「私はですねぇ、神様の言う通りにやったんですよ。そうしたら神様は何やったと思います?大洪水ですよ、大洪水。
本当に何考えてやがるんでしょうかね?言われた通りにしたら“穢らわしい”とか言って大洪水。私に一体何させたかったんでしょうかね?
“人間に堕落と災厄を~~~~ッッ!”とか言っといて、本当なんなんでしょうかね」
夜の帳に包まれた冬木市を真円を描く月が照している。
その月明かりも届かぬ廃工場の奥、まともな人間なら近づかないような場所に、二つの人影があった。
廃工場の中であるにも関わらず、油や錆の匂いを圧して、濃密な血臭の満ちる空間だった。息を吸う度に鼻から肺にかけて血がこびりつく錯覚を覚える程に。
その空間に相応しくない、能天気そのものの、陽気な女の声が響いた。
美しい女だった。月の光どころか、陽光すらもろくに届かぬ場所に在りながら、そう断言できる程に。女自身が光を放っていると言われても、見る者全てが信じるだろう。それ程の美女だった。
陽光を織って作った糸で編み上げたかのような黄金の髪。芸術の神が手ずから筆を執って描いたとしか思えぬラインを描く眉、その下の深い海を思わせる深蒼(ディープブルー)の瞳。
神工がその高さと長さを決めるだけで、一生涯を費やしたとしか思えぬ完璧な鼻梁の線に、男女を問わず、吸い付きたいと思わせる朱唇。
美神の創り上げた、美しい女というものの、理想形ともいうべき美女だった。
白い薄い布に覆われた淫らさと清楚さを併せ持つ肢体は、なまじ布で覆われていて、肌が見えぬ分、浮かび上がった身体ラインをより淫猥なものにしている。
血と泥に汚れ、力無く目を閉じた猫を愛おしげに撫でながら、軽薄そのものの声と口調で喋り続ける。
「大体あのオヤジ、私の身体ガン見して鼻の下伸ばしながら、偉っそうにプロメテウスの罪を演説してやがりましたが、
人の罪を鳴らすなら、先ずテメーが去勢しろと。
他の神様方がいなかったら犯されてましたね私」
「人間というものを、己の手で弄び、苛んでみたくなったのだろう。強欲、虚栄、憎悪、嫉妬。、簡単に“混沌”に傾く要素を植え付け、
同族同士で相争い、殺しあうように仕向けるだけでは足りなかったのだろうな。
大方、自らの手で、人間共を破滅させ、殺し合わせる楽しみを見出したのだろう」
答える声は男のもの。雪嵐の中を一人行く巡礼者を思わせる、強い意志を宿した瞳が印象的な、銀髪白貌の端正な顔立ちの男だった。
傍に白い貫頭衣を纏った少女を侍らせ、忙しなく手を動かしている。
空気分子の一つ一つに至るまで血が染み込んでいるかのような血臭の中、平然たる声音だった。
それもその筈、男の足元に転がる、元の性別も人数も判別出来ない程に解体された複数の人体だったものを見れば一目同然。
この場に満ちる血臭は、男が撒いたものなのだから。
「ん~-でもソレだったら、大洪水で纏めて殺すなんて事は事は、しやがらないんじゃないんですかね?」
「絶滅させた訳では無いのだろう。その後も人間共に干渉し、弄んのではないのか?」
男の言葉に女はケラケラ笑いながら言葉を返す。
「あ〜〜そう言われれば、アルケイデスさんとか悲惨でしたね〜。カサンドラさんやメディアさんなんて、同じ女として同情しますよ本当。
まあ人間は皆、神様の玩具なんですから、 身を張ってエンタメしたその根性は褒めちぎってやりますが。」
同情すると言っておきながら、浮かべるものは嘲笑。
この有様が、この女が如何なる精神性の持ち主かを如実に物語っていた。
他者の心を理解し、そして共感しない。
他者の苦しみを嗤い、他者の悲しみを愉しむ。そんな腐った性根が透けて見える笑顔だった。
「大方玩具を作り直したかったのだろう。ところで、その猫をどうするのだ」
「ああ…つまり、私が経産婦になったのは、あのオヤジがついカッとなった所為!?ファ◯ク!!!
……コホン。イヤですね御主人様。取って食べるとか思ってやがるんですか?
