――月が、背筋の凍る程鮮烈な紅を湛えた銀盤の満月が、まるで何かの瞳のように空へと浮かんでいる。

 その凄絶なる君臨に合わせるように、世界は一面の夜闇へと染め上げられていた。死体の臓物を思わせる、精神さえ蝕むような悪臭の立ち込めた此処は正しく死骸の森。夜の魔物だけが生きる事を許された世界だからこそ、この夜で人間が生存する事は不可能だ。領域に入った者は総て、夜を統べる主によって吸い尽くされるしかない。
 屍鬼のように這い回るゼリー状の粘塊は、人体から搾り出し、その上で何百年も放置したような血と臓物。脳味噌が溶けそうな程の凄まじい臭気を放つそれが、当たり前のように其処ら中に存在している。この腐り果てた血の海で、神秘を持たない者が真っ当に呼吸していたなら、ほんの数秒で精神崩壊を引き起こしている事だろう。

 ――死の荊棘が割れ開き、中から白貌の鬼が現れる。

 それと共に戦場の上、下、左右、あらゆる地点から一気に出現した杭、杭、杭。触れた者全てを吸い殺す血色の杭は、夜を支配する魔徒の牙であり、爪だ。
 此処は彼の胃、腹の中。何処からでも無尽蔵に出現する杭の数を数えるのは、どんなに優れた数学者でも不可能に違いない。数え切る前に命が尽きるのだから、誰にも薔薇の総数を推し量る事は出来ない。十本、百本、千本、否々まだだ。万を超えて尚衰える事なく生い茂る、悪夢の荊棘――嘗て人はこの地獄を、薔薇の夜と呼んだ。

 まさに、悪い夢だ。それ以外、どう形容すればいいのか全く解らない。
 絶望の中で全身を穿たれながら、哀れな騎士は磔刑に処された罪人宛ら、絶望に満ちた瞳で白き鬼を見た。
 全身から大小様々の杭が突き出して輪郭は歪み、その有様は槍衾にも等しい。攻防一体、あらゆる敵を寄せ付けない鎧。
 白が黒に、黒が赤に置き換わった瞳は正当な英雄のそれでは有り得ず、また、彼が身に付けている腕章に刻まれた鉤十字の紋章が、彼の出自が何処で有るかを物語っていた。
 そうだ。己は、この反英雄を知っている。人類の負の歴史・第三帝国の象徴を纏った魔人達の名を知っている。

 彼らは魂を喰らって生きる最新の神秘。
 総数十三にして、世界を相手取って尚余る戦力を保有する人類の敵。
 超常の理を知らぬ人間や兵器では到底太刀打ち出来ない、黒円卓の加護を帯びたる者達。

 ――聖槍十三騎士団。

 その名を譫言のように呟いたのが、騎士のサーヴァントの最期だった。精微な顔面を押し潰して薔薇の杭が脳髄までも一息に貫通、血の一滴から魔力の一片まで余す所なく吸い上げられていく。捧げた誓いも、輝かしい誉れも、夢に見た未来も、彼女には何一つ許されない。一つ残さず、魂を喰らう魔人によって吸い尽くされる。
 最期に彼女が見たのは、口許を引き裂くように歪めて嗤う、白貌の鬼の威容であった。
 串刺し公(カズィクル・ベイ)――そんな言葉を連想させる悍ましい景色を最期に、全ての希望は魔人の腹へと収まった。





  ◆  ◆



「――うえ、まっず」

 白目を剥いてガクガクと痙攣する、敵サーヴァントのマスター"だった"少年の首筋に突き刺した牙を抜いて、渋い顔でそう毒づいたのは金髪の少女だった。髪型はツインテールで顔立ちも気は強そうだが愛らしい。少女期の長所と言う物をとにかく軒並み持ち合わせた、そんな娘だ。服装はとにかく薄く、またこの年頃にしては露出が多い。誰が見ても一目で、余り素行の良くない人物だと言う事が解るだろう。
 だが、そんな事はこの状況を前にしては瑣末以下だ。人の首に牙を突き立て、血を吸い上げる。誰もが吸血鬼の伝承を連想する酸鼻極まる光景を作り上げた張本人の少女は、然しほんの一欠片の呵責も抱いていない様子で血の味に文句を言っている有様だ。血を吸い尽くされた少年はすっかり見る影もない無惨な姿と成り果て、未だ痙攣を繰り返している。

