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「人殺し。お前さんのしたことは、ただの人殺しだね」
一人の女性が哀れな少女に対して一言ぶちまけた。
女性は所謂、サーヴァント・キャスター。
魔女めいた老婆に見えなくないが、どちらかと言えば農婦の格好で麦わら帽。定番の箒は握ってもない。
対して、少女は犬耳フードを被ったコスプレじみた格好で目立っている。
もし、ここが町中であれば注目の的に違いないが。
冬木市内でも、住宅街からもはずれた自然のある地帯故か、通行人の姿すらないのが幸運か。
コスプレではなく、実は『魔法少女』としての姿なのが……
マスターである少女――否、魔法少女のたま/犬吠埼 珠がキャスターの言葉にダンマリしていると。
キャスターは「ケッ!」とわざとらしく声を大に、喋り続ける。
「あーあぁ! いやになっちまうねえ!! お前さんみたいなクソマスターを引いちまったあたしゃ
サーヴァント界一の不幸モンに違いないよ! 自害でもして、とっとと退場させておくれ!」
「ご、ごめんなさい……」
「ごめんなさいだあ? 何を謝ってんだ。お前さんが謝ったところで死人が生きかえりゃしないんだし
お前さんの口が達者になる訳じゃないんだからね。はーあ! イヤだイヤだ!!」
「その……本当にごめんなさい。私みたいな……人殺しがキャスターさんのマスターになって」
たま自身、ここへ至る経緯に混乱していた。
『魔法少女育成計画』と称されるソーシャルゲームを通じて、たまを含む選ばれた者が『魔法少女』として
能力を得た末。運営側が魔法少女を減らすと宣言し、所謂・サバイバルゲームへと発展する。
たまも、その過程で人を殺めてしまった。
最終的には、仲間だったスイムスイムに、何故か殺された。
なのに……生きている? 次は聖杯戦争?
途方にくれ、たまはキャスターに自身の経緯を語ったのが、結果は先ほどの通りである。
結局そうだ。
生き残るためであっても、自分がしたことは人殺しなんだ。
後ろ向きに受け止めるたまに、キャスターは顔をしかめる。
「あぁ? なんだってえ?」
「え? えっと……だから私が人殺しなのが、キャスターさんは嫌なんですよね………」
「ぶぅあーか! 人殺し人殺しって、んなことどーだっていいんだよ!!」
突然の態度に、更にたまが困惑する。
「で、でも。私のことを人殺しだって……」
「あーはいはいはいはい! どーやらお前さんは空気が読めないようだから説明してやるけど
人殺しなんてのは、大したもんじゃないよ! だってそうだろ。ヘンゼルとグレーテルだって
魔女を殺して、わーい! やったー! ハッピーエンドじゃないのさ」
「……え………そ、それは……」
「時代が違えば王サマ殺せば英雄扱いだろう。なあ、ジャンヌ・ダルクだって人殺しだよ」
「じゃあ、キャスターさんはどうして怒ってたんですか……」
「それはね。お前さんがツマラナイからさ」
「私が物覚えが悪いとか、なにやっても駄目だからですか」
「違う違う違う! ちげーよばーか! ゴミクズナメクジヘドロマミレ!!
あたしが語ってやったら、お前さんがぶっ殺した奴の命乞いのモノマネしまあ~すとか
死体が大股開いてパンツの柄がくそだっせえモンだったとか、気の効いたジョークを含ませてやるさ!
お前さんはそーいう一つ二つがなくてクソっつったんだよ!」
流石のたまですら、キャスターの暴論にはついて行けない。
彼女は良心的な人間だ。絶対、キャスターみたいなブラックジョーク。不謹慎な話題で笑えない。
あの殺し合いにいた魔法少女の立場として。
たまは、申し訳なく。しかし確固たる意思を以て、キャスターに告げた。
「キャスターさん、ごめんなさい。私……そういうの駄目です」
「うん。知ってる。だからクソマスターつってんのさ」
やれやれといった様子でキャスターは退屈そうだった。
「だったら聖杯戦争自体が気の効いた馬鹿騒ぎならいいねえ。
あたしゃ週刊少年ジャンプみてーな努力・友情・勝利は大嫌いだから勘弁しておくれよ」
【クラス】キャスター
【真名】マザー・グース@伝承童謡
【属性】混沌・善
【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:C 魔力:A 幸運:B 宝具:A
【クラススキル】
陣地作成:-
道具作成:-
これらのスキルは後述の宝具に昇華されている。
【保有スキル】
高速詠唱:A
魔術の詠唱を高速化するスキル。
魔女であり、作者でもあるマザー・グースは即座に宝具の展開が行える。
無辜の怪物:A
生前の行いから生まれたイメージによって、過去や在り方をねじ曲げられた怪物。
能力・姿が変貌してしまう。このスキルは取り外せない。
かつてはナーサリーライム、御伽草子のような固有結界そのものであった。
【宝具】
『お望みならば何処までも往くさ(コント・ド・マ・メール・ロワ)』
ランク:C++ 種別:対界宝具
マザー・グースの象徴である不可思議な鵞鳥。
これの背に乗れば、どこへでも自由に飛び立てる。この魔女は箒ではなく鵞鳥に乗る。
文字通り『どこへでも』往けるため、次元の狭間に居座る事も
固有結界からの脱出も可能な代物。
『どこかの誰かさんの物語(マザー・グース)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大補足:1~200
糞で畜生なトミーサム、色々ここまで御苦労さん、だけど冒険はお終いさ
あともう少しで最悪の目覚め、夜の帳は堕ちた。お前さんの首もドサリと堕ちる。
じゃあ、現実のように殺してやるよ。ページを燃やして、さようなら!
『リジー・ボーテン』が40回攻撃されれば、41回攻撃を『し返せ』。
相手を肉体をバラバラにし、未知の病原体をばらまき。
こまどりを葬った狂気の鳥の軍勢を呼びだす具合に、マザー・グースに準えたものを召喚、使役する。
陣地作成と道具作成がこの宝具に昇華されている。
【人物背景】
ナーサリーライムが子供たちの英雄であれば、マザー・グースは大人に対する英雄。
絵本や残酷な部分を前面にした方こそマザー・グース。
彼女は様々な逸話により特定の姿を得た為、宝具や能力はナーサリーライムや御伽草子のような
固有結界そのものではなく、伝説上の作者でありながら魔女という存在に変貌。
性格は捻くれており、残酷に現実を突き付ける。
【特徴】
シワの入った40代後半くしゃくしゃした金髪の女性。
魔女というよりか、麦摘みをする農婦の服装で、麦わらの三角帽子を被っている。
【サーヴァントとしての願い】
今回の聖杯戦争が面白ければ楽しみたい
そうじゃなかったら自害とかする
【マスター】
たま(犬吠埼珠)@魔法少女育成計画
【能力】
いろんなものに素早く穴を開けられるよ
自分で掘った・傷つけた部分を瞬時に広げる。
掘った・傷つけたばかりでなくても、視界内であればいつでも広げられる。
魔法少女
人間ではない魔法少女としての身体能力
【人物背景】
変身すると犬耳の魔法少女。普段は中学生の少女。
気の弱い性格で、周囲から劣等生と称されている。
参戦時期はサイバイバルゲーム脱落後
【マスターとしての願い】
不明
どうしたらいいか分からない
最終更新:2017年07月11日 21:44