◆ウォーキングも個性化の時代◆
歩くことが「ウォーキング」という新しいイメージで日本に紹介されてから20年近くがたちました。ウォーキングは既に国民スポーツ。ウォーキングの第二次ブームといわれる現在は、以前にも増して歩く人の数は増えています。歩く人が増えるにしたがってその目的や楽しみ方も多様化してきました。ウォーキングも個性化の時代の到来です。
◆デイパックで郊外へ◆
―第1世代―
いまウォーカーは大きく分けて3つの「世代」に分かれています。
第1グループは、週末等に各地でよく見かける「郊外型・長距離型」のウォーカーです。ウォーキングブームの前からあったハイキングや強歩・剛歩などと呼ばれた歩行の延長線上にあるもので、いわばウォーキングの第一世代です。帽子とデイパック姿はすっかりお馴染み。健脚自慢も多く、ウォーキングというとこのタイプを思いうかべる人も多いでしょう
◆万歩型健康ウォーク◆
―第2世代―
二つめのグループは、生活習慣病の予防やストレス解消を動機に生活圏でウォーキングに取り組む健康ウォーカーです。歩き方やスピードにはあまりこだわらない散歩型のウォーキングが主流で、歩きの指針として万歩計(歩数計)を持つ人も多く「万歩(漫歩)型」「ウェルネス型」とも言われます。ウォーキングの効用が広く知られるようになってから増加した層で、ウォーキング第二世代です。
◆スポーツ派ウォーカーの登場◆
―第3世代―
そして、このどちらにも属さないウォーカーが最近目立つようになってきました。腕を大きく振り、歩幅を広げて軽快なウォーキングをするフィットネス・スポーツ派の人達です。
スポーツ派は生活圏を中心にコースを設定し、歩く距離もそれ程長くはありません。スピードは健康ウォーカーと比べるとかなりハイペースですが、これまでのスポーツ指向にありがちな「頑張り」は影をひそめ、エアロビック感覚で歩きを楽しんでいます。
ウォーキングブームの初期に奨励されたのはこのスタイルの「エクササイズウォーキング」でした。今もウォーキングのハウツー本には必ずといっていいほど登場してきますが、日常の歩行とは違った大きな動作を伴うことから「人目を気にする日本人には馴染まないのでは…」と言われてきました。事実、これまでの国内での普及は今ひとつ。それがウォーキング人口の増加に伴い第三世代として成長してきたのです。
これから確実に増加すると見られるこの新世代ウォーキング。そのウォーキングスタイルとはどういうものなのでしょうか。理想像も含めてさらにプロフィールを描いてみましょう。
◆スポーツ派の新しい歩き◆
スポーツ派は歩くフォームにも気を使います。それはよい動きによって身体にもっとも効果的な刺激を得ること、そして合理的な動きから生まれる歩きの美しさも追及するからです。一歩進んだフィットネスを指向するだけに健康情報にも敏感で、食の改善などライフスタイルのあり方にも大きな関心を寄せます。ただストイックな減量などには無縁「シッカリ食べて、シッカリ運動する」ことが基本です。また、ウォーキングだけでなく時にはジムに通ったり、他のスポーツを楽しんだりもします。いわばスポーツライフのベースにウォーキングが位置付けられるわけです。
大きな変化はウォーキング・アイテムにも現れます。これまでは「良い靴と歩数計」がウォーキングの必須アイテムといわれてきました。このうち歩数計は運動量・消費エネルギーの指針として人気を呼んでいるものですが、スポーツ派にとっては物足りないものになりつつあります。それはスポーツ派のウォーキングは有酸素運動に基本があり、運動強度を示す脈拍数に関心があるからです。そこで注目されるのが腕時計型の脈拍計。運動中の脈拍をリアルタイムで管理できるもので、これまでは主にランナーや自転車愛好者が活用していました。やや高価なこともあり、まだ広く普及には至っていませんが、スポーツ派が脈拍計付の時計を腕に町を闊歩する時代と変化しつつあります。
◆新しい装いで登場してきた第3世代ウォーカー。これからの成長度は未知数ですが、健康志向を基盤にしながらもウォーキングに “スポーツ性” と“遊び”の要素を取り込んだ新しいジャンルを形成していくことは間違いありません。
「難しいこといわないで、ただ歩けばいい」ではスポーツウォークとはいえません。スポーツにはそれぞれ押さえておかなければならない基本があるからです。
スポーツはパワー・スタミナ・柔軟性やバランスなどの身体能力に、メンタル面も含めた人間の総合的な表現活動です。歩くことを通じてこれらの能力を開花させながら、健康な体でウォーキング独自の楽しみ(遊びの世界)を体験しようというのがスポーツウォークです。そこには、最新の理論も取り入れた基本があります。
