BIBLIOMANIAX内検索 / 「Papera」で検索した結果

検索 :
  • Papera
    Papera】 「丈之助」  誰もいない薄暗い部屋で、少女が小さく名を呼んだ。 「……?」  何処からか気配もなく現れた少年は、訝しがりつつも無言で少女を見つめる。 「剣道を教えて!」  唐突な願い。それ自体はいつもの事だが、この少女が自ら進んで疲れる行為をするというのは不自然すぎる。  しかし、この少年が少女の行動を訝しがるはずもなく、何の反問もせずに受諾する。 「剣道なら別に難しくない。棒っぽいモノを持って、相手を叩いたり突いたり斬ったりすれば良いだけ」  しばしの沈黙。 「なるほど」  少女は納得して差し出された刀剣を受け取る。 「とりあえず、問答無用で攻撃すれば良いんだね★」  だが、少女にとってその剣は重すぎた。 「うにゃあ」  持ち上げられなかった刃は、コンクリートであるはずの地面を深々と抉るだけ。 「……何で?」 「私が聞きたいよー…...
  • 朝霧 沙鳥
    ...o (いつも通り) Papera (うっかり) Gihad (聖戦) Consueto (いつものこと) Benvenuto (ようこそ) Generico (脇役) Amicizia (親愛) Devoto (信頼できる人) Amicone (仲良し) Semplice (無邪気な人) Perche (疑問) Intimita (団欒) Giochetto (暇つぶし) Scapato (無責任) Consulta (相談会) Consulta2 (相談会2) Giochicchiare (戯れ) Cocco (可愛い子) Sarcasmo (嫌味) Cavalleria (騎士道精神) Contrare (逆襲) Mitragliare (質問ラッシュ) Creato (神の被造物) Gabbia (鳥籠) Fratricidio (兄弟殺し) Piacere! (はじめま...
  • トップページ
    ...o (いつも通り) Papera (うっかり) Gihad (聖戦) Consueto (いつものこと) Benvenuto (ようこそ) Generico (脇役) Amicizia (親愛) Devoto (信頼できる人) Amicone (仲良し) Semplice (無邪気な人) Perche (疑問) Intimita (団欒) Giochetto (暇つぶし) Scapato (無責任) Consulta (相談会) Consulta2 (相談会2) Giochicchiare (戯れ) Cocco (可愛い子) Sarcasmo (嫌味) Cavalleria (騎士道精神) Contrare (逆襲) Mitragliare (質問ラッシュ) Creato (神の被造物) Gabbia (鳥籠) Fratricidio (兄弟殺し) Piacere! (はじめま...
  • Perche
    【Perche(疑問)】 「相変わらずですねぇ、二人とも」 「飽きないですねぇ、二人とも」  ハトとトモの視線の先には、丈之助をからかう藤司朗の姿が。  そのまま命懸けの兄弟喧嘩へと発展する。いつも通りの展開。 「そういえば」  ハトがポンと手を打ち、二人は顔を見合わせて同時に首を傾げる。 「どうして二人は対等に戦えているのでしょう」  丈之助はグラップラーとソルジャークラスである。  頭とか頭とか頭とかのせいで一向にランクは上がらないが、どちらも個人戦ならトップクラスだろう。  つまり、白兵戦だろうと銃撃戦だろうと問題なく強い。  戦闘に特化したランカーであれば、どちらも出来て当たり前だろう。  しかし、どうしても得手不得手は出てくる。  そのため、どんな状況下であっても甲乙なく戦えるタイプは珍しい。  対して、藤司朗はスカラーとサイキッカーである。 ...
  • Scapato
    【Scapato(無責任)】  所用の帰りに何となく立ち寄った洋菓子店。  中央のブルーローズや、東のロックハートのような有名店ではないが、たまには良いだろうと。  しかし、店に入った瞬間、後悔する事になる。 「あらぁ?」  店内にあるどのケーキよりも甘ったるい声色を響かせ、邪気の全く感じられない笑みを浮かべた少女がこちらに向かって手を振る。 「珍しいな。昼間なのに夜君がお外にいるー」 「所用ガありまして。貴女コソ、こんな所デ会えるトハ」 「ふっふっふー。さっちゃんは神出鬼没なのだよ!」 「……迷ってる時に甘い匂いで道決めただけ」 「うるさいなー! ホントのことっていうのは、時に人を深く傷つけるんだぞー!」  店内の視線を独り占めしているのにも拘わらず、沙鳥は丈之助の背を目掛けて、ポムポムとダメージのなさそうな攻撃を繰り出す。  店員へと視線を向けると、怯えた...
  • Fratricidio
    【Fratricidio】 「久しぶりだねぇ、丈之助ちゃん?」  わざとらしい言い回しで、男が口元に笑みを浮かべる。  色素の薄い髪だが、顔立ちは自分とよく似ていた。 「誰だ」  記憶にない。最優先事項とは関わりのない存在。 「相変わらず薄情な脳細胞だな。俺の事、ホントに完全に忘れちゃったの?」  何が可笑しいのか、男はクツクツと笑った。 「その分だと、親父殿の読みどおりってところかな? 何の為にここに来たのかも忘れちゃった?」 「記憶にない」  俺の記憶は、ここで彼女と出会ったところからスタートしている。それ以前の記憶など全て消え失せた。 「仕方ないなぁ。親切で心優しいお兄ちゃんが丁寧に教えてあげよう。俺はお前の父親の二人目の息子で、お前にとっては異母兄。分かる? 腹違いのお兄ちゃん。親父殿の命令でお前を殺しに遥々こんな所までやって来た、優しくて健気なお兄ちゃん。分かったら再会の抱擁で...
