蛇口を捻れば、水が出る。カフェに行けば、ウェイターが水を運んでくる。スーパーに行けば、水が売っている。
当たり前の事柄である。真水は貴重な資源ではあるが、人間が生きる上で兎角重要なエレメントだ。
然るべき対価を払えば何時何処でも手に入るようでなければ、それこそ国家の維持に致命的な亀裂を生じせしめてしまう。
水は、時と次第によっては、時に国家にとっての血液と比喩される金よりも、重い意味を占めるのである。
その当たり前の事柄が崩壊した世界から、男はやって来た。
憎悪――Hate(『ヘイト』)と自らを自称する白髪の男は、表面の塗装が剥げ、錆が浮き始めた遊具しかない寂れた夜の公園の水飲み台で、
顔中が濡れる程の強さで水を噴射させ、其処に顔を出して水を浴びるように飲んでいた。
何日ぶりの水だろう。ヘイトは考える。人は、十分な水と睡眠時間さえあれば、例え何も食べずとも、二週間以上は生きられるような身体の作りになっている。
だが、この水すらも断った場合には、人は一週間と生存する事は出来ない。結論を先に述べるなら、ヘイトは優に七日は水を口にしていなかった。
人が水なしで生きられる日数の限界を超えて尚、男が今まで生きていられたのは、ひとえにその執念の故であった。
ヘイトには、殺して、八つ裂きにしてやりたい男達がいた。
その男達は、彼から全てを奪った。社会的な地位も、蓄えていた財産も、己の両腕も、――己が何よりも愛していた妻子も。
全てを一瞬で、ヘイトは失った。自分の人生を掛けて手にした地位、名声、財産、幸福、家族。その全てはもう、彼の手元になく、
全てを奪った張本人達は、天才分子工学者だったヘイトの研究・開発していたナノテクノロジーを元手に、地位・名声・財産・幸福を得ていた。
それはまるで、ヘイトが噛みしめていた幸福を簒奪し、それを自分達で享受しているかの如くで。それを思うと、自分の身体が、心胆が。
黒い炎で炙られ焼かれて行くのを、ヘイトは感じずにいられないのだ。
生かしては、おけない。
ヘイトから全てを奪った五人は、一人残らず地獄に叩き落とさねばならない。
ヘイトから全てを奪った五人の、生きた証を全てこの地上から排斥しなければ気が済まない。
ヘイトから全てを奪った五人に、殺された妻子の声なき絶望と己の味わった絶望と憎悪(Hate)を叩き込む事こそが、己の存在意義。それだけを信じ、ヘイトは今日まで生きて来たのだ。
「良い目をしてるね、ヘイト。名前に恥じない――復讐者の目だよ」
水を飲み終え、蛇口を閉めようとしていたヘイトの耳に、女性の声が聞こえて来た。
若く聞こえる。十代後半、或いは二十代半ば程かも知れない。声のトーンを弾ませれば、快活そうで溌剌とした女性の声音に聞こえるだろう。
だが、ヘイトには違って見えた。この女は、自分と同類だと。そう、同類には隠せないのだ。その声に内在されている、隠し切れない荒んだ響きが。
「……褒めている風には、聞こえないな」
声のする方角に、ヘイトは顔を向けた。
水に濡れた薔薇を思わせる程艶やかな、長く伸ばした赤い後ろ髪が特徴的な女性だった。
美女、であった。荒み、やさぐれた印象を見る者に与える程毒のある、刺々しい顔つきである事や、まるでSMを好む女性を思わせるようなボンテージファッションである事を差し引いても、だ。その顔立ちから険を取ればさぞ可憐であるう事は間違いなく、その身体つきも、よの男の心を射止めるには十分過ぎる程のプロポーションがあった。
「いいや、褒めたよあたしは。いきなり自分のマスターを茶化して、険悪な雰囲気に自分からして行く程、あたしは馬鹿じゃないよ」
「今の言葉の意図が、オレには図りかねる」
「あたしを召喚するのに、相応しい人間だって。確かに褒めたんだよ、言葉は足りなかったのは認めるけどさ」
微笑みを浮かべ、ヘイトにそう言った、赤髪の女性。
浮かべる微笑みは、愛する我が子に向ける慈愛の笑みと言うよりは、同じ悪事に手を染めて十と余年にも達さん腐れ縁に対して向けるそれに似ていた。
