心の硝子の割れた者









                             最強の格闘技/サーヴァントは何/誰か!?










 ぼ く   は  とうさ ん に すて ら   れ   た


 ぼく は じゆうごさい です。 なのに 、  『くく』も でき ません 。 かんじ  も ぜんぜん しり ません。


 父さん の 期たいに こたえたいと 思つたから ぼくは つらい練しゆうにも たえて きました。


 でも、たった一どの負けで、ぼくは全部うしなってしまった。


 田島彬に、ぼくは負けてしまった。


 練しゅうを、しなくていいと父さんにいわれた。でもぼくは、練しゅうしか知らなかった。
ぼくには友だちがいなかった。弟の徳夫にも、いません。だけど、知っています。ぼくとおなじとしの人は、勉きょうをしながらあそぶものだと。


 だから、僕は泣いた。どうしたらいいんだと、なにをすればいいんだと、泣いた。悔しくて、泣いた。
僕には、父さんの期待に応えたいと思ったから鍛え上げた、日拳しかなかったのに。僕の父さんは、それを否定した。僕は、それが許せなかった。


 その時、僕の身体の中にあった、ガラスの球が割れた。殆どの人間が、人生を送る上で割れる事のない筈のガラスの球が、割れた。
僕の心の中のガラスの球は、猛毒だった。僕に、酷い喉の渇きを与え、体中の血液を砂にしてしまう、猛毒だった。


 ――だから僕は、あの時、小鳥を食べたんだ。
籠の中の鳥を、僕は頭から食いちぎった。初めて食べた小鳥の味は、トマトの味がしたのを、僕は今でも覚えている。
田島彬の血は……ガラスの球の中身が僕のような毒じゃなくて、薬の人間の血は、昔食べた、甘いプチトマトみたいな味の方が、僕はいいな。


 古い、家だった。好意的な言い方をすれば、古風な武家屋敷風で、時の重みを感じさせる風情ある住まい。
だが、悪い言い方をすれば、長い間手入れをしていない事が一目でわかる、荒れ果てた家。男の住んでいる屋敷について、人が抱くイメージはこの二つに二分されよう。

 瓦屋根の隙間に溜まった土埃に、蒲公英の花をはじめとした、雑草が芽吹いているその様子は、貧乏臭さを拭えない。
庭に群生している草花は、丁重に育てられ、愛でられる為に植えられたそれとは違う。ただしぶといだけの緑が、あちらに一叢、こちらに一叢と。
庭中に生い茂っている。その様子はまるで、山間の野辺の一画を切り取って、この邸宅の庭に移して見せたかのようであった。

 庭の手入れが行き届いていない事が、素人目にも解る家だった。
それは、事実であった。この家の正当な所有者は、この家に滅多な事では帰って来ない。近隣の住民なら知っている事柄だった。
海外を行き来する仕事であり、日本に帰ってくる事自体が稀であると言うらしい。その家の主の、顔すら見た事がないと言う者も珍しくない。
そして、何の仕事をしている人物なのか、と言う事に至っては、全員が解っていない。頻繁に海外に赴き、年単位でそこに住まう事も珍しくない人物だ。
さぞ名のある商社に勤務する、エリートなのだろうと、思う者の方が此処には多い。これだけ頻繁に国外を飛び出し、慣れぬ異郷の地で生活しているのである。出世コースは、約束されたも同然だろう。

 そして、それらの推測が全て、見当外れのものであると言う事を、彼らが知る事はないであろう。
父からこの屋敷を相続した男は、傭兵だった。戦地での要人の警護と言う仕事にも需要があるが、それ以上に需要があり、報酬も高いとされながら、
供給の足らない仕事。つまり、より危険な前線での任務。この家の主は、主としてそんな仕事を好んだ。
そして、未だに身体に欠損は勿論の事、傷一つ負う事無く今日まで生き続け、年齢からは不相応な程の預貯金を蓄財するに至った人物だった。

「母さん、僕に意地悪をするのはやめてくれないか? いたずらにしても、限度があるよ」

 そして、その家の主である男が今、この冬木の町に帰って来ていた。
最後にこの冬木を発つ時には見えなかった、女の人物を横に連れて、だ。この男――『佐川睦夫』は、こう言った女性関係とは無縁の男であるのに。