  • Happy birthday 慧様
    【Happy birthday 慧様】 12月24日、世の中はすっかりクリスマス気分に染まっている。 そして大半は、【ドミニオントリック(支配権奇術)】の姫宮 沁と、【ドミニオンロジック(支配権論理)】の姫宮 成実の作ったイベントに参加中である。  序列19位、【クローズドサークル(閉塞空間)】の藤堂 慧もその一人で、暖かい衣装に身を包み、遠巻きに壮絶な雪合戦を見守っていた。―――と、そんな時(どんな時だ) 慧に声がかけられた。 「藤堂さん!」 「はい? あーえぇっと?」 声の主は、この寒いのにマフラーを首に巻いているだけという…見ている方が寒くなるという格好をしていた。 が、慧にはこのような人物は見覚えがなく、勿論名前なんぞ知るわけがない。慧の頭の上に疑問符が浮かんだ。 「あっ、すみません…申し遅れました。巫牙裂紅と申します。 以後お見知りおきを・・・・・・為さらなくて結構です。」 「...
  • Happy birthday 契様
    【Happy birthday 契様】 ――――11月 17日 PM.11:53 巫牙裂紅ただいま絶賛人探し中です。 あぁ、あと七分までに見つかるかな…。  行き成り見ず知らずの人間に誕生日を祝われるって不審がられると思うんですが、折角同じ区画の私が尊敬している方の一人(お逢いした事はありませんが)、序列225位【ラヴレス(愛を注ぐもの)】の空多川契さんのお誕生日のことを通りすがりのお方が『明日は契の誕生日か…』って仰っていたんだもの! た…偶々拝聴していただけにしてもです、これは良いことを聞いたと思っても良いじゃないですか!?是非お祝いしなくては、と思っても良いじゃないですか!? ………失礼致しました取り乱しました。 という理由で、探し始めたんですが未だに見つからないんです。 ――――11月 17日 PM.11:55  地下にはいらっしゃらないのでしょうか? でも、上はまだあまり行っ...
  • Bravata
    『Bravata』  初めて彼女を目にした時の印象は、単純に「妙なガキ」というだけだった。  「喪失」、「視線」、「拒絶」に恐怖を感じる三兄弟に囲まれた少女。彼女の顔には皆に見られぬよう薄っすらと「好意」という文字が書かれていた。  三兄弟の方は付き合いも短くないし、彼らの能力や習性、僅かばかりの過去も知っているせいか、彼らの顔に書かれた文字には納得出来る。  丈乃助は喪失する事で他者を傷付ける事を怖れ、籐司朗は自らの忌まわしい能力のせいで他者を壊す事を怖れ、政宗は拒絶しか知らない自分がいつの日か同じように他者を拒んでしまうのではないかと怖れている。  つまり、あの三兄弟は自分のせいで他者が傷付く事を自分の痛みとして感じている、天然記念物クラスのバカという事。  けれど、彼女の恐怖は理解し難い。  誰からも好かれそうなクセに、好意に恐怖を覚えるだなんて異質に感じても仕方がない。  特...
  • Rainy Blue
    【Rainy Blue】  しっかりと防水加工されているゴーグルでさえ、前が見えないほどの雨の中、少年は懸命に駆けていた。  お気に入りのローラースケートも、さっき足を滑らせたせいで修理が必要となっている。  スニーカーであっても問題ないくらい普通に走るのも得意だが、この雨では体力の消耗が激し過ぎる。必然的に、こまめな休憩を余儀なくされていた。  すでに閉店しているお店の軒先で雨宿りさせてもらう。  普段であれば終わっているはずの届け物が、肩に重く圧し掛かっている気がする。重みなどないはずなのに。  速度を上げるにはローラースケートを直さなければならず、そのためにはお金が必要で、お金を稼ぐには急いで配達しなければならず、急ぐにはローラースケートが必要……  嫌になる無限ループに、アルマは頬を膨らませて天を仰いだ。  レインコートを羽織っているとはいえ全身ずぶ濡れで、明日にはきっと風邪で寝...
  • Happy birthday 霧戒様
    【Happy birthday 霧戒様】 今日があの人のお誕生日だったなんて…。 本当なら今日下見して明日ばっちり迷わないで行くつもりだったのに… 迷ってる時間なんてないのに、何してるんですか私は…。 ――――5月 22日 PM.6:32  巫牙裂紅、ただいま不夜城を探し始めて二時間半です。おっきい家だと聞いていたからすぐわかると思ったんですけど…。いや、見つけたんですけど。行き方が解らないんです。 あぁ…帰ったら師匠に怒られちゃいますね…今何時だと思ってるんだーなんて、はぁ…師匠の笑った顔怖いんですよねぇ…。うわぁ…考え出したら怖くなってきた… ――――5月 22日 PM.6:55  「あ」 あった?これは不夜城であってますか??それとも幻ですか? おぉ!人が通ってるってことは幻じゃない?!かも・・・? 「すみません。」 「はい?」 「ここは不夜城であっていますか?」 「そうですよ」...
  • Happy birthday 東華様
    【Happy birthday東華様】 今日は2月の15日です! 『2月15ん日は東華ちゃんの誕生日だったかしらぁ?』 昨日お姉が急にご飯の催促に来ていて、私に確認してきたんですが、…はなしたこともない人の誕生日は解るはずがないじゃないですか?! 『そうなんですか? はいお姉。』 聞き返しながらご飯を渡す。持って帰ってから開けてくださいと言ったのに、受け取った瞬間に開けるのはどうかと思います。 『そうだったと思うけど、お客さんの話が時々素敵な情報をくれるのよ。 あら、お酒は?』 『そうなんですか。 それと未成年は飲酒禁止ですから』 『歳なんか関係ないじゃない』 『関係有りまくりだと思います。未成年には身体に悪い影響が…』  そんなことがあって、今日を迎えています。もっと前に聞いていればいっぱい考えられたのになぁ…残念です。でも、小泉さんのお誕生日が解っただけで大きな収穫ですよね!  ...