「真っ当な人間があたしを呼び出しても、ライダーか……良くてセイバーかな。そんなクラスでしか呼べないんだよ。あたしをアヴェンジャーで召喚出来る時点で……あんたの心に宿るどす黒い復讐心は、飾りでも伊達でも何でもない。本物だよ」
「そうだ。オレはあの時、この両腕を壊され、愛する妻子を失ったその時から……誓ったんだ」
握り拳を作り、ヘイトは拳を高々と掲げて見せた。
「――オレの全てを奪った外道畜生共を、赦してはおかぬと!!」
固く握られた右の拳を、水飲み台に振り落とした。
果たして、誰が信じられようか。蛇口部分に拳が衝突した瞬間、固く固定されている筈の蛇口は拉げて地面に叩き落とされたばかりか、
蛇口を固定していた石台に、全部くまなく亀裂が生じ始め、其処から瓦解。元が何であったのか判別出来ない石材の瓦礫となって、ヘイトの足元に堆積する。
「オレは、鉄の腕を装備した。奴らの心臓を抉る為に。オレは、オレの復讐心を繋ぎ止める力を手に入れた。この身体が砕け散るまで、オレの復讐心を絶対に忘れない為に!!」
五人によって奪われたヘイトの両腕は、勿論生身の腕ではない。
彼の腕は、鉄によって作られた義腕であり、彼はこれを『ゼスモス』と呼ばれる超能力を以って、まさに己の腕のように操るのである。
ドス黒く燃え上がる太陽の様な復讐心、岩盤すら破壊する腕力、砕かれようと替えの利く鉄の腕。これらを用い、ヘイトは、己の復讐を果たそうとしていた。
五人の内四人は、既にヘイトは仕留めている。後一人。自分が妻子を失った原因ともなった、『進化』の名を冠する男は、未だ生き残っている。
……いや、生き残っているだけならば、まだ良い。あの男は、己が医療用に開発・研究していたナノマシンを、世界中に散布し、
地球上の人類の殆どを死滅すらさせてしまった、まさに神を騙る愚か者にまで成り下がった。
あの男――プログレスが、神を騙っているから、憤っているのではない。人類の殆どを殺戮した、その非人道的な行いに激怒しているのではない。
ヘイトの怒りの源泉は、いつだって、一つ。妻子を奪われたから。この一点のみに他ならない。この一点の事実のみで、ヘイトは、プログレスを地の果てまで追い詰める、
復讐の鬼に我が身を貶めさせる事が出来る。魂の一かけらすら残さない復讐の焔に永劫焼かれ続ける選択肢を、躊躇いなく選ぶ事が出来る。
ゼスモスによって操作される鉄の腕を、プログレスの頭に、胴体に、股間に叩き込むイメージをヘイトは思い描く。そしてその後、か弱く拍動する心臓を、抉り取る様子を、脳裏に描く。
「オレは、此処で死ぬ訳には行かない。全ての願いが叶うと言う聖杯も、オレにとってはもう要らないんだ。ただ、プログレスの奴を殺せれば、オレはそれで良い」
「要らないの? 聖杯。欲がないね。嫁さんと、子供を蘇らせるとかでも、良いんじゃない?」
「……オレも、最初は、それを考えた。」
「だが」、と言葉を区切るヘイト。
「それでは駄目だ。オレは、オレから全てを奪った五人を殺す。その為だけに、今まで生きて来た。今更、他の生き方は、選べない。プログレスの奴を、この手で殺す。聖杯は、俺が元の世界に戻る為の道具に過ぎないッ」
自分がこうして、ナノマシン散布によって荒廃を極める前の日本を連想させるような街にいる間、あの男がのうのうと支配者面して生きている。
その事実を認識する度に、ヘイトの喉は旱魃でも起こった様に乾いて行き、頭蓋の中身が煮えたくるような怒りで支配される。
オレはお前に全てを奪われた。だから、オレはお前の全てを奪う。それが、ヘイトの行動理念だ。当然、聖杯でプログレスに直接死を与える事も出来るだろう。
だが、それは許さない。あの男は、直接自らの手で殺さねば腹の虫が収まらない。だから、こんな所――冬木市――でいつまでも燻っていられない。直ちに、元の世界に戻らねばならないのだ。
「……あんたがあたしを呼べた理由、解ったよ」