 傭兵稼業に身を染めていると言う経歴に、嘘偽りのない人物だった。
着用している半袖のシャツから伸びる二の腕の鍛えられ方は尋常ではなく、岩を削ったかのような圧を見る者に与える。
シャツの下には銅像を連想させるが如き、さぞ鍛え上げられた筋肉が隠されているのであろう。厚手のジーンズの下には、鉄の様な筋肉が搏動しているのだろう。
男の身体自体が、傭兵としてのキャリアを雄弁に語る、ある種の履歴書のようなものだった。
この身体を見れば、様々な戦地に赴いていたと言う事実を、誰もが納得しよう。健康な肉体の、見本のような身体つき。
であるのに、男の顔つきの、何と不気味な事か。あまりにも、人間的な感情と言うものがその男からは感じられなかった。
例えて言うなら、能面である。喜びもなく、怒りもなく。哀しくもなければ楽でもない。本当の意味での無表情のまま、男は、座卓の対面で正座をする女性を咎めていた。

「貴方に悪戯をしたつもりなんてないわ、睦夫。それと、私は貴方のお母さんじゃないのよ」

 虐待、と言う負の言葉をイメージせずにはいられない女性だった。
左目が、その女性にはなかった。眼窩がぽっかりと、地の底にまで続く空虚な黒洞となって彼女の顔で主張していた。
それだけではない、女性の左目の回りには、見るも無残な火傷の後が刻まれていた。まるで、熱した火箸でも突っ込まれたかのようだった。
目だけなら、どれ程良かったか。患者が着るような、白い検査衣を身に纏うその女性には、左腕が肩の付け根から丸々なくなっていた。
左脚の太腿より下がなくなっており、そこに木の棒を切断面に突き刺した状態のものを、義足代わりにしていた。
あまりにも、見ていて痛々しい女性だった。せめて、顔の火傷さえなければ、流れる黒色の長髪が美しい、凛々しい美人ではあったろうに。

「馬鹿な。母さん。貴女は僕らの父……佐川雅夫の名前どころか、自分の名前すら覚えていないのか。貴女の名前は佐川……佐川……」

「……? どうしたの、睦夫」

「……母さんの名前が、出てこない。ぼ、僕は……僕も、母さんの名前すら、知らないのか……?」

 睦夫は、その瞬間に、両手で顔を覆い、泣きじゃくり始めた。
覆った手と手の間から、液体が滲み出て、垂れ落ち、座卓の上を濡らす。涙であった。

「に、日拳の修行しかしてなかったせいで、母親の名前すらも……」

「別に、私は気にしないわ、睦夫」

「い、良いのかい……? 母さん。僕は……僕は……」

「良いもなにも……私、そもそも貴方のお母さんじゃないし……」

「……」

 覆っていた両手を顔から離し、涙で濡れた黒い瞳で、黒髪の女性の方を見つめる睦夫。
感情が、読み取れなかった。眼窩に、ガラス球でもはめ込まれているようだと、女性は思った。

 ――母さん……可哀相に。酷い事故にあったんだろうな……自分の名前も、僕の姿も忘れてしまうとは……――

 女性の左目、左腕、そして、ここからは見る事の難しい、彼女の左脚の方に目を向けて、睦夫は考える。

 ――どうやら、一時的に記憶を失ってしまったらしい。だけど僕は、女性との付き合い方がわからない……どうしたらいいんだろう――

 そこで、睦夫は考え込む。頑なに自分の母親である事を認めない女性が、どうしたら自分を息子だと認めてくれるのか、と言う方法を。

「やはり、父さんに聞かないとダメか……」

「……また、貴方のお父様に会いに行くの?」

「うん」

 睦夫が立ち上がる。それを、女性は見上げる形となった。睦夫は、優に一八〇cmにも達さんばかりの偉丈夫だった。

「あれはどう考えても、貴方のお父様じゃないわよ、睦夫」

「母さん。お父様、と言う呼び方は他人行儀だからやめてくれよ」

「貴方のお父さんだって、頑なに否定してるじゃない。あの人は」

「父さんはもういい歳だ。最近はやや呆けている時もあるけど……ちょっと刺激を与えれば、きっと昔みたいに戻るよ。母さん」

 そう言って睦夫は、二人が会話していた居間を離れ、屋敷の地下……。
つまり、戦時中の防空壕を直して拵えた地下室へと足を運ぼうとして。その時になって、女性に呼び止められた。

