですが、事故のようなものですからどこまで罪になるかは……個人的には、報復しても無駄だとは思いますがね。回復してから話を聞くなり、決闘でも申し込むなりしたほうがいいと思いますよ」  聖の前には、本科に上ったばかりという少年がうなだれて座っている。気の毒だと思うが、仕事に私情をはさむわけにはいかない。 「ともあれ、犯人およびその協力者はこちらで処分しましたので、以後、同じ事件は起きないと保障しておきます」 「そう、ですか。ありがとう御座います。納得はしてませんけど……ただの快楽のために殺されたというよりは、気が楽になりそうです」  のろのろと答えて少年は、封筒に入れた現金を差し出す。世の中キャッシュレスな時代だが、いまだに大きな金は現金で動かすことも多い。それを丁寧に数えて、聖は受け取った。  ...
  • 澪漂 二重
    sheep Cooking Psychic and Witch Knife and Fork 8ave Battle (1) Battle (2) Vampire After Day 交響曲第一番 【無能】チューニング 薄暗い部屋の中で 第一楽章 音楽家たちの円卓 第二楽章 戦争、開始(1) 第二楽章 戦争、開始(2) 第三楽章 鋏と死骸(1) 第三楽章 鋏と死骸(2) 第四楽章 終演時間 カーテンコール 見えざる囚人 交響曲第二番 【無礼】チューニング 謎の会合、あるいは一重の憂鬱 第一楽章 虐殺者たち、あるいは擦れ違い(1) 第一楽章 虐殺者たち、あるいは擦れ違い(2) 第二楽章 交錯する者、あるいはヒーロー見参!(1) First Contact澪漂二重&澪漂一重 澪漂二重&朝霧沙鳥 三島広光路&望月遡羅 学園都市トランキライザーの異常な日常バレンタインデー編...
  • First contact/篭森珠月&ジェイル・クロムウェル
    First contact 篭森珠月&ジェイル・クロムウェル  倫敦シティ。  旧イギリスの首都。現在も世界最高峰の都市のひとつであるその場所を、十数年後に【イノセントカルバニア(純白髑髏)】と呼ばれることになる少女、篭森珠月は両親と歩いていた。  雪がちらついている。ロンドンの冬は昼が短い。まもなく、街は夕闇に溶けてしまうだろう。ちらりと珠月は隣を歩く父を見上げた。視線に気づいて、父親の壬無月は珠月に笑みを向ける。父親も母親も、子どもがいるとは思えないほど若い。外見はせいぜい二十代だ。この格好良くて賢い両親は、珠月の自慢だった。 「珠月」  柔らかな美声で、父は珠月の名前を呼ぶ。 「少しだけ人に会う用事がある。ちょっとだけ、このあたりで待っていてくれないか?」  広い公園の片隅で、父は言った。母を見上げると、母もうなづく。 「すぐに戻るわ。寒いのに可哀想だけど」 「わかった。待ってる...
  • 三島広光路&澪漂二重
    First Contact 三島広 光路 & 澪漂 二重  ―――小さい時のホゥ アルオンについて、か?大人しい奴、だったかな。おやっさんのことは嫌いそうだったけど。んー、練兵場で何やら訓練していたのは知ってたけど、実はインチャオ時代はさ、彼奴と話したこと無いんだよな。え、意外だって?んなことねぇよ。当時の関係って言えば、憎まれてても雇い主の御曹司と、一少年兵だぜ?そう、おいそれと話せる身分かよ。  指令を受けた光路はかったるげにメインストリートを歩く。当時の西区画といえば、ザンスキングダムの冥獄一派が支配していた頃。かの名高い澪漂管弦楽団と言えど、学園内では新興勢力であった。  メインから工場地帯を抜けていくと、歪に聳える異形の建造物、九龍城砦に辿り着いた。 (まぁさか、こんな格好であのアルオンと再会するとは、思わなかったなぁ……)  学園に来てい...
  • First Contact/三島広光路&澪漂二重
    First Contact 三島広 光路 & 澪漂 二重  ―――小さい時のホゥ アルオンについて、か?大人しい奴、だったかな。おやっさんのことは嫌いそうだったけど。んー、練兵場で何やら訓練していたのは知ってたけど、実はインチャオ時代はさ、彼奴と話したこと無いんだよな。え、意外だって?んなことねぇよ。当時の関係って言えば、憎まれてても雇い主の御曹司と、一少年兵だぜ?そう、おいそれと話せる身分かよ。  指令を受けた光路はかったるげにメインストリートを歩く。当時の西区画といえば、ザンスキングダムの冥獄一派が支配していた頃。かの名高い澪漂管弦楽団と言えど、学園内では新興勢力であった。  メインから工場地帯を抜けていくと、歪に聳える異形の建造物、九龍城砦に辿り着いた。 (まぁさか、こんな格好であのアルオンと再会するとは、思わなかったなぁ……)  学園に来ていたのは知っていたし...