「聖杯に選ばれたマスターなんて言うから少し期待したんだけど、NPCよりよっぽどまっずい血してんじゃない」

 ペッ、と変わり果てた少年の頭に彼の血が混じった朱い唾を吐き捨て、少女は空を見上げた。正しくは、其処に爛々と輝く銀盤の満月を見据えた。此処での戦いが始まる前に時刻を確認したが、その時はまだ昼の三時すら過ぎていない真っ昼間だった筈だ。にも関わらず、今はこうして深く、悍ましい薔薇の夜が世界を満たしている。
 これがサーヴァントの宝具によって創り出された景色である事は、聖杯戦争に関する知識を持つ人物であれば一目で理解出来よう。厳密には固有結界とは異なるが、性質としては限りなくそれに近い。違う所が有るとすれば外部からの侵入が可能な事程度。本来は欠陥である筈のそれは、されどこの暗夜を前にしては大した弱みとは成り得ない。薔薇の夜は、踏み入った者の総てを平等に冒す呪いの暗黒であり――たった一人の超越者を無敵の不死鳥に変える為に創造された異界であるのだから。
 踏み入る者が有ったならば、それも含めて亡ぶのみ。弱者ならば何もせずとも吸い殺され、強者とて夜を支配する白貌の鬼に喰らわれるのみだ。持つ者と持たざる者の違いが、これでもかと浮き彫りになる異界。故にケイトリン・ワインハウスは、この薔薇の夜を好んでいた。

 踏み入る者、全てを吸い殺す薔薇の夜。
 その吸精に射程距離の概念は存在せず、"彼"の匙加減で特定の誰かに吸精を集中させる事も出来る。
 そして、其処に例外はない。踏み入った者を襲うのは圧倒的な虚脱感。まともな人間なら立つ事はおろか、呼吸する事さえ碌に出来なくなる程だ。だと言うのに、ケイトリンには特に弱った様子は見られない。では、それは何故か。答えは、先程彼女が敢行した吸血行為。それが全ての回答として機能する。

 ――ケイトリン・ワインハウスは吸血鬼(ヴァンパイア)だ。
 彼女の同属達は自らの事を縛血者(ブラインド)と称するが、ケイトリンはその呼び名を嫌っている。さる高名な藍血貴から洗礼を受け吸血鬼と成った彼女は今、人間の物とは全く別種の域に強化された肉体を得ていた。心の鼓動はなく、体温もなく、呼吸さえしない。身体能力も、総じて人外の領域まで高められている。
 無論、スペックが向上したから吸精に耐えられていると言うのも有る。だが最も重要なのは、ケイトリンが吸血鬼だと言う事だ。逸話や因果と言う概念は、時に聖杯戦争では単なる符号以上の意味を持つ。そう、この夜は吸血鬼の世界。夜に無敵になる吸血鬼が支配する、鮮血の創造なのだ。

「相変わらず悪食だなァオイ。こんなカス共吸って、一体何の足しになるってんだよ」
「私だって、出来たらもっと上等なのを吸いたいけどね。それはそうと、もう片付けてきたの? ランサー」

 ケイトリンに吸血され、無惨な姿になって地を転がっていた元・マスターの少年の頭蓋が、熟れた西瓜のように鮮烈な赤を撒き散らしながら砕け散った。敵であり、魔術師であったとはいえ、まだ年端も行かない子供の頭を踏み潰しておきながら、現れた魔人――ランサーのサーヴァントたるその白貌鬼には何の感慨も見られない。
 只、路傍に邪魔な塵が転がっていたから蹴飛ばした。彼にとっては真実、その程度の意味しか持たない行動だった。そもそも、人を殺す事に躊躇いを感じられる程まともだったなら、彼はそもそもサーヴァントにすら成っていなかったろう。
 彼は殺戮者であり虐殺者だ。捻れ、狂った思想を基に人の魂を貪り喰らって生きる魔徒。正真の英雄では有り得ない、"反英雄"に部類されるサーヴァント。

