Jの手記禄 - (2006/02/21 (火) 05:48:32) の編集履歴(バックアップ)
第一回「Jの、寝言は寝て言え」 古龍撃退!!
「今日は散々な日だ・・・」 ゲリョスとの再三に渉る激闘の末、貴重品であるマカライト鉱石を“全て”盗まれてしまったのである。
「こんな日はちょっと固め♪のベッドで、ゆっくりしよう・・・」 いつの間にか寝てしまっていたJは、聞き覚えの無い女性の声で目が覚めた。
「(綺麗だ)・・・・・ハッ!! あなたは?」
彼女は村長の知人で古龍研究家だと言い、唐突に2つの条件を出してきた。 1.村人を引き連れて、この村から逃げる。 2.古龍を撃退する。
「3.一緒にディナーを・・・ぐふ!!」 気を失ったJは、村長に密林へと連れて行かれた。
「!!! あれ?綺麗なお姉さんは?」 気が付いたJは、なぜか“戦う気満々準備OK”の状態で支給品箱の前に倒れていた。
「イヤー、オイラも古龍は観たこと無いからなんて言っていいやら・・・」
「おぃおぃ!!“観た”って見物する事しか頭に無いだろ!!」
「相手も生物には変わりないから、必ず攻略法はアルヨ^^」
「俺の話を聞けぇ~~!!このエセ中国人!!」 決定権無く古龍を撃退せよとのこと・・・その内人権すら失いそうなJ。古龍の情報は鋼のような装甲を持ち、天候を操る以外謎だと言う。
「雨風が激しくなったら気を付けなさぁ~い、特に密林には目を凝らすのよぉ~」 気を失っているときに聞こえた、綺麗なお姉さんの声を思い出し、Jは離れ小島へと通ずる浜辺へ足を運んだ。
「なんだ!!」 背筋にザラッとした違和感が走った直後、Jは思わず己の目を疑った。
「夢か・・・あれが古龍・・・」 凄まじいまでの雨風の中、悠々と空を飛ぶ一匹の龍。今まで見た飛竜とは比べ物にならないほどの威圧感をヒシヒシと感じた。
「この風でもいけるか・・・」 身を潜め支給された毒ナイフを古龍めがけて投げた。自信のあるナイフ捌きは、この暴風の中でも、十分相手に届いていた・・・が、黒ずみ錆びた様な硬い鱗に阻まれ、致命的なダメージを与えることはできなかった。
「毒になっただけでもメッケ者か・・・」 いつに無く口数が少ない。
不慣れな小剣を構え、Jは古龍めがけ駆け出した。
「ギャ~~~~!!」 凄まじい咆哮とともに古龍は嵐の中を飛び去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・!?」
「オイラの目は節穴じゃ無かったネ、さすがに見込んだだけのことはアルヨ、J。君なら奴を撃退してくれると信じていたよ。」
「え?いや!!俺は・・・何も・・・」
「謙遜するなよ^^Jは村の英雄だ。」
何が何だか判らないまま古龍と対決させられ、何もしないまま撃退?した、J。村では村中の人がJの帰りを待っていた。無事帰ってきたJを皆が褒め称えたが、ただただ訳の判らない悲惨な一日だったと重たいまぶたを閉じた。
次の日、何も変わらない朝。誰一人として古龍騒動を知る人はいなかった。
「あれは夢だったのか・・・」
「何が夢だ!!昨日は君の寝言が村中ひびいて寝ることもできなかったヨ」 眉を吊り上げた村長が背後から現れた。
「綺麗なお姉さんとか古龍とか、訳の判らないことばかり言って!!」
「昨日村長は、密林で古龍を撃退した俺を観てたじゃないですか」
「何言ってるんだい!!寝言は寝て言え!!」 よりいっそう不機嫌になった村長は、調合屋が作ったと言う“寝言を言わなくなる薬”をJに飲ませると、いつも通り村の建設に勤しんでいる。
「寝言は寝て言え・・・か」
収納箱の奥すみに“鋼の鱗”が有ることは、誰も知らない。