  • Happy birthday 宿彌様
    【Happy birthday 宿彌様】 「今年もこの日がきたなぁ」 と、しみじみと呟く序列9位【ドラグーンランス(竜騎槍)】の狗刀 宿彌。 お仕事をほっぽりだして、イーストヤードをウロウロしていた彼の後ろから聞きなれない声が掛けられた。 「はじめまして」 「…………おや。」 特に驚きもせずに後ろを振り向けば、やはり知らない顔があった。 「どちら様かな?」 「あ、すみません…。巫牙裂紅と申します。」 巫牙裂紅…やはり知らない名前だ。はて、いつこの子とかかわりを持っただろうか? 「えと・・・今日が狗刀さんのお誕生日だとお聞きしたので、」 なるほど、この子は僕の誕生日を何故か知って、それで誕生日を祝おうとしているのかな? なんで知っているのかは聞かないほうがよさそうだなぁ。 「お祝いをしようと…!」 「ありがとう」 よくよく見てみれば髪に葉っぱがついていたり腕に擦り傷切り傷がついていたりして...
  • Happy birthday 夜巌様
    【Happy birthday 夜巌様】 八月、夜。 「そういえば」 ちゃっかり牙裂紅の部屋に上がりこんでいた伊紗が思い出したように口を開いた。 「はい?」 「もう過ぎちゃったけど、7/20は北王さんの誕生日だったと思うけど。」 「北王さんって夜巌さんですよね!?」 「貴方の事だから祝ったのかしら?」 「お、お祝いできてないです…。お誕生日のこと今知りました…。」 「あら。そうなの?」 「お姉、教えてくれてありがとうございます。お届けもの…頼んでもいいですか??」 「いいけど、明日取りにくるからそれまでに作っておきなさいね。」 「はい…がんばります。」 「じゃあね。ばいばーい」 あぁ…7月のお誕生日の人…ことごとくお祝いが遅れちゃってるなぁ……。 確かに色々遅れすぎている牙裂紅。 牙裂紅は一人台所に立つと材料を並べ、はかりを用意しと、和菓子作りの準備をはじめた。 「♪~」 何か作業し...
  • Happy birthday 勇太郎様
    【Happy birthday 勇太郎様】 「あ、お姉」 「あら、牙裂紅?」 「こんにちは。」 「はい こんにちは」 「じつは…お願いがあるんですけど…――」 今日は2月の17日です。 「はい、そんなわけだから。受け取ってあげてくれるかしら?」 「………は・・・?」 「本人を連れてきても良いのだけど。」 にこりと微笑んで木箱を渡す伊紗に押され、流れが読めていないままにとりあえず受け取る勇太郎。行き成り『そんな訳だから』といわれてもどんな訳だとなるのは当たり前なのだが…、そんなことはお構いなしだとでも言うように話を続けられる。 「で。あの子が迷子になっていなければ、ちゃんとここに来ることになってるから、怒らないでね?」 「はぁ…??」 「じゃあ、私はちゃんとお仕事したから。帰ります。」 ***** しばらくして、謎を解決しようと悪戦苦闘していた勇太郎はいい加減飽きてきたのか何処か...
  • Happy birthday 長島先生
    【Happy birthday 長島先生】 「今年も来たか…この日が・・・・悪い思いでしかねえよなんなんだよ。」 煙草に火をつけながら独り言を呟く【ジャッジメントペイン(審判の痛み)】のアルテ・長島。とそんな時聞きなれた二つの声が耳に入る。 「長島み―――っけ!」 「ホントだ――」 「……はぁ」 ため息をつきゆっくりと振り向いた先には【ドミニオントリック(支配権奇術)】の姫宮沁と、【ドミニオンロジック(支配権論理)】の姫宮成実の二人組みが満面の笑みで駆け寄ってくるところだった。 「今年も祝いに来てやったぜー!」 「うれしいでしょ~?」 確かに嬉しいといえば嬉しいが、が、だがしかし、 「今回はロシアンルーレットとか、魂生誕祭でチェーンソー(お前)VSとかじゃないだろうな…」 「なんだよ長島ー俺らがいつそんなひどい事したんだよぉ」 「そうだよー でも今年は違うんだよ~今年はねぇ」 と、なにや...
  • Happy birthday 沙鳥様
    【Happy birthday 沙鳥様】 「以上で会議を終わります。   解散」 解散の合図と共に、どよどよと出席していた人が席を離れる。 「こ、光月さん!」 巫牙裂紅もどよどよと流れ出る人に巻き込まれながらも序列65位、【アトローチェドルチェッツァ(私の愛しい人)】の光月藤司朗を見つけ、ちょっとした頼みごとをお願いしようと意を決して声をかける。 「どうしたの?巫さん。」 振り向きざまににっこりと微笑まれ、こんな私にまで…?凄い方だなぁ…と思いつつ、『ちょっとした頼みごと』を話し出す。 「あの…、これを あしゃっ…すみません、朝霧さんに渡していただけないでしょうか…?」 緊張のあまり肝心な名前のところで噛んでしまったが、一応は伝わったようだ。 「沙鳥に?プレゼント?」 「はい、本当は直接お逢いしたいのですが…恐れ多くて。」 あからさまにがっくりとしている牙裂紅を眺めながら一息ついて『わか...
  • Happy birthday 遡羅様
    【Happy birthday 遡羅様】 今日から6月!…といっても何ら変わりない仕事の内容に肩を落とす牙裂紅。解りやすいにもほどがある。桐ヶ谷桜花は変わるわけ無いだろうと言ってから独り言のように呟いた。 「今日は望月さんの誕生日だっけな」 「えぇ!?『あの』望月さんのお誕生日なんですか!?」 「あのって言うのは失礼だぞ。」 「すみません…。師匠は物知りですよね」 「僕は何でも知ってるよ」 「そうなんですか!?」 『あの』とつけるくらいだ、そうとう気になっていたのだろう。桐ヶ谷は驚いている牙裂紅に答えず届け物を見遣る。 「そこの終わった奴、ちょうど届け先が西区だから。」 そこまで言うと桐ヶ谷の思ったとおりに牙裂紅が手を上げた 「師匠、私行ってきます!」 「当たり前だろう。早く帰ってくるように」 「う……頑張ります」 届け物を片手に元気に出て行ったかと思うと、ま...
