時すでに始まりを刻む

「今まで儂が作ってきた刀は、例えば、コレみたいなものじゃよ」

座布団みたいな帽子を被った、褐色の肌の女――エクストラクラス、クリエイターのサーヴァントはそう言って、灰と赤のツートンカラーの和服の胸元から、紙に包まれた円板状の何かを取り出した。
現代に生きる我々ならば、紙にプリントされた文字や模様から、一目でそれが某ハンバーガーチェーン店のハンバーガーだと判断出来るだろう。
しかし、遥か昔である尾張幕府の時代から現代へとやって来た青年、鑢七花は、クリエイターが取り出した物が何であるかなど、皆目見当がつかなかった。
故に。

「――なんだよ、それ」

七花は、見覚えのないものを見たものが取る、至極当然にしてテンプレートなリアクションを見せた。

「『はんばあがあ』――現代において、世間に最も普及していると言っても過言ではない食べ物の一つらしい。まあ、握り飯の洋版みたいなものだと思えばいいだろうよ」

そう言いながら、クリエイターは包み紙を剥がす。
中からは、てりやきソースのハンバーガーが現れた。
それを見て、七花は、

「おれには、それが刀と似たようなものであるようには見えないけどな。まず刀は食えねえだろ」
「かっかっかっ、そりゃあそうじゃな。だが――」

クリエイターは、手に持ったハンバーガーを七花の眼前まで近づけた。てりやきソースの香りが、七花の鼻腔を刺激する。

「『これ』は、短期間で沢山作られ、安価で手に入る。それは、当時の儂の刀も同じじゃな」

そんでもって――と。
クリエイターは、ハンバーガーを口元へと近づけ、それにかぶりついた。
円盤形の食物のおよそ半分が、一口で彼女の口の中に仕舞われる。
もぐもぐもぐ――そんな風に何回か、味を楽しむようにして咀嚼を繰り返した後、クリエイターはごくんと、それを飲み込んだ。

「美味い――これも儂の刀に言える事じゃ。もっとも、儂の刀の場合、同じ『うまい』でも書きが違うがな。『美味い』と『上手い』、かっかっかっ」

そんな大して上手くもない洒落めいた事を言うクリエイターは、そのまま二口、三口と続け様にハンバーガーにかぶりつき、ペロリと平らげた。

「しかしのぅ、いくら安く上質な刀を沢山作ったとは言え、『さぁばんと』として召喚されるとは……これには驚いたぞ。何せ、儂自身に戦闘能力は殆ど無い。絶無と言っても良いのじゃからな」

やれやれ、と言いたげな表情をしつつ、クリエイターはハンバーガーの包み紙を丸め、後ろに向かって放り投げた。
クリエイターと七花が居るのは、人気の無い廃屋なので、彼女が行ったポイ捨てを咎める者は誰も居ない。

「せめて、儂もお主が知ってる刀鍛冶のように、ぶっ飛んだ刀を作っていれば、多少は戦えたのかもしれんがなあ」
「おれが知ってる刀鍛冶って……四季崎記紀の事か?」

四季崎記紀。
手中に収めれば戦に勝利を齎すとされると言われた『変体刀』を千本も生み出した伝説的な刀鍛冶の名を、七花は口にした。

「そう、それじゃ。四季崎記紀――儂はそいつを知らんし、そもそもそいつはこの世界の歴史に残っていない存在らしいが、しかし、お主から聞かせてもろうた、四季崎記紀の刀の話を聞いただけで、同じ刀鍛冶として、儂は彼に尊敬の念を抱かずにはいられんよ」

刀鍛冶の英霊であるクリエイターを呼び出した当初、七花が真っ先に思い出したのは四季崎記紀であった。
そんな彼から、四季崎記紀の作品である刀達について聞いた(聞き出したとも言える)クリエイターは、同じ刀鍛冶として、彼の事を気に入っているようである。
もっとも、七花が語ったのは、彼が一年間で目にした十二本の『完成形変体刀』と自分自身を合わせた計十三本だけであり、四季崎記紀については殆ど語ってないのだが。