「睦夫」

「どうしたんだい? 母さん」

「貴方、自分がどうしてこの街にいるのか、解っているのよね?」

「……聖杯戦争、だっけ? 変な名前だな~って思うよ」

「睦夫」

「欲しいんだっけ? 聖杯」

 顔だけを女性の方に向けていた睦夫が、身体ごと彼女の方に向き直る。感情を宿さぬ光が、彼女を射抜く。それを受けて、コクリと頷いた

「大丈夫!! 僕ももうこんな年なんだ。母さんが望むものの一つや二つぐらい、用意出来なきゃ息子じゃないよ」

「そう。やる気はあるのね、睦夫。良い事よ。それと、私は貴方の母親じゃないわよ」

「頑固だなぁ、母さんは。それじゃ、僕はお父さんに会って来るよ」

 そう言って睦夫は、今へと続く障子をピシャリと閉じ、地下へと歩き去っていく。
ギシギシと、床の軋む音を彼女は聞き、それが遠くなるのを待ってから、義足であると言うのに器用に立ち上がり、部屋の隅に移動を始めた。
その一点で彼女は立ち止まり、そこに置いてあったものを具に眺めながら、口を開き始めた。

「……これに気付いてるのか、気付いてないのか……。どちらにしても、狂人、よね」

 この国の文化や風俗はよく解らないが、これが、死者を悼む為の文化の一つである事には女性にも解る。
額に入れて飾られている、中年の男性のモノクロ写真。両脇に備えられた、枯れて風化した、嘗てが何の種類だったかも判別出来ない茶けた花。
消費期限が、数年以上も前になっているお供え物。それは、仏壇であった。その仏壇に備えられた位牌には確かに、佐川雅夫。佐川睦夫の父親の名前が記されていた事を、彼女は、見逃さなかった。


「父さん、母さんの名前を教えて欲しい」

 地下室に現れるなり、睦夫はそう言った。殺風景な部屋だった。最近改修を始めたらしい。
塗られたコンクリートは何処も剥げておらず、陰鬱なイメージこそ人に与えるものの、汚らしいイメージは人に与えない。真新しい印象すら人は抱くだろう。
照明は、天井から垂れ下がる、W数だけ高い裸の電球が一つだけ。家具の類は、部屋の広さに反してたった一つ。
家具店で二万円も出せば買えるような、金属製のベッドが一つ。そこには布団もマットも敷かれていなかった。

 ――そして、そこには一人。中肉中背の男が一人、首と両手首を一緒に拘束された状態の男が仰向けに横たわっていた。

「頼む、家に帰し――」

「遂に母さんが見つかったんだ、父さん。父さん、何を思って僕達に母さんが死んだと言っていたのかは知らないけど、きっと父さんの事だ。深い考えがあるんだろう」

 そこで一呼吸置く睦夫。

「だけど父さん、僕は日拳だけしか取り柄がなかったから。それしか学んでなかったから、母さんの名前すら解らないんだ。名前で呼んであげたい、母さんの名前を教えてくれないか」

「し、知るかよぉ……!! 速く俺を此処から帰してくれ!!」

 ――やはりか……父さんは、僕の事も母さんの事も覚えていないのか……僕には、父さんも、母さんも必要なのに――

 音を立てず、男が拘束されているベッドの下にまで近づく睦夫。今もわめき続ける、拘束された青年の顔面目掛け、右拳を思いっきり振り落とした。

「ガッ!?」

 何かを喋っていた所に、口元に拳を受けたせいで、前歯の何本かが圧し折れ、空中を舞う。
そして、舌を思いっきり噛んだらしい。舌の先端が嫌な音を立てて千切れ飛び、パンツ一枚だけになっていた男の上半身に、桜の花弁のように小さい下の先端が落下した。

