創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki内検索 / 「グラウンド・ゼロ 第13話」で検索した結果

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  • グラウンド・ゼロ 第13話
     軽い音と共に、頬に痛みが走る。  しかし最悪な体調に紛れてさして感じられなかった。  目の前の青年は振り切った手を後ろに戻して、そのまま電動車椅子に座すヤマ モトの傍らに移動して、そこに佇む。  ヤマモトは艦長の証である帽子を被り直した。 「シンヤ・クロミネ」  彼の語調は重苦しい。 「なぜ、命令を無視した」  沈黙で返す。 「いいか、お前の命はお前のものだ。何に使おうがお前の勝手だ。だがな、俺た ちの命は俺たちの命だ。お前に勝手にされるいわれは無い。」 「……はい。」 「お前の馬鹿な行動のせいで4分、戦闘領域からの離脱が遅れた。4分だ。お前 は4分も余計に全員の命を危険にさらしたんだ。」 「……はい。」 「……本当にわかっているのか!」  単調な受け答えに、声を荒げるヤマモト。  その真っ直ぐな目から顔を反らし、シンヤは小さく「……はい」と答えた。 ...
  • グラウンド・ゼロ 第18話
    ...山と見紛う程の巨体はグラウンド・ゼロを目指している。そこにあるで あろう、世界の覇権を握る資格を得るために。  させてたまるか。そう思った各国首脳は連合を組み、そして自分たちの持つ戦 力を歩行要塞の予想進路の約300キロメートル前方、かつてのインド北東部に 展開させていた。  しかしその戦力は彼らのほんの一部である――それでも大規模と言えるが―― 戦闘用アッシュモービル数隻だけだった。連合が消耗戦に持ち込む腹積もりなの は、それだけ見ても明らかだった。  歩行要塞司令官ジェイムズは常に先行し、進路上の安全を確認しているティル ローター機からの報告でそれを知っても表情を変えなかった。彼はこの歩行要塞 の弱点は把握している。  連合がそういった戦法でくるというのは当然に予想ができていた。  そして、そのために自分たちは『彼ら』を得たのだ。 「『ゴールデンアイズ』...
  • グラウンド・ゼロ 第12話
    「整列!」  号令が飛ぶ。  シンヤは他のメンバーと同時に音を立てて踵を揃えた。  今、シンヤたちは平蛇専用ドックに居る。  平蛇は予想以上に巨大だった。  一体端から端まで何メートルあるのだろうか見当もつかない。そしてそれを丸 ごと収容できるこのドックと、さらにそれを所有する幽霊屋敷の施設の大きさも 。  並ぶシンヤたちの目の前に居るのはいつもの通りアヤカ・コンドウともう一人 だった。  彼はタクヤからはまだシンヤと同じ位の歳だと聞いていたが、電動車椅子に腰 掛けている。その顔つきは険しく、とても十代には見えない。眉間には既に何も せずともはっきり現れる皺があった。  彼の名前はタケル・ヤマモト。 「今回の出撃は3日の予定だ。さして危険な任務ではないと思うが、君たちには 一切の油断をせず任務にあたってもらいたい。全員揃っての帰還をしよう。」  語り口にもす...
  • グラウンド・ゼロ 第19話
    ...―このまま歩行要塞がグラウンド・ゼロに到達し、コアを手に入れても、コ ロニー・ジャパンはその恩恵を受けられないでしょうね」  彼女は続ける。 「この国は莫大な賠償金と明らかに不利な国際条約を結ばされるでしょう。そう なったら近い将来、財政が破綻して最悪、国家解体となるかもしれません。その ための情報も、向こうは持っているみたいですし……」  シンヤは頷いた。 「回避するにはどうすればいいのかは……」 「コンドウさん頼み、です。」  そうオカモトは言いきった。  この状況を打破するには、歩行要塞を潰すしかなく、そしてそれは――そのた めの策をひねり出せるこの国で唯一の人間であろう――アヤカ・コンドウにかか っているのだ。 「無理ね」  アヤカ・コンドウは力強く言い放った。  彼女と向かい合うタケル・ヤマモトは改めて確認する。 「歩行要塞を倒すこと...
  • グラウンド・ゼロ 第10話
     廊下を走っていたシンヤは目的の扉の前で急停止する。  息も整えないまま、突き飛ばすようにその扉を開けて部屋の中に飛び込んだ。 「ノックぐらいしなさい。」  机で作業をしていた部屋の主が、鋭い口調でそう言ってくる。  無視してシンヤは叫んだ。 「リョウゴを拉致ったって、本当ですか!」  アヤカは視線をこちらに向ける。いかにも面倒くさそうにため息をついた。 「本当よ。」 「何故!」 「何故って……元々、君じゃなくてナカムラくんを拉致する予定だったのだけれ ど。」  平然と作業を続けるアヤカ。  シンヤは駆け寄った。 「今ならまだ間に合います、リョウゴを解放してください!」 「どうして?」 「俺がリョウゴの分も働きます!それでなんとかしてください!」  机に手を突き、額をぶつけるように頭を下げる。  しばらく反応を待ったが、何も無かった。  奥歯が軋む。 ...
  • グラウンド・ゼロ 第11話
     守るべきアッシュモービルは四日前に見た箱亀の子供のようなデザインだった 。  親より二回りほど小さく、平べったい。  そしてその各部からは黒煙が上がっていた。  その煙の原因の、何発もの砲弾を打ち込んだ敵のアッシュモービルからは「長 い触覚が頭に二本新たに生えたナマコ」といった印象を受けた。  灰を巻き上げながら動く、その敵艦のまるっこい巨体からは何本もの大小さま ざまな砲や機銃が飛び出している。前に飛び出した一番大きい二本が主砲だろう。  そしてシンヤたちより早く接近していたキタとシマダの相手をしながら、その 周りを飛び回っているのが敵のAACV。こっちのものとデザインが大きく違う のでどういう機体かはわからない。先輩に任せよう。  高度を低く、時速600キロメートルで、シンヤはアッシュモービルへ向かっ ていく。  警告音がうるさい。舌打ちをした。ロックされて...