「ハ、見りゃ分かんだろうが。誉れも高き女騎士様の魂は、今やめでたく俺の腹ン中だ」
「きゃはははっ、そりゃまた傑作ね。あれだけ誓いが何だ未来が何だ吠えてた癖して、蓋を開ければこの程度って。私だったら恥ずかしくて、もう二度と英雄なんか名乗れないわ」

 彼の宝具、『死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルド)』は、自身をとある存在に変容させる効力を持つ。それが――吸血鬼だ。ケイトリンのそれとはまたタイプの違う、夜の支配者。だがその力とその規模は、ケイトリンが知るどの同属よりも強い。世界が強引に夜で塗り替えられていく光景を初めて見た時の衝撃は、今もはっきりと覚えている。聖杯は随分自分好みの超越者を宛てがってくれたものだと、感心すらした程だ。
 薔薇の夜は吸血鬼の世界。陽の光を不要と断じた串刺し公が統べる血塗れの領土。
 それだけに同じ吸血鬼であり、おまけに彼のマスターでもあるケイトリンは、この薔薇の夜から受ける影響が極めて少ないのだった。どちらか一つでも欠けていたなら、サーヴァントではない彼女がこの異界を快適に思う事はなかったろう。種族の一致と巡り合わせの良さが、ケイトリンに至福を齎したのだ。

「にしてもこれで五組目か、殺した主従。後どのくらいなのかしら、本戦まで」

 五組。それだけの主従を、これまでにケイトリン達は屠っている。
 これだけでも結構な数だが、まだ本戦とやらが開幕する気配はない。
 流石に開幕は目の前まで迫っているか、それともまだその時が来るには遠いのか。
 ケイトリンは、それ程気の長い方ではない。出来ることなら早く本戦が始まって欲しいと、常々そう思っていた。
 彼女に、聖杯戦争を止めるなんて考えはほんの僅かたりとも存在しない。此処までの戦いの中で、そういう事を宣う連中も何人か見てきた。彼らは皆一様に耳触りの良いご立派な言葉を並べて、ケイトリンに戦いをやめるよう訴えかけた。その後其奴らがどうなったのかは、御察しの通りだ。確かな希望を胸に差し伸べた手は吸血鬼達に引き千切られ、マスター共々身も心も蹂躙され尽くして力なき理想主義者共は朽ちていった。
 今しがた、彼女達が殺した騎士と少年も、そういう手合いだった。聖杯で叶える願いに価値はないだとか何とか言っていたが、結果はこの様である。何とも滑稽な幕切れだと、ケイトリンは心底そう思う。その手の妄言には聞く度うんざりさせられるだけに、彼らの末路は皆一様に気分爽快の一言に尽きた。

「本当下らないわよねこいつら。聖杯で願い叶えるのは間違いだー、とか聖杯戦争はおかしいー、とか、口開けば似たような台詞ばっかり。知らないっての」

 ――聖杯に頼って願いを叶えるのは、その願いの価値を下げる。
 ――無用な犠牲を出す聖杯戦争は間違っているから、止めるべきだ。
 ――どちらも、下らない。正しかろうが正しくなかろうが、それで聖杯を諦める理由にはならないだろうに。