「何だ」
「あんた、あたしに似てるんだ」
女は、空を仰ぎ見た。満点の星々が、昏黒のビロードに鏤められたような、見事な夜空。
それを、彼女は微笑みながら見上げている。その様子は、ヘイトにも見覚えがある。妻であったヒロコが、ユミに対して向けていた、慈母の笑み。
目の前の恐ろしい、アヴェンジャーのサーヴァントは、こんな笑みも出来たのか、と。彼は素直に驚いていた。
「月こそ違ったけどさ、こんな夜だった。夫を亡くして一月経った、満月の夜。あいつらはやって来たんだ。あたし達が代々守り抜いて来た、魂その物とも言うべき、ブリタニアの土地と民を寄越せってさ」
言葉が、後の方になるにつれ、女性の言葉に、怒りの灯火がポツポツと灯って行くのを、ヘイトは見逃さなかった。
「断ったよ。当然ね。んで、後の仕打ちが、あたしの尊厳をズタズタにするような嘲笑と侮蔑。財産どころか家族同然だった大切な牛馬の略奪。男の民の虐殺。そして……あたしの愛する娘を、犯して、さ!!」
口にする内に、耐え切れなくなったか、彼女は、懐に差していた剣を引き抜き、それを地面に突き刺した。
ズンッ、と言う音が響くと同時に、ヘイトの所まで地面が緩く揺れた。どれ程の膂力を以って、この女は剣を地に突き立てたのか。
女性にしては背が高いとは言え、彼女の見た目は到底荒事には適さない、柔らかな女性美の結晶の様なそれ。果たしてそんな彼女の何処に、此処までの腕力があるのか。
……或いは、とヘイトは考える。この腕力は、彼女の有する憎悪と復讐心が織りなす、奇跡のような物なのかも知れない。
「辛いよね。家族や仲間を殺されるってのはさ。よく解るよ、あたし。アンタの気持ち。嘘じゃない。あたしも昔、あんたと同じで、あの餓えた狼共よりも節操のない野蛮な国(ローマ)を滅ぼさんが為に、生きてた時代があったからさ」
ふぅ、と息を吐き、女性は言葉を紡いで行く。怒りに支配されている己の心を落ち着かせるべく、自分の心に言い聞かせるように。
「自分の身体や地位を滅茶苦茶にされた程度じゃ、人間、此処まで猛り狂えない。それらを含めた全てを汚されて初めて、人は、復讐者に身を堕とせるんだと思う。マスターは妻子を奪われて。あたしは、娘達を凌辱され、民を虐殺されて。あはは、奪われたものまでそっくりじゃない、あたし達」
「……そう、だな」
所在無く、ヘイトは答える。
目の前のサーヴァントの真名、ヘイトは一応ではあるが知っていた。詳しく知っていた訳じゃない。
精々が、聞きかじりのそれである。ヴィクトリア、或いは、英語圏において勝利を意味する英単語、Victoryの語源ともなった女性。
そして、ネロ帝が皇帝であった時勢のローマ帝国に全てを奪われ、復讐の道を歩んだとされる、勇ましき女王。
「マスターの心意気が本物だったからさ、あたしも思い出しちゃったよ。狂おしいまで、ローマへの思い……。世界を支配する帝国面した、この世で最も愚かで、恐ろしい、悪魔の国の事をさ」
今まで突き刺していた剣を引き抜き、胸の前までそれを持って行ってから、彼女は更に口にする。
「良いよ、ヘイト。貴方の復讐の為の露払いに、あたしは貴方の眼前の敵を我が戦車で蹂躙する事を誓おう。だけど貴方も、誓うんだ。ローマを名乗る悪しき竜(ドラゴン)を葬る為に、あたしに力を貸してくれる、と」
「誓おう。女王『ブーディカ』。俺と同じく、燃え盛る復讐の炎を心に宿す者よ」
「良い返事です、戦士ヘイト。私と同じく、復讐を遂げる事でしか己はないと思っている者よ」
生まれた時代も、己の境遇も、性別すら違う二人だが、彼らは確かに見ていた。
骨すら残さず焼き尽くさんばかりの黒/薔薇色の焔が、確かに己の身体を覆うように燃え盛っているイメージを。
そして、その焔に、いつの日か焼き尽くされるだろうと言う未来すらも、その焔の中に、二人は見ていたのであった。
【クラス】アヴェンジャー
【真名】ブーディカ
【出典】史実(ブリタニア:?~60年?)
