トレアン・ブレス
道具のたくさん入ったかばんを肩に下げ、僕は一人地図を広げていた。
「旅に出る、って決めたのはいいけど…材料がどこにあるのかサッパリなんだよね…」
地図と一緒に、ディムアの薬の材料の資料を並べて見るけど…
さすが、
幻の薬というべきか…。材料の場所が分からず、僕はただとぼとぼと歩いていた。
材料の一つは、ピネスの花。
フィーネにもらった大切な花。それは大切に巾着袋に入れて保管してある。
残りの材料は、5つ。
「流星の石…は、どこかの洞窟にあるって噂を聞いたけど…」
それがどこか、なのかなんて分かったら苦労しないんだけど…
とりあえず、僕は情報を集めようと僕の家から30分程度の大きな町まで着いた。
港があるこの町は、とても栄えている…
と、本で読んだ事があるけど。
資料としてみるのと、現物としてみるのはこうも違うんだな…
周りの華やかな光景に、僕はめまいがしそうだ。
…ふう。
たった三十分歩いただけでも、疲れって出るもんだな…。
とりあえず、一休みできるような場所を探すか…
と、思ったそのとき。
ドン!!と、背中から攻撃を受けた
「うわぁあああぁあっ!」
無論、疲れていた僕は簡単にバランスを崩し、倒れた。
いったい何が起きたんだ?と思い顔を上げるとそこには…
人相の悪い、ヤクザ集団……
僕は、気を失った。
「おい、大丈夫か?」
その一言で、僕は目を覚ます。
周りを見渡してみると…ボロッちい、小屋。僕はその中で、ぼろぼろの毛布をかけられ寝ていたようで。
僕はどうしてここにいて気を失ってたんだっけ・・・。
「ん、怪我はしてないみたいだし大丈夫そうだな…わるいな、ちょっと余所見してぶつかったんだが・・」
はっとして声の方に目を向ける。
僕よりは年上に見える、黒い風貌の男の子がそこにいた。
そういえば、さっきのヤクザたちは…?
見回すと、外からわいわいと男の荒々しい声が聞こえる!…どうやらこいつもヤクザの仲間…?
身構えると、ハハハ、と男は軽く笑った。
「あいつら人相わるいからなー、悪いやつじゃないんだぞ?俺はあいつらからいろんな情報聞くために一時的につるんでるだけだ。
まあ、そうおびえるなって…」
「お、おびえてなんかない!!ちょ、ちょっとビックリしただけだ!」
「ははは、ま、いいか。あ、自己紹介が遅れたな。俺はモンキー・ジャック。ジャックでいいぜ。」
「ジャック…?え、えと、僕は
トレアン・ブレス。よろしく」
僕はおずおずと自己紹介をする。そういえば歳が近い子と普通に話すなんて久しぶりだった。
「…ブレス、か。ところでさ、ちょっと言いづらいんだけど」
「?」
すると、ジャックはぴら、と一枚のぼろぼろの紙を取り出した。
塗れたのだろうか、インクがにじんで何も見えない…
あれ?その紙ってもしかして。
「ぼ、僕の資料ー!!!!!」
「あ、あははは、お前がこけたときに噴水に落っこちたみたいでさ、」
「うわ、うわ、これ流星の石についての資料だ…うわああ、ど、どうしよう…これじゃ読めない…」
「流星の石?」
「?」
ジャックの目の色が変わった。
するとしばらく考え込むと…
「お前、流星の石を探してるのか?」
「え、あ、うん、そうだけど…」
「…それなら、この紙がなくても問題ないな」
「えっ!あ、」
ジャックは僕の資料をくるくるとまとめ、ゴミ箱にポイッと投げ捨てた。
「流星の石なら、この先の
闇の洞窟にある。案内してやるよ。せめてもの侘びだ!よそ見してたのはオレだからな」
「!!し、知ってるのか?!」
「ふふん、オレは凄腕トレージャーハンターなんだぜ?運がよかったな。お前!」
ニカッと、ジャックは笑った。
どうやら、僕はとても幸運な出会いをしたらしい…。
最終更新:2011年09月06日 04:04