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京成高砂駅高架化案1


 現在、鉄道工事の業界で最も高難度プロジェクトとして注目を集めているのが、車庫併設駅である京成高砂駅・近鉄大和西大寺駅の高架化であります(たぶん)。ここでは、前者の京成高砂駅高架化の施工手順を考察していきます。このページでご紹介するのは、青砥~京成高砂間の複々線区間を一時的に複線に縮退させる「案1」です。
 図版は、線路配線を判りやすくするためにデフォルメしていますので、寸法感はかなりいい加減です。航空写真等から、いちおう施工はできそうだという感触は得ておりますが、実現性を確認するには、詳細な測量と線形計画が必要となります。

STEP1 現状


図1 京成高砂駅高架化工事案1STEP1 現状の線路配線

 ↑に現状の線路配線を示します(保守用車線などは省略しました)。青砥駅は、1・2番線(上り)ホームが2階、3・4番線(下り)ホームが3階の二層構造で高架化されています。これは昭和の時代に果たされたもので、これを苦労してやっておいたから今の京成電鉄があると言っても過言ではないでしょう。
 また、京成高砂駅の5番線(金町線)ホームは、1~4番線ホームの終点方の上空に、本線に先行して高架化されています。こちらは成田スカイアクセス開業によるスカイライナーの増発に伴い、4番線で折り返す金町線列車が邪魔になるため、金町線だけ、京成の自己資金で高架化したものです。この構造物が、高架化工事を余計に厄介なものにしています。

図1-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP1 現状の駅構造

 ↑現状の駅の構造です。もちろん、デフォルメしているので寸法感は「こんな感じ」と見ていただければ幸いです。京成高砂駅は、構造としてはやはり金町線専用ホームの存在と、地上ホームの終点方すぐそばにある踏切が厄介です。踏切がある、ということは…工事施工中の通行者の安全確保が大きな課題となるでしょう。

STEP2 車両基地切換


図2 京成高砂駅高架化工事案1STEP2 車両基地切換時の線路配線

 新高砂車庫を駅の南方に新設し使用開始します。同時に、旧車両基地を廃止。駅の南側の旧都営住宅跡地が新車庫用地として確保されていますが、収容力は現在の基地の半分程度になるものと思われます。また、現金町線ホーム(5番線)に至る高架線の下にホーム(4両対応)を仮設して使用開始。この切換を果たした後、金町線用高架ホームを撤去します。

図2-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP2 車両基地切換時点の駅構造

 金町線ホームが消滅しています。金町線用の仮設ホーム(6番線)は図の外にあり、ホームから一旦改札を出て、徒歩で本駅と連絡する形になります。これも利用客の安全確保上は大きな課題となります。道路上に警備員をしこたま配置しなければならないでしょう。本来なら、駅と金町線用仮設ホーム間に連絡橋を造りたいところですが、これから構築する高架線の施工に支障してしまいます。
 案1では、新車両基地新設工事と並行して、駅の南側に、仮設上りホームを設けます。この段階では、ホームの終点方は駅へ上る階段やEVが支障しているためホームとしては完成できず、仮設ホームはコンコース扱いです。この仮設ホームが、これからかなりの長期間に渡って言わば仮駅舎として機能します。よって、バリアフリー機器としてのEVは新設しなければなりません。

STEP3 構内2線化


図3 京成高砂駅高架化工事案1STEP3 線路配線

 この高架化工事プランで最も物議を醸しそうなのが、このステップです。下りホームを使用廃止し、京成高砂駅構内を一時的に上下2線のみとします。ただし、同駅の上りホームはただでさえ狭すぎるので、駅の南側に仮設ホームを設けて、こちらを新上りホーム、現上りホームは下り線用ホームとします。
 本来複々線であったものを一時的とは言え複線で運用する、というのは京成にとっては機能縮退が大きすぎて受け入れがたいところでしょう。しかし…京成高砂駅の周辺はお寺や墓地といった厄介な施設があり、用地取得に鬼のように苦労することが目に見えています。また、昨今の建設工事費の高騰を考えますと、工期が長く、直上高架方式のような難度の高い施工方法は採れません。極力、用地買収と高難度の施工を回避するには、この方法しか無いのではないか…というのが筆者の見立てです。
 この工事の施工中は、ラッシュ時間帯は一部列車を同駅通過とするなど、線路容量を確保するためあらゆる方策を採って対応しなければならないでしょう。

図3-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP3 駅構造

 仮設上りホームを使用開始し、旧上りホームを新下りホームに用途変更。朝ラッシュ時間帯は上り列車は両側のドアを開けて乗降時間を短縮します。↑の図では、旧下りホームは使用停止し、橋上駅舎も下りホーム上空部分は撤去しています。

図3-2 京成高砂駅高架化工事案1STEP3.5 駅構造

 ↑橋上駅舎北側の階段とEVは下り高架ホームの建設に支障するので、旧下りホームを使用停止後、仮設階段を設けて通路を切り換えた後に撤去します。EVを設けるスペースも予算も無いので、車いすのお客様には、この仮設階段に設けた昇降用リフトを活用してもらうことになります。