【性別】女性
【身長・体重】174cm、62kg
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力:A 耐久:E 敏捷:C 魔力:B 幸運:D 宝具:A+
【クラス別スキル】
復讐者:A+
復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの活動魔力へと変換される。
忘却補正:B
人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。
自己回復(魔力):B
復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。毎ターン微量ながら魔力を回復し続ける。
【固有スキル】
鋼鉄の決意:B+++
負けなし、無敵、世界最強の国家としての地位を欲しいままにしていたローマを相手に、不退転の決意を秘めて反旗を翻し。
復讐心を糧に彼らに対し報復を続けて来た、鋼の精神と行動力とがスキルとなったもの。痛覚の完全遮断、衝撃に屈さぬ精神と身体を誇る様になる。
複合スキルであり、勇猛スキルと冷静沈着スキルの効果も含む。
戦闘続行:A+
往生際が悪い。霊核が破壊された後でも、最大5ターンは戦闘行為を可能とする。
不屈の闘志で強大なローマ帝国軍を戦い続けたライダーの逸話がスキル化したもの。アヴェンジャーとしての召喚の為、ライダークラスの時のそれよりランクが高い。
魔力放出(怒炎):B
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、放出させる事で、攻撃力と防御力を強化させる。スキルを使う度に魔力を消費する。
ライダーの魔力の放出形態は炎であり、更にアヴェンジャークラスとしての特性の為か、その炎には、直撃するだけで凄まじいまでのスリップダメージが負うようになっている。
アンドラスタの加護:C
勝利の女神アンドラスタによって与えられた加護。集団戦闘の際、ブーディカとその仲間の全判定にプラス補正がかかる。
特に防御のための戦闘で最大の効果を発揮する筈だったが、アヴェンジャークラスでの召喚の為ランクが下がっている。
女神への誓い:B
古代ブリタニアの勝利の女神アンドラスタへの誓い。
勝利すべき仇、と定めた相手への攻撃にプラス補正がかかる。ブーディカの場合、ローマに属する相手に対してのみ補正が働く。ローマ特攻。
【宝具】
『約束されざる守護の車輪(チャリオット・オブ・ブディカ)』
ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:2~40 最大捕捉:50人
恐るべき風貌をした悪霊と、巨大な猟犬によって牽かれる、燃え盛る巨大な戦車。
ブリタニア守護の象徴であり、ライダークラスで召喚された場合は、高い耐久力を誇るだけでなく、真名解放と同時に戦車が出現して、ブーディカとその仲間を守る、
と言う機能を持った、防御能力に特化した宝具であった。だが、アヴェンジャーでの召喚により、その性質が反転。
ケルトの神々の加護を防御や『盾』として機能させるのではなく、突進や蹂躙と言った『攻撃』に特化してしまっている。
この戦車自体が、アヴェンジャーと同ランクの魔力放出(怒炎)スキルを保有しており、これを利用した突進及び、高所飛行からの爆撃など、その威力は極めて高い。
『約束されざる勝利の剣(ソード・オブ・ブディカ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1人
自らと同じ「勝利」の名を冠する片手剣。だが、決して星の聖剣ではなく、勝利も約束されない。完全ならざる願いの剣。
