IFのおはなし

「……ん」

 長い間、寝ていたような気がする。少女はそんな事を思った。
異様に身体が、怠いのだ。十何時間も眠った後のように、身体の節々が軋み、そして何よりも、鉛を巻き付けた様に身体全体が、重い。
仰向けの状態から起き上がる事すらも、億劫だった。いっそこのまま二度寝とふけこもうにも、全く眠くない。

「うっ……」

 眩しい。次に思った事はそれだった。
それはそうだ。何時間も眠った後の寝起きの状態で、LEDのシーリングライトを直視してしまったのだ。
真っ当な人間ならば、まず強いフラッシュで瞳が焼かれ、何も見えなくなってしまう。思わず少女は、瞼を瞑り、顔を横に向けさせた。

「オイオイ、まーた居眠りしちゃうのかよ。いつまでこのボクを待たせるつもりなんだい、重役気取りも大概にして欲しいな!!」

 別に眠りたい訳じゃないと思いながら、少女は、自分の身体に掛けられていたベッドのシーツをのそのそと払い除け――。
現状を把握し、バッとベッドから飛び起き、声のした方角に身体を向けるも、視界不明瞭の状態で勢いを付けて動いたのが、運のツキ。
体勢を崩してよろめいたばかりか、勢いよく後ろの方に倒れ込む。「おっ、黒とは大人っぽい。でも年の割には、色気のない下着なのが駄目だな」、
ケラケラと笑う声。意味の理解が一瞬遅れたが、理解した瞬間、顔が羞恥の火が灯る。ベッドに手を掛け、それを支点にして少女は立ち上がる。
まだ視界は拓けないので、相手が誰だかは正確には解らない。だが、声からして、女性……それも、自分とさして歳の変わらない者、と言う事だけは解る。

「――だ、れ……!?」

 事此処に及んで、漸く少女は、目の前の人物に誰何をする事が出来た。

「誰って、さぁ……君の視界に、映ってないのかい? ボクの、聖杯戦争の中で最高峰かつ最強と言う自負すらある、圧倒的なスペックのステータスが、さ」

 何を言ってるんだこの女は、と思わぬ少女ではなかったが、よく注意して、女性のいる方角を眺めていると、不思議な文字が視界に映っているのが解る。
やや視界が正常に戻りつつあるも、まるで酷い近視の人間のように混濁した視界の中でも、その文字だけはクッキリと見る事が出来た。
EXやらAやらBやらCやら、と言う英字及び、日本語と思しき単語が、明白な文法及び何らかの法則性に基づいて配置されているのだ。
これの意味する所を少女は考えて――頭の中に、稲妻が閃いたような感覚を覚えた。頭の中に生まれていた空隙、其処に新たに情報が書き込まれて……いや、違う。
忘れていた情報を、急速に思い出して行くような感覚を覚えたのだ。

「貴女が、私の……」

「御明察」

 漸く、視界が回復した。
ニッ、と言う笑みを浮かべた、紫色のロングヘアが眩しい、紫色のアイシャドウと口紅を塗った、驚く程の美女が、安いアームチェアに膝を組んで座っている姿が見えたのと、殆ど同時であった。

「ボクが、君の呼び出したサーヴァント。アサシン、『ロキ』さ」

 ◆

 何の毛皮を使っているのか解らない、銀色のファーコート。その下に、黒いパンツスーツを纏った女性だった。
アメジストの様な紫色のロングヘア、同じく紫色のアイシャドウを塗られたその顔の、眉目秀麗な顔立ちたるや、少女の子供っぽい顔立ちでは歯も立たない。
胸の方も、豊胸手術をしていると彼女の方から僻まなければやってられない程、少女とロキとでは差があり、およそ女性的魅力では、何一つとして、
少女には勝っている所もなかった。辛うじて上げるとすれば年齢であろうが……その年齢だって、よくよく見たら、少女と大差なさそうな気がしなくもない、
と弱気になって来るのだから堪らない。大人としての色香と、少女としての未成熟さを極めて高いレベルで両立させているのだ、目の前のアサシンは。これを、ズルと呼ばずして、何と呼ぼうか。