 ケイトリン・ワインハウスは聖杯を求めている。別に、聖杯でなければ叶えられないような大層な悲願を持っている訳ではない。それどころか、聖杯を手に入れてからどういう風に使うかさえ未だ結論が出ていない有様。それでもケイトリンは、聖杯を狙うと言う自身のスタンスを改めるつもりは微塵もなかった。
 ケイトリンに言わせれば、願い事がないだの何だのと言って聖杯を狙わない連中など総じて腑抜けだ。聖杯等と言う桁違いの強大な力を秘めた財宝を手に入れられさえすれば、全てが思うがままなのに。願いの叶え方なんて幾らでもある。上手く使えば、一つの願いで幾つもの欲望を満たす事も出来る。聖杯には、まさに無限の可能性が待っているのだ。これを狙わないなんて、知的生命体として不能も良いところだろうとケイトリンは思う。

「劣等の囀りなんぞに一々耳を貸す程馬鹿らしい事もねえ。どんな阿呆だろうが、殺しちまえば一緒だ」
「言えてる。それじゃ行きましょっか、ランサー」

 殺せば一緒、実に分かり易い響きだ。
 マスターだとかサーヴァントだとか、そんな事は関係ない。
 重要なのは、この冬木――もとい混沌の月において、プログラムではない確たる自我を持つ存在は全て敵だと言う事。
 それなら話は簡単だ。蹴落とし、潰し、吸い殺し、黄金の塔とやらが出現するまでそれを続けよう。命を懸けた殺し合いの最中だと言うのに、ケイトリンの心は"洗礼"を受けた当初のように舞い上がって止まらない。彼女は、心からこの戦いを楽しんでいた。聖杯を手に入れると言う結末まで含めて、誰よりも聖杯戦争を満喫していた。

“そういえば、こいつは――”

 ケイトリンにとって、ランサーはまさしく理想のサーヴァントだった。強く、悍ましく、どこまでも強大な超越者。
 だが一つだけ、気に入らない事が有った。あれは召喚に成功してすぐ、最初の獲物を屠った直後の事だったろうか。ケイトリンが聖杯に託す願いを訊いた時、彼は一瞬とて迷わずに即答した。聖杯は献上する、と。
 ランサーは、ケイトリンの知らない"誰か"に忠を誓っているという。故に、己の手で願望器を使用するつもりは皆無。舞い降りた聖杯を持ち帰り、その"誰か"に献上する事こそが、彼の最終的な目的なのだ。それを聞いた時にケイトリンが抱いたのは、確かな失望と落胆、そして微かな興味。思うがままに殺し、君臨する超越者――そんなこいつでも、何かに従属してしまうのか。それは一体、どれ程の恐るべき存在だと言うのか。

 とはいえ、ランサーが自分の性に合ったサーヴァントな事は変わらない。今後もケイトリンはこれまで通り、聖杯を目指して立ち塞ぐ敵を蹴散らし続ける事だろう。刹那の快楽とスリルを何処までも希求する少女にとって、聖杯戦争と言う儀式は、己の欲求を心行くまで満たせる遊戯場に他ならなかった。


  ◆  ◆


 聖槍十三騎士団黒円卓第四位――ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイ。
 それが、血染の薔薇を司る白貌の魔人の真名であった。彼は串刺し公。黄金の爪牙にして、水銀に呪われた戦闘狂。

“典型的な調子に乗った餓鬼だが、筋自体は悪くねえ”

 百年に近い年月を生きる正真の魔人であり、これまで数千もの命を喰らってきた超越者である彼に言わせれば、ケイトリン等は若造も良い所だ。人間を少し逸脱しただけで舞い上がり、自分は特別な存在だと過信している半端者。この手の輩は、はっきり言って見飽きている。
 だがそれでも、ケイトリンには"素養"が有った。力も精神も未だ弱小も良い所だが、彼女は凡百の有象無象共とは一線を画す輝きを持っていた。ヴィルヘルムは、こういう女は嫌いではない。もう少し脂が乗らなければ食い甲斐は無いが、これから血の道を敷く仮初の相方としては及第点だ。
 尤も、彼はケイトリンの事を只の一度として主と思った試しはない。そしてそんな日はこれから聖杯戦争がどれだけ続くにしろ、永遠に来ないと断言出来る。
 ヴィルヘルム・エーレンブルグ。貧民街より生まれ落ちた白貌の殺人鬼。人の子として生まれ落ちておきながら、人の身のまま人間の枠組みから外れた魔人。その彼が平伏した存在は、彼の長い生涯の中でたった一人だけだ。――黄金の獣。聖槍十三騎士団黒円卓第一位。愛すべからざる光。破壊の君。ラインハルト・ハイドリヒと言う至高の存在以外に、ヴィルヘルムは決して忠誠等捧げない。