ライダークラスでは、小ぶりな魔力塊を撃ち出す程度の宝具だったが、アヴェンジャーでの召喚により、極めて魔力塊が大降りになっている。
サーヴァントですら直撃を貰えば膝を折る程の一撃だが、連発する力に弱い点が弱点。この力は真名解放しなくても発動可能。 真名解放すると、一度に魔力塊を複数連射出来るが、その分消費も増す。
『七つの頸の、竜を討て(ヴィクトーリア・ワイルドハント)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:10~50 最大補足:50~200
死後、妖魔や悪霊、妖精、妖怪、精霊、魔女、死者達を率いる恐るべき行進、ワイルドハントの首領として、今もブリテンの地を闊歩していると言う逸話の具現。
己の魔力を用いて現世に、狂奔状態にある上記の存在達を召喚、召喚した傍から彼らを怒炎で炎上させ、それを全方位に突進させる、特攻宝具。神風。
また、この宝具を発動中は、魔力放出(怒炎)のスキルランクはA++ランクに修正。この状態のライダーは、常時怒りの炎を放出している状態にあり、
周囲に存在する生命体や建造物を残さず焼き滅ぼす。この時の怒炎は対象を燃やし尽くす呪いであり、物理的な消火は不可能な上、神秘による消火ですら著しく困難。
この状態で、約束されざる守護の車輪を使用する事も出来、この時に行う事が可能な、炎を撒き散らしながら突き進み、進路上の万物を焼き滅ぼす、
殲滅走法こそがこの宝具の神髄。勿論魔力消費量は半端なものではないが、憎悪を向けられれば向けられる程強くなるアヴェンジャーの性質上、痛手とは言い難い。
【weapon】
【解説】
詳細は原作と同じ。此処では当クラスのブーディカについて説明する。
このブーディカは、ローマの暴虐行為によって自分や娘達を凌辱され、更に民を殺された後の、復讐に生きた時の時期で召喚されている。
アヴェンジャーではあるがオルタではないのは、この復讐に身を捧げ、ローマに対して悍ましい暴虐や虐殺を働いていたブーディカもまた、彼女の偽らざる側面であるから。
このクラスで召喚されたブーディカは、ライダークラスの時とは違い特に攻撃に特化した性能で召喚され、防御と言う概念を完全に捨てきった性能になる。
相手を徹底的に殺し、滅ぼす事に長けており、ライダークラスのブーディカが得意とする自軍及びマスターへのサポート能力は殆どない。
彼女もまた史実上に名高い、復讐者の象徴のような存在だが、彼女をこのクラスで召喚する事は、英霊の座に登録され、自己を顧みる時間を与えられた今となっては、
かなり困難に近い。だが、マスターであるヘイトの、常軌を逸した復讐への渇望心が、彼女をこのクラスで召喚するに至ってしまった。
ライダーのクラスで召喚された時とは違い、この姿のブーディカは苛烈な女戦士のそれ。女子供、老人であろうとも、敵対するとなれば容赦なく殺害する、
と言うローマの敵対者、恐るべき殺戮者としての側面が非常に濃く強調されている。だが、根っこの部分はブーディカであり、そうならざるを得ない自分について、
酷く嫌悪している。聖杯に掛ける願いは、ローマと言う国家をなかった事にする、と言う恐るべきもの。つまりは、FGOにおける二章でレフ・ライノールが目論んだ企みとは方法論が違うとはいえ、人理の焼却の一端を担おうとしている。
【特徴】
水に濡れた薔薇を思わせる程艶やかな、長く伸ばした赤い後ろ髪の女性。顔付きと身体つきは、FGOと同じ。
ライダーの時とは違い、その顔つきは荒み、やさぐれた印象と毒がある。SM嬢のようなボンテージファッションである事が差異。
ただ、こんな服装でも、原作の第一再臨前の姿よりも露出度は少なかったりする
【聖杯にかける願い】
ローマをなかった事にする。
【マスター】
ヘイト@Dämons(ダイモンズ)