「殴っても押しても折れず曲がらず、絶対の耐久性を誇る固い刀」

絶刀『鉋』。

「何でも一刀両断する、何よりも鋭き刀」

斬刀『鈍』。

「数の多さを売りにした、消耗品の刀」

千刀『鎩』。

「重さなど無いかのように軽くて脆く、美しき刀」

薄刀『針』。

「鉄壁の守りを追求した、鎧のような刀」

賊刀『鎧』。

「重さに重きを置いた、凄まじき質量の石の刀」

双刀『鎚』。

「所有者の生命力を極限まで上昇させる、活力に満ちた刀」

悪刀『鐚』。

「刀であるが人間らしさを纏う、多腕多脚の人形刀」

微刀『釵』。

「触れた人間から毒気を抜く、薬のような木刀」

王刀『鋸』。

「持ち主の誠実さを測る、鞘と柄だけの刀」

誠刀『銓』。

「『持つと人を切りたくなる』という刀の毒が極限まで高められ、それに四季崎記紀の念が込められた妖刀」

毒刀『鍍』。

「刀でありながら弾丸を放つ、遠距離対応の型破りな刀」

炎刀『銃』。

「そして、これら十二本の『完成形変体刀』を踏まえて完了させられる『完了形変体刀』。血統ならぬ血刀。人の姿をした、刀を持たずに徒手空拳で戦う刀――それが、お主じゃな。鑢七花」

虚刀『鑢』。

「かっかっかっ! これら十三本、どれを取っても、儂では遠く及ばんほどの名作たち! 異端の刀じゃな! まあ、元々儂と四季崎記紀では刀作りのコンセプトがだいぶ違っていると思われるがの」

クリエイターは豪快に笑った。

「名前からして親しみを感じる『千刀「鎩」』、あるいは妖刀のようにおどろおどろしい『毒刀「鍍」』に近いものなら、儂でも生前作れていたと言えるのかもしれんが、だがそれでも四季崎記紀のようにぶっ飛んだものまでは流石に作っていないのよな。いくら沢山作ったとはいえ、儂一人で全く同じ刀を千本も作ってはおらんし、そもそも妖刀の方は完全に風評被害じゃからのぉ」

クリエイターは、そんな風に四季崎記紀の偉業を褒め称えた。

■ ■

「話を戻すがな、四季崎記紀と違ってただ『短期間に多くの刀を作った』だけの儂が、この聖杯戦争で戦うなんぞ、不可能に近いのだよ」

宝具を使えば、また話は別かもしれんがな――。
そう言うクリエイターだが、戦闘中ずっと宝具を使いっぱなしにしていれば、魔力がすぐに枯渇してしまうので、どっちにしろ彼女が戦闘の連続である聖杯戦争を勝ち抜くのは不可能に近かった。
せめて、キャスターのように陣地に罠を張ったり、使い魔を使役したり出来れば、本人に戦闘能力が皆無でも戦えたのかもしれないが、キャスターならぬクリエイター――ただの刀工である彼女がそんな技能を持っているはずが無い。

「『くりえいたあ』が戦えないなら、おれが代わりに戦えばいいんじゃないか?」

七花は名案得たりという顔でそう提案した。
彼は、己を一本の刀とし、刀を持たずに刀と戦う、一子相伝の格闘術――虚刀流の使い手である。
日本一の剣豪、錆白兵に勝利し、天才にして己の姉、鑢七実にも勝利した七花は、自分の戦闘技術にはそれなりの自信があった。
だが、クリエイターは七花の提案を即座に却下する。

「無理じゃな。確かにお主の『虚刀流』は、並ぶ者が居ない程に強い格闘術だろう。だがな、それはあくまで、相手が『この世の者』であればの話じゃ。『ますたあ』相手ならともかく、神秘の塊である『さぁばんと』相手に、神秘の無いお主の拳はほんの少しも通用せん――せめて、お主に刀の才があれば良かったんじゃがなあ」

サーヴァントである村正が作り上げた刀ならば神秘を纏っているため、サーヴァントにも通用するだろう――そんな考えがあっての発言であった。
しかし、七花は首を横に振り、こう答える。