「何で覚えていない」

 そう口にする睦夫の顔つきは、怒りに溢れていた。何らの感情も宿していなかった瞳や顔に、明白な、黒い怒りが燃え上がっていた。

「何故僕も、母さんの事も覚えていない!! 二人とも、父さんの事をあれだけ愛していたのに!!」

 怒りに任せて、顔面に拳を叩きつける佐川。傭兵として厳しい鍛錬を積み、日拳の素養すらある佐川の拳は、大の大人を容易に殺せる程の腕力であった。
それで、人を力強く殴り続けるのだ。成人男性とは言え鍛えていない大人が、耐えられる筈がない。

「僕はあれだけ日拳を頑張っていたのに!! 僕を捨てやがって!! 徳夫ばかり可愛がりやがって!! ふざけるな、僕は強いんだ!! 昔よりもずっと、僕を昔倒した田島彬よりもずっと!!」

 構わず顔面を殴り続ける睦夫。既に、彼が殴っている男の身体は、グッタリとして、動かなくなっていた。

「僕は強い!! 僕は、強い!! 田島彬よりも、徳夫よりも!! 解ったか、父さん!! 佐川雅夫!!」

 それでも構わず、睦夫は男の事を殴り続ける。既に自分が殴っている男の身体が、冷たくなりつつある事に睦夫が気付き始めたのは、それから、十分程経ってからの事だった。


 私は、偉大なる父が好きだった。あのような父がいて、誇らぬ筈がなかった。好きにならない、筈がなかった。
父の治世の下で、医薬や服装、住居に貨幣、測量、道徳、楽器、文字が生まれ、父の治世の下で、人々は幸せに暮らしていた。
父はまさに、世界の帝王であり、大地の全てを領土とする偉大なる王であった。


 だが父には敵がいた。金属と武器と戦の申し子、いや、神か。
鉄や石や砂を食べ、その身体の堅固さに比類はない。この世界における武器の全ての開発者であり、この武器を以って父の治世に乱を与えていた。
そして、奴は、比類ない戦上手だった。百万の部下を手足のように操る手腕も見事だが、真に恐るべきは奴一騎。
奴が戦場に現れれば、神や神獣、龍の類ですら恐れ戦く。一度腕を振えば神鉄を鍛造して作った鎧に纏った兵士が粉々になり、一度呪を唱えれば軍の足並みが崩れる。
『蚩尤』は、まさしく、我々にとって最強最悪の敵だった事を、今でも私は思い出す。


 そんな敵を倒したいと言う父の思いを汲んで、私は、仙界から龍と共に下り、蚩尤を迎え撃った。
奴の魔術を封じようと、私も龍も、神として奮える全ての力を振り絞り、父に起死回生の一手を与え――そして、父は勝った。


 だが、私はこの戦いで、仙界に戻る術を失った。神としての格を引き換えにせねば、蚩尤を倒せなかったのだ。


 地上に晴れを齎す私が長い間地上に留まったせいで、地上には干魃が起った。
父が、哀しい顔で、悲しげな言葉で、私に、北の果ての洞窟に住めと言った。重い足取りで、私は其処に向かった。『鉄格子』の嵌められた洞窟に。


 地上が、恋しい。仙界で、皆と楽しく飲み交わしたい。人と、父と、話したい。


 地上に  出る。 干魃が 起こる。 その度に 私は、 洞窟に戻されて  神として 認知されなく なる。


 暗いの いや   だ。 父さま  許  し   て。


 わ た  し    は  とうさ ま に すて ら   れ   た




   最強の格闘技/サーヴァントは何/誰か!?



   多種ある格闘技/サーヴァントがルール無しで戦った時……



   出来レースではなく策謀暗殺ありの『戦争』で戦った時



   最強の格闘技/サーヴァントは何/誰か!?



   今現在、最強の格闘技/サーヴァントは決まっていない





【CLASS】アーチャー
【真名】魃
【元ネタ】中国神話
【性別】女性
【身長・体重】162cm、53kg
【属性】中立・悪
【ステータス】筋力:D 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:E 宝具:A++

【クラス別スキル】

対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではアーチャーに傷をつけられない。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

【固有スキル】

女神の神核:E
生まれついての女神を表すスキル……であった。
過去の事情から、本来ならEX相当であったこのスキルは、著しくスキルダウンを引き起こし、最低ランクにまで下降されてしまった。
あらゆる精神系の干渉を弾き、肉体の成長もなく、どれだけカロリーを摂取しても体型が変化しない。神性スキルを含む複合スキルでもある。
但し、内包されている複数のスキルについては、発揮可能なスキルランクは低い。