  • グラウンド・ゼロ 第17話
    ...は3年半前、ゲームのグラウンド・ゼロのランキングでトッ プに居た男で、当時彼は最高学府を、非常に優秀な成績を修めていたにも関わら ず何故か中退してフリーターをやっていたわ。AACV操縦は初日にマスターし 、初陣で2機を撃破。ギフテッド認定を受けたのはわずか1週間後。その後1年 半経って、ゴールデンアイだということがわかった直後、彼は幽霊屋敷を脱走… …」 「その方法は?」  義手を掲げた青年が問う。  アヤカ・コンドウは一旦顔を上げて部屋をぐるりと見渡す。それから軽く息を 吐いて、そして答えた。 「……フリークライミング、が、一番近いかしらね。」  彼女が何を言っているのか理解できない、という風な雰囲気が流れた。 「彼は深夜警備システムをダウンさせ、復旧までのわずかな時間で部屋の窓から 外へ出て、ほぼ素手で、柱の外壁を伝って街に下りたの。」  ……これは笑...
  • グラウンド・ゼロ 第16話
    ...だ、と思った。  グラウンド・ゼロが果たしてこの地球のどこなのかはわからないが、これでこ の生存競争の決着は時間の問題になったと言っていいだろう。しかし真の問題は 歩行要塞の進行方向には無い。  ついにきたのだ、決着の時が。  果たしてジャパンはどう立ち回るべきか、あの老人はどうするのだろう。  アヤカは何一つ決められない自分の非力さに、わずかに歯噛みした。 「『ゴールデンアイ』?」  タクヤが聞き返すと、リョウゴはうなずいた。 「そいつについて、何か知りませんか?タカハシさんは情報通だから」  その言葉を聞いて、タクヤは腕を組みつつ苦笑する。 「そんな頼りにされても困るんだけどなー。」  リョウゴはタクヤから目をそらさない。タクヤは諦めた風に頭をかいた。 「わかった。教えるからさ、んな目で見んなよ。」 「ありがとうございます。」  タクヤは真剣...
  • グラウンド・ゼロ 第15話
     閃光が視界を覆った!  自動的にモニターにはフィルタがかかるが、網膜にはすでに軽度の焼き付けが 起こっている。  シンヤは直感に従い空中で機体を捻って、死角からのバズーカ砲をすり抜けた 。  そのまま無理のある姿勢のままグンと高度を上げて、さらなる追撃をまた一発 、避ける。くらりと目がくらむ。  回避先には別の高機動型がライフルの狙いを定めていたが、シンヤはそれをス ラスターの火の方向を一瞬反転させての急減速でギリギリ踏みとどまる。しかし 反撃には転じられず、シンヤは牽制にトリガーを一回引いただけだった。当然当 たらない。  敵機たちから離れようとするシンヤの機体の背中に狙いをつけたのはさらに別 に居た敵の重装型だった。  シンヤは直感した、これは撃たれると。  だがシンヤはこれっぽっちも焦ってはいなかった。  引き金は引かれ、大型ライフルの弾丸の群れがシン...
  • グラウンド・ゼロ 第14話
    ...方法を使えば簡単に、グラウンド・ゼロを見つけられてしまう。  もしそうして新生ロシアが小惑星の核を手に入れてしまったら……  生存競争に敗北する。  それだけは、なんとしても避けなければならない。  下唇を噛んだ。  予感がする。  嵐の来る予感だ。  自分たちが手に入れた情報は他のコロニーたちも手に入れたと考えていいだろ う。いや、そんな甘い考えでは駄目だ。自分たちは出遅れたと考えるんだ。追い 付き、追い越さねばならないのだ。  捕まえた少年は技術的なことまでは知らなかったようだった。当然だろう。ト ップシークレットに指定されているに決まっている。  となればだ。  ベストは「釣り」か。  しばらくは新生ロシアの好きにさせて、見つけたような動きを見せたら、追い かけて、叩く。  シンプルな作戦だが、それだけに難しい。  何故なら世界中が動くだろう...
  • ボーナストラック4
    ...本当めでたい!ついにグラウンド・ゼロも最終回を迎えてね、 俺たちが活躍する場も無くなるかと思うと少し悲しくもありますが。」 タクヤ「ああ、そうそう今回のゲストはグラウンド・ゼロのラスボス、ハヤタ・ ツカサキさんです!拍手ー!」 (ぱちぱちぱち) タクヤ「いや本当はね、ユイ・オカモトさんに出てもらうつもりだったんですよ 。」 ツカサキ「だけどあの【検閲により削除】、『タカハシさんと一緒にいると【検 閲により削除】される』とかほざきやがりましてね、それでワタクシの出番とな ったわけですよ。」 タクヤ「いやーホント、映像だったら無理な荒業!こんなアイデア思い付くなん て流石俺!」 ツカサキ「ほんっとタクヤさんは頭良いですよねーすごいなーあこがれちゃうな ー」 タクヤ「そうだろ?だろだろ?さて、今回のお題は『グラウンド・ゼ...
  • グラインドハウス 設定
    ...るために幽霊屋敷が『グラウンド・ゼロ』を開発。ダミー会社を通して国内のゲームセンターに設置する。 18年前 シンヤ・クロミネ マコト・アマギ 誕生。 4年前 ハヤタ・ツカサキ幽霊屋敷へ。 1年前 『金眼事件』発生(グラウンド・ゼロ本編)。幽霊屋敷の存在等、さまざまな国家機密が暴露され、世界中が混乱する。幽霊屋敷再編。 現在 マコト・アマギ『タルタロス』へ参加(グラインドハウス本編)。 【登場人物】 マコト・アマギ(Makoto Amagi) 男性 高校三年 趣味 買い物 好きなもの 豚骨ラーメン 自由 RADWIMPS 嫌いなもの 強制 ごくごく平凡な男子高校生 思考も感覚も常識的な、いわゆる『いい子』。 だが、ユウスケ・コバヤシと仲が良かったり、孤立を心地よいと感じているあたり、 本当は『いい子』でいた...