「それは無理な話だな」

虚刀流を扱う者は、刀を振るう才能が全く無い。
呪われているかのように、刀を振る事が出来ないのだ。
当然ながら、虚刀流七代目当主である七花にも、刀の才は皆無であった。
刀を振り上げれば後ろに落とし、振り下ろせばあらぬ方向に零してしまう。
そんな彼が村正の刀を振るって戦うなど、それこそ村正が戦う以上に不可能な事である。
刀を全く使えない男の元に刀工が召喚されるとは……聖杯とやらはどうにもポンコツなのではないのだろうか?――七花はそんな事を思った。

「ちなみに『くりえいたあ』は刀を使えるのか?」
「たわけ、無理に決まってるじゃろうが。刀を打つしか能のない儂が、刀を持って戦えるわけがあるまい。構えて三歩も歩けば、すっ転ぶぞ」

つまる所、七花とクリエイターは、サーヴァント相手に戦う手段が宝具発動を除けば殆ど無いという、戦う前から負けているに等しい状態であった。

「………む? もしかしたら――」
「? どうしたんだよ『くりえいたあ』」
「いやな、一つ思いついた事があってだな……七花よ、たしかお主は体そのものが一本の刀なのだろう?」
「そうだぜ。っていうか、さっき自分でそう言ってたじゃねえか」
「なぁに、確認したかっただけさ……ふむ、それなら」

村正はどこからともなく、一本の金槌を取り出した。
表面に炎の意匠が凝らされた、重そうな金槌である。

「おい七花」
「ん?」
「ちょっと殴らせろ」

ずがんっ!
七花の返事も待たずに、クリエイターは金槌で七花の頭を殴った。
七花ほどの刀(せんし)であれば、(サーヴァントであるとはいえ)女が放った攻撃を避ける事は余裕で出来ただろうが、まさか味方どころか運命共同体であるサーヴァントから殴られるとは思わず、油断していたのだろう。
あるいは、その金槌の一振りから殺意や敵意を感じ取る事がなかったのだろうか。
ともかく、七花はクリエイターからの一撃を食らってしまった。
続いて、クリエイターはまた同じ箇所目掛けて金槌を振るう――が。
流石に二撃目を食らう七花では無かった――彼はクリエイターの腕を「ぱし」と掴み、金槌を止めた。
そう、止めたのだ。

「急に何をするんだ……」
「ほぅ、止めたか――止められたか」

七花に対し、クリエイターはやや満足げにそう言った。

「女であるとは言え、サーヴァントである儂の動きに対応した。これは、まあ、多少鍛えた人間ならば出来るじゃろう。だがな、こうやって儂の金槌の一振りを片手で止めるのは、普通無理なはずなのじゃよ――なあ、お主、頭は痛むか?」
「? ……!?」

痛くない。
あれだけ重そうな金槌で、派手な音が響くくらいに思いっきり頭を殴られたというのに、全く痛くない。
目眩一つ起こしてないほどに、七花の頭は一切のダメージを負っていなかった。

「かっかっかっ、そうか。やはり、そうか」

何やら意味深な事を言うクリエイター。
次の瞬間、彼女が握っていた金槌は、何処かへと消えた。
金槌の消失を目にし、七花はクリエイターの腕から手を離す。

「おい七花」
「また『殴らせろ』とか言うつもりか?」
「言わん言わん……その逆じゃ」
「逆?」
「儂を殴れ」

クリエイターは自分の?茲を指差しながら、そう言った。
七花は躊躇――というより困惑で暫く手を出せなかった。
何せ相手はサーヴァント――神秘の塊なのだ。
神秘を一切有してない七花が本気で殴れば、逆に彼の拳が砕けてしまうであろう。
しかし、