 ――ロキ。彼女は自身をそう名乗った。
それを認識した瞬間、少女の頭の中に急速に、あらゆる情報が叩き込まれて行く。
聖杯戦争、サーヴァント、真名、宝具、スキル、ステータス、冬木市――。この世界で生き抜く為のありとあらゆる知恵が、一秒と言う、
永遠の時間の中において刹那と言う言葉ですら生温い程の微塵の一瞬の間に全て刻まれた。

 驚きが、少なかった。
無論、多少なりとも驚いている。聖杯戦争などと言う、およそ与太話としか思えないイベントに巻き込まれているのだから、それも当然。
だが――自分は、『知っていた』。ある程度知らない事こそあれど、頭の中に刻まれていたこれらの知識、その殆どが既知の知識だった事を今思い出した。
だから、余り驚きのリアクションを取れなかった。そして、今の現状。これらを表す最適な単語が、頭の中で明滅。
喉から出たり、出なかったりを繰り返している。知っている筈なのに、思い出せない。だが、あともう少しで思い出せそう。そんな事を繰り返す事、十秒程。
漸く少女は、それらしい単語を思い出す事が出来た。

「特異点……レイ、シフト……?」

「はン?」

「待って、何にも今は口挟まないで。何か思い出せそう……」

 怪訝な目線で此方を眺めるロキの事などお構いなしに、少女は何かを考える。
うんうんと、知恵熱が出そうな程唸って考え込み――そして遂に、一つの、それでいて、自身の記憶のルーツとなる、最も重要な解を、彼女は今思い出した。

「――『カルデア』!!」

「オイオイ、大丈夫かキミ。凄い外れのマスターを引いたから、とっとと殺して鞍替えしたくなる位には心配なんだが?」

「ぶ、物騒な事言わないでよ……。そうじゃなくて、思い出したの、カルデアだよ、カルデア!!」

「何それ。湖の話?」

「それはカルデラね、じゃなくて――」

 突っ込みを入れた後、少女は、思い出した記憶の空白部分を、ロキに対して語り始める。
フラッと街を歩いていたら、献血車が近くに停まっていたので、たまには無償の善意でも発揮して見るかと自分の血を提供した事。
実はそれが、献血の車と言うのはデタラメも良い所で、本当はカルデアと言うとても凄い――少女自体も未だによく解ってない――組織の活動の一環だったという事。
自分が世にも珍しい体質だったからと言う事で、何処ぞの雪山の地下に建造された秘密基地に、高額の給料であったので、バイト代わりに行ってみた事。
実は世界が、2016年以降相当拙い事になっているようで、このままだと人類の未来が危なくなると言う事。

 其処までを、ロキに対して少女は語る。
うんうん、と頷きながら、腕を組んで彼女の話を一通り聞いたロキは、ややあって一言。

「ねぇ、マスター、何か調べる端末とかある?」

「えっと、スマホとかあったかな……」

「貸してくれない? 近隣の、腕の良い病院調べるから、一緒に頭を治して貰おうよ」

「ひっどい!! もう貸さない!!」

 ロキの言う通り、自分の鞄の中からスマホを探し掛けていた少女だったが、ロキがあまりにもあんまりな事をいうものだから、
不貞腐れ、鞄から手を勢いよく引き抜き、彼女にスマホを渡す事を止めてしまう。その様子を見て、ゲラゲラと、女らしくない笑い方をするロキ。もう絶対貸すもんかと誓う。

「冗談だよ、本気にするな。第一、レイシフトってあれだろ? 話だけ聞くと、やってる事は時間渡航だ。ノルニルのメンヘラ共も同じような事が出来た事を思い出した。夢物語じゃないんだよ」

「(メンヘラ……)そ、そうなの? タイムトラベルとかって、荒唐無稽な話だと思ってたんだけど」

「基本はそうさ。ただ、出来なくはない。死ぬ程面倒なお膳立てをする必要はあるけどね」

「そうなんだ……」

「って、言うかさ」

 肘掛けに頬杖をついて、ロキが言葉を続けた。

「何で君の方が、ボクよりも疑問気で、自信がない訳? レイシフトだって、本当は君が受ける筈の物だったんだろ? もっと自信持てよ」

「うーん……そ、それがね……」

 指を両手でつんつんとさせて、少女は続けた。

「私……その……」

「何?」

「き、記憶がないんだよね……。自分の名前すら、正直思い出せなくて……」

「はぁ~~~~~~~~~~~~……(クソデカ溜息)」

 今度こそ隠しもしない程、呆れた態度をロキは盛大にとってしまう。
そう思ってしまうのも、無理からぬ事と、少女はロキのリアクションを怒れない。正直、自分だってこれはないと思ってしまう。
だが、それでも、記憶喪失が事実であると言う事は、揺るがしようがないのだ。