 彼は殺すだろう、全ての命を。
 彼は潰すだろう、全ての願いを。
 命が終わり、世界が切り替わっても、生き続けるだろう。

 その霊基に、僅かな空白の空間を抱えながら。
 恐るべきカズィクル・ベイは――聖杯戦争を蹂躙する。


【クラス】
ランサー

【真名】
ヴィルヘルム・エーレンブルグ@Dies irae、Dies irae-Interview with Kaziklu Bey-

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C+ 幸運E 宝具B+

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
エイヴィヒカイト:A
 永劫破壊。人知を超えた聖遺物を人の手で取り扱う為の魔術。
 聖槍十三騎士団第十三位・副首領、カール・エルンスト・クラフトが編み出した術理。
 聖遺物を核とし、其処へ殺した人間の魂を注ぐ事で、ランサーの各種能力は魔人の領域に到達している。
 これまで回収してきた数千の魂により、ランサーは常時強固な霊的装甲を纏っており、最大効率で使用しても一撃一殺が限度である対人武器では彼に傷を与えられない。サーヴァントの宝具による攻撃以外、全ての攻撃を彼は自動的にシャットアウトする。
 また仮に肉体が損傷・欠損しても、溜め込んだ魂を糧に瞬時に再生する事が可能である。

心眼(偽):B
 直感・第六感による危険回避。
 獣の如き嗅覚と鋭さを以って、敵手の攻撃を回避する。

水銀の呪い:A
 "串刺し公"の魔名と共に授けられた、"望んだ相手を必ず取り逃がす"と言う呪いの言葉。
 彼が執着すればする程、その相手は様々な要因によって彼の下から遠ざかっていく。

欠落の白:-
 このスキルにランクは存在しない。
 これは彼に何も齎さず、当のランサーをして認識すらしていないその魂の空白。
 彼が自ら自身の空白に、欠落に気付く事は決してない。
 嘗て光の中に召された天使への愛は、完全に彼の中から消滅している。

【宝具】

『闇の賜物(クリフォト・バチカル)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:1
 聖遺物。"串刺公(カズィクル・ベイ)"の異名を持つワラキア領主、ヴラド三世の結晶化した血液を素体としている。
 活動位階時には不可視の杭を、形成時には血液にも似た赤黒い色の杭をその全身から発生させて敵手を鏖殺する。
 この杭は突き刺した対象の魂と血を吸収し、聖遺物の所有者であるランサーに還元する効力を持つ。
 形成時の杭による攻撃は因果の域にまで影響を及ぼしており、極限域の幸運でもない限り、一発として回避する事は叶わない。故に彼の死杭から生き延びる為には、同じ超常の理を纏う存在でなければならない。
 応用の幅は広く、単純に近接武器としたり攻防一体の槍衾として活用したり、更には移動力の強化など、様々な用途で使用する事が可能。

『死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルド)』
ランク:B+ 種別:対軍宝具・疑似固有結界 レンジ:1~99 最大補足:1000
 "夜に無敵となる吸血鬼になりたい"と言う、彼の抱いた渇望を基に発現した創造位階が宝具化した物。
 解放と同時に周囲の空間を夜に染め上げ、彼が支配する覇道領域――"薔薇の夜"と称される世界で塗り潰す。
 昼夜の概念は関係ないものの、夜時間帯に重ねがけした方が宝具の威力は格段に上昇する。
 彼以外の内部に居る人間・サーヴァントは例外なく生命力を始めとしたあらゆる力を吸い