  • ファンキーレディオ放送局1
    奇抜な形の車、ファンキーレディオ号が高速で走り込んできて、建物とぶつかる寸前で超ドリフト。 途中で何人か跳ねた気がするが、気にしない。 『あーテステステイストー! マイク良し、スピーカー良し、被害者良し!』 『いやよくねぇよ!』 轢き逃げ、いや、轢き逃げずの現場を見た誰もがツッコむ。 しかしそこは学園トランキライザー生徒、まだ息はあるようだ。 『病院呼んだから大丈夫! ―――いや大丈夫じゃないよコレ! 逃げて! 病院逃げて!』 『何言ってんだアンタ!?』 脈絡と意味のない言葉に恐れおののく生徒たち。 『にゃーみゃーにゃー』 『本当に何言ってんだ!?』 何か電波を受信しているのではないかと恐れおののく生徒たち。 「おいおい、気にしちゃ駄目だぜ少年ども」 「もしかして予科1年か? だったら知らなくても仕方がねぇな」 「最近大人しかったですからね。ですがまぁ、生で見かけるとやはり嬉しいものです」...
  • 5、前半戦
    5、前半戦 「タイムアップ!! さて、お待ちかね! 審査に入るぜ、やっほぅ!!」    耳をふさぎたくなるような銅鑼の音が、時間が終わったことを告げる。 「採点基準は、見た目、味、美容と健康を各五段階評価! 総合得点が一番多かったものには、トロフィと副賞の賞金が贈られるぜ! さあ、さくさく言ってみよう」 『おいしそう!!』  楽しげな声が客席から上がる。少なくとも、現時点で不安はない。 「まずは、和食チームから行こうか! 春恵vs政宗!! この二人は家庭の味で勝負にでましたよぉ! じゃ、春恵さんから料理の説明とポイントをどうぞ!!」 「はいよ」  気のよさそうな掛け声とともに、春恵の料理が審査員の前に運ばれる。 「メニューは、ごはん、具だくさんの田舎汁に、青菜のおひたし。肉じゃが、焼き魚。糠漬けは自家製だよ。とにかく昔ながらの和食にこだわってみた。和食っていうのはタンパク質が豊富で、...
  • ファンキーレディオ放送局2
    奇抜な形の車、ファンキーレディオ号が高速で走りってくる。ウィリーしながら。 一応だが、ファンキーレディオ号は四輪車に分類される。それが、左後輪のみで走行しているというのはどういう了見だろうか。 『やっほう今日も元気だね皆! それで良かったら止めてくれると逢ちゃん嬉しいな!』 『暴走かよ!?』 高等テクのなせる技ではなかったようだ。しかし、どう制御を間違えば四輪車が一輪ウィリーで華麗に道路を走るのだろうか。 『ほら早くしないと被害者が! あれ? 出てもいいのか? そうか、100人くらい轢いたら止まるよね!』 「おい誰か止めろ! 早く!」 「お前いけよ、グラップラーだろ!」 「東王呼んでこい! あの人なら止められる!」 「いや南王呼べ南王! 轢かれても多分あれなら大丈夫だ!」 ざわめく生徒達。 何人かは手持ちの銃でタイヤを狙い撃つ。それで止めようと言う魂胆だ。 しかし、装甲もタイヤも傷ひとつつ...
  • 絡み合う音楽家たち ――第九管弦楽団・澪漂鍵重
       Ⅱ.絡み合う音楽家たち ――第九管弦楽団・澪漂鍵重  【澪漂交響楽団】の本拠地は、ユーラシア大陸の極東部、上海シティにある。  本部の建物は、豪州のオペラハウスのような荘厳な外観を持つ建造物であり、しかしどこか暗い雰囲気を纏っていることから、「ファントムハウス(オペラ座の怪人館)」と呼ばれている。  そしてそのファントムハウスの周囲には、【澪漂交響楽団】に列席する団員たちの住居も点在しており、独特の雰囲気を持った区域となっていた。  「背徳の蜂蜜亭」は、そんな中の一つ――澪漂屈指の【異端者】の異名を取る、第九管弦楽団が詰める建物である。                     ♪  「相変わらず甘ったるい匂いのするところだな」  オレンジの長髪を風に靡かせ、黒のレザージャケットに身を包んだ男が、その「背徳の蜂蜜亭」の前に立っていた。まだ幾分の冷たさを孕...