私の真名(な)に賭けて誓っても良いですが、私は人間以外には優しいんですよ。ホラ、この通り」
男の問いに、女はそう言って、猫をそっと地に降ろす。『ニャア』と、嬉しそうに鳴いた猫が元気に駆け去って行くのを、にこやかに手を振って見送っていた。
「御主人こそ如何するんですかその死体。もしかして切り刻んで繋げて動かすとか?アスクレピオスもビックリさんですよ。それは」
「有り合わせではあるが、死体の優れた部分を繋ぎ合せてみた。肉体の能力を限界まで引き出し、疲労も痛みも感じない。ものの足し程度だが、少しは役にたつだろう」
「そっちの弄ってないのは?」
貫頭衣の少女に首を折られて即死した、スーツ姿の女の死体を指差す
「使い走りだ。我等の姿は目立って仕方がないからな。意思は持たぬが、思考はするし会話もできるぞ」
「ふむ。死体の神経網を使用した自律兵器?まあ御主人方は目立ちますね。確かに」
男と少女の耳に視線を向ける。長く伸びた尖った先端の耳を持つ男と、短く丸いものの、男と同じ形状の耳の少女。
服装も裸体の上に貫頭衣纏っている少女と、黒い獣皮の胴着と籠手を身に付けている男では目立って仕方がないだろう。
「まあ…私は目立ってナンボなんですがね。今は流石に控えるべきでしょうな」
幸い、死人達が持っていた金銭で衣服を賄うことは出来る。
首折れ女の住処を拠点としても良いだろう。
「た………たす……け……………………」
地を這うような声が聞こえた途端、女の表情に険が生じた。
それも束の間、邪悪さに満ちた嘲笑を浮かべた顔を足元に向ける。
そこに声の主はいた。文字通り地を這って、女の元へと、ナメクジの這う速度よりも時間をかけてやってきたのだ。
この男は、此処で惨殺された愚鈍な人間達の最後の一人だった。野良猫を虐待していた所、現れた女に散々煽られ、逆上して追い回している内に、此処へ誘い込まれたのだった。
待ち受けていた男に、逃げられないように両手足を砕かれ、死なない程度に加減された拷問を受け、
他の連れ込まれた者達の身体が人としての原型を留めえぬ程に破壊されるのを見せられ続けた男の精神はすでに限界だった。
今しがた女が、瀕死だった猫を治療したのを見て、最後の希望に縋って這ってきたのだ。
「良いですよ〜。此処まで来れたら、怖い御主人から護ってあげますし、傷も治してあげましょう!」
朗らかな笑顔。同じ笑顔で、他の犠牲者を襲った運命を見物していたことも忘れて、男は緩慢極まりない動作で這っていく。
もう少しで女の爪先に指が触れる─────男が安堵を覚えたその時、女の爪先がわずかに遠のいた。
男の瞳から光が消え、五体がゆっくりと弛緩する
「ほら頑張って、もう少しです!諦めたらそこで試合終了ですよ!!」
心の籠らぬ棒読みの激励。人並みの知能があれば、嘲弄されていると即座に気付く激励。
そんな代物が、男の瞳に光を取り戻させ、再び五体に力を取り戻させると誰が信じようか。
そうして10cm、男にとってはフルマラソンに等しい距離を動いて─────再度女の足が遠のいた。
「……………………………」
女を見上げた男の眼はひどく虚ろだった。
「ファイト!オー!!」
百億の罵倒にも勝る悪意そのものの声援に、男は再度動き出す。
男の気力体力が尽き果て、動かなくなるまで、その行為は続けられた。
「おやおや、動けませんか?もうすぐ痛くなくなるんですから頑張りましょうよ。頑張ってお客様(神様)方を笑わせれば、神様になれるかもしれませんよ!!」
動かなくなった男に女はケラケラと笑いながら話し掛ける。
弱々しく痙攣するだけの男の顔を挟み込む様に、女は手をあてがった。
「仕方ないですね〜。死んだらな〜んにも感じなくなりますからね〜。だから〜生き続けて苦しみ続けましょう!!」
そっと男に口吻する。死にゆく男に対するせめてもの情……などというものはこの女には存在しない。
口づけて数秒、男の体に異変が生じた。
少しずつその身体が縮み、女の口に吸い込まれていっているのだ。
消耗しきった男は僅かな抵抗も見せる事なく、やがてその身体は女の口に吸い込まれた。
「折角だから御主人に私の宝具を見せましょう!!………それにしても残念です。アルケイデスさんみたいに、神様を笑かせ続ければ神様になれたかも知れませんのに。
ああ無理でした……アルケイデスさんの芸歴は生まれた時から死ぬまで……つまり一生っ…………!
この人の芸歴じゃ……到底っ………。
え?アルケイデスって誰?って顔してますね御主人。宜しい!ならば!!お教えしましょう!!!!」
やたらとテンションの高い女だった。
「通名ヘラクレス!!本名アルケイデス!!我がギリシアが誇るだ・い・え・い・ゆ〜〜〜〜〜ッッ!!!!
生まれた時から死ぬ間際まで神様の無茶振りに答え続けた至高の芸人ッッ!