「ほら、はよう殴らんか。こう、ばしーんとな」

とクリエイターがあまりに急かすものだから、結局七花は彼女の指示通り彼女の?茲を拳で殴った。
いや、それは『殴る』というよりも、『小突く』と言った方が正しいかもしれない。
それくらいに勢いの弱い拳であった。
虚刀流の技でも何でもない、単なる普通の拳は、軽い勢いで、クリエイターの柔らかな?茲に当たる。
その瞬間、クリエイターは、まるで自動車に轢かれたかのように、思いっきりぶっ飛んだ。
飛んで行った先にあった壁にぶつかり、そこにめり込む。
同時に、土煙が上がった。

「――はぁ?」

これに一番驚いたのは、七花であった。
軽く小突くつもりで放った拳がこんな事態を引き起こしたのだ。驚かない方が嘘である。
いや、そもそもどうして七花の拳がサーヴァントであるクリエイターに通用したのか――

「お、おい『くりえいたあ』! 大丈夫か――」
「ああ、大丈夫さ。こうなる事はある程度予想できていたからなあ。衝撃を逃し、受け身を取る事くらいは出来たとも。そもそも、儂はマスターが無事な限り、消滅する事はないんだから安心なんじゃけどな――かっかっかっ」

クリエイターの安否を心配する七花の声に、彼女は快活な笑いを返した。

「『概念付与(えんちゃんと)による強化』と言ったところか……刀工の『さぁばんと』である儂と、刀の『ますたあ』であるお主だからこそ出来る裏技じゃの」

土煙が晴れた頃には、クリエイターは壁から剥がれ、七花の元へと向かって歩き始めていた。

「まあ、つまり、じゃ――七花よ。人の形をした刀よ」

刀工は、鼻血を流しながら、

「お主は儂が手を加えた事で、儂の代わりに『さぁばんと』と戦えるようになったのさ」

と言った。
『刀工』――刀鍛冶であるクリエイターが保有する、刀剣を鍛え上げるこのスキルは、肉体そのものが一本の刀である鑢七花に対し、一種のエンチャントスキルとして効果を発揮したのだ。
先ほど金槌で七花の頭を殴ったのも、エンチャントの工程だったのだろう。

「…………」

そこで初めて、七花は認識する。
自分の体の表面と内部に、何か熱のような、あるいは冷気のような『何か』が存在している事を。
これが、クリエイターの言う『神秘』なのだろうか?

「格闘術の達人たるお主がその力を使えば、まあ、大抵のサーヴァントに負ける事はあるまい。何せ、お主は四季崎記紀と儂――千子村正が手掛けた刀となったのだからな!」

得意げな表情をするクリエイター――千子村正だが、鼻血が垂れてる状態でそんな顔をしても、いまいち締まっていなかった。

「……ありがとな、『くりえいたあ』」
「かっかっかっ。儂はただ、刀鍛冶らしく刀を打っただけじゃ、何も特別な事はしとらんわい。それに――」

指で鼻下を擦って血を拭い、クリエイターは言葉を続ける。

「感謝の言葉は後に――聖杯戦争に勝って、願いを叶えてから言えい」
「――ああ、そうだな」

そこで改めて七花は、自分が聖杯――万能の願望器へと向けている願いを思い出す。
聖杯を使ってでも生き返らせたい、愛する女の名を、思い出す。
その名は、とがめ――尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督の奇策士である。
尾張幕府への復讐の為に七花を連れて『完成形変体刀』蒐集の旅をし、最終的に凶弾に倒れた、哀れな女だ。
そんな彼女が蘇り、次こそは復讐に狂わされない幸せな人生を歩めるようにする事が、七花の願いであった。

(とがめ……)

クリエイターによって神秘を纏わされた拳を握り締め、七花は思う。

(これまで、おれはあんたのためと言いながら、結局は『好きな女の為に戦いたい』という俺のための理由で戦って来た――だから今回も、『好きな女を生き返らせたい』という自分の我儘の為だけに戦ってみるよ)