 少女は、己の名前を知らない。
自分が此処に来るまでの経緯、そして、元居た世界での友達の名前も全員暗唱する事は出来る。
だが、どうしても、自分の本名と、何故自分が此処に来たのか、その経緯。それを思い出そうとすると、その努力を無為にするかの如くに、頭に霧が掛かる。
自分の本名を、家族の名前から連想して思い出そうにも、そうは問屋が降ろさぬと、家族の情報ですらが思い出せない始末だ。
つくづく、ロキが使えねーなコイツ、と言うような態度を隠しもしない気持ちが解る。少女だって、ロキと同じ立場なら呆れて物も言えないだろう。
魔力が少ないとか、全く戦えないとか言うのならば兎も角、自分の名前すら言えないと言うのは、傍目から見れば白痴も同然である。
そんな存在と、一蓮托生しなければならないとは、サーヴァントにとっても気の毒の他はないだろう。「うぅ……」、と言いながら少女は下目遣いでロキの事を見やる。

「何で私、自分の名前忘れてるんだろ……」

「知らないよ」

「何か、何かあった筈なんだけど……全然、思い出せなくて……気付いたら、此処にいて……」

 少女は自分が、どのタイミングで星座のカードを手にしたのか、全く思い出せない。
射手座のカードが、この世界に招かれる為の大事なアイテムであると言う事は、頭の中に刻まれた知識から大体解る。
だが、本当に、何時これを手にしたのかが、解らない。……或いは、思い出したくないのかも知れない。
厳密には、全く思い出せないと言うのは嘘だ。自分が此処に飛ばされた瞬間の事。それを彼女は、本当に断片的ながら、その時のほんの一瞬を思い出す事が出来る。

 ――爆発。そして、悲鳴。怒号。
それが、少女の脳裏を過る、その時の一瞬の光景を切り取った、刹那のフォトグラフ。
これ以上を思い出そうとすると、全く思い出せない。――本当に、自分は、思い出せないのか?
『これ以上を、思い出すのが、怖いからではなくて』、か?

「別に、思い出せないなら思い出せないで良いよ」

「アサシ――」

「何か勘違いしてないか、『お前』」

 そこで、アサシンの語調が変わった。
低く、恫喝するようなものに。そして、少女に対する呼び方も、明白に。体中から汗が噴き出、そしてそれが、重力が反転しているかのように上向きに体表を上がって行くような感覚を、少女は憶えた。

「ボクはさ、自分の名前すら思い出せないような間抜けの白痴に従う程落ちぶれちゃあいないのさ。聖杯に掛ける願いも、残念ながらなくてね。君に渋々従う理由もない」

 足を組んで座りながら、ロキは言葉を淡々と続ける。
だが、それでも解るのだ。この女性が本気になって、自分を殺そうと思ったのならば、この状態から指の一本も動かさずに、
自分をバラバラに出来るだろうと言う事が。それを思うと、体中から噴き出て来る汗が、一気に熱を失い、冷たい物へと様変わりして行くのだ。

「これが、最初にして、最期になるかも知れない選択肢だ。よく考えて選べよ? お前、これから何するつもりだ?」

「この特異点を、解決する」

 自分でもびっくりする位、少女は即答してしまった。
本当は、もっと内容を吟味、もっと考えてから、言葉を放つつもりだった。
だが、気付いた時には、舌が勝手に動き、顎が勝手に上下し、言葉を紡いでしまっていた。まるで、それ以外に答えるべきものが、なかったかのように。
頭でどんな内容をこねくり回しても意味がなく、これが結局一番の最適解であると、反射的に理解してしまったかのように。