神様達にスリルと笑いとサスペンスと笑いと活劇と笑いと涙と笑いを提供し続けた究極のコメディアンッッ!!
その生涯を費やした芸が神様方に賞され、神様として迎え入れられた史上最高の道化ッッ!
この私ですらあの芸人には一歩を譲りますね。
まあ次点のパリスさんとメディアさんには負けていないと自負しておりますが」
ドヤ顔で腕を組んで胸を張る。両腕に掬い上げられる形になった豊かな乳房が前面にせり出された。凡そ如何なる男でも釘付けになりそうな代物だった。
チラとマスターである男の様子を伺うと、ものの見事に無反応だった。
「自信なくしますね………。まあ、あの芸人の腰帯強奪と自殺に関しては、私が少しばかり細工をしたんですが………はっ!?こんな所で神話的事実がッッ!」
ワザとらしく叫ぶも、マスターの男は何の反応も返さない。呆れているのかも知れなかった。
やや白けた空気を破るべく女が吼える!
「そろそろですね。では…ご覧下さい御主人!!私の宝具!“全ての厄は胎より生ず(ディザスター・ジ・オリジン)!!」
叫ぶと同時に黒い泥が口から吐き出された。
汚怪な水音と共に女の足元に広がった泥が、蠢き出し盛り上がり、グロテスクに歪み捩くれた人型になるのに、かかった時間はきっかり10秒。
不気味に全身を痙攣させるその耳元に。
「辛いですか〜〜?苦しいですか〜〜?楽になる方法は分かりますね?では頑張って下さい!!」
「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️〜〜〜〜!!!
応えるかのように咆哮。苦痛と怨嗟でできた慟哭が、夜の冬木に響き渡った。
人のそれに似ながら、明らかに人とは違う奇怪な動きで人型が去るのを見送っていた女が、やおら振り向いて、解説の長広舌を振るおうとしたその時。
「人を変質させて作った魔物のようなものか?制御が効いている様には見えなかったが」
がくりと項垂れる女。図星だったらしい。
「御主人には敵いませんねぇ。ええ……その通りですよ………。人を獣へと変える我が宝具………。その名も…………」
「名は先程聞いた」
女が更に項垂れる。テンションが塩をかけられたナメクジの様に萎れていく。
「まあ…効果の程ですが……人の自我を悪性で塗り潰して鬼畜と変える宝具です、元に戻すことは出来ません…………。
悪性は個体により違いますが……予め仕込みを行う事で悪性や欲望を此方の望む様に設定出来ます………………。
御覧の様に姿形を変えて特別な能力を付与する事も可能です……………………。
制御はできませんが」
陰々滅々と語る女。先ほどまでのテンションが嘘の様だ。
「そんなシロモノをどうする気だ?」
「…………フッフッフッ…あの獣はいくら調べても私との繋がりは存在しません!!
つまりあれに対して、対策を練ろうとするお人好しが居れば!何食わぬ顔して近付く事ができます!!!!」
復ッ活ッ!した女を、マスターである男は無感情に見つめた。
「え?私の顔はナニ喰ってそう?イヤですね御主人。溜まっているのならば、そう言ってくだされば」
「居なかったら無意味な行為ではないか?」
女の戯言を男はガン無視した。
「ブハハハハハハハハ!!!!」
哄笑。女はマスターの問いに、事もあろうに心底からの笑いで応えたのだった。
「アレはボロ雑巾になった体を治す為、無差別に人を襲い、その肉体(パーツ)を自分に移植し続けますよ。意味ないですけれど!血と!死が!!此の地に撒かれるのですよ!!」
マスターの鼻に自分の鼻がくっつく程に顔を近づけ、女はニンマリと邪悪な笑みを浮かべた。
「御主人の望むことでしょう」
男の顔に亀裂が生じる。否、亀裂ではない。
其れは笑みだった。
深淵へと通じる裂け目を思わせる不気味な英雄だった。
「お前も望んでいるのだろう」
女に劣らぬ邪悪な笑み。これこそが男の本質。邪悪そのものの性状のサーヴァントに相応しい悪虐の性。
「やはり御主人は解っていますね!!私達は互いにベストなパートナーに巡り会えました!!」
女は握り拳を天に突き上げ、高らかに宣言する。
「神代に私が為した偉業に誓って!此の地に悪と災厄を撒きましょう!」
「お前の真名は聞いたが、一体どの様な勲(いさお)で英霊とやらになったのだ?」
女はがくりと項垂れた。
「本当にノリ悪いですね御主人。まあ良いでしょう。これさえ聞けば御主人も私につれない態度は取れませんよ!!」
両手を広げて天を仰ぎ見る。視線の先に在るのは薄汚れた天井だったが。
「神代に世界で一番NGな箱の蓋を開け!此の世に災いと悪を齎した文化英雄!!オリンポスのエージェントにして神々の道化!!!パンドラちゃんとは私の事!!