彼の思いは、最早刀工が手を加えるまでもなく、固い決意であった。


――そんなわけで。
結末から逸れた、偽りの世界で。
対戦格刀剣花絵巻。
壮大舞台現代劇。
刀語の二次創作。
はじまりはじまり。




【クラス】
クリエイター

【真名】
千子村正

【属性】
混沌・中庸

【ステータス】
筋力D 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運C 宝具B

【クラススキル】
道具作成:D
魔力を帯びた器具を作成出来る。
村正は刀剣に特化しており、それ以外を作成する事はない。

陣地作成:D
魔術師として、自身に有利な陣地を作り上げる。
魔術師ならぬ刀工である村正の場合、作り上げられるのは鍛錬場である。

【保有スキル】
刀工:A+++
鉄を打ち、鍛え、刀を作り上げる者。
スキル『道具作成』の発動の際に消費される魔力が、著しく軽減する。
また、此度の聖杯戦争の場合、村正のマスターである鑢七花が、肉体そのものが一本の刀である血統ならぬ血刀――虚刀『鑢』である事から、村正は七花に対し、サーヴァントと互角に戦えるほどの力と神秘をエンチャントする事が出来る。

無辜の怪物:B+
後世の民間伝承のイメージによって、過去や在り方が捻じ曲げられるスキル。
『村正妖刀伝説』によって、徳川幕府に仇を為す妖刀を作ったというイメージを付けられた村正は『混沌』の属性を付与されている。
また、彼女の刀は妖刀の性質を持ち、生前徳川幕府に属していたサーヴァントに対して、特攻ダメージを発動する。

仏の加護:C
仏教由来の神格である菩薩の内、千手観音から受けている加護。
母親が千手観音に祈った結果、村正はこの世に生を受け、また、村正は赤坂千手院出身であると伝えられている。
村正は、蓮華王・千手観音の申し子である。
このスキルにより、村正はランク相当の対魔力を得ると同時に、千手観音の権能の一つである千里眼をBランクで授かった。

自己保存:A
自身はまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。

【宝具】
『千子村正無限子(せんじむらまさむげんこ)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大捕捉:∞

千子村正を始めとする、代々村正の名を受け継いできた刀工達は、『妖刀伝説』という真偽疑わしい風評被害を受けているものの、それ以外には大した伝説を持っていない。
ただ、彼らは、数多くの刀を作っただけにすぎない。

村正という刀工は生涯に渡り、また代々に渡り、安く、強く、良くも悪くも人の心を惹く刀――『村正』を数多く作り上げた。また、後世においては、『村正』の贋作が市場に多く出回ったという記録もある。
この宝具は、それらの功績が昇華されたもの。

数多くの刀剣『村正』のイメージを、この宝具の発動と同時に辺り一帯に展開させる。
つまり、村正の周囲に刀剣『村正』たちが出現し、それらは敵目掛けて掃射されるのだ。
投影ならぬ刀影である。
初代に限らず歴代の村正が手がけたものどころか、贋作まで含めた『村正』の数は、敵対者にとって無限本あるように見えるだろう。

マスターが魔力皆無の一般人である為、そう易々と発動出来ない、奥の手中の奥の手な宝具である。

【人物背景】
『千子村正』とは、特定の刀の号ではなく、刀派『村正一派』の祖とされる室町中期の刀工・村正の通称で、彼女の打った刀もそう呼ばれる。
性格は職人気質であるが、決して気難しいそれではない。
寧ろ、気さくに話しかけ、あれやこれやと世話を焼いてくれるタイプ。
魔術師ではなく純粋な作成者であったため、キャスターではなくエクストラクラス:クリエイターとして召喚された。

【特徴】
赤と灰のツートンカラーの和服を着た女。
刀剣のように滑らかな長めの黒髪をサイドテールで纏めている。
老人のような喋り方をしているのは、修行時代の師匠の刀工爺の口調が移ったから。
褐色の肌をしているのは、鍛錬場で長時間炎の側に居て、肌が焼けたからである。

【サーヴァントとしての願い】
特になし。


【マスター】
鑢七花@刀語

【能力・技能】
  • 虚刀流
刀を使わず、手刀や足刀をもって戦う、拳法ならぬ剣法。
言うならば、使用者の肉体そのものが一本の刀である。
通常の剣術の他に、虚刀流には七つの構えからくり出す七つの奥義がある。