  • Happy birthday 早良様
    【Happy birthday 早良様】 「はーぁ…」 「どうしたんだ、弟子がそんなに大きなため息をつくものじゃないよ。」 「あ、すみません…」 今日でもう8月突入だ。 牙裂紅がため息をつく理由は、【ジャック・ザ・リバー(闊歩する自由)】崇道院早良の誕生日を後々聞かされて、祝えなかった事だろう。それがいまだに尾をひいているというわけだ。 師匠である桐ケ谷桜花から聞かされてから、牙裂紅は崇道院早良と言う人の鼻が異常に良いことをしって、なんとかして無臭の何かを作ろうとずっと研究していたのだ。 ……その所為で月の半ばになったのだが…。 「やっと無臭の和菓子研究して作ったのに…。」 「その『無臭』も崇道院さんからしたら、無臭じゃないかもしれないけどね。」 「そ、そうですけど…、せっかくお誕生日だったのに何も祝わないなんて悲しいですよ」 「…。何か言うのはいいけど、手は動かして。」 「あっ、はい...
  • Contrare
    【Contrare(逆襲)】 「いらっしゃい。ちょうど良かった。ついさっきね、沙鳥がブルーローズのケーキを大量に持って帰ってきたところなんだ。好きなの一個取って良いよ」 「……ありがとうございます」  遡羅はお礼を言いつつも、藤司朗と視線を合わせる事が出来ない。普段とは違う意味で。 「自分で食べる? あーんってする? 口移しが良い?」 「じ、自分で食べます……」 「残念。はい、どうぞ」  満面の笑みでケーキを差し出される。 「こ、紅茶で良いかしら……」 「じゃまですよ、マサ。踏みますよ」 「ひ、酷いわ。スズちゃん……」  扉の奥から紅茶の載った盆をソソソと押し入れる政宗と、それを遠慮なく踏み付けて部屋に入ってくる鈴臣。 「そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫だよ、マサ姉。とても可愛いよ」 「そうかしら……」 「照れてる所なんか最高。ギュってしてチューしたいく...
  • Happy birthday 珠月様
    【Happy birthday 珠月様】 大変だ。  迷った。夕方に知らないイーストヤードに来ようとしたのが悪いんですがっ。 ある人を探して走り回っているうちに牙裂紅の目の前には噴水があった。 後方を見ても家と街灯と道があるばかりで何処なのかもわからない…。途方にくれている彼女の目前に突然綺麗な髪をした男の人が現れた。一体どこから来たのだろうと辺りを見回してみたが、当然のことながら解らない。 はじめましての男性にここはどこかと聞くのも申し訳なかったが、ある人へのプレゼントの為だから…!と自分を説得し、遠慮がちに話しかけてみた。 「あの…すみませんが道を教えていただけませんか……?」 なにやらぶつぶつと言っていた彼への第一の感想は、『個性的な方だなぁ…』だった牙裂紅、口に出すと失礼だと思ったため言葉を呑込む。 そんな個性的な彼は、突然の出来事にも紳士的に答えてくれた。牙裂紅の持っていた地図...
  • Generico
    【Generico】 「こちらが目を通して頂きたい書類でございます」  自分より一回りは若いであろう少女に向かって、深々と頭を下げる。  少女はこちらを見向きもせずに、自らの髪をクルクルと玩ぶ。  いつもの事ながら、青筋を立てずにはいられない軽んじ方。  代わりのつもりなのか、少女の傍らに立つ男が嘲るように口元を歪ませた。 「面白い。それだけのためにわざわざ呼び出したと仰るつもりですか? 以前お会いした時より、冗談を言うスキルが上がったようですね」  ここを訪れる際には、必ずこの男を連れて来る。  普段侍らせている犬ではなく、こちらが一番苦手とする男を。  序列214位【ジューダフェデーレ(忠実な裏切り者)】佐々 鈴臣。  女王に忠実な彼らの中で、ある意味では最も忠実で、最も不実な男。 「まさか! そんなはずありません!」  この男はただの口先だけで、【オルデ...
  • Mitragliare
    【Mitragliare(質問ラッシュ)】  万具堂の書斎にはレトロな黒板がある。  藤司朗は時々、そこでレイヴンズの子供たち向けにお勉強会を開いていた。 「……という訳で、ここまでで何か分からない所とかあった?」  真っ先に上がる手。  藤司朗があえて視界に入れないようにしていたソレへと子供たちの視線が向かう。  藤司朗は額を押さえつつ、渋々ソレを指す。 「……はい、丈」  何故か子供たちに混ざって体育座りで説明を聞いていた丈之助は、手を上げたまま口を開く。 「ジェイソンってどれ?」  ただ今の授業は、「日本の昔の地理」である。 「西暦1900年頃の日本にジェイソンという地名はなかったとされているけど、俺自身が生きていた訳じゃないから絶対にないとは言い切れないかな? はい、他に質問は?」  笑顔で答えるが、再び手を上げたのは丈之助のみ。 「ジェイソンって場...
  • Sister & brother
    Sister & brother  連続して響いた銃声に、通行人たちは音源を探して周囲を見渡した。しかし、ウエストヤードのごちゃごちゃした街並みが邪魔をして、音源となるような物はみえない。  さらに音がした。銃声は反響し正確な位置を掴むことはまたしてもできない。しかし、確実に銃声が近付いてきていることに気づいて通行人は顔をこわばらせた。中には身構えるものも多い。戦闘態勢に入っている通行人やすみやかに移動を始める通行人の多くは、この学園の生徒だ。服に着いた校章や仕草もさることながら、服装と年齢ですぐにそうだと分かる。予科生は十七歳以下。本科生は十代前半から二十代前半というのが、この学園の常識だ。  学園都市トランキライザー。かつて企業ではなく国家というシステムが世界を支配していた時代には東京都と呼ばれたこの土地に、世界最高峰企業の一つであるライザーインダストリーが学園を建てたのはたかが十...
  • Piacere!