人間は私に感謝するべきですよ!!!神々が封じていた希望を与えてあげたんですから!!!!」
芝居掛かった大仰な態度が果てしなくウザかった。
「お前がそんなモノを与える様には見えんがな」
「HAHAHA。何を仰います御主人!人は『希望』があるから在りもしない蜃気楼めがけて、「まだだ!!」だの「それでも!」だの吐かして死ぬまで走れるんですよ!!!!
て言うか箱の中に『希望』何て残ってやしませんよ!奴なら蓋開いた刹那に絶望と肩組んで飛んで行きましたよ!!
私が箱に閉じ込めたのは…………なんだと思います?」
邪悪そのものの笑顔で問い掛ける。
「知らん」
「御主人はエンターテイメントの何たるかを知りませんね…………。まあ良いですが。
私が箱に閉じ込めたのは『理解』ですよ。
此奴が無いから人間はどんな状況下でも、無駄に足掻いて苦しむのです。互いを解ることなく疑心暗鬼にかられて殺しあうのです。
まあ、これが有れば、「まだだ!!」も「それでも!」ホザけないんですが。最初にオチが分かりますからね。結果人は胎の中で己が人生を『理解』するでしょうね。
そうなれば、世のほぼ全ての人間は産まれる前に死ぬでしょう。
どうですか?御主人!!スゴイですよね私!!!」
踏ん反り返ってこれ以上は無いであろうドヤ顔を決めるパンドラに、男は変わらぬ無表情を決め込んでいた。
「箱の中に『理解』を残したと言ったな。其れは誤りだ。
お前が世に解き放たなかったものの真の名を今教えてやる」
「ほほう!其れは興味深いですね」
「其れはこの私だ」
「はい!?」
「私こそが最後の災い。地上世界に不和と争乱を引き起こし、陽光に栄える者共に滅びを与えるこの私こそが、最後の災い」
男が右腕を翳す。その腕に嵌められた深緑の猫目石が、丸で意志の輝きを持つかの様に鮮烈な光を放った。
「………っ!?何ですか、御主人…その石は?」
パンドラは己が怯んだのをはっきりと自覚した。アルケイデスと戦った時ですら覚えなかったモノ。それをあの石を見た瞬間に知覚したのだ。
「我が神の眼だ。心せよサーヴァント。我らの振る舞いを、我が神は常に照覧されている。
私に仕えるというのならば、我が神に、全霊を持って神楽を捧げよ。
我が神が宣わった詔、聖典ウィグニアのただ一説。
“殺し、穢し、焼き尽くすべし。陽光に栄える者共に闇の怨嗟を知らしむるべし”。
此の地に集ったマスターとサーヴァントの全てを欺き、謀り、破滅へと導く。一夜のうちに一組でも多く、そしてやがては一つ残らず!!
この地に蔓延い生命の全て、悉く我が手によりて飢えし混沌の喉を潤すもの也!!!
この私!ラゼィル・ラファルガーこそが!陽の加護を受けし者共が最後に知る災いの名と知るが良い!!!」
「あ〜、何かトンデモナイマスターみたいですね貴方」
「私にl不満なら最初の贄となる栄誉を与えてやるぞ」
パンドラは盛大に溜息をついた。
「不満なんてありませんよ御主人。人間も英雄も全ては神様を楽しませるコメディアン。
そのクセこの書き割りの舞台で、自らが端役とも知らずにのさばる阿呆なんですから。
神様が笑い死にするくらいに派手に殺して、連中にコメディアンの本領を発揮させてやりましょう」
共に神命を受けて地上に災いを齎す男女は、此処に主従の盟約を交わしたのだった。
「人間以外を殺すのは気が乗らないんですが」
「許さん」
「そうですよね〜〜。はぁ」
【クラス】
キャスター
【真名】
パンドラ@ギリシャ神話
【身長・体重】
174cm・62kg(人に対しては400kg)
【ステータス】
筋力:E 耐久: E 敏捷:E 魔力:A++ 幸運: B 宝具:EX
【属性】
秩序・悪
【クラススキル】
陣地作成:A
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
神殿の建設が可能。
神々から授かった技術。
道具作成:ー
宝具がこのスキルの役割を果たす為、機能していない。
【保有スキル】
星の開拓者:EX
人類史のターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。
あらゆる難航・難行が、「不可能なまま」「実現可能な出来事」になる。
その時代の記述力では一歩足りない難行を人間力だけで乗り越える、一握りの天才ではなくどこにでもいる人間が持つ『誇り』を燃し尽くす力。