太陽の加護:A+
太陽によるサポート。
日中、或いは陽光に類する光が見られる場所において、アーチャーは常時、魔力・生命力が回復し続け、全てのステータスがワンランクアップする。
太陽神の類似神格、しかも落魄した神霊とは言え、アーチャーのスキルランクは、破格の高さを誇る。アーチャーはこのスキルだけは、何があっても失う事はなかった。

魔力放出(光熱):A+
自身の肉体より魔力の光を放出する能力。
放出される光と熱は莫大なエネルギーを秘めており、生半な装備と、程度の低い神秘の礼装を纏った程度では、秒も掛からず焼き尽くされる。
アーチャーの攻撃能力および防御能力はこのスキルによって向上されている。このスキルは程度こそ抑える事は出来るが、完全にオフの状態にする事は出来ない。

【宝具】

『烈日(にちりん、ちじょうへくだる)』
ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ:広範囲 最大補足:1000~
アーチャーが有する魔力放出(光熱)スキルの最大解放。この宝具は常時発動型の宝具で、彼女が有する魔力放出スキルはこのスキルの余波。
アーチャーはその身体の内部に小型太陽炉心を内包させており、これを強く、弱く発動させる事で力の度合いをコントロールしている。
この小型太陽炉心を最大出力で解放した場合、天候が真昼の状態に固定される上、50度と言う殺人的な気温にまで上昇。
この宝具の最も恐ろしい点は、持続性。宝具発動中は強制的に昼の状態になると言う事は、当然太陽の加護スキルが発動し続ける為、
宝具維持の為に消費して行く魔力が、常時回復し続けると言う現象が発生する。回復する魔力量より、消費して行く魔力量の方が多いが、
それは本当に誤差程度であり、体感上はマスターもサーヴァントであるアーチャー自身も、全く魔力を消費している、と言う事は感じない。
宝具発動中は、この宝具のランク以上の宝具でなければ、常時真昼の状態を覆す事は出来ず、アーチャーの宝具任意解除か、彼女の消滅以外でこの天候固定が解除される事はない。

【Weapon】

【解説】

魃とは中国の古代神話に伝わる正当な神の一柱。中国古代における三皇五帝時代の伝説的な皇帝にして、天界の王たる黄帝(ファンディ)の娘である。
黄帝の治世はそれはそれは素晴らしい物であり、彼の支配下で様々な文化が発展したが、そんな彼の頭を大層痛めさせていたのが、彼に対する反抗勢力。
特に反抗勢力の頭とも言うべき、牛頭人身の魔神・蚩尤(シュウ)には大層煮え湯を飲まされて来た。
金属と鉄、武器を司る戦神である蚩尤は大層な戦上手であり、幾度となく黄帝と激戦を繰り広げただけでなく、蚩尤個人もまた恐るべき強さを誇り、
武器を振えば一騎当千、魔術を操ればどんな祈祷師でも敵わない程であり、特にこの魔神が操る風と雨の魔術は、黄帝の軍勢を最も苦しめさせた原因だった。
そんな彼の恐ろしい魔術を封じる為に、皇帝は己の娘である魃を頼り、彼女を地上に天下らせた。彼女は天界においては、太陽神であったのだ。
魃は己の太陽神としての権能を全力で振るい、蚩尤と激突するも、それでも勝負は互角だった。しかし、雨風の力が封じられた今が好機と、
天界の様々な女神達の力を借りた黄帝が蚩尤と一騎打ちを行い、激しい死闘の末見事蚩尤を打ち倒した。
しかし、蚩尤との戦いで神としての力を使い過ぎた魃は、何と天界へと帰れなくなってしまう。
しかも力を使い果たしたと言っても、表れるだけで世界はずっと真夏の昼になり続けると言う太陽神としての力は健在の状態である。
当然のこんな存在がずっと一ヶ所に留まっていては、世界はずっと旱魃の状態になる。これが妖怪ならば処刑も出来るが、女神、況してや自分の娘である為、
黄帝は魃を北の果ての洞窟へと幽閉する。魃もそれを受け入れはしたが、時折地上が恋しくなり、脱走し、世界の雨を齎させなくすると言う。
これを古代中国は旱魃の原因と考え、人々は旱魃が起こる度に魃を慰撫する言葉を投げ、彼女を元の洞窟に戻したと言う。
後に彼女は時代が下るにつれ女神としての神格を失い、太陽の力を司る強大な妖怪にまで存在が貶められて行く。
日本においても彼女の名前は、魃(ひでりがみ)と言う名前で伝わっており、鳥山石燕も彼女についての絵を残している。其処での姿は、最早女神と言う面影が欠片もない、哀れで醜い姿になっている。