「正直、特異点じゃないかも知れないけど、それでもやっぱり、この聖杯戦争は、解決した方が良いかも知れない。って言うか私も、一応それを了承してカルデアに来たんだし」

 少女は、聖杯戦争、と言う一つのイベントが主核となっているこの冬木の街を、ある種の特異点のような物、と考えていた。
無論、本当にそれがそのようなものなのかどうかは、まだまだ勉強不足も甚だしい、一般公募枠のマスターの為解らない。
だがそれでも、聖杯戦争を勝ち抜いた末に獲得出来る聖杯、それについて少女は、魅力を全く感じなかった。要するに、ロキと同じで、いらないのだ。聖杯が。
よって、今の彼女に出来る事は、この特異点の解決だ。この冬木の街に、如何やらカルデアのマスターは自分一人のようだ、と少女は認識。
心細い事この上ないが、今は、前を向いて頑張るしかないようである。……尤も、それについて頑張れるか否かは、自分の目の前にいるサーヴァントの、胸先三寸な訳であるが。

「だからさ、ロキちゃん。私を殺すの何て、止めよ? 私が痛くて苦しいだけだから。私と一緒に、ホラ……えーと……、この冬木の街にいるサーヴァント、全員やっつけよ?」

「いいよ」

 少女は後半の方、言葉に全く自信がなくなっており、正直、殺されてもおかしくはなかったのだが、ロキの方は何と、呆気なく了承。
これには逆に、少女の方が一気に毒気を抜かれ、「へ?」、と、言う他がなかった。

「ボクの行動基準はさ、面白いかどうか、何だよね。聖杯は僕はいらない。だけど、だからと言って聖杯戦争を諦める、って言えばボクは先ず君を殺してた」

 「だが」

「君は、聖杯戦争を勝ち残った際の賞品である、聖杯をいらないと言った上で、聖杯戦争の『戦争』の部分。つまり、サーヴァント同士の殺し合いには乗ると言った」

「う、うん。そう言う事になるね」

「それが、面白い」

 ニッ、とロキは笑った。口の端を吊り上げた、やらしい笑みだった。

「聖杯を欲する他の主従は、聖杯が要らないって言う小娘に下されるだけじゃなくて、折角現れた聖杯も、君にNOを叩きつけられて放置プレイを強要されるばかりか、最悪壊されて解体される始末。こんな面白い、喜劇的な結末あるか? ボクは、とっても面白く感じるぜ!?」

 話してる最中に、少女ですら引く程の熱をロキは言葉に帯びさせて行き、そして、更に言葉を紡ぐ。

「君はきっと、狙って、ボクを楽しませる為にそんな事を言ったんじゃないだろう。天然で、そして、心から今の言葉を口にしたに違いない。だが、それが良いんだな!! ボクはマスターに、魔力が凄いだとか、滅茶苦茶強いだとか、そんな事は求めないしどうでもいいのさ。ただ、面白ければ良い!! おめでとうマスター、君は過去、ボクを聖杯戦争に呼び出そうとした数多のマスター、数多の愚者、数多のゴミ・有象無象共の中で、一番優秀なマスターとしてランクインしたよ!!」

「え、と言うか、本当に戦ってくれるの?」

「無論。あ、もしかして、アサシンクラスだから弱いだとか、そんな失礼な事考えたりしてる? うっわ~、悲しい~、ヨヨヨ~……」

 あからさまに下手くそな泣き真似を十秒程披露した後、気が済んだのか、ロキは言葉を続けた。

「心配するなよ。戦いが、面白さを演出するのに必要な手段だと言うのなら、ボクは喜んで、君の為、自分の為に力を奮うよ。ボク、この聖杯戦争でも、割と強めのサーヴァントだと自負してるしね」