人の世に悪と災厄を齎したキャスターは、このスキルを最高ランクで発揮できる。
貧者の見識:A
相手の性格・属性を見抜く眼力。
言葉による弁明、欺瞞に騙されない。
ヘルメスより贈られた能力。このスキルによりキャスターは対象の理想の女“”を知る。
魅了:A+
優れた容姿と、容姿を最大限に際立たせる立ち居振る舞いで衆人を魅了する。
アフロディーテから贈られた容姿と技能。
貧者の見識と併せる事で効果をより向上させる事が可能。
なお最上ランクの騎乗スキル(意味深〕の効果も併せ持つ。
悪性:EX
ヘルメスより贈られた性質。犬のように恥知らずで狡猾な心。
ランク相応の精神異常と叛骨の相の効果を発揮する。
如何なる地上の権威もキャスターを戒めることはできず、凡ゆる悪行を平然と行う事が出来る。
人間以外には発揮されない。
百姓の母:EX
人祖であるパンドラの権限。
凡そ人の成し得ることでパンドラに出来ない事はない。
肉体を用いる全てのスキルを最高ランクで発揮可能。英雄が独自に所有するスキルも発揮できるがこの場合その英雄のものよりワンランク落ちる。
技能としては神授の智慧というよりも、専科百般の上位互換。
スキル欄に無い技能であっても使用可能で、例え宝具であったとしても肉体に基づくものであるならば使用可能。
但し自らの力に依ることなく後天的に獲得したものは発揮できず、パンドラ自身が神々の道具である為に神性スキルは発揮できない。
尚このスキルは例え半人のものであってもその技能を発揮できるが、“人の母”から産まれたものでなければ、その技能を振るえない。
あくまでも行使できるのは“身体の性質”及び“技術”であって、知識や経験の様な他者の人生そのものというべきものは使用不能。
その為に、肉体がその場その状況に応じて最適な行動を取るという領域には到底至らず、真に技が身に付いているというわけでは無い。
形だけを覚えているだけに過ぎず、技を使用する度に、どの技をどのタイミングで行使するかを考なければならない。
ギリシア神話における人祖であるパンドラは、ギリシアに連なる英雄達の肉体的特性と技術を最初から使用可能。
その他の神話圏の英雄達の技術も、観察した上で理解すれば使用可能。
神の名においてこの役を行う。我に罪無し(キャスト・イン・ザ・ネーム・オブ・ゴッド・トゥー・ミー・ノット・ギルティ):EX
パンドラが神より与えられた、“人に災いを為す”という役割とその役割に対する免罪状。
パンドラは人と人が作り出したものに対して加害行為を行う際、攻撃力と成功判定に大幅に上昇補正が掛かる。
神性持ちに対してはその高さに応じて上昇効果が減衰し、Aランクならば完全に無効化される。
パンドラが“人”に対して行う、ありとあらゆる悪行は決して罪に問われることがない。
“人”を対象とする限り、罪に対して効果を発揮する宝具やスキルの効果はパンドラに対しては発揮されない。
【宝具】
神々の贈り物(パンドーラー)
ランク:EX 種別: 対人宝具 レンジ:ー最大補足:ー
人に災厄をもたらす為に神々がパンドラに贈った能力。アフロディーテから美を、ヘルメスからは犬のように恥知らずで狡猾な心と狡知と弁舌の才を、アテナからは機織りの他家事全般を、
他にもヘカテーから魔術を、アポロンからは音楽と医術と疫病を撒く能力を、ムーサからは歌と踊りを、パーンからは早駆けを、その他の神々からも何かしら授かっている。
中でも特筆すべきはヘパイストスの贈り物で、鍛治神が打ち鍛えた肉体はBランク以下の攻撃を一切寄せ付けず、
Aランク以上であってもBランク分を差し引いたダメージとして計上する。
然し、神々を裏切った時の保険ぬとして神及びその血を引く者及び神造宝具に対してはこの防御効果は無効化されてしまう。
が、その身に帯びた、人に対する神々の呪いにより、ネメアーの獅子と同じ性質を持ち、人の文明を否定する。
この為、半神半人であっても、人の造ったモノをを用いてはダメージを与えられない。
パンドラの肉体は人の道具では傷付かず、人の作りしものは容易く破壊する性質を持つ神造兵器である。
この為食事も水も空気み必要とせず、疲労も感じず毒や病の類も通じない。聖杯戦争においては現界に魔力を必要とせず、宝具以外の魔力消費が半分で済む。
人以外のものにとって、パンドラの肉体は乙女の柔肌と感じられるが、人に連なる者には鋼と認識される。
ステータス欄の筋力及び耐久値は、宝具効果を無効化された時の“素の”値。
