殺人マシン&殺人鬼

冬木市のあるアパート、その一室。
そこに男が一人で寝転んでいた。男はこの部屋の主である。
男は呟く。

「聖杯戦争、願望器を賭けての殺し合いか……」

その呟きの直後、さっきまで男一人だった空間に女がいきなり現れる。
金髪碧眼の白人女性で、見た目は整っているがどこか頭の軽そうな雰囲気を漂わせている。
女が言う。

「イエス、聖杯戦争!
魔術師であるマスターと、歴史に残る英霊であるサーヴァント達の願望器を掛けたデスゲーム!
幸か不幸かあなたはマスターとしてその参加者に選ばれたのです!」
「俺魔術師じゃないけどな」
「私も英霊と言えるほどの事はしていません!」
「駄目じゃねえか」
「お互い様ですマスター」

マスターとサーヴァントはハッ、と同時に相手を鼻で笑う。
そして睨みあった。

「大体何が聖杯戦争だ、俺はそんなものに用は無いぞ。
しかもこんな弱そうな奴あてがわれていい迷惑だぜ」
「失礼ですねマスターは!
確かに私のステータスは低いですよ。しかし私は標的にこっそり忍び寄り、命を刈り取る女。
言ってしまえばアサシン、暗殺者なんです!
だからスペックが低いのは仕方ないんです!」
「正面戦闘になったら?」
「マスターであっても相手次第では、負ける可能性は十分あると言っておきましょう!」
「駄目じゃねえか」
「返す言葉がございません」

マスターは再び鼻で笑うが、アサシンは何も言えず悔しそうに男を見る。
その状況が気に食わなかったので、アサシンは無理矢理話を変えた。

「まあそれはそれとして、私はあることに気付きました」
「何だよ?」
「私マスターの名前知りません」
「……いるか?」
「必要ですよ!
私たちはこれからコンビ、パートナーなんですから! 自己紹介くらいやっておきましょうよ!」
「――じゃあお前からやれよ」

男は正直やらなくてもいいだろ、と思ったがアサシンのテンションが面倒くさかったので適当にやらせることにした。

「知りたいですか私の名前が?
この顔良し、スタイル良し、性格良しな私の名前を!」
「早くしろよ」

しかし乗ったら乗ったでアサシンはウザかった。
男は急かす。
アサシンはそれを見て、オホンと咳払いをして自己紹介を始める。

「私の名前はキングズベリー・ランの屠殺者。
1935年から38年の間にクリーブランドで12人を惨殺し、エリオット・ネスから逃げおおせた恐怖の殺人鬼です!
フフフ、私が怖いでしょう?」
「お前暗殺者って括りでいいのか?」
「オゥ、シット! 私にちっともビビってませんよこのマスター!」

マスターの淡泊な反応に憤慨するアサシン。
アサシンとしてはもうちょっと驚いてほしかったのだが、マスターにそんな思いを汲む理由は無い。
そこでマスターはあることに気付いた。

「なあ、今思ったんだが」
「何ですか? ハッ、まさか私のスリーサイズを!?」
「キングスベリー・ランの屠殺者って、通称であって本名ではないよな」
「……まあそうですが、そこら辺は私の願いに関わってくるのです」
「願い?」

マスターが問うと、アサシンはさっきまでのバカみたいなテンションを止め真面目な表情をつくる。
そしてぽつぽつと語り始めた。

「私はキングズベリー・ランの屠殺者、それは確かです。
しかし私にはそれ以外の記憶がありません。自分がどこの誰だったかとか、更に言うなら性別や年齢すらないのです」
「性別や年齢って、それ位見ればわかるだろ」

何だか無茶苦茶になってきたアサシンの話を、マスターは思わず止めてしまう。
それにアサシンは特に不快感を示さず、マスターに言葉を返す。

「あ、言ってませんでしたが私、呼ばれるたびにランダムに姿が変わるサーヴァントなんです。
だからもし違う聖杯戦争に呼ばれたら、同じ私でも筋骨隆々な大男になってる可能性もあります」
「マジかよ」
「まあそんな訳で、私の願いは真の姿と名前と生前の記憶を取り戻すことです」