「そうなの?」

「時が来れば見せてあげるよ」

「その……どうしても、余り戦いたくないな、って主従がいた時も、裏切って私を殺したりとか……」

「あー……最初の脅し、本気にしてたんだ」

 顔を手で抑え、ロキは言った。

「アハハ、あれはアースガルド流のジョークさ。君……滅茶苦茶ボクに従順だった愚妻に似てるし……って、言わせんなーい!! 恥かしい!!」

 コイツ何一人で元気にノリ突っ込みしてるんだろう、と少女は思わないでもない。
疲れるサーヴァントを引き当てちゃったなぁ、と。改めて彼女は思うのであった。

「あの、それじゃ、宜しくね。ロキちゃん」

「あ~、一応さ、今は許すけど、次からはアサシンって呼んでくれない? ボクほら、界隈じゃ島流しにされる程の有名なワルだからさ? 名前が知れると面倒なんだよね」

「あ、そうなんだ。じゃ、宜しくね、アサシン」

「ハイハ~イ。あ、それとボクは、君の事なんて呼べば良いんだろう。いつまでも『君』呼びじゃ、味気ないだろ」

「う~ん……私、記憶喪失だしなぁ」

「……あ、そうだ。その惚けた態度と、十九時間ぐらい僕を放置して眠りこけてたその重役ぶりを湛えてさ――」

 そこでロキは、一呼吸置いた後に、口を開いた。

「ぐだぐだ女の『ぐだ子』って呼んで良い?」

「君呼びで良い!! 君って呼んで!!」

「宜しくね、ぐだ子!!」

 ロキに、改める気はなかった。
だが、不思議と、少女――ぐだ子は、ロキの考えたその名に、微かな安堵を憶えてしまった。
名もない者には、仮初とは言えど、名乗るべき名があれば、多少の安心感が得られる。それを彼女は、身体と心で、実感しているのだった。




【クラス】アサシン
【真名】ロキ
【出典】北欧神話
【性別】女性
【身長・体重】173cm、57kg
【属性】混沌・中庸
【ステータス】筋力:A+ 耐久:C 敏捷:B 魔力:A+ 幸運:B 宝具:B

【クラス別スキル】

気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。

陣地作成:C
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。小規模な“工房”の形成が可能。

道具作成:EX
魔力を帯びた器具を作成できる。十分な時間と素材さえあれば宝具を作り上げる事すら可能だが、アサシンの場合は『宝具しか作成出来ない』。

【固有スキル】

トリックスター:A+++
秩序にして混沌。賢者にして愚者。善にして、悪。神の法や自然秩序を無視し、世界を引っ掻き回す悪戯者。
このランクになると、2つまでなら、特定のサーヴァント独自のユニークスキルを除いた如何なるスキルであろうとも、Aランク相当での模倣がいつでも可能。
また、このスキルは極めて高ランクの叛骨の相を保有しているのと同じであり、アサシンのスキルランクの場合であると、
カリスマや皇帝特権等、権力関係のスキルを無効化し、逆に弾き返す。令呪についても具体的な命令であれ決定的な強制力になりえなくなる。
北欧神話の世界に於いてトリックスターの名を欲しいがままにし、現在の世界に於いてもトリックスターの代名詞の一つとして語られる事の多いアサシンのスキルランクは、最高ランクのそれである。

怪力:A+
一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。使用する事で筋力をワンランク向上させる。
このランクともなれば、戦闘中はほぼ常時発動している。霜の巨人族出身であるアサシンは、身長と体重とは裏腹に、最高ランクの怪力スキルを引き継いでいる。

高速思考:A
物事の筋道を順序立てて追う思考の速度。アサシンの場合は機転の良さや、悪戯を考える速度、そして計画を練る為のスピードである。
特に、悪巧みや窮地からの脱出・解決において、アサシンの高速思考スキルは高い効果を発揮する。

ルーン魔術:A+
義理の兄であるオーディンより与えられた、北欧の魔術刻印ルーンの所持。 
アサシンとしての現界ではあるが、スキル・二重召喚の影響で、キャスタークラスで召喚された時並のランクを誇る。
ルーンを使い分ける事で、強力かつ多彩な効果を使いこなす。攻撃以外で主に使用するのは対魔力スキル相当の効果、千里眼スキルの効果、
パラメーターをAランクに上昇させる効果、等。これらはすべて一時的なものであり、同時複数の使用は出来ない。

原初のルーン
神代の威力を有する原初のルーン――北欧の大神オーディンによって世界に見出されたモノ。
彼の大神の義理の弟であり、魔術師としても比類ない才能を誇るアサシンは、これをオーディンから教わり、発揮する事が可能である。
本来ならば、Aランク以上の神性スキルを持たない場合、本格的な使用は極めて危険であるらしいが、当然のようにアサシンはこれを無視している。

神性:C(EX)
本来アサシンは、北欧神話においてその正統性を認められている、由緒正しい本物の神霊であり、その神性ランクは規格外の値を誇っていた。
だが、聖杯戦争への召喚に際し、敢えて『巨人族であった時代』まで自分を劣化させる事で、ギリギリ召喚を可能とさせた。