「美しく、力強く、軽やかに」それがスポーツウォークの基本です。語呂合わせのスローガンのように聞こえるかもしれませんが、けっしてそうではありません。この3つの要素にスポーツウォークの大切な基本が隠されているのです。
◆「美しく」歩くということ◆
「美しく」というのはフォームの問題です。スポーツにおける美しさは理にかなった流れるような動きから生まれます。それが良いフォームと言われるもので、ウォーキングでこれを身につけるには腕の角度は何度、足の着地角度は何度などといった「形」を作るのではなく、姿勢づくりのポイントを押さえてムリと無駄をなくした「動き」を習得していくことが大切です。体格には個性があります。全ての人が同じ「形」で歩く必要はありませんしそれは不可能です。それぞれの個性に応じた「美しい」歩き(動き)を身につけること、それにはチョッと科学的なウォーキングテクニックを知る必要があります。
◆「力強く」歩くということ◆
ウォーキングは水泳などと並ぶすぐれた全身運動です。しかし残念な事に多くの人は腰から下、あるいは膝から下だけを使った歩き方しかしていません。脚だけでなく腰、胴体、手の先までを大きく使うことにより、ただの歩きがスポーツに変わります。全身の筋肉を使うというのは、全身に力を入れることとは違います。リラックスして使う筋肉だけを緊張させるメリハリの効いた歩き、それが「力強さ」の源です。力強いウォーキングはゴツゴツの筋肉を作ることは出来ませんが、中程度のパワーとすぐれた持久力をもったしなやかな筋肉を作り上げてくれます。
◆「軽やかに」歩くということ◆
ウォーキングの効用は主に有酸素運動であることから生まれるものです。酸素を体いっぱいに取り入れ、心肺機能を活発化し、血液を体のすみずみまで行き渡らせるには、軽く息がはずむような軽やかな歩きが必要です。どの程度の強度で歩けばいいかは、個人差がありますが、それは脈拍数から知ることが出来ます。歩数計は運動量を知る手軽な方法ですが、スポーツウォーカーは脈拍という体内からの声をたよりに運動強度に注意をはらいます。
この3つのポイントはそれぞれに関連しあいながらスポーツウォークをつくりあげています。そのどれが欠けても十分な運動効果をあげることは出来ません。「美しく、力強く、軽やかに」を基本に、これまでとはひと味ちがったウォーキングをはじめてみませんか
美しく 力強く 軽やかに歩くスポーツウォーク。そのテクニックの基本は「逆Y字ウォーク」です。
「逆Y字ウォーク」とはその文字通り、アルファベットのYの字を逆さにしたようなフォームを意識して歩くことをいいます。健康・体力づくりにとても効果のあるこの歩き方を身につけて是非実行してください。
逆Y字になるのは歩幅が最大に広がった時です。前に振り出した脚と、体を前に押し出す後ろ足、そして腰から上の体幹部が、ちょうど逆Y字のラインとなるように意識しましょう。
ポイントは次の3点です
① 上半身はリラックスしてまっすぐ保つ
② 少し大またに前脚を伸ばしてかかとから接地する
③ 後ろ脚で体を十分前に押し出す
① 上半身はリラックスしてまっすぐ保つ
姿勢を保つのに大切なのは骨盤の角度です。といってもチョッと難しいので、おヘソの少し下あたりをぐっと引き締め胸郭を上に引き上げるような感じで姿勢を正してください。他の部分の力は抜きます。
② 少し大またに前脚を伸ばしてかかとから接地する
膝から下だけ使って歩かず、腰から下を振り子のように前に振り出します。足首に力を入れてはいけません。柔らかく自然に踵から接地します。
③ 後ろ脚で体を十分前に押し出す
はじめはフクラハギに力が入ってしまいますが、少しずつ太ももの裏側からお尻にかけての筋肉を使って、体(腰)を前に押し出すようにしましょう。フクラハギのキックは軽く添える程度です。腰を捻って歩幅を広げるのではなく、腰を前に押し出す感じが大切です。
腸腰筋を強化し「歩行力」アップ
逆Y字ウォークは今さかんに話題になっている腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)を十分に使う歩き方です。腸腰筋は身体の深部にあって姿勢を維持したり「歩行力」を強化する重要な筋肉です。ウォーキングタイムだけでなく、日常生活の中でも意識してやってみましょう。この歩きの基本を身につけるには少し練習が必要ですが、継続することによって、美しく、力強く、軽やかに、あなたの歩きが変わります。
最終更新:2011年02月12日 01:37