この世 全ての悪性(オリジナル・シン)
ランク:EX 種別: 対人宝具 レンジ: 1 最大補足:一人
人の内にある“悪性”を解放する宝具。
発動条件は、胸部若しくは背面の心臓のある位置を正確に抑える事。
悪性を解放された人間はその内にある悪性のままに動く鬼畜と化し、サーヴァントはオルタ化してしまう。
また、対象の肉体を変貌させ、悪性を“黒い泥”として抜き取る事も可能だが、この場合は対象となった者は黒泥になって死ぬ。
黒泥は魔力ソースとして備蓄するほか加工して道具とする事も可能。
人間以外には効果を発揮しない。
キャスターの手で引き抜かれた時に、“”災厄”の概念を帯びた人の悪性そのものの黒泥は、人と人が作り出したものに対して特攻の効果を持つ呪いであり、人の出自のサーヴァントの霊基を冒し蝕む毒である。
全ての厄は胎より生ず(ディザスター・ジ・オリジン)
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ: 0~1 最大補足:一人
人を理性を無くした悪逆の畜生へと変える宝具。
他者の“悪性”を解放するのではなく、丸ごと胎内に取り込んで悪獣へと再構築した上で“産み落とす”。
対象に口づけする事で発動し、3分後に口から吐き出す。本来は“下の口”を使うのだが諸事情により変更。
通常は、元の姿を残したままで、自我をすら塗り潰した欲望に駆られて動く、人の域を遥かに超えた身体能力の持ち主へと変えるだけだが、
予め何らかの欲望を高めておく事で、その欲望を満たす為に適した姿と力を持つ怪物に変貌させる事も可能。
キャスターは、虐待して生存への欲求を高めるか、飢えさせて飢餓を満たす欲望を高めるかした人間にこの宝具を用いる事を好む。
相応に魔力を消費するが。高いステータスを与え、怪力や戦闘続行といった能力を付与する事も出来る。
人間以外には効果を発揮しない。
「人が悪だというなら、人を産み落とす胎こそが悪の根源ですよね」
とや当人の弁。
世界で一番NGな箱(パンドラボックス)
ランク:EX 種別:封印宝具 レンジ: 0~1 最大補足:一人
神代にパンドラが開けた箱。大きさは1m四方高さみ1m。中には本来より大幅に劣化した『理解』を残して何もないが、特筆すべきはその箱そのものの性質。
箱は物理的空間的な制約を一切無視して、箱の口のに触れたものを収納してしまい、一度収納すれば、内側から何をしようと出られない。
神の権能、五つの魔法、対界宝具。ありとあらゆる術を用いても脱出不可能な虚無の空間に吸い込んだものを幽閉する。
“”箱に入れられた時の状態”を維持し続ける性質を持つ為、この中に閉じ込められてしまえば自害することもできず、出されるまでの時を過ごさねばならない。
パンドラはこの箱を、黒泥の保管用に用いている。
本来はプロメテウスが⬛️⬛️⬛️⬛️を封じるために用意したモノ。
【weapon】
投影魔術で作成した武器と自身の身体
【人物背景】
嘗てプロメテウスが人に火を与え、人が文明の構築へと一歩を踏み出した時、人が自らの力に依って生きていくことが可能となった。
この事に激怒した神々は、人に神に縋らねば生きていけぬ様にと、ありとあらゆる災厄を地上に撒いた。
ところがプロメテウスが地上に撒かれた全ての災厄を箱に封じてしまう。
これにより神々は遂に自分達の意を代行する存在を作り、地上へと送る事にした。
最初からそうしなかったのは、バビロニアの神々が同じ事をやって失敗した先例が有った為である。
バビロニアの二つの失敗を鑑み、代行者は生命ではなく道具として設計された。そして神々に対する絶対の服従と、人に対する無限大の悪意を植え付けられ、地上へと送られた。
その使命は人を堕落させて向上させず、人に災いを齎す事で、永劫神に縋り付く存在にする事だった。
地上に降りた『ソレ』は名を持たなかったが、そんな事は意に介さずに行動を開始。プロメテウスから、災厄を封じた箱のありかを聞き出そうとする。
然し、神々が代行者を送り込んでくる事を予測し、かつ『ソレ』の本質を見抜いたプロメテウスは拒絶。
『ソレ』は一旦引き下がり、弟のエピメテウスに聞きにいくと見せかけ、エピメテウスに警告すべく移動しているプロメテウスを奇襲し、半殺しにする。
そしてプロメテウスに凄惨無比な拷問を加えるが、プロメテウスが箱のありかを語らなかった為、山に繋いで鳥の餌にした。