二重召喚:B
アサシンとキャスター、両方のクラス別スキルを獲得して現界する。極一部のサーヴァントのみが持つ希少特性。

【宝具】

『しゃーなしに連中にくれてやった武器(フォー・アースガルド)』
ランク:B 種別:対人~対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:1~50
アサシンがアースガルドの神々に対して献上(或いは、悪戯に対する落とし前)して来た、数々の宝具。
これを呼び出し、己のものとして一時的に使用する事を可能とする宝具。著名な物としては、大神オーディンが持つ神槍・グングニル、
雷神トールが保有する雷槌・ミョルニル、無限大の富を約束する黄金の腕輪・ドラウプニル、フレイが有する魔法の船であるスキーズブルズニル、
及び黄金に輝く猪であるグリンブルスティ、そして、宇宙樹ユグドラシルを灰燼に帰した、スルトの保有するレーヴァテイン等。
宝具ランクに換算すれば最低でもAランク以上は堅い事物を行使出来る……のだが。アサシンはこれらの宝具の真の所有者ではない為、
その真の性能を発揮する事は不可能。真名解放も勿論不可で、常時発動の効果しか発揮する事が出来ない。宝具の内容からは想像も出来ない程に低い宝具ランクは、これが原因である。

『神代終焉・幻想死箭(ミストルティン)』
ランク:A++(C) 種別:対神宝具 レンジ:1~99 最大補足:1
女神フリッグが九つの世界を奔走し、万物に対して息子に傷を付けてはならないと契約、それによって無敵かつ不死身の肉体を得た光明神・バルドルを殺害した、
ヤドリギの弓矢が宝具となったもの。この宝具は通常、ヤドリギを削って拵えただけの武器に過ぎず、それ自体を放っても、Cランク相当の宝具でしかない。
その真価は、『相手がDランク以上の神性を保有していた場合』。この条件を満たした時、この宝具は、無敵かつ不死身の光明神を即死させた真の力を発動。
神性スキルを保有しているサーヴァントが保有する、あらゆる防御、あらゆる補正、あらゆる加護を無視。宝具ランク相当の、超極大ダメージを与える。
ダメージは神性スキルの高さによって決まり、発動条件であるDランクの時点でも、Aランク相当の対人宝具を易々上回り、最高ランクのAともなると、
戦闘続行及び素の耐久ステータスが余程埒外の値でもなければ、直撃した瞬間死が確約する程の威力となる。
また、盲目の神であるヘズが投げさせ、ヘズが投げた事をバルドルが気付きすらしなかったと言うエピソードから、この宝具は、上記条件を満たした条件で放つと、
因果の逆転が発動し、矢が突き刺さったと言う結果の方が先に来て必中になる上、A+ランクの気配遮断の効果すら適用される。
アサシンは生前、この宝具を発動した事で、神々の黄昏(ラグナロク)のトリガーを引く事に成功。正に、神代の終焉、幻想の死の名に相応しい宝具である。

【weapon】

【解説】

説明不要に近い程有名な存在だが、ザックバランに説明。
北欧神話に登場する神。霜の巨人族の出身で、ファールバウティとラウヴェイとの間に生まれる。
神々と敵対する巨人族の出であるが、その美しさたるや比類稀なく、その美しさの故に、主神オーディンの義兄弟になってアース神族入りした。
美しい容姿と移り気で悪賢い精神を持ち合わせる。機転を利かせて神々を救ったり貴重な宝物をもたらしたりもしたが、極めて悪質な悪戯を行い、
皆を困らせる事もしばしば。女巨人アングルボザと交わり、大いなる魔物達、フェンリルやヨルムンガンド、冥界のヘルの父(または母)にもなったと言う。
両性具有だったとも言われ、牝馬に変身してオーディンの愛馬スレイプニルを生んでいる。
最終的にはオーディンの息子であるバルドルを死なせるという罪の為に世界の終わりラグナロクまで縛られ封じられたという。ラグナロクでは白き光の神へイムダルと相打ちになったとされる。