  • グラインドハウス
    この「グラインドハウス」は、「グラウンド・ゼロ」の続編にあたります。 前作を読んでいなくとも楽しめますが、読んでいるとより楽しめます。 第1話「イントロダクション」 第2話「動き出す、×××」 第3話「闇はいつでも僕らのそばに」 第4話「タルタロスへようこそ」 第5話「Are you ready?」 第6話「一年ぶりの戦場」 第7話「あなたはいくらで人を殺しますか?」 第8話「お求めはHPにて」 第9話「お久しぶりです」 第10話「復讐のオルフェウス」 第11話「因幡の白兎」 第12話「冥界の番犬」 第13話「インターバル」 第14話「それぞれの夜」 第15話「真相への第一歩」 第16話「カウントダウン開始」 第17話「死神は手を伸ばした」 第18話「戦い タルタロスにて」 第19話「戦い 檻の内外にて」 第20話「戦い 心中にて」 第21話「戦い 東京にて」 第22話「決着」 最...
  • グラインドハウス 第16話
    ...る。 「この機械はグラウンド・ゼロの筐体。ヤミ市場から買ってきたの。」 「ヤミ市場?」 「いわゆるブラックマーケット。略してブラマヨ。」 「『ヨ』どっからきた。」  軽く笑って、イナバは機械に使う配線をビニール袋から引っ張り出す。 「これからここを君のための練習室にするから。筐体の設置が終わるまで付き合ってね。」  聞きながらマコトは疑問に思う。 「練習室ならタルタロスにもあるけど」 「タルタロスじゃできないことをするんだよ」  2人は作業にとりかかった。  しばらく経って―― 「これで完っ成!」  最後のケーブルを挿し終わって、イナバはふぅと息を吐いた。 「これで全部終わった?」  マコトが訊く。  イナバは頷いた。 「うん――まだちょっとシステムのセットアップとか残ってるけど、ほぼ終わりだよ。」 「……疲れたー!」 「私もだー!」 ...
  • グラウンド・ゼロ 第9話
    ...  シンヤが最後にグラウンド・ゼロをプレイした時、中央端末の電源が切れたこ とを。  考えられるのはこれぐらいしか無い。  そうだ。あれが単なる故障な訳がない。  端末はあの後正常に動いていたし、そういえば何故か店員も来なかった。とい うか、冷静に考えればあんなドンピシャで故障するとかどんな確率だよ。  だとしたら原因はシンヤのプレイにあったんじゃあないか?  確かあの時アイツは通信対戦をやっていたと言っていた。対戦相手の名前は… … 「『テスター』……だったかな。」  もしかしたらソイツがチートでも使っていたのかも。  財布からICカードを取り出す。  なんで、たかがデータ消滅にこんなマジになってんだろう。  自分でもわからない。  ただ、気になるのだ。  平凡な日常に転がり込んできた、ちょっとした陰謀の臭いに心が躍っているの かも。  好奇心は...
  • グラインドハウス 第13話
    ...いうことだけど、実はグラウンド・ゼロのサーバーがクラッキングを受けた らしくてね。簡単に言えば、故障させられたんだ。」  やはりか。マコトはあまり驚かなかった。 「質問いいですか。」  キムラが手を挙げる。 「僕たちの勝敗はどうなるんです?」 「ああ、そのことだけど――」 「私が説明しよう。」  タナトスが割り込んだ。 「今回のこの勝負は無効とし、君たちには共に20万の報酬が支払われる。」  無効試合か。 「ということは、また後日再戦?」  マコトは訊いた。するとタナトスが仮面の奥の目をこちらに向けるのがわかる。 「再戦したいのか?」 「……いえ。」 「僕も遠慮したいです。」とキムラ。 「そうだろう。だから再戦は無い。これっきりだ。」 「――でも、それでいいんですか?」  キムラがわずかに身を乗り出す。 「僕たちは良くても、観客たちは満足しないん...
  • ヒューマン・バトロイド
    「ヒューマン・バトロイド」 1話 グラビレイト 2話 戦場は怖いもの 3話 知将 4話 お約束?知らないな 5話 暴れる墓標 前編 後編 6話 踊る揚羽に見た悪夢 7話 僕と俺と惨劇と 8話 CROSS 9話 覚醒 10話 始まりは既に遠く…… 11話 ミキ・レンストルのパーフェクトお料理教室 12話 動いたのは世界ではない 13話 騎士の正義と孤児の悪 14話 love arrive 15話 宇宙と愛と狂気の閃光 前編 中編 後編 Epilogue カカオのお菓子は死の香り NextEpilogue きっと未来に続いてる イザ×2ラジオ第1回 イザ×2ラジオ第2回 イザ×2ラジオ第3回 クリスマスネタ 設定
  • グラウンド・ゼロ 第8話
    ...財布。  その中のグラウンド・ゼロのICカードを見て、久しぶりに公式サイトをチェ ックしようと思い立ち、ページを開いたのだ。  大きなバージョンアップの情報も無く、適当に他のプレイヤーの成績を見て終 わろうとして、そういえばシンヤはどんな成績だったのだろうか気になったのだ った。  しかしシンヤの名前は見つからない。  登録していないのかと思ったが、シンヤがICカードを作る時に自分が「登録 しろ」と言ってやったはずだ。実際に成績を見た記憶もある。後から成績開示を 取り止めることは出来ない。  なら、何故アイツの名前が消えている?  他のプレイヤーの成績の削除依頼は受け付けられていない。だとすれば…… 「運営が消したのか?」  しかし何故。運営にシンヤの知り合いでも居たのか?いや、ほっといてもゲー ムをしないまま半年が経てばICカードが失効して成績も勝手に消...