  • Knife and Fork
    「Knife and Fork」  ブラックシープ商会副社長、メリー・シェリーが行方不明になって四日、そして黒羊店長、法華堂・戒がその調査に乗り出して三日が経過しようとしていた。その間、戒はほとんど休むこともなく、エドワードに時折連絡を入れる以外はずっと歩き回っていた。しかしその苦労の甲斐なく、今だ有力な情報は手に入っていないというのが現状だった。  「しかも俺が街に出てから、毎日一人ずつ被害者が増えているってのが解せねぇな……。俺がこれだけ嗅ぎまわってるのに、いまだその正体が見えねぇってのがさらにムカつく」  東区画を出て、南から中央、そして北区画をあらかた浚い終えた戒は、北と西の境目付近の貧民窟『グレイハウンドストリート』に差し掛かっていた。ここは戒がまだ本物の殺人鬼として夜な夜な人を襲っていたころ根城にしていたスラムの一つである。  「しかし……いつ来てもここは寂れてるな。むしろ...
  • ちょっとした邂逅
    ちょっとした邂逅  風向きが変わった瞬間、通りにいた人間の半数ほどが一瞬奇妙な反応を見せる。まるで警戒するように目が周囲を探り、そしてすぐに関わり合いを避けるようにうつむいて早足に歩きだす。歩き出す方向はそれぞれだが、ただ一つの方向だけは誰も向かわない。 「なあ、緋月」 「放っておけ」  そんな流れを横目で見つつ、その誰も向かわない一点に視線を向けた連れを、【クリムゾンレッド(赤い月)】戦原緋月は一言で制した。意見すら聞いてもらえなかった【スカイブルー(希望の青)】星谷遠は、不満そうな顔をする。 「まだ何も言ってないじゃん」 「ここは区画と区画の間に近い微妙な地域だが、ぎりぎり北区に位置する。僕たちの領域ではない。よって、余計なことをするな」 「でも血の臭いがしたぜ?」 「だからだ。これが花の臭いなら止めてない」 「は? 俺、花とか興味ないし」「僕もだ」  会話終了。沈黙の幕が降りる。 ...
  • First contact/狗刀宿彌&牡丹
    First Contact 狗刀宿彌&牡丹 B.Z.×× February 『×Kreuzung×』  薄暗く、澱んだ空気が満ちた空間に沢山の円筒状の物体がある。 それは淡い緑の液体に満ちており、よく見ると巨大な試験管であることがわかる。  中には奇妙な形状を為した生き物がいた。  巨大な犬のような生き物だ。 だがその形は酷く歪み、蜥蜴を思わせる鱗が全身に生えていたり、足が四本を超えていたり、犬と蜥蜴の双頭であったりと明らかな異形であった。  そしてそれらは時と共に血を滲ませ崩れていく。  数人の人間たちの失意の溜息が空間に満ちる。  「また失敗作か…ックソ! このクソ犬どもが…いったい幾らのコストをかけてると思ってやがる…!?」  白衣の蒼白の顔をした男が声を荒げていた。  「上は…何もわかってない癖に、成果を出せ出せだせだせだだせだせだせ…そんなことはわかっている! 貴様らが...
  • あの人とおしゃべり
    あの人とおしゃべり 「店長……今日、早引けしたいですぅ」  学園都市トランキライザー、サウスヤード。海を望む地域であり、ワーカーや若者の集まる活気ある街の中でも比較的落ち着いた空気を持つ市場の近くに、パステルランドという店はある。その名前から想像できるように、店内は淡い色で統一され、毒々しいまでに色とりどりのミニケーキとお茶が提供されるファンシーな空間となっている。味でも売上でも学園トップ2には遠く及ばないものの、天然素材でここまでファンシーな色を出すということでネタとしての人気は高い。見てびっくり、食べてゆっくりというわけだ。  その店の店主はアルバイターの突然の要望に顔をしかめた。 「駄目だよ。今日は混んでるんだから」 「だって……今日の客層、カオスすぎるんですよ。ちょっと店長もフロアでてくださいよ。私たちだけじゃ心が折れそうです」 「クレーマーでも来た?」  バイトの女の子は無言で...
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