    『Piacere!』  別に、話さなかった事に深い意味がある訳ではない。  ただ、この少女がどういう反応をするのかが知りたかったのだ。  例え、そうする事によって政姉を傷つけたとしても。  俺は丈之助のように素直に感覚だけで信じたりは出来ないから。  何かの証拠みたいな物が欲しかったのだと思う。  それに、政姉は可哀想な事にその手の反応には慣れている。  表面上は困ったように笑うだけだろう。  そして、俺はその手の事で傷付いた政姉を慰める事に長けている。  彼女がどんな反応をしようと、大きな問題が起こる事はないだろう。 「ここが二人のお姉ちゃんのいる所?」 「そう。……あんまり巻き込みたくないんだけど、他に頼れるところもないしね」  俺たちの怪我は、素人の応急手当だけで放って置いて良いほど軽くない。  少しでも早く信頼出来るような医者に診てもらう必要があった。――それも、確実にあの人の...
  • ABOUT
    このwikiについて シェアード・ワールド作品School Of Life関係の作品wikiです。 同じような世界を舞台にして書いてみたいと思った方は、ドンドン書いてください。 設定は公式wiki「School Of Life ×TRANQUILIZER×学園2nd」にありますので、利用してください。 このwikiについて School Of Life って? 運営に関して管理人 編集について 関連 School Of Life って? sinさんの運営する『×TRANQUILIZER×』で生まれたシェアード・ワールド作品「トランキ学園」シリーズの第二段です。 舞台は黄道暦五十六年、以前日本列島と呼ばれたライザーアイランドに建設された完全独立学園都市“トランキライザー” 詳しくは、「公式wiki」をご覧ください 運営に関して 管理人 一応、管...
  • After Day
       「After Day」   翌日。出張から帰ってきた澪漂・二重はアルフレッドからの報告を聞いてため息を吐いた。  「なるほどな……形はどうあれ、一応の解決を見たわけだ。そういった点ではご苦労だったな」  言葉少なにしかししっかりと労いの言葉をかける二重に、アルフレッドは軽く会釈をして答えた。  デスクに座った二重の視線は、アルフレッドの斜め後ろに立つ二人の人物に向けられる。  「そっちの二人も協力感謝する。少なくとも法華堂がいなければ、事件解決までの成果は望めなかっただろう」  二重に声を掛けられた二人――東区画王の【ドラグーンランス(竜騎槍)】の狗刀・宿彌と、法華堂に仕事を依頼したエドワード・ブラックシープは、意外にも二重の口から感謝の言葉が出たことに驚いた風である。  「……君が憎まれ口や皮肉を叩くことはあっても、感謝なんて言葉が出るとは正直思ってなかったよ」  「私を何だと思...
  • 0、時計の針の終着点はどこか
    0、時計の針の終着点はどこか  チクタクチクタクチクタクチクタク  どこかで時計の針が時を刻んでいる。人間が時間という感覚を失わない限り回り続けるであろうそれは、自分のしっぽを追いかけて回る犬に似ている。どこかでも回るだけで、どこにも行きつけない。  時計は時を刻む。刻み続ける。しかし、精密に作られた時計もやがては年を取り、時を刻めなくなる。そうなった時、時計は死ぬ。人が死ぬように。花が枯れるように。石が風化するように。  チクタクチクタクチクタクチクタク  魂が擦り減っていく音がする。心がこぼれおちていく音がする。 「―――――」  薄暗い部屋の中、少女は小さく息を吐いた。  わずかな呼吸さえなければ、死人と見間違えたかもしれない。それくらい少女には生気がなかった。とはいえ、弱っているわけではない。そういう病人や瀕死人の気配はない。それにもかかわらず、少女はどこか死体に似ていた。...
  • Cavalleria
    【Cavalleria(騎士道精神)】 「……何それ」  珠月は眉間に皺を寄せ、おぞましい物を見たかのように唸る。  対して藤司朗はいつも通り満面の笑みを浮かべながら。 「いらっしゃいませにゃ、ご主人様」  滅多に感情を見せない珠月でも、こればっかりはと額を抑える。  本気で頭が痛い。 「あぁ、間違えたにゃ。こういう場合は、おかえりにゃさいませ、お嬢様だったにゃ」  平然と口にする藤司朗の頭には、本物かと思うほど精巧な金色の猫耳。 「……何、罰ゲーム?」  期待を込めて問うが、あっさりと首を振られる。 「猫耳期間中なんだよね、今。猫語とご主人様云々は篭森さん限定のサービス」 「……そんなので喜ぶ趣味はない」 「だろうね。喜ばれたら、ビックリして過剰にご奉仕しちゃったかも」  本気かどうか判断しにくい笑みを浮かべ、後ろを指差す。  そこには、一枚のポスタ...
  • トップページM
    シェアワールド作品School of Lifeの小説庫です。 作品 作者別 経世 逆襄 篭森 珠月 空多川 契 狗刀 宿彌 澪漂 二重 朝霧 沙鳥 望月 遡羅 時夜 夜厳 崇道院 早良 世都母 比良坂 更新履歴 取得中です。 上記以前に更新された物はこのwikiのページ一覧から 外部リンク ・別館 絵や漫画を置いています。携帯からの閲覧可能。 ・School Of Life ×TRANQUILIZER×学園2nd 公式wikiです。設定を置いてます。
  • 巫 牙裂紅
    お誕生日祝いHappy birthday 契様 Happy birthday 沙鳥様 Happy birthday 珠月様 Happy birthday 慧様 Happy birthday 長島先生 Happy birthday 宿彌様 Happy birthday 東華様 Happy birthday 勇太郎様 Happy birthday 霧戒様 Happy birthday 遡羅様 Happy birthday 早良様 Happy birthday 夜巌様 お誕生月祝いHappy birthday 2月の皆様 Happy birthday と maryychristmas地下 東 西 南 中央 中枢? 思いつきイメージチェンジ? 炬燵に蜜柑 雪の兄弟とクロい女の子 バレンタインデー 噂のあの人 その後
  • Happy birthday 2月の皆様
    【はっぴーばーすでぃ2月組さま】 2月半ば。まだまだ寒く、温かい布団にくるまっていたい時期なのだけど。 「はっ、お店っ!!」 牙裂紅はガバッと布団からでた。勢いで掛け布団がすみに飛んでいく。 一瞬それを見送ってから慌てて布団を取りに行き、几帳面に畳んで部屋の角におしやる。また布団のなかにもぞもぞと潜っていきたいのを我慢して、身支度を整え外に出て鍵をしめる。 「よし、今日も余裕を持って、全力疾走しよう。」 カイザーストリートは恐ろしい所なのだと、葉桜に弟子入り志願したときに聞いたことが未だに頭に残っていた。そのせいなのか、いつも店まで走って行くので予定よりも大分早く着いてしまい、師匠である 序列280位【ミューテーション(自家不和合成)】の桐ヶ谷桜花が毎度起こされていた。 今日も無地に早く着いた。いつもより一時間早いのはけして牙裂紅が時計を見間違えたからではなく、意図してのことだ。 ...