彼の正体は、アースガルドに神族入り、彼らを内から瓦解され、彼らを衰亡させる役割を期待された、霜の巨人族のスパイであった。
当初は自分の役割を忠実に行うも、アースガルドの生活が死ぬ程楽しかった為に、霜の巨人族から言い渡された使命感を秒で忘れ、遊び呆けの悪戯呆け。
だが次第に、神々の生活すらも飽きてきて、時には人間世界にちょっかいを掛けたり、時には親友になった雷神トールや、義兄であるオーディンをからかったりと、
悪質な悪戯をメインにした生活にシフトする。だが、それすらも飽きたロキは、このまま行くと本気で退屈に殺されかけると確信。
アース神族の黄金時代にも飽き、巨人族の掲げる太古の自然秩序による支配も時代遅れで古臭いから性に合わない。
そこでロキは、人間に目を付けた。オーディンやフレイ、フレイヤ達に良い様に翻弄され、巨人達の脅威に晒されたりと。
愚かで、哀れで、脆弱な人間達に、時代を預けたら面白いのではないかとロキは画策。そこで、ロキは引き起こそうと決意したのだ。
神々や巨人族の間でも最早御伽噺扱いされている、終末の日・ラグナロクを。これを成就させる為、ロキは動いた。
美しいだけで好みじゃない女巨人アングルボザと交わって、フェンリルやヨルムンガルド、ヘルの三人を産んだのも。
フレイに仕えていた、スキールニールと言う名前の女を、緑の仮面を被った道化の姿になって、『スルト』として焚き付けてやったのも。
終末の日に派手なドンパチを繰り広げさせるべく、オーディンやトール、フレイ達に優れた武器を与えてやったのも。
オーディンの最愛の息子であるバルドルを、計略で殺して見せたのも。
エーギルの館で、ありとあらゆる神々を告発、神が完全な存在ではないと馬鹿な人間達に啓蒙し、神々の怒りを自ら買ったのも。
全て、ラグナロクを引き起こさせ、神々と巨人達、そして自分の産んだ三匹の怪物達を争わせ、共倒れにさせ、弱くて哀れで救いようのない程愚かな人間達に、
時代を明け渡そうとした為だった。人間に対する情も愛も、ロキにはない。ただ、その時その時の楽しさで動いていただけの、人間以上に愚かな、刹那的な快楽主義者。
それこそが、この神(巨人)の正体だった。彼の目論見通り、人は霊長の頂点になり、ラグナロク後も生き残るとされた神々も、世界の裏側に隠れ。人を頂点とした世界に、なったのだった。

極めて享楽的で、刹那的な快楽主義者な性格であり、規格外寸前のトリックスタースキルによって、真っ当に制御する事も不可能。
それにもかかわらず、ロキがぐだ子に従っているのは、彼女が面白いのと同時に、自分に対して従順で、毒蛇から滴る恐るべき毒液からロキを守っていた、
シギュンと言う女性とぐだ子がそっくりであり、その事に思う所があったからである。因みに本人はそれを凄く恥ずかしいと思っており、言っちゃうと赤面する。
原典では男性の神であるとされるが、実際には女性としての変身能力も有しており、性別が全くと言って良い程意味を成さない。
今回のロキは、生前トールと一緒に花嫁衣装を纏って女装をし、霜の巨人族達のアジトに侵入、彼らを打ち倒した時のエピソードの時の姿で召喚されている。
これが、アサシン適性を有している訳である。この時に着用したと言う花嫁衣裳もあるらしいが、ロキ(ブライド)になるつもりはないと言う事。動きにくいしね。

【特徴】

何の毛皮を使っているのか解らない、銀色のファーコート。その下に、黒いパンツスーツを纏った女性。
アメジストの様な紫色のロングヘア、同じく紫色のアイシャドウを塗られた顔をしており、その顔立ちたるや眉目秀麗そのもの。
胸の方も、一m近いと言う巨乳。全体的に、大人としての色香と、少女としての未成熟さを極めて高いレベルで両立させている。

【聖杯にかける願い】

いらない。聖杯戦争自体を楽しむ。




【マスター】

ある少女(仮に、ぐだ子と呼ぶ)@Fate/Grand Order

【マスターとしての願い】

この特異点の解決。その為には、全てのサーヴァントを下す必要があると思っている。

【weapon】

【能力・技能】

魔術礼装・カルデア:
人理継続保障機関・カルデアのマスターに支給される魔術礼装。厳密にはweaponに表記される物。
これを装備している限り、己の魔術回路を流れる魔力を駆使して、応急処置や瞬間強化、緊急回避と言う三つのスキルを発揮させられる。

【人物背景】

48人居たマスターの一人。レイシフト適性を持っていたらしいが、レフ・ライノールの爆発に巻き込まれ……?
現在、レフ教授の引き起こした爆発テロの影響で、己の名前と、此処に来る事になった原因を忘却している。

【方針】

聖杯戦争の解決

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最終更新:2017年07月21日 08:46