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ルーラ・キャラット

「怖いから」という理由で(もちろん怖がってるのは私だけなんだけど)早足で森を抜けた私達は今度こそトラスタ村に別れを告げた。
幸い道中お化けも出なかったし、お父さんやお母さんに見つかる事もなく出発できた。

「まったくお化けなんている訳ないのに、ルーラってほんっと子供よね」
「いるよ!私小さい頃絵本で読んだ事あるもん!シリウスちゃん知らないの!?夜中に寝ない悪~い子どもはお化けの世界に連れていかれちゃうんだよ~っ!?」

幼少期のトラウマである白いお化けの絵本の話題を出すとシリウスちゃんは本日何度目かもわからないため息を吐く。
私の相手をするのも面倒臭くなったようで、それ以降お化けの話をしても「はいはい」と適当にあしらわれるようになってしまった。
(うう、シリウスちゃんがいつもにましてクールだよう……)


しばらく歩いたところでシリウスちゃんが「そういえば」と口を開いた。


「何の目的もなく歩いてるわけだけど、これからどうするの?」
「これから??」
「旅の話。旅に出たいって言ったのはルーラなんだから、私は行き先も目的もアンタに任せるけど」
「あ。え、えーっと……えへへ」
「……その顔はまっったく何も考えてなかったって顔ね」

図星を指され私は「うっ」と唸る。
家を出るという事しか頭になかった私はこれからどこへ向かって旅をするかなんて全く考えていなかったのだった。
しかしこのままあてもなく旅をするのもいつまで続くかわからないし……。

おろおろと困っているとシリウスちゃんがカバンの中からこの大陸の地図を取り出してくれた。

「さっすがシリウスちゃん!こんな物まで持ってくるなんてやっるぅー!!」
「あのねぇ、このくらい下準備は当然でしょ。……先が思いやられるわぁ」

呆れるシリウスちゃんから地図を受け取ると、私は現在地を確認した。
え~っと、私達が今いるところはトラスタから少し離れた『アルマ平原』……だね。
もう少し歩いたところに港町『マルーン』がある。うーん、それじゃあ。

「もうすぐ夜もきちゃうしとりあえずマルーンまで行って宿取ろうよ!冒険は明日からでも遅くないよね??」
「そうね、ルーラにしてはいい判断だと思うわ」
「わ、私にしてはって……ナニ?」
「いきなりダンジョンに特攻してドラゴンを倒すー!なんて言い出したらどうしようかと……」
「そっ、そんなムボーな事いくら私でもしないよう!!」

それに最寄の町で色々と旅の準備もしたいしね!と続けたらえらく感心されてしまった。
私、普段どれだけおバカに見られているんだろう……バカだけどさぁ、むー……。

平原を抜け、マルーンにつく頃には満月が昇っていた。
マルーンの海はとても綺麗で、水面に星が反射してキラキラと輝いている。

「わーすごーい!シリウスちゃん、海だよ海ー!潮のにおーい!!」
「本当……綺麗ね」

最寄の町だから名前や存在だけは知っていたけど……私もシリウスちゃんもトラスタから出た事がなかったから、何もかもが違って見えてわくわくする!

「マルーンって結構大きな町だったんだ~!あっ、向こうに雑貨屋さんもある~!!」
「こらルーラ。とりあえず宿取るんでしょ?観光はまた明日」

雑貨屋さんに向かって走り出そうとしたらシリウスちゃんに首根っこを押さえられた。
むー、よくよく考えれば夜だしお店もう閉まってるかもしれないもんね。
私は渋々「はぁい」と返事をするとシリウスちゃんと共に宿を探した。

歩きながら、私はなんとなく夜空を見上げた。
星は綺麗に瞬いており、私達の旅の幸運を祈ってくれている。……そんな感じに見えた。

「ルーラ、何してるの?早く入るわよ」
「あっ、シリウスちゃん!待ってよ~!!」

先に宿に入ろうとしているシリウスちゃんの姿を見つけ、慌てて追いかける。



……私達の旅路はこうして始まった。
きっとこの先私達を待っているのは、素敵な仲間と、冒険の日々。
昨日までとは違うふかふかのベッドで明日への希望を抱きながら、私は眠りに落ちていった。

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最終更新:2011年09月06日 04:10