  • First contact/崇道院早良&冷泉神無
     崇道院早良は迷っていた。そう、二つの意味で。  ここは西区バザールの近く。何か面白いことはないものかとほっつき歩き、自分が今どこにいるかをろくに考えもせず西区のバザールへと辿り着いた。そして、ぷいっと入った路地の奥でなにやら不思議な店を見つけた。  水紋に葉っぱが浮いた意匠の透かし彫りの看板の店、すなわち〈水葉庵〉。面白いかもしれない、それだけの理由で早良はそこへ足を踏み入れた。  目的地などなかったのだから道にはもとより迷ってなどいない。早良の迷いとは「視界のきかない店内でどう進んだものか」と「目の前に現れた可愛らしくも面妖なこの生き物は果たして何であろうか」という、二つの迷いであった。  店の奥より現れた不思議生物はすぐに更なる奥へと歩き出す。さながら、ついてこいと言わんばかりのその姿に逆らったところで無意味であり、早良はおとなしくついていく。  店の最深部、現れたのは不思議生物では...
  • 3、愛情と憎悪の差異は何か
    3、愛情と憎悪の差異は何か  空から灰が降ってくる。  生き物が業火で焼かれると、有機物は気体となって散逸し無機物だけが残る。それが灰だ。故に灰は地上に縛られるものの象徴でもある。また崩れ落ちる脆さから儚さを示し、同時に着火の媒体に適しており、一定条件で再び燃え上がることから再生や復活の象徴ともされる。触れれば汚れるのに、化学物質といしてみると洗浄力に優れることから古くより洗剤としても使われ、穢れを払うものともされる。矛盾した存在だ。  そのせいか、白でも黒でもない灰色は境界線に立つものの暗喩である。  一度は終わっていて、蘇るもの。元をなくしたなにかの残骸。  手を伸ばす。触れても触れた先から崩れ落ちて壊れてしまう。それでも伸ばす。伸ばして触れれば壊してしまう。  耐えきれなくなって珠月は叫んだ。叫びは灰の空に飲みまれ、消えた。 「―――――ごめんなさい」 「大丈夫。カゴは何にも悪く...
  • ぶらりクリスマスお届けもの巡り/東
    ~東区画~ お次は東区画。迷子の記憶しかないが、もう迷子にならないと決心して地図がなくてもその辺ならいけるようになった。 「篭森さん…篭森…さん……。」 前に会った時と同じようなところをうろついてみる。 と、ある噴水のところに人影があった。全体的に黒を基調としてある服で、スカートがふわりと膨らんでいて、黒い短めの髪の上には小さな帽子のようなものを付けている。そんな人は序列24位【イノセントカルバリア(純白髑髏)】の篭森珠月しかいない。 「篭森さん、こんにちは。」 牙裂紅が声をかければ振り返って少し小首を傾げて返答してくれる。 「こんにちは。……どうしたの?」 「はいっ!えっと、お誕生日のお祝いに…」 言い辛そうにしゅんとする牙裂紅を見て珠月は少し怪訝な顔をして聞き返した。 「お祝い…?」 自分の誕生日のお祝いなら、もう過ぎている。 「すみません、色んな方のお祝いが遅れてしまってこんなこ...
  • Baa,Baa,Black sheep Ⅱ
    Baa,Baa,Black sheep Ⅱ めえめえ黒い羊さん 毛皮のウール お持ちだね はいはい 袋に三つ ご主人様に一つ 奥方様に一つ もう一つは小道の奥の一人ぼっちの子どものために  学園内某所  ブラックシープ商会の幹部会が開かれていたのと同じ頃、まったく別の場所でも複数に人間が同じように顔をつき合わせていた。 「そろそろ、動揺が広がり始めたころかな」 「ええ。内通者がわざと経営陣への不審を煽っているはずです。このまま犯人が見つからなければ、ブラックシープ商会への忠誠心は落ちる。そもそも、あのリンクは専門的な能力が低い。誰にでもあれと同じことをすることくらいできる」  学園内には、複数の商人リンクがある。  例えば、〈ブリリアントスター〉 校内最大の細工師と鍛冶職人のリンクで、その品質は他の追従を許さない。  例えば、〈伊座波農林水産協会〉 校内どころか世界の食糧事情にも...
  • First contact/狗刀宿彌&ネモー・ヌスクヮム
    学園都市トランキライザー。その東区画、イーストヤード。 都市内でも比較的、諍いや犯罪の少ない区画である。  その区画のおおよそ中心に位置をおく、中規模の公園。 『イリニスティス(平和主義者)』、そこは平和なイーストヤードを象徴づけるように、デートをするカップルや露天商を営む学生、ペットの散歩をする学生、スポーツやトレーニングに勤しむ学生で溢れていた。  その公園の噴水前、待ち合わせやデートの人々で賑わい、人の溢れるその場所に、彼女はいた。  彼女と言っては見たものの『今』の彼女の肉体は女性のそれではない。 かと言って元女性であるとか、心だけは乙女であるとか、そう言う意味ではない。  彼女は女性として生を受け、今現在も確かに女性なのだ。  だが今、その肉体は男性のものである。  それは彼女の能力に起因する。  『ノゥバディ(隣接する別人)』―――それ...