STEP4 高架下りホーム暫定使用開始


図4 京成高砂駅高架化工事案1STEP4

 STEP3から数年を経て、高架下りホームが暫定的に使用開始されます。これで周辺の踏切の閉鎖時間は大幅に短縮されるでしょう。ただし、この時点では高架ホームからは北総線方面に発着できず、北総線への列車は引き続き地平ホームから発車します。
 なお、筆者の案では、金町線は高架下りホームの切欠き部分に発着するようにします。これは、金町線専用ホームを設けると、用地買収にさらに費用も時間も要することと、バリアフリー機器が増えて工事費が増大するためです。もちろん、デメリットとしては金町線列車が発着するたびに京成本線下り線を支障する、という点がありますが…金町線の高架化以前は折り返し列車が本線ホームを占有していたのに対し、筆者の案では発着の際に平面交差支障が発生するのみですので、許容できるのではないか、と考えています。
 しかし、この時点では金町線が切欠きホームを使用するのは車両の入出庫の場面のみで、通常は仮設ホームからの発着とします。

図4-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP4 駅構造

 高架下りホームを暫定的に使用開始した状態。高架下の駅舎は半分使用開始しています。改札・駅事務室・トイレ等、駅舎に必要な設備はこの時点でそろっていなければなりませんので、この工事ステップの考え方によって高架下駅舎の構造が決まってくるわけです。別に述べる「案2」(上り線を常に2線確保する案)に対して、比較的早く高架駅が出来上がってくるのがこの「案1」の利点と言えます。
 高架ホームと地平ホーム間の乗り換えの利便性を確保するため、高架ホームから橋上駅舎にアクセスするための仮設階段を設けています。この階段にも、車いす用の昇降リフトを設けなければなりません。バリアフリールートが踏切経由になるのは極めて不適切だからです。
 前のステップで設けた、橋上駅舎から踏切に降りる仮設階段は、高架下駅舎→EV・階段→高架下りホーム→前述の仮設階段→橋上駅舎→EV・階段→地平ホームというルートが確立するので、短期間で撤去します。

STEP5 北総下り線高架化


図5 京成高砂駅高架化工事案1STEP5

 STEP4で京成本線下り線が高架化された後、旧線が通っていたスペースを活用して北総下り線を高架駅に接続する高架橋を構築して使用開始します。これで北総下り線も高架ホームに発着できるようになり、連続立体交差化の恩恵が地域住民にも体感できるレベルになるものと思われます。
 このステップでは、かつての上りホームであった仮下りホームはまだ残して、上り列車の両側のドアを開けて乗降時間を短縮する取り組みを継続します。

図5-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP5 駅構造

 ↑この線路切換から、高架下りホームの3番線に北総線下り列車が発着するようになり、高架ホームから橋上駅舎にアクセスする仮設階段は使用停止となります。また、高架下駅舎から旧2番線ホームに直接出入りできる仮通路を切換当日の一晩で設けます。この仮通路は作業日のたびに取り外してレール撤去を進め、さらに、高架上りホームの橋脚の施工に支障しないよう位置出しをします。
 この時点では、すでに橋上駅舎の存在意義は薄くなっていますが、駅の南側の利用者が踏切を渡らずに駅にアクセスするには有用なので次ステップまで残します。

STEP6 京成本線上り線仮線化


図6 京成高砂駅高架化工事案1STEP6

 ↑ここから、高架上りホーム構築に向けた準備をします。起点方では、中川橋梁から京成高砂駅のホーム手前まで、新京成本線上り線の高架線を構築して使用開始します。終点方では、もともと北総下り線が地平駅から高架線に登っていたスロープを撤去して、京成本線下り線が地平から高架駅に登っていく方向に造り替えて使用開始。これで、京成本線上り線は仮にですが高架下りホームから発着し、地平ホーム発着となるのは北総上り線のみとなります。そこで、地平上りの仮設ホームを撤去して、高架上りホームの橋脚を造る準備をします。
 下り線は京成本線・北総線が同じ高架ホームを共用する苦しい状況が続きます。当然、高架切欠きホームから金町線を発着させるような余裕はありませんから、金町線の仮設ホーム発着も継続です。

図6-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP6 駅構造

 ↑地平の上り線には北総線上り列車のみが発着するようになるので仮設上りホームは使用停止(ただし、全て撤去はしない)。踏切の遮断時間も相応に短くなることから、橋上駅舎も大部分が不要になります。これで高架上りホームの建設に着手できるようになります。

STEP7 北総上り線仮高架化


図7 京成高砂駅高架化工事案1STEP7

 このステップでは、前ステップで使用廃止した京成本線上り線のスロープを撤去した跡地に北総上り線の高架線を設け、高架上りホームを暫定的に使用開始。この切換後、北総上り線が発着していた旧上り地平ホームを使用廃止します。これにより、本プロジェクトで除去予定の踏切は全て消滅します。

図7-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP7 駅構造

 高架上りホームを暫定的に使用開始し、北総線上り線が高架化。ただし、ホーム下に駅舎を造れていないため、ホームへの出入りは、復活させた仮設上りホームの階段とEVを使用し、2階から仮設階段を通って行います。仮設階段には車椅子用のリフトも設けます。
 この構造では、京成本線上り線と北総線上り線の乗り換えは到底できませんので、青砥駅での乗り換えが大いに推奨されます。

STEP8 北総上り線高架化


図8 京成高砂駅高架化工事案1STEP8

 起点方の切換口で北総上り線の高架線を接続して、北総上り線の高架ホームを本格的に使用開始します。これで青砥~京成高砂間が複々線運転に復し、金町線用の切欠きホームに発着する時間的余裕が生まれる(はず)ので、金町線用仮設ホームを使用廃止します。

図8-1 京成高砂駅高架化工事案1STEP8 駅構造

 上りホーム下の駅舎が完成し完成形になります。後でできた側にはいわゆるエキナカ施設を設けます。

STEP9 完成形


図9 京成高砂駅高架化工事案1STEP9

 完成形です。


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最終更新:2026年02月27日 12:49