アサシンは話を終えるが、すぐにまた真面目な表情を崩してマスターに問いかける。

「と・こ・ろ・で! 私そろそろマスターの話を聞きたいですねえ!
願いを言えとまでは言いませんけど、お名前くらい教えてくださいよ!」
「ハァ……」

面倒くさい、心底面倒くさい。そんな態度を隠す事すらせず、マスターは自己紹介をする。

「俺の名前は六星竜一、ただの高校教師だ」

端的に自己紹介を終える竜一だが、その言葉にアサシンは思わず爆笑していた。

「アハハハハハハハハハハ!
教師!? 貴方が教師ですか!?
殺人鬼相手に一歩も引かない貴方が、殺し合いに欠片も動じないあなたがただの教師ですか!?」

そんな人間が少なくともただの教師なわけないでしょう、とアサシンは言い切る。
いくら現代の知識が仮初の物だからって、学校生活なんてものが記憶になくたって、それ位はアサシンにも分かる。
それを聞いて竜一も言い切った。

「そうさ、俺はただの教師。そしてただの殺人マシンさ」

その言葉を、アサシンはやっぱり爆笑しながら聞いていた。






【クラス】アサシン

【真名】キングズベリー・ランの屠殺者

【出展】史実、20世紀アメリカ

【性別】女

【属性】混沌・悪

【パラメーター】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運A 宝具E

【クラススキル】

気配遮断:A
自身の気配を消す能力。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】

精神汚染:D
精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。
ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。

人体切断:A
生きている相手の肉体を切断する技術。
Aランクとなると、肉屋か外科医のように鮮やかな切れ味。

情報抹消;B
対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力、真名、外見特徴などの情報が消失する。
例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。

【宝具】

『キングズベリー・ランの屠殺者』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1
アサシンそのものが宝具。
アサシンの正体は誰も知らないが、アサシンだと疑われた人物は数多いる。
その為か、アサシンは呼び出したマスターがイメージする『キングズベリー・ランの屠殺者』の姿で召喚される。
ただし、マスターがキングズベリー・ランの屠殺者に関する知識がない、もしくは知っているだけで人物像をイメージしていない場合、姿は完全ランダムとなる。
今回は完全ランダムで現れた。

『切り落とされる死体』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
アサシンに殺された人間の死体は、一部が切り落とされていた事が多い件から生まれた宝具。
アサシンに殺されたマスター、NPCは無条件に体の一部がランダムに消失する。
そして消失した一部はアサシンの魔力に還元される。

【weapon】

肉切り包丁

【人物背景】

1930年代に犯行を重ねた正体不明の連続殺人鬼。
公式では12人と言われているが実際の被害者の数は不明。
アル・カポネの摘発で有名なエリオット・ネスが捜査に当たったが、犯人を捕まえる事は出来なかった。

アサシンの正体は誰も知らない。アサシン自身でさえも。
アサシンは自身の正体に関する記憶を消失しており、覚えていることは自身がキングズベリー・ランの屠殺者、またはクリーブランド胴体殺人者と呼ばれる存在だったという事のみ。

【特徴】

金髪碧眼の白人女性。
外見に目立った特徴は無い。
最も、エリオット・ネスから逃げおおせた殺人鬼に目立つ特徴があるというのも不自然な話ではあるが。

【サーヴァントとしての願い】
自分が正体を取り戻す



【マスター】

六星竜一@金田一少年の事件簿 異人館村殺人事件

【マスターとしての願い】

手に入れてから考える

【weapon】

なし。

【能力・技能】

  • 殺人術
銃殺や絞殺、それにナイフでの刺殺などの様々な殺人術。

  • 格闘術
警官二人を圧倒できるほどの格闘術。

  • 演技力
1年近い間本性を隠し、冴えない教師を演じ続ける演技力。

【人物背景】

両親を殺され、更に自身も焼き殺されそうになった母親の復讐の為に殺人マシーンとして育てられた男。

性格は残忍で狡猾。人殺しをハエやゴキブリを殺すのと同じと言い、目的の為なら関係のない人間ですら容赦なく殺す。
その一方で、復讐のために近づき恋人となった少女を後に本当に愛してしまったり、その恋人を殺す際には涙を流すなどまるで心のない人間という訳ではない一面も見せる。
参戦時期は異人館村殺人事件開始前

【方針】

元の世界に帰るために勝ち残る。

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最終更新:2017年05月20日 22:28