一、鏡花水月
一の構え「鈴蘭」から繰り出される。強烈な拳底。七花が使う虚刀流の技の中で最速を誇る。

二、花鳥風月
二の構え「水仙」から繰り出される。半身で前後に貫手を配す構えからの奥義。

三、百花繚乱
三の構え「躑躅」から繰り出される。両手が刀で塞がれていても発動できる、膝蹴りのような奥義。

四、柳緑花紅
四の構え「朝顔」から繰り出される。身体を捻り拳を相手に突き出す奥義。
筋肉や防具など、間に挟んだ物には損傷を与えず、好きな位置だけに衝撃を伝えることができる。
発動の際、溜めのモーションを挟む必要がある。

五、飛花落葉
五の構え「夜顔」から繰り出される。「柳緑花紅」の逆で、相手の表面に衝撃を伝える鎧崩しの奥義。
合掌した手を広げてぶつける掌底のような技。
一つ一つが必殺である奥義の中で、比較的手加減が出来るものである。

六、錦上添花
六の構え「鬼灯」から繰り出される。左右方向自在の足の運びからの奥義。
両手で放つ水平手刀で相手の脇を打つ。

七、落花狼藉
七の構え「杜若」から繰り出される。前後方向自在の足の運びから、足を斧刀に見立てた踵落とし。

また、最終奥義として、文字通り必殺である七つの奥義を柳緑花紅→鏡花水月→飛花落葉→落花狼藉→百花繚乱→錦上添花→花鳥風月の順で同時に叩き込む『七花八裂(改)』がある。
虚刀流の血を引く者は、刀を振る才能が致命的に無い。
刀を振り上げれば後ろに落とし、前に振り落とせばあらぬ方向へと零す。

  • クリエイターによるエンチャント
四季崎記紀の血刀である鑢七花は、刀工であるクリエイター・千子村正からエンチャントを受け、筋力B 耐久B 敏捷Aのサーヴァント並のステータスと神秘を獲得し、対サーヴァント戦を行えるようになっている。

【人物背景】
虚刀流七代目当主。
島育ちのため世間知らずで、考えることが苦手な面倒くさがりだが、常識に囚われない発想が敵を倒す糸口を発見することもある。かなりの長身で、鋼のように鍛えられた肉体を持つ。
人間としてではなく、一本の刀となるよう育てられたため、対峙する相手に全く拘りを持たない。
とがめと行動を共にするようになってからは、最低限とがめの望みを可能な限り叶える方針を採るようにはなったものの、人間社会の細かい事情は全く理解出来ないままであった。
戦闘に於いては勝敗以外の配慮は出来ず、実力差から言えばわざわざ殺すまでもない相手の命をも奪おうとしていた。
よく言えば無垢で善悪に頓着が無く、悪く言えば人間性に乏しく残酷だったものの、刀集めの旅に出てから、人間らしい感情や感性が育っていく。
とがめの刀として付き添いつつ「愛している」などと度々口にしていたが、物語中盤以降は他の男のことを褒めるとがめに嫉妬心から意地悪をするなど、次第に彼女への好意が本物になって行き、最後には彼女にはっきりと好意を自覚しそれを伝えるまでに至った。
元々、どちらかと言えば思慮深い性格であり、乏しいながらも知識の及ぶ範囲内では物語序盤から細かい配慮を見せている。
戦闘では冷静に相手を観察して作戦を考えるタイプ。
最終巻では、とがめを殺されたことで旅に出る前の性分に戻ったような言動を取った上で、自らの死に場所を求め、血に染まって赤くなった彼女の装束を着て腰に彼女の遺髪を提げ、尾張城を襲撃――する筈だったが、今作ではその直前に、聖杯戦争へと招かれた。

把握には西尾っぽい文体を楽しめる原作をオススメしますが、イラスト担当の竹氏の絵柄を完璧に再現し、作中の技を詳細に動き付きで把握出来るアニメ版も同じくらいオススメです。

【マスターとしての願い】
とがめの蘇生。彼女が幸せに暮らせるような世界にする。

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最終更新:2017年07月09日 18:24