  • 投下順・作品一覧
    ...A氏 作品名:グラウンド・ゼロ  作者名:◆tH6WzPVkAc氏 eXar-Xen――セカイの果てより来るモノ――  作者名:◆5b.OeHcAI2氏 作品名:パラベラム! イエス、マイディアレスト  作者名:DSの人◆a5iBSiEsUFpN氏 作品名:パラベラム! ―運び屋アルフの何ということもない一日―  作者名:◆YHSi90Gnr2氏 作品名:パラベラム! 烈火と疾風  作者名:PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM氏 作品名:転移戦線異常有り!? 大海上都市群「兵庫」重歩兵中隊がワームと戦うようです  作者名:◆gD1i1Jw3kk氏 作品名:とあるツッコミ体質の男の受難  作者名:6スレ目882◆MVh6W.SAZtbu氏 作品名:タイトルは未定だよ!  作者名:DSの人◆a5iBSiEsUFpN氏 ...
  • グラインドハウス 第9話
    ...ればいいのか?  グラウンド・ゼロはもう普通のゲームセンターには無いし、タルタロスの練習 室では対人対戦はできないので練習にならない。  タルタロスに参加して対人の経験を積むのは……やはり、嫌だ。  そもそも、自分が『タナトスに挑む』と言った直後、あんなに嬉しそうな反応 を示したコラージュの期待に応えてやるのも癪だ。  だから俺は、俺自身では『なにもしない』ことに決めた。  タナトスとコラージュを失望させてやることが、マコトにできる唯一の反撃だ った。  だから警察に頼る。  そのためには、通報するか、直接警察署に行かなければならないのだが、これ らの行為がどれだけ危険な行為なのか理解できないほど、マコトは馬鹿でもなか った。  通報にするにしても、携帯電話は使えない。もし自分のケータイで110に電 話したなら即タルタロスにバレるだろう、そんな気がする。あ...
  • グラインドハウス 第10話
     次の日、マコトが学校から帰ろうと下駄箱で靴を出していると、突然に声をか けられた。 「アマギくん。」  親しげでありながら礼儀はわきまえている、クラスメイトへの呼び掛けの模範 のような調子でそう言ったのはコウタ・キムラ――マコトのクラスの学級委員長――だった。  マコトが彼の方に顔を向けると、彼は何やら神妙な面持ちでいる。  どうしたのか、とマコトが訊くと、彼は言った。 「今日、これからいいかな……コバヤシくんのことで、ちょっと。」  ポテトが乗ったトレイを手に席に戻ると、キムラは携帯電話を閉じ、マコトを見た。 「ポテトだけ?」 「ああ」 「ハンバーガーとかは?」 「腹減ってないし。」  ゆっくり話せる場所を、と学校の近くにあるファーストフード店に入ったのは 失敗だったかもしれない。マコトは前回タルタロスでコラージュの話を聞いてか らというもの、肉を...
  • 舞台設定
     注意 ここには1話のネタバレ要素が大量に含まれています     1話読了後にお読みください シャドミラ第一話舞台設定 本編が比較的シリアスだったせいか ミムより下の設定はネタに走り気味です。 人物・世界設定 「村」  名無しの村  王国に認識されておらず、防衛措置等をとられていない村である。  つまり国から出てきたものが国に秘密で勝手に作りあげた村ということである。  そもそも現在、妖魔の攻撃により人が住める都市は限られており、都市に人が溢れて出て行かざるならない人が多くいる。  そのような人が自分達が住む場所を作るには新たに集団を結成して村を作るしか無かった。  この例は決して少ない例ではなく現在王国が持っている問題の一つである。  そんな風に作られた村であったが村を作って2年目、ついに一つの問題が起こる。  妖魔の襲来である。  鋼機を配...
  • グラインドハウス 第3話
     次の日、ユウスケ・コバヤシが学校に来ていないことを知っても、マコト・ア マギは別に何も感じなかった。  別に珍しいことじゃない。あいつが学校をサボるのはよくあることだ。  しかし、その翌日も、そのまた翌日も姿を見かけなくなると、さすがにマコト も心配になってきた。  電話をかけても、彼はなぜか出ない。  だからマコトは4日目に、授業を2限までしか受けずに学校を出たのだった。  ユウスケの家は何度か行ったことがある。たどり着くまでに特に何も問題は無 かった。  記憶にあるアパートで、「コバヤシ」の表札がかかっている扉の呼び鈴を鳴ら す。  応えない。  留守だろうか?  もう一回。  やはり静寂。  拳を持ち上げ、ドアを叩く。声も出す。  ……ようやく、鍵が開いた。  軽い音をたてて開いた扉の向こうから顔を出したのはユウスケ・コバヤシ本人 だった。彼は一...
  • グラインドハウス 第1話
    ...人並みには」 「『グラウンド・ゼロ』ってやったことある?」 「それってたしか……」  『グラウンド・ゼロ』。それはマコトたちの住む地下都市『コロニー・ジャパ ン』のゲームセンターで大人気だったアクションゲームで、内容は高速で飛行す る人型ロボット『AACV』を操ってプレイヤー同士で戦う、といったものだ。  そのリアリティーを追及した、歩行の振動まで表現する独特の筐体と、シビア なゲームバランスが大いにウケ、バージョンアップを繰り返しながら20年以上 も人気を博したのだが、それらはもう、どこのゲームセンターにも残っていない はずだった。  『グラウンド・ゼロ』はその全てが回収されていたのだった。  理由は約一年前の『金眼事件』――さっきの授業で禿げた日本史教師が説明し ていた事件(内容はよく覚えていない)――にあった。  テロリストたちによって暴露された...
  • グラインドハウス 第11話
    ...うのなら、早い内からグラウンド・ゼロのコントローラを握って、その痛みに慣れておく必要がある。 戦いは明日だし、それまでに腕の完治は間に合わないだろうから。 「そう……『大丈夫』?」  色々と含んだその言葉に、マコトは頷く。 「多分、大丈夫です。近いし。」 「へぇ。ちなみにそれはどこ?」 「あそこにゲームセンターが見えますよね?あそこに。」 「こんなときまでゲーム?」 「そういうわけでは」 「……本当は安静にしてて欲しいんだけどなー」 「……そういうわけにもいかないんです」  命がかかっているのだから。 「そう、じゃあ、せめて送っていくよ。色々と心配だし」  自分を轢いた連中のことを言っているんだろうな、とマコトは思った。 「悪いですよ」 「怪我人を好き勝手にいじくりまわして挙げ句の果てに追い出すなんて、そっちの方が悪いよ。」  ……『悪い』、か。なんだ...