  • ぶらりクリスマスお届けもの巡り/地下
    【ぶらりクリスマスお届けもの巡り】⇒地下 12月25日、クリスマス。 あるサンタが幸せを運んで回ったり、またあるサンタがそれの手伝いをしたり、しなかったり。嫌な人は嫌だけれども好きな人は楽しみなそんなクリスマス。 店はクリスマス用に飾られ、華やかになっているし、木や街灯も電飾やら何やらで飾られている。  地下区画の修繕屋『葉桜』も例外ではなく、それなりに、それなりに。飾り付けがされてあった。 「うー……」 例外なのはいつも一人を祝えば済むはずの牙裂紅の荷物が明らかに複数分あること。桐ヶ谷桜花も異様な量の箱を見て「サンタにでもなってプレゼントを配ってくるのか?」と揶揄して控え気味に笑っていた。 「クリスマスのプレゼントじゃない…んですけど…。すっかりそんな感じになっちゃいましたね…あはは、はぁ……」 牙裂紅はそれを否定できなくて苦笑を浮かべて返事をし、箱を袋に詰めて肩に担い...
  • 早良のわくわく潜入日記~四十物谷調査事務所の飲み会編~
     ここは、とある飲み屋。学内リンクの一つ、四十物谷調査事務所が飲み屋を丸々一軒貸し切っての飲み会を行っているところである。リンク全体の六割ほどだというが集まっているメンバーの数は多く、人種からランキングまでの何もかもがバラバラで一見して何の集まりかわからないような、そんな集団であった。  その上座付近には代表である【ホーンデットアックス(怪奇斧男)】四十物谷宗谷を始めとしたリンクのコアメンバーが集まっており、そこに包囲されるかのように南区画の王である【キングオブインサニティ(狂気の王)】経世逆襄が何故か座っていて、一桁や二桁をも含むトップランカーの塊という恐ろしいスペースが出来上がっていた。  そんな飲み会の一角に【ジャック・ザ・リバー(闊歩する自由)】崇道院早良はいた。このうごうごと人のひしめく室内でどんな楽しいことが起きるのだろうか、そう考えるだけでわくわくものであった。  早良はこ...
  • あだ名1
    「んー…何度見ても…不死原(しなずはら)、不死川(しなずかわ)…うー、呼びにくい…呼びにくいよ」  「何をいきなり…」  「フシバン、フシカンの方が呼びやすい。 決めたよ、カゴ、僕は彼らをフシバン、フシカンで認識する事にする」  「宿彌は…どうして何時も適当にあだ名をつけるかな? どうせ長続きしないでしょ」  「気分だよ、気分」  「この前もドナルドのこと赤アフさんって呼ぶって言い出して…今結局ドナーじゃない」  「更に今はドナチーだよ」  宿彌はぐっとサムズアップを決めた。  篭森は頭を抱える。  この上司でもあり、友人でもある男はOOPARTSで感情が希薄になっている癖に、こういうところやけに子供っぽい。普段は有能と言えば有能なのだが、子供スイッチとでも言えば良いだろうか、一旦そのスイッチが入ると急に幼くなる。過酷な幼少時代を送った反動かとも思うが…感情が希薄に...
  • Battle (1)
       「Battle (1)」  アルフレッドとモニカは、西区画『匈奴二番街』を歩いていた。この地域は西区画の中でも特に治安の悪い辺りなので、アルフレッドはそれとなく周囲に気を配りモニカをエスコートしている。  「なんか……雰囲気の悪い街ねぇ……」  「まぁ仕方ないですよ。この辺はウチの団長や瞑獄さんも手を焼いていたようですし」  現西王の澪漂・二重と先代西王の瞑獄・鞍螺。いずれもランキング超高位ランカーであるが、そんな彼らでもこの街の病巣を取り除くことはできなかったのだと知り、モニカは微妙な表情を浮かべて改めて街の風景を見回した。そんな彼女の様子にアルフレッドは苦笑して続ける。  「力のある者からそれを奪うことは簡単ですけどね、力のない者を救うために何かを与えることは思ったより難しいんですよ。この学園都市に限ったことではないですが、旧世紀以来資本主義の最大の汚点ですね」  道端に転がる...
  • 篭森 珠月
    First contact毎熊匠&雪城白花 篭森珠月&空多川契 法華堂戒&エドワード・ブラックシープ 篭森珠月&ジェイル・クロムウェル 不死原夏羽&不死川陽狩 矯邑繍&にゃんにゃん玉九朗 朧寺緋葬架&四十物谷宗谷 冷泉神無&法華堂戒 ミヒャエル・バッハ&篭森珠月 望月遡羅&篭森珠月 朝霧沙鳥&篭森珠月 戦原緋月&星谷遠 朧寺緋葬架&篭森珠月 ブラックシープ商会 Baa,Baa,Black sheep(めえめえ 黒い羊さん)Baa,Baa,Black sheep Baa,Baa,Black sheep Ⅱ Baa,Baa,Black sheep Ⅲ Baa,Baa,Black sheep Ⅳ Baa,Baa,Black sheep Ⅴ ブラックシープ商会短編羊の日常 羊の日常 其の二 羊さんの届け物 前編 羊さんの届け物 後編 四十物谷調査事務所 四十物谷調査事務所調査...
  • 澪漂 二重
    sheep Cooking Psychic and Witch Knife and Fork 8ave Battle (1) Battle (2) Vampire After Day 交響曲第一番 【無能】チューニング 薄暗い部屋の中で 第一楽章 音楽家たちの円卓 第二楽章 戦争、開始(1) 第二楽章 戦争、開始(2) 第三楽章 鋏と死骸(1) 第三楽章 鋏と死骸(2) 第四楽章 終演時間 カーテンコール 見えざる囚人 交響曲第二番 【無礼】チューニング 謎の会合、あるいは一重の憂鬱 第一楽章 虐殺者たち、あるいは擦れ違い(1) 第一楽章 虐殺者たち、あるいは擦れ違い(2) 第二楽章 交錯する者、あるいはヒーロー見参!(1) First Contact澪漂二重&澪漂一重 澪漂二重&朝霧沙鳥 三島広光路&望月遡羅 学園都市トランキライザーの異常な日常バレンタインデー編...