その後エピメテウスを籠絡して箱の在処を知ると、プロメテウスの眼の前まで箱を持っていき、籠絡したエピメテウスに開けさせる。
こうして地上に災厄と悪を解き放った『ソレ』は、プロメテウスの誰何に答えて自身に名をつける。
曰く、「己は神々から人間に対する贈り物(パンドラ)」と。
その後、人はゼウスにより大洪水で一掃され、パンドラはゼウスの命で多くの子を為し人祖となる。
これには理由があり、原初の人は身心共に強く、悪性に染まりにくかった。
更に火を始めとするプロメテウスの齎したものを用いて、団結して自分達の力で災厄に立ち向かい、神々の助力を必要としなかった。
その為ゼウスはパンドラの因子を人に植え付け、怠惰で享楽に耽り、互いを信じず欺き合うようにして、人が自らの力で生きていけぬ様にする事を画策。旧人類を滅ぼしたのである。
パンドラは、己の使命を理解していたが、このゼウスの行動は理解できなかった。
それでも、解らないままに、パンドラは地上を彷徨い、出会った英雄達や訪れた土地に不幸を齎した。
メレアグロスを唆してアタランテにイノシシ討伐の功を譲らせようとさせたり、イアソンがイオルコスの王となって経緯を民に流布したりと多くの英雄の不幸と破滅に関わった。
中でもヘラクレスには二度関わっており、第九の試練ではアマゾネスに扮してヘラクレスを襲い、ヒッポリュテの死因を作った。
これに関しては「ギシアンだけで終わってもつまらないから」という理由らしい。この時のヘラクレスとの戦闘では半殺しにされたのだとか。
二度目はヘラクレスの死であり、本来の姿でヘラクレスに接し、ヘラクレスの妻の悋気を誘い、ヘラクレスを死なせている。
全ては神々に笑いを提供する為。神々は人間が苦しみ破滅する様を、見ることが大好きなのだから。
全ては神様に与えられた使命を果たす為。災厄を撃ち払い、人の心を駆り立てる英雄を破滅させる為、人を堕落させる為。
【方針】
エンジョイ&エキサイティングに皆殺し
【聖杯にかける願い】
取ってから考えよう
【容姿・特徴】
薄い白布を体に巻き付けた金髪碧眼の巨乳美女。
オリンポスのエージェントの自称に恥じず、神話の英雄譚の陰で様々な悲喜劇を引き起こしてきた。
高い演技力により如何なるキャラクターでも演じられるが、素の性格はひたすらにウザい。
人間以外には友愛と誠実を以って接するが、人間には凡そこの世の悪徳の全てを以って接する。
基本的に他人はさん付けで呼ぶが、神を怒らせて誅されたアスクレピオスやベレロポーンは蔑意を込めて呼び捨てる。
これは英雄とは皆全て神を喜ばせる芸人であると認識している為である。
ヘラクレスをアルケイデスと呼ぶのは死後神となったヘラクレスを憚っての事。
神々に対する態度と口は極め付けに悪いが、神の道具であるという己の立場は十分に認識している為、神に逆らうこは決してしない。
己を見るゼウスの欲情に対しても、ゼウスが求めてくれば応じるつもりだった。
【戦闘スタイル】
百姓の母スキルと魔術、自身の肉体及び投影魔術で作り出した武具を用いて戦う。
思考ではなく刹那の閃きを要求される局面は苦手なので、立て直しや不利な時に離脱が容易な中〜遠距離戦を好む。
此の時主に用いるのはヘカテーから授かった魔術とヘラクレスの弓術。
もし接近戦になった場合はポルックスの拳闘術やカストールの剣技、ヘクトールの槍術を用いる。
此処にアポロンから授かった医学の知識と、アステリオスの身体能力加えて効率的な人体破壊を行うことができる。
当人の性質上、ほぼ全ての英雄に対してある程度戦えるが
女神を母に持ち、ケイローンの作った槍とヘパイストスの作った盾を持つアキレウスの様な英雄には必敗する。
【マスター】
ラゼィル・ラファルガー@白貌の伝道師
【能力・技能】
骸操り(コープスハンドラー)
屍に魔力を通し、生前そのままの能力を発揮させる技術。
擬似生命としての性質を持つ武器や骸人形を作り出せる。
武芸
殺戮の技を技芸として嗜み、芸術の域へと昇華させている。
此処に非常に高度な解剖学の技術と知識が加わることにより、効率的に人体を解体し、拷問することが出来る。
魔術
影の中に武器を収納したり、死骸に魔力を充填して動かす外法に精通している。
【weapon】
神の眼
精緻な彫り細工が施された黄金の腕輪の中央に嵌められた深緑の猫目石。