  • グラインドハウス 第15話
    ...らっているの、これ、グラウンド・ゼロのICカードだよね。」 「……みたい、だね。」 「巧妙な手口だ。」  コラージュは写真をしまう。 「まずは信用を得るために『ケルベロス』としての実績を積み、タルタロスに取り入る。 目的はタルタロスと他の組織との繋がりを弱めるためかな――トラブルが続けば、見限るとこも出てくるだろうから。」  キムラはまた一歩、下がる。 「サーバーへの、外部からのクラッキングの形跡は偽装だね?タナトスが、あの勝負の直前にパソコンで偽装工作を する君を見ているよ。」  コラージュが一歩近づく。 「アマギくんを助けたのは、今後も続く予定であるトラブルのスケープゴートになってもらうため――タルタロスに 恨みを持つ人間――適役だ。勝負前の妨害も、あれは自分をタルタロスがわの人間だとアピールするためだろう? 君が本気で妨害をしたなら、あの程度の怪我で済む...
  • グラインドハウス 第17話
    ...ぱいに組み上げられたグラウンド・ゼロの筐体が唸りをあげていた。 「すげー光景だな……」  思わずマコトはそう漏らす。フローリングの床にかつてゲームセンターでよく見かけた、 白く大きなカプセル型の機械がどんと置かれている様は異様というか、間抜けというか。 「そういえば」  マコトは思い出す。 「コーチをつける、って言ってたけど、その人はどこに?」 「その向こうがわ。」  彼女が指差したのはグラウンド・ゼロだった。  よく理解できないままとりあえずカプセルの中に入る。人型兵器『AACV』のコクピットをイメージして デザインされたそのシートに身を埋め、懐かしい気分に浸る。  思わず財布を取りだそうとして、必要ないことに気づいた。  『グラウンド・ゼロ』のカプセルはゲーム展開に合わせて激しく振動する。そのためのシートベルトをして、 ICカードを差し込んだ。  スタ...
  • グラインドハウス 第18話
    ...  『東京』はこのグラウンド・ゼロの中で最も人気のあるステージだ。  高層ビルを利用した立体的な攻防と、走る電車や自動車などのギミックも人気の秘訣だが、それ以上に やはりこの国の人間はこの都市に、たとえ直接見たことはなくとも、ある種の懐かしさを感じるらしい。 マコトもこのステージは好きだった。だいぶ前に黒い重装型を使うプレイヤーにフルボッコにされてからは使う気がなくなったが。  マコトは軽く頭を振り、思考を切り替えた。マコトが着地したのは『皇居』周辺の大きな道路だった。 レーダーをチェック。タナトスは物陰に入っているらしく、補足できない。  マコトはスラスターを吹かし、AACVの足で地面を蹴り、高く飛び上がった。飛行する。  さぁ、攻撃してこい――  マコトは身構えていたが、タナトスが意外な登場をしたので一瞬あっけにとられてしまった。  タナトスは目の前にいた。近...
  • グラインドハウス 第19話
    ...たにっこり笑い、手でグラウンド・ゼロのシートへとマコトを促す。 マコトはぎっと彼女を睨みつけたまま、席に戻った。  画面はさっきの膠着状態のまま止まっている。 「オイ!」  叫んだのはマコト。 「なにをしてんだ口だけ男……、盛り上げろ!」  その言葉で実況席の口だけ男は我にかえり、慌ててマイクをつかんだ。 「あ、あー!あー!YO!マイクチェック、チェック、チェック!すまねぇオーディエンス、意識が月までぶっ飛んでたぜ!」  口だけ男が実況を再開するのと同時にまた観客席はざわつきはじめる。 「なんつーかいろいろと衝撃の事実の連続でオレら置いてきぼり! タナトスとオルフェウスとあの謎の女に何があったか知らねーが、俺たちの関心はそんなとこにはねーんだぜ!?」  応える観客。 「そう、つまり!」  会場が沸騰する! 「熱いバトルと!熱い血だあああああ!」  あっと...
  • グラインドハウス 第14話
    ...*年*月*日に地上のグラウンド・ゼロ[1]で発生した テロ事件とそれに伴う一連の出来事の総称である。通称「人類史上初の世界全人類を人質にとったテロ」[要出典] 場所 グラウンド・ゼロ 日時 2***年*月*日**時**分-**時**分(現地時間) 首謀者 ハヤタ・ツカサキ(塚崎颯太,Hayata Tukasaki)及びゴールデンアイズ[2]  そこまで読んで、マコトはなんとなくゴールデンアイズのリンクを踏んだ。 ゴールデンアイズ(Golden eyes)は、金眼事件を引き起こしたテロリストたちが名乗った組織名である。 ゴールデンアイズはゴールデンアイと呼ばれる、瞳の色が後天的に金色に変化した人間のみ(ただし、中心人物である ツカサキのみ移植手術で瞳の色を金色でなくしている。)で構成された組織であり、2***年に結成された[1]。 中心人物はハヤタ・ツカサ...
  • グラインドハウス 第12話
    ...の声に従い、マコトはグラウンド・ゼロのシートに座る。ICカードは差すかどうか迷って、 結局使った。 「さぁよーやっく!スタートした今回のグラウンド・ゼロ!まずはいつもの機体選択!」  マコトは操作レバーを握る。腕全体に激しい痛みが走るが、昨日からずっとレバーを握っているんだ。 さすがに慣れた。  機体は使い慣れた重装型AACVを選択する。相手のキムラは―― 「ケルベロスは高機動型!オルフェウスは重装型!こいつは見ごたえのある勝負になりそうだぜ!」  高機動型か。  マコトは舌打ちした。  AACV高機動型は、マコトの使う重装型と比べふた回りほど小さく、装甲も薄い。しかしそれを補っ た桁違いのスピードが最大の武器だ。  蝶のように舞い、蜂のように刺すという高機動型の戦闘スタイルには、動きの鈍い重装型はすこぶる相 性が悪い。が、一発当てれば充分大逆転も狙うこともで...