 上記の説明を見れば解る通り、魃自身は完全なる被害者である。
父の頼みを受けて態々神の世界から地上にやって来て、天界に戻れぬ事をも覚悟で父の為に力を奮ったにも拘らず、その結末が地の果ての洞窟に幽閉である。
そんな事であるから、魃の心は完全に荒みきっており、神であった頃には許しはしなかったような、睦夫の酷い行為には全く目を瞑ってやっている。
父親である黄帝の事は表面上は憎むような素振りをしているが、本心では今も深く尊敬しており、いつか自分の事を許してくれるだろうと信じて疑わない。
しかしその為には、自分が神霊としての霊基を獲得せねばならないと考えており、その為に彼女は、自分の霊基を神霊寄りのそれではなく、
『ひでりがみとしての自分』、つまり『妖怪』のそれに近づけさせる事で何とか召喚される基準を満たさせた。聖杯に掛ける願いは、今度こそ神霊として復権し、仙界に舞い戻る事。

【特徴】

伝承においては全身毛むくじゃらで、隻眼・隻腕・隻脚であるとされる怪物だが、正確な姿ではない。
実際には、左目が存在せず、その回りに火傷を負い、左腕がまるまる存在せず、左大腿の半ばから下が木の棒を埋め込んだ簡易義足になっている、
と言う痛々しい姿。昔日の姿は、さぞや美しい女神だったのだろうと言う事が窺える、凛々しい顔つきをした黒髪の女性であり、普段は病院で患者が身に纏うような検査衣ににた服装を身に纏っている。

【聖杯にかける願い】

神としての復権。



【マスター】

佐川睦夫@喧嘩商売、喧嘩稼業

【マスターとしての願い】

不明。ただ少なくとも、田島彬を倒す事ではない

【weapon】

【能力・技能】

日本拳法:
昔空手を習っていたが、寸止めルールに異議を唱えて空手から日本拳法へと転向した、優れた才能緒発揮した佐川雅夫から、日本拳法の英才教育を受けている。
父の教育も相まって、高い実力を秘めているものかと思われるが、途中で日本拳法ではなく、軍隊格闘に転向を始めている。弟である佐川徳夫の方が、遥かに日拳の実力は高い。

軍隊格闘術:
睦夫が新たに学んだ格闘術。上記の日本拳法をベースにした軍隊格闘術が、今の睦夫の格闘技術の骨子になっている。
その実力は、危険極まりない戦場の最前線に幾度も出撃し、その度に生き残っていると言う実績からも証明済み。
また、生き残る為には何でもしなければならなかった為か、武器を扱う手練手管や、身の回りのものを用いて威力の高い武器を作成する事にも長けているフシがある。

【人物背景】

外国の戦場で戦う傭兵。敵の血を啜るという奇行のために傭兵仲間からは「吸血鬼」と呼ばれ不気味がられているが、
一方で睦夫が部隊にいれば必ず生き残れるため、英雄としても扱われている。日本拳法家・佐川雅夫の長男に生まれ、幼い頃から日本拳法を学んでいた。
凡庸な才能ながら父の期待に応えるべく、勉学など生活の全てを犠牲にして必死に稽古に打ち込み続けていたが、中学生の時に出場した進道塾の大会で田島彬に完敗。
それによって父から拳法家としての才能を見限られ、それを父に捨てられたと受け取ってしまったことで精神が破綻。
以後、「体の中のガラス玉が割れて血を砂に変える毒薬が流れ出てしまった」「血を砂に変えないために他人の血を飲み続ける必要がある」、
と思い込むようになり、血液を求めて外国の戦場に身を投じるようになった。

陰陽トーナメントに田島が誘う前の時間軸から参戦

【方針】

母さんの名前を知る

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最終更新:2017年05月20日 21:16