文字通りの“神の眼”であり、異なる宇宙に在る混沌神グルガイアはこの目を通して、ラゼィルの行う殺戮を見る。
龍骸装
ラゼィルが手ずから仕留めた、白銀龍の骸を解体して加工した一群の武器。ラゼィルの屠龍の勲の証。
鋼すら断ち切る威力を、ラゼィルの施した魔力が更に向上させている。
凍月(いてづき)
龍の第六肋骨を削りだした一体成形型の曲刀。
刀身には"鋭化""硬化"の術が施され、状況に応じて“”震壊""重剛""柔靱"の状況に応じた魔力付与を発動させることが可能。
群鮫(むらさめ)
白銀龍の角を穂に、大腿骨を柄に使った短槍。
刃に“硬化”の二重掛け。更に切っ先への衝撃で“重剛”の魔力付加が発動し、運動エネルギーを倍化させるため、直撃した際の威力は絶大。
使い手の意思に感応して重心配分が変動し、投擲において絶妙な精度を誇る。
凶蛟(まがみずち)
白銀龍の下顎の骨に、四五枚の鱗を髭で結わえつけた鎖分銅。
全長二十フィート余りだが、連結部に“柔靭”が掛かっている為、状況に応じて自在に収縮する。
全ての部品に“鋭化”が、顎骨には重ねて“重剛”の術が施されている。
尾端に凍月を連結する事で鎖鎌としても使用可能。
手裏剣
龍の鱗から作成したもの。柳葉状の刃はどこに触れても鮮血を噴く。
胴着と籠手
鬣を編み上げて作成したもの、籠手がないと龍骸装備は扱えたものではない。
凄煉(せいれん)
最強の龍骸装。白銀龍の肺胞を用いたものだが、これには一切の魔力付与をしていない。
取り出すと同時に吸気を始め、100秒後に龍の吐息(ドラゴンブレス)を吐き出す。
超高温を帯びた瘴気の息吹は、金属すら溶解させ、直撃せずとも致死の毒性で骨が腐り地が枯れる。
いずれも鮮血を滋養として代謝し、自己再生能力を持つ。
祭具として聖性が付加されており、これらの凶器による犠牲者はの魂は、全て混沌神グルガイアの贄となる。
龍骸装は、使わないときは、影に変えてラゼィルの服の袖の中に収納されている。
操躯兵
男はバイラリン、女はバイラリナと呼称される。
ラゼィルの充填した魔力によって動く。概念としてはゴーレムが近い。
肉体の神経網をそのまま活用し、生前の思考能力と身に付いた技術をそのままに、自我、欲望、感情が欠落した、主人に絶対服従する使い魔。
痛みも疲労もを感じなくなり、肉体の限界まで筋肉を行使することが出来、酷使により傷ついた筋繊維は充填された魔力によって即座に治る。
複数の死体を組み合わせて作成することも可能。
戦闘用のものは“嘆きの鉈”と呼ばれる超重量の武具をラゼィルから渡される。
現在持っているのはハーフエルフの少女を素体にした“バイラリナ”
その性質上内臓が不要な為、臓器を全て取り出して腹の中にものを入れる事が可能。
祭具として聖性が付加されており、これらの凶器による犠牲者はの魂は、全て混沌神グルガイアの贄となる。
ラゼィルは操躯兵をゾンビだのネクロマンシーだの言われるとキレる。
夜鬼の置き土産
極めて特殊な揮発物。訓練されたダークエルフのみが、その匂いを数マイル先からでも嗅ぎわけることが出来る。
白貌
エルフの血と骨粉で作った白粉。水にも強いがエルフの血には弱い。
【人物背景】
ダークエルフの英雄。その武練、その信仰心は地下世界アビサリオンに並ぶものなく、屠龍の勲は、母が子に寝物語として聞かせるほど。
その功を以って筆頭祀将にまでなった真性の英雄。
ある時、同族同士で争うだけで、聖典ウィグニアのただ一説。“殺し、穢し、焼き尽くすべし。陽光に栄える者共に闇の怨嗟を知らしむるべし”。
この教えを忘れ、地上世界への侵攻を忘れて只相争う同族を見限り、神像の右目を抉り取って地上へと出奔する。
その後は地上を彷徨い、人やエルフの集落をいくつも滅ぼし、死と滅びを神像から抉り取った右目に見せ続けてきた。
後世に“白貌の伝道師”という邪悪な伝説となって語られることになる。
【方針】
“殺し、穢し、焼き尽くすべし。陽光に栄える者共に闇の怨嗟を知らしむるべし”。
【聖杯にかける願い】
取ってから考える
【参戦時期】
原作終了後
【星座のカード】
山羊座
【備考】
相性最高に思えるが、人間に対するスタンスが皆殺しのラゼィルに対し、適度に間引いて虐待というパンドラなので、根本的にソリが合わない。
尤も、人類の総数に比べれば冬木の人口など高が知れているので、冬木から人を絶やす程度では反目は起きないだろうが。
最終更新:2017年08月12日 13:17