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明 翔

 潮の香りに誘われて旅人が行き交う港町・マルーン。
 交易が盛んなこの町は、人も港も経済も活気ついている。ギルドにもさまざまな方面からの依頼が舞いこんできて、駆け出しの冒険者には名を売るには持ってこいの場所。
 名声はあまり興味はないが、今晩の飯には興味がある。俺は今空腹を満たす前段階のために依頼書を漁っている。…つまり?――金欠だよ。
 今にも鳴りそうな腹の虫を抑えながら、依頼書を眺めていたら、金入りのよさそうな依頼を発見した。



『白夜樹の葉を探しています』
 依頼者:薬草学者ラナセル

 新しい薬の開発にどうしても白夜樹の葉が必要です。
 白夜樹は『闇の洞窟』に分布しているようなので、
 取ってきていただけないでしょうか?
 金8000からで、取ってきて頂ける枚数で報酬を上乗せします。



 金8000…。俺の中でその言葉がエコーした。
 こんだけあったら当面宿代払って、酒場ツケ払って、脆くなったサバイバルナイフ買い換えて、ああ、それから―――。なんて考えてるうちに俺は、ギルドのカウンターに向かって歩きだしていた。


 「この依頼貰うぞ」

 新聞を読み耽って顔も見えないギルドのマスターに依頼書を提出していた。マスターは読んでいた新聞から目だけ覗かせ、俺の顔と依頼書を見ると、面倒くさそうに受諾印を押し、また読み耽っていた新聞で姿を覆った。
 俺は『闇の洞窟』を目指し、ギルドの門を開き、潮騒の響く中へと出て行った。


 (の、前に腹ごしらえだな!)


 師匠から教わった諺で言っていた。
 腹が減っては戦は出来ぬ。

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最終更新:2011年08月05日 04:53