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プラチナ・ガーネット

……目の前にはぷすぷすと煙をあげながらノビている黒猫。クロはボクの放った魔法に直撃し、その名の通りクロ焦げになっていた。
炎魔法ファイア・ボルト。マナを扱う者であればまず通る道であり、初歩の初歩の炎魔法である。
「うー」などとうめき声を上げてるクロがちょっとかわいそうだけど仕方ない。クロの生意気なところは昔っからだけど、会って間もない人に向かって「だっせぇ」なんて失礼だもの。主人のボクが普段からしつけておかないとね!
……シリウスちゃんとブレスくんがボクを見てなぜだか一歩引いてしまっているけど……あんまり気にしないでおこう。

「みんな……うちのクロが余計なこと言ってごめんね……?さっ、早く行こ?」
「あ、あぁ……」
「そ、そうね……」

二人に笑顔を向け、洞窟へと踏み込もうと瞬間――それまで道案内をしてくれていたジャックさんが突然背中を向けた。

「んじゃ、洞窟の場所は案内したし俺の出番はここまでだな」
「ええ~っ!中まで案内してくれないのぉ??」

てっきり、中まで案内してくれると思っていたのだが……どうやらジャックさんはマルーンに戻ってしまうみたいだ。
悲しそうな声をあげるルーラちゃんに苦笑しながらジャックさんは頭をかく。

「案内したいのはやまやまなんだが……中については俺もよく知らねぇからなぁ。まぁこう見えても小さな洞窟だし、お前達なら迷う事なく進めると思うぜ」
「そ、そうか……」
「ははっ、まぁまぁブレスもルーラもそんな暗い顔すんなって!」

ジャックさんはニカッと笑顔を浮かべるとルーラちゃんとブレスくんの頭をわしゃわしゃと撫でた。
くすぐったそうにルーラちゃんがはにかみ、ブレスくんが照れくさそうに目をそらす。……仲の良い兄弟のようなその光景に、ボクとシリウスちゃんは微笑を浮かべて3人を見守る。
……やがてルーラちゃん達から離れると、ジャックさんはボク達へと向き合った。

「さほど危険な洞窟じゃないが中にはモンスターも生息している。くれぐれも無茶なマネはしないように」
「ええ、分かったわ」
「……ジャックさん、ここまで……色々と有難うございました」
「気にすんな!困った時はお互い様だ。マルーンに戻ったらいつでも遊びに来いよな!」

力強く、ジャックさんは太陽のような微笑を浮かべた。
勘違いして迷惑をかけてしまったのに道案内までしてくれたジャックさん。道中、あの件について何度も謝ったけど彼は気にする様子もなく「いいっていいって」と笑い飛ばしてくれた。
こんな優しい人達がいたなんて――少しだけ涙腺が緩くなるけれど、それをグッと飲み込む。

「じゃあ行こっ!『闇の洞窟』へ!!」

ルーラちゃんの掛け声を合図に、ボク達はジャックさんに見送られながら『闇の洞窟』へと入っていった。

「とっ……ところで、ブレスくん」
「……なんだよ?」

洞窟に入った瞬間、ルーラちゃんが何か深刻そうに……おずおずと口を開いた。
(ルーラちゃん、突然深刻そうな顔してどうしたんだろう……?何か不安なことでもあるのかな)
ボク達はドキドキしながら彼女の言葉を待つ、と。


「何の為の洞窟探検するのー??」
「「「だぁぁぁぁ~っ!!」」」


えへへ~、と笑うルーラちゃんの発言にボク達は盛大にずっこけた。
る、ルーラちゃん……何するか分からないまま付いてきてたんだ……。

「そ、そういえば、ブレスの目的を聞いていなかったわね」

シリウスちゃんもブレスくんの目的については忘れていたようで、コホンと咳払いをして顔をそらす。
そんな二人を呆れたように見つめた後、ブレスくんは頭をかきながら目的を話してくれた。

「えぇと、『流星の石』って言う錬金術の材料を探しているんだ。洞窟のどこにあるかは僕もよく分からないんだけど……」
「流星の石~?う~ん、ちょっとどんなのかわかんない……。でもきっと大丈夫!みんなで隅々まで冒険したらきっとすぐ見つかるって!!」
「はぁ……お前って本当にお気楽なやつだな。僕ですら見つかるかどうか半信半疑だっていうのにさ」
「そうかなぁ?何事にもポジティブに、だよブレスくん!!私が付いてるからねっ!!」
「ちょっ!!」

興奮したルーラちゃんが勢い余ってブレスくんへと飛びつく。
ルーラちゃんに抱きつかれたブレスくんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせながら「はーなーせー!!」と抵抗していたが……かわいそうな事にルーラちゃんの力には敵わないようだ……。
しばらく傍観していたシリウスちゃんだったが、やがて溜息を吐くなり二人の間に割って入る。

「ほら、二人ともじゃれ合ってないで洞窟を探索するわよ」
「なっ、ぼ、僕は別にじゃれ合ってるつもりじゃ!!」
「は~いシリウスちゃーん!」

(シリウスちゃん……なんか、保護者みたい……)
そして完全にルーラちゃんのペースに巻き込まれているブレスくんに苦笑しつつ、ボクは3人の後ろへと付いて歩く。
洞窟は狭い一本道だ。暗いけど、とりあえず真っ直ぐ沿って歩いてゆけば何かが見えてくるはず……。

暫く雑談を交えながら歩いていると――分かれ道が見えてきた。

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最終更新:2011年09月06日 05:27