  • グラウンド・ゼロ 最終話
    ... 要があるから。でもグラウンド・ゼロには地下都市まで繋がる回線が無いから、 地上から地下都市までの通信を中継するために、私たちの艦隊のネットワークを 君は利用するつもりだった。違う?」  大笑いするツカサキ。 「すげーなアヤカさん!ほとんど当たってるぜ。」 「通信に使う暗号鍵は君がいなくなってから変更したわ。……これで、君の手札 は無くなった。」  アヤカはそう言った。  ツカサキは笑い続けている。  彼女は不快そうに眉根を寄せた。 「何がそんなに可笑しいの?暗号鍵がわからなければ、君の目的は達成できない はず」 「ああそうだな。」  ツカサキは片手で口を押さえる。指の間からはまだ笑いが漏れていた。 「でもさー……」  彼は言う。 「鍵がわからなかったら、教えてもらえばいいだけじゃね?」 「何を言って――」 「アレアレ?まだわかんないんすか?」 ...
  • タルタロスバックヤード1
     目の前には青銅の扉がある。  君はそのノブに手をかける。  そして、静かに開いた―― ギィィ…… コラージュ「『バックヤード』にようこそ。」 ~『タルタロスバックヤード』~ コラージュ「ようこそいらっしゃいました、『タルタロスバックヤード』へ。こ こでは『グラインドハウス』本編でもスレでも語れないような裏話をダラダラと 語るだけです。今回のゲストは――」 マコト「主人公やらせてもらってます。マコト・アマギです、よろしく。」 コラージュ「やはり第1回目なので、主人公におこしいただきましたよ。」 マコト「それはそうと、早速ひとつ質問が」 コラージュ「お、協力的だね。なに?」 マコト「この企画、すげーデジャヴを覚えるんだけど、なんでまたやろうと思っ た?」 コラージュ「物事ってのは何事もバランスが...
  • 3-舞台設定
    シャドウミラージュ第三話 舞台裏設定集  ここでは第三話に出てきた用語や設定、三話のみに登場するものとかを説明していきます。  バレが入ってるので3話読了後に読むのがオススメです。  あとどう見てもネタなのは鵜呑みしないように、嘘はついてないけれど…。 【イアナーラ】  イングラ王国領土の南部に存在していた貿易都市のひとつ。  現在は閉鎖されているが、かつては地下列車を使い、イングラ各地に資源や商品を送っていた。  その為、商人達が集まり、ひときわ裕福な街だったが、クロロスペッツゥナに妖魔が救い始めた為、対抗する術もなく滅んだ(当時は第一次型の鋼機が主流) 【クロロスペッツゥナ】  山脈の名称である。  山頂まで森林がおいしげっているため、別名『妖魔の森』『深淵の森』とされる。  イングラで数少ないディールダインが採掘される場所。  その深部に...
  • 「ヒューマン・バトロイド」 第5話 後編
    様々な事件(リリのスターク艦内での暴走、なぜか不機嫌なリクの八つ当たり)が過ぎ去った後、つかの間の休息が訪れる。 死地へと向かう戦士達の休息が――― 「まじですみませんでした」 一部を除いて訪れた。 「つまり、オレの反応を楽しむために盗聴器まで仕掛けて艦内に生中継か」 「ほんの出来心だったんです。許して下さい」 ゴースは既に頭を下げるどころでは無い状態まで逝っている。 「協力してくれるとか言ったのもこの為か」 「それは少し違うぞ?本気で俺はその恋を応援するつもりで」 「楽しげに策略をめぐらせたと」 「本当にすいません」 リリの怒りは収まらない。 そんな艦内には、月を見ながら酒を飲んでいる二人がいた。 「久しぶりですね、月見酒なんて」 「まったくですね、最近は戦いばかりでしたから」 ハーミストとカルラは酒を酌み交わしていた。...
  • 少女機甲録(仮) 第1話
    建物の影に身を屈める様に隠れていた87式機士の頭部センサーアイに光が灯り、ゆっくりと上半身を起こす。 身長4mの人型の装甲騎兵はその鋭敏なセンサーに複数の敵影を捉えていた。 敵の発する熱量、歩行する時の振動を各種のセンサーが関知し、その種類と数が即座に分析される。 「ガールズ・マルヒト(01)よりガールズ・マルマル(00)へ… タイプA、6 タイプB、4 本町信号機前を通過し国道227号線を南下中…予定通り市営住宅の火点で迎撃する マルヒトとマルフタ(02)はこれより誘導を開始、3秒間の射撃の後、後退する」 マルヒトの符丁を与えられた87式機士に搭乗するパイロットは10代の少女特有の高いソプラノの、透き通った声で仲間へと通信を行う。 接近してくる敵に電波無線が傍受される恐れは無いが、奴らはこちらと同様に熱や音には鋭敏な感覚センサーを有している。 目前500mにま...
  • 第一章「日常アウトブレイク」 Episode Symposium.
    第一章「日常アウトブレイク」 Episode Symposium. 俊 「どうも、第一章を読んでくださった方、読んでない人はまとめWikiを読んでください。    始まりました座談会の司会を務める安田俊明です、こんにちは、よろしくお願いします」 シ「第一章を読んでくださった方々、ひとまず今までありがとうございました!これからもよろしくお願いします!    同じく座談会エピソードの司会を務めさせていただく、シュタムファータァです」 俊「今回は座談会という楽屋ネタ的エピソードです。作者に代わって自分たちが色々語ってしまおう。    という魂胆でこのお話は続きます」 シ「ぶっちゃけ一人で語られても痛い子ですしね。では、始めて行きましょう!」 ■第一章を終えて■ 俊「第一章は日常から非日常に、を主題として置いています」 シ「ヤスっ...