【マスターとしての願い】
元の世界へ帰還、プログレスを殺す。
【weapon】
鉄の腕:
両腕を破壊されたヘイトに装着されている、金属製の義腕。ベッケル博士が開発した。
鉄、と言うのは通称であり、材質には鉄以上の強度を持つ特殊合金が使用されている。
腕を動かすための動力や機構は一切内蔵されておらず、ゼスモスで動かす事を前提にデザインされている。
普段は鉄の腕を覆うような、人間の腕そっくりの被り物を被らせる事で、金属部分を露出させて目立たせないようにしている。
現在ヘイトが装備している鉄の腕は、従来の腕としての機能の他、ナノテク技術も織り込まれており、右前腕部にはブレードが、左にはシールドが収納され、
戦闘時はこれらをとっさに展開して、より有効な攻撃、防御をこなす事が出来る。ただし収納部は精密な機械であるため、衝撃で破損すれば使用不能になる。
現在ヘイトは、特殊なアタッシュケースにこれらの腕を3セット隠し持っている。
【能力・技能】
ゼスモス:
念動力の一種。ベッケル博士が発見・提唱した。ベッケル曰く繋ぎ止める力。ゼスモスは過酷な訓練によって習得が可能であり、
訓練をする者は通常のサウナ以上の高温多湿の部屋に入れられ、椅子に体を固定された上で、目の前に水の入ったコップを置かれる。
コップは四肢のうち失った部位でなら届く範囲に置かれ、残る部位からは届かないようになっている。
コップを取ろうと足掻いても当然届かず、その状況がしばらく続くと精神的・肉体的苦痛から失神する。
失神ののちは部屋から出されるが、最低限の点滴を与えられた後、また同じ部屋に戻される。この流れを繰り返し、発狂寸前になると『ゼスモス』に覚醒する。
ゼスモスは基本的に生物の失われた身体部位に失われた身体部位の形で発生し、力が及ぶ範囲の物を繋ぎ止め、ゼスモス使用者の意のままに動かすことが出来る。
その性質上、基本的に四肢に欠損がある者が発現させる力であり、この力を用いれば動力の無い義手・義足を本当の手足のように動かすのみならず、
生身の人間の関節の可動域を超えた動きや、人間の筋力では無し得ない強いパワーを発揮することもある。
また、これらの運動には熱エネルギーが発生しない。ゼスモスは身体と直接物体を接合させた時に強い力を発揮しやすい。
また、欠損部位の形をした物体以外を繋ぎ止めることも可能とするが、ゼスモスの力は欠損部位とほぼ同じ形で発生するため、
欠損部位の形(液体や鎖など欠損部位の形へと変形が容易な物体も含む)以外の物体に対しては基本的に身体とその物体を繋ぎ止めるだけに留まる。
しかし、強大なゼスモスは時に身体から離れた場所にある物も繋ぎ止め、さらには手足の形をしていない物を手足の形に引き剥がし変形させるまでの力で「繋ぎ止める」ことも可能である。
【人物背景】
本名は砌斌兵斗(さいもん へいと)。かつての親友5人に妻子と両腕を奪われ、その復讐に臨む。
念動力の一種である「ゼスモス」を習得しており、『ゼスモス』で操る事の出来る金属製の義腕を持つ。
元はナノテクノロジーのスペシャリストであり、ロゴスディア社で医療目的の研究開発を行っていた。
しかし、社の上層部が医療から軍事目的へのナノテクノロジーの転用を始め、それが見過ごせず裏切り行為を働いてしまう。
その報復として、親友たち5人に自身の両腕と、最愛の妻ヒロコと娘ユミの命を奪われた。自身は瀕死の重傷を負ったものの、ベッケル博士に保護され一命を取り留める。
復讐のために博士による訓練のもと「ゼスモス」を習得。さらに『鉄の腕』を得、5人を殺すために旅立つ。
原作11巻、プログレスの散布したナノマシンで地球が荒廃した後の時間軸から参戦
【方針】
元の世界に帰る事を優先。邪魔をする者は、殺す
最終更新:2017年08月03日 21:12