  • 学園都市前奏ダーククロニクル迷走編/一章 A『DETECTIVE office 乱』
       一章A 『DETECTIVE office 乱』  暗い場所だ。明かりは一箇所だけが灯っており、周囲の闇を照らすには乏しすぎる。  瞬間的に夢を見ていると気づく。夢といっても、内容は三年ほど前に現実として起こった出来事だ。  正直、思い出して楽しいものではないし、出来れば思い出したくはない。それでも拭えるわけがなく、今も見つめ続けては魘(うな)される。 「よせッ! 止めてくれ! こんなことを続けてなんになるッ」  正面には唯一の光源、強化ガラスで作られた巨大な円柱の試験管に、淡く光る薄緑の羊水が満たされていた。  過去の自分が、パネルを操作する科学者に掴みかかる。  夢だとわかっているのに、身体は過去の自分をトレースした。 「何をなさるのですか、お止めください!」 「藤堂。――これが我々の天命だ」  横合いからかけられた声音...
  • 羊の日常
    羊たちの日常 part1 管理職の場合 「ふ~る~や~し~き~さ~ん」 「しゃべり方がダルイ」  振り向きもせず、序列366位古屋敷迷(ふるやしき まよい)は手元にあった民族調の木彫りを背後に向かって投げた。わずかな時間をおいて、ぎゃあという悲鳴と手ごたえがする。 「う……酷い、酷いですぅ! あれですね。古屋敷さんはサドですよね。サディストです。最悪です。社内暴力で訴えてやるぅ!!」 「失礼なことを言いますね。インダストリアリストで、殺傷能力などない私に対してとんだ言いがかりです」  そういいながら、在庫チェックはやめない。およそ倉庫の作業には不向きと思われる羽織姿だが、これは彼の普段着だ。なぜ羽織かというと、入社当初他の幹部の影に隠れて存在が目立なかったため、目印代わりに珍奇な格好を始めたことに由来する。以降、くせになり現在までそれは続いている。 「でもサイキッカーじゃないですかぁ」...
  • First contact/沙鳥&比良坂
     B.Z.43 December  学園都市から東へ二キロほど離れた廃墟に、少女たちは佇んでいた。  男がそこを目指したのは、偶然のようなものだ。  東区画と呼ばれる場所の整備を行なっていた際に、街の東端まで至ったところで、彼の能力がそこにいる子供たちの存在を感知した。  だが、そこへ向かってみたのは、結局にして、ただの気紛れだったのだろう。  男が目的の場所に到達し、周囲を見渡す。  一人だけ、わずかに離れた場所から、他の子供たちを見詰めていた十歳に満たないと思える少女に歩み寄り、声をかけた。 「こんなところでなにを見てる?」  少女がゆっくりと視線を上げる。この年頃の子供に対して、ぶっきら棒な物言いだっただろうか。そう心配した男の考えとは裏腹に、気にした風もなく、自らの指先を前方の空間に向けた。そこには、どこからか持ってきたらしいスプリングのいかれたソファが置かれ、二つの死体が...
  • First contact/狗刀宿彌&牡丹
    First Contact 狗刀宿彌&牡丹 B.Z.×× February 『×Kreuzung×』  薄暗く、澱んだ空気が満ちた空間に沢山の円筒状の物体がある。 それは淡い緑の液体に満ちており、よく見ると巨大な試験管であることがわかる。  中には奇妙な形状を為した生き物がいた。  巨大な犬のような生き物だ。 だがその形は酷く歪み、蜥蜴を思わせる鱗が全身に生えていたり、足が四本を超えていたり、犬と蜥蜴の双頭であったりと明らかな異形であった。  そしてそれらは時と共に血を滲ませ崩れていく。  数人の人間たちの失意の溜息が空間に満ちる。  「また失敗作か…ックソ! このクソ犬どもが…いったい幾らのコストをかけてると思ってやがる…!?」  白衣の蒼白の顔をした男が声を荒げていた。  「上は…何もわかってない癖に、成果を出せ出せだせだせだだせだせだせ…そんなことはわかっている! 貴様らが...
  • First contact/時夜夜巖&クロエ
    ―――拝啓、ミナサマ。オハヨウゴザイマス、夜巖デス。 今俺は、ボルムセ島に来ています。 何故か、デスカ? ソウデスネェ、俺は今頃、本来なら学園で幽那とマッタリゴロゴロしている筈ダッタのですが、何故こうなったのかと言いますと。 「攫われたからデスヨォォォォォォォ!」 「……? どうしたの、いきなり叫んで? 壊れた?」 夜巖の叫びに怪訝な目を向けるのは、日傘を優雅にさす女性。 白のフレアーギャザースカート、白のスモッグブラウスという服装で、背丈は14の夜巖より少し高い程度。160前半といった所だ。年齢は二十歳くらいに見えるが、様々な技術が進んでいるこの時代、決して見た目通りの年齢とは限らないので、実年齢は不明。 本当のところは夜巖も知らないが、恐らく一回り離れたくらいではないかと予想している。 「……起きて気付けばこんなトコロにイタのデスヨ? 叫びたくもナリマス」 「ちょっとした日常へのスパイ...
  • 学園都市前奏ダーククロニクル迷走編/序章 『上海暗躍』
     西暦二〇五六年七月、民族間、宗教間で端を発した戦争の火種は、一気に国家間の本格的武力衝突へと発展した。世に云う〝第三次世界大戦〟の勃発である。  その背景には、当時において、すでに世界の先頭に立ち、独裁的ともとれる思想と理念により、世界の政治経済の方針を指揮していたアメリカ合衆国に反旗を翻した形でもあった。  同年十二月、ロシア連邦共和国は、核兵器妨害装置(NuclearJammerSystem)の開発に成功し、これによって世界が核の脅威にさらされる事態を未然に回避する。  その行為は、地球という星にとって有益なものであり、賞賛に値する功績でもあったが、同時に人々が営む世界に在っては、止まることのない戦争という存在の愚かさをまざまざと見せ付ける結果となった。これより、〝第三次世界大戦〟は、次なるステージ、〝第一次非核大戦〟へと移行した。  アルティメットウェポンとまで称された核兵...
  • @wiki全体から「Papera」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

目安箱バナー