  • 第二話「やってきた悪魔」
    機動修羅:バイラム    第二話「やってきた悪魔」  パンツァーモービル、別名、統合戦闘機動兵器。  初めて開発に着手されたのはおおよそ三十年ほど前、コンセプトは『どんな場所でも戦闘を続行できる機動 戦闘兵器』であった。  そのため様々な形のパンツァーモービルが開発された。虫型、動物型、車型など。しかしどの形も構造上に 欠点を抱えていた為、出来ては消え、作られては廃棄されるという末路を迎えるのだった。  そして様々な過程を得てパンツァーモービルは人型、という形で決着が付いた。  『なぜ人型か』という疑問をあげるものも多いがパンツァーモービルの優位点である『器用さ』を確立した のは他ならぬ人の手足なのだ。  だがパンツァーモービルには弱点があった。それは"器用貧乏"であったことだったのだ。  空は航空機に劣り、陸では戦車に劣る、さらに海では潜水艦や巡...
  • 第七話 「猫と女は」
    『Diver s shellⅡ』  第七話「猫と女は」  第二地球暦148年 11月7日   この日、雪が降った。  そしてこの日、オルカ=マクダウェルは困惑していた。  何故ならこの日、とある少女が孤児院を訪ねて来たからである。  少女の名前はクー。肩からずり落ちそうなデザインの服を着て、髪の毛から水が滴るほど濡れた彼女が、孤児院裏口のドア正面に立っている。三つ編みにした髪は水場に投げ込んだスポンジのよう。  唖然とするオルカを目の前に、クーは冷えた片手を差し出した。  「食べ物」  つまるところ、お腹が空いていたらしい。  幸い、お風呂の入り方は分かっていたらしかった。 クーをお風呂場に押し込んだオルカは、着替えを洗濯籠に投げ入れた。ずっと洗っていなかったような汚れ方だった。  雪ということ...
  • 第二回
    時のジグパルス   第二回 ○インスーラ地下・格納整備区画・搭乗橋    狭い通路。    三型機のコクピットに向かう少女と女性。    急ぎ足の二人。    向かいから来る白い防護服を着た整備員が道を譲る。    少女は対Gスーツの首元のアタッチメントを止めている。 葵「試作品の接合ユニットがうまく噛みあってなかったのよ」 ムツネ「大丈夫なの?」 葵「試作前の部品に戻したから問題ないわよ」    床に設置されたハッチの前まで来る。    少女はしゃがんでふともものアタッチメントを止める。 葵「ムツネさん、いける?」 ムツネ「完了。胸元がちょっと苦しいけど」 葵「成長期だからよ。該当部署に伝えておくわ」    女性が壁のコンソールを操作すると、床のハッチが開く。    少女、ハッチの中に入ってい...
  • 第十話 「海に潜む者」
     『Diver s shellⅡ』  第十話「海に潜む者」  都市伝説というものをご存知だろうか。  都市伝説は民間口承であり、地球(アース)があったころに定義され、第二地球(ネオ・アース)に人類が移住してもなお生き続けた。  生命の設計図を解析し、星の海を渡っていけるほどの科学があるというのに、非科学や出所不明の噂を払拭するには至らなかったのである。所詮人は人以上にも以下にもならないのだろうか。  つい最近、ダイバーの間でこんな噂が飛び交っている。  曰く、巨大な怪獣が船を襲って沈めた―――……。  曰く、その船には金銀財宝が!  曰く、うんたらかんたらがどうのこうのでひゅーひゅーひゅー。  要約すると、良く分からない怪獣らしき巨大なブツが船を襲って沈めた……ということらしいのだが、胡散臭いの極み―――……とは限らない。驚...
  • 3-part6
    D型鋼機D-40 グレリーナ・コックピット。 クーガの大声はスピーカー越しにミナの鼓膜に大打撃を与えていた。 「あー耳がキンキンする、もっと音量下げて喋ろう?」 からかいがいがあって中々に可愛いものだとミナは思う。 名誉騎士と聞いてどんな奴が来るのかと思っていたのだが、思いのほかまとも、いや、ある種抜けている奴で面白い。 それがクーガへのミナの評価であった。 「あのな―――」 クーガが言葉を続けようとしたその時、レーダーが音を鳴らす。 さきほどまでの軽い空気と違う、重たい空気が一気に流れる。 妖魔の反応だ。 「数は24、獣種の群だ、目的地についたみたいだな。」 「把握、打ち合わせ通りに落としてくれればいいよ。」 「了解、でも本当にこれでやるのか?フライトユニットもなしに・・・。」 ミナは深呼吸する。 ここからはミスが許されない。 心を冷たく細く保つ。 今から...
  • グラウンド・ゼロ 第20話
     ワイヤーを伝ってAACVから降りたリョウゴは、要塞内の様のあまりの変貌 ぶりに驚いた。  地上に下りるまでは元気に働いていた作業員たちが、みなグロテスクに死んで いる。  一体、AACVでコアの発掘作業を行っている間の数時間で、この要塞に何が 起こったのか。  リョウゴは腰のホルスターに入った拳銃に手をかけた。それはこの要塞に来て 、初めて戦闘を経験してから持ち歩かずにはいられなくなっていたものだった。  警戒しつつドック内を歩いていく。  ふと、AACVハンガーに、ツカサキのネイキッドとは違う、奇妙な機体が拘 束されているのが目についた。  その機体は今までのAACVとは大きく外見を異にしていた。  その頭部は通常のAACVより大型化し、真ん中にカメラとセンサーのような ものが追加されている。背後には巨大なカノンが背負われているが、奇妙なこと に弾倉が見当た...
  • 武神鋼臨タケミカヅチ 設定
    作品世界の基本設定について  文明レベルは現代と同程度です。  世界を構成する要素に「魔力」が存在し、それを扱う技術「魔術」も存在します。  知的生物は、人間の他にファンタジー的な種族が存在していますが、人間の姿を取って紛れているか、魔術的な「隠れ里」の中で生活しています。 フツヌシ  分類:対大型異存在用兵器  名称:神格式大甲冑壱号機 フツヌシ  全高:35.2m 重量:110.7t  軽く、しなやかで尚且つ強靭という特性を持つ古代金属『ヒヒイロカネ』製の基本骨格と、  その特性を人工的に再現した非結晶金属『人造ヒヒイロカネ』を使用した複合装甲を持つ、  『速さ』と『硬さ』の両立を目指して開発された機体である。  主機関は、内部に納められた『御神体』を通じて『神の力』を招き、機体のエネルギーとする『神楽式神通炉』。  補助機関はプラズマジェネレータ2基。 ...
  • 第十四話 「限界潜行」
     『Diver s shellⅡ』  第十四話「限界潜行」  第二地球暦148年 13月27日 正午 天候晴れ  Ω33-α遺跡海域  海はやや荒れ気味で、縦逸さを見せていた。  高まる水流。速度が上がれば上がるほど、アドレナリンが脳をびしょ濡れにしていく。  メインスラスターに吸い込まれた海水が、一気に凝縮されて、推進力を生む。電池から供給される電力を元にしているため、推進剤の類は全く必要としない。もし無限電池なるものがあれば、永久に泳ぎ続けられるであろう。  潜水機の操縦は複雑だが、単に前に進むだけなら操縦桿一本とアクセルペダルだけですむ。車と違ってギアも道路規則もないし、エアバイクのように建物にぶつかる心配(あまり高いところは飛べないため)も無い。  暗澹たる精神のまま、暗き操縦席にて、漆黒の闇を住まわす海に挑む。  ジュリアは遥か深海を...
  • 第九話 「風邪」
     『Diver s shellⅡ』  第九話「風邪」  第二地球暦148年 13月2日   気温が零下を下回るようになって久しい今日この頃。  天に昇った太陽は疲れたから休むわと言わんばかりの超特急で地平線の下に休みに行き、俺の出番だベイビーと乱舞しながら夜が押し寄せる、そんな季節、冬。  冬ともなれば空気が乾燥して風邪が流行る。乾燥した空気は人体に害をもたらす細菌の多くに利を与え、活性化させる。予防をしっかりすべき時期だ。栄養睡眠はしっかりとろう。  ジュリアは、孤児院のベッドの上で、意識を朦朧としつつ思った。  どうしてこんなことに、と。  原因は少々前に遡らなくてはなるまい―――。  新型潜水機『クラドセラケ』の製作は順調「だった」。  設計と必要な製品の選択に合計一ヶ月かけて、製作に今日までかけた。ホイホイ...
  • 第三話『戦闘と』
     第3話『戦闘と』  正規の起動手順を踏む。  機体を起動させてから、モニターのスイッチを順々に押していく。メイン、サブ、後方用と。ぼんやりとした光が二人の顔を照らし影を投射した。  エンジンが目を覚ます。燃料を燃やし、ピストンを上下させる。つまり機体が水上にあることを示す。  酸素が潤沢に得られる水上でエンジンを回し電力を作り、水中では電力を使う。潜水機としては巨大な図体を持つリュグは、全ての電力を電池に頼ることはできなかったのだ。  それでも昔の潜水艦のように充電に時間をとられ潜水の時間より船のように航行する方が長いということは無く、少しの発電で長い時間潜り続けられるのだから、技術の進歩は確かにあった。  あらかじめ電池を充電しておけば、発電することもないのだが。  クーは無表情を維持したまま、頭に叩き込んだマニュアル通りに準備を進める。  レバースイッチを必...
  • 2-part2
     俺は機体に乗り込み、機体の起動の準備をする。  起動プログラム   認証パスワード…認証  網膜スキャン……本人と認定  搭乗者心拍数…安定  機関…第一機関――――正常、第二機関―――正常、第三機関――――破損の疑いあり、この状況で起動するのは危険です。  知るか、そんな事気にしてたら、どっちにしろ俺達は全滅だ。  素早くパスコードを入力する。  強制起動コードを確認―――0078787認証  無線からセイムの声が聞こえてくる。 「30秒で貨物コンテナごと切り離す、準備はいいか?」  俺は素早く起動の手続きを踏み、起動コードを入力していく…。  各部のチェック―――  背部ブースター全壊、右腕部、左脚部の電気神経に異常の可能性あり、左手、小指破損  様々なダメージが報告される。  その時、トレーラーの運転席側から大き...
  • Diver's shell 設定集
    ネオ・アース 第二の地球として惑星改造された水の惑星。 地球とほど同じ大きさで太陽ほどの恒星の周囲を周っている。 星表面の90%前後が水で覆われており、大陸と言うべき大陸が存在していない。陸地は全て島。 地球の生物が生育しているが、中にはこの星本来の生物も存在している。 星全体に「遺跡」が存在する。 1年が13ヶ月のため、誕生日を祝う習慣は面倒さから消失している。 【開拓時代から現代まで】 人類が宇宙を楽に航行できる技術と工業力が整った近未来。 外宇宙から超高速で飛来した隕石を察知した人類は迎撃を試みるが、未知の金属で構成されたそれを破壊することができず、仮に破壊しても破片の一つで人類文明が終了すると判明し、外宇宙へ活路を開くべく『人類の種』計画が発令された。 船団は神話にちなんだ名前が付けられた(例:ドーヴ)。 人類のいずれを外に逃げさせることがで...
  • OP
     『スーパーロボスレ大戦:R(リファイン) ~終焉のセカイから~』  新機軸エネルギー「アイルニトル」の発見は人類史に残る偉業ともされる。原子エネルギーをも凌駕するそれはまさに人類の夢を体現したものであった。  アイルニトル研究から得たデータから作られた巨大ロボット「アストライル・ギア」。  イルミナティやその他思想結社に端を発する巨大財団「イルミナス」。  彼らはアストライル・ギアを用いる平和的なスポーツ「ブレイブグレイブ」を世間に広め、みずからもスポンサーとして普及に努めた。  そのスポーツは世界中で流行した。  ――世界住民は、やがて訪れる、全世界そして無数のセカイをも巻き込む混沌を察知しようともしなかった。  イルミナスは各国が集結する国際大会の場でアストライル・ギアを破壊。搭乗者も次々殺害せしめた。  首領ネクサスを名乗る男の指示のままに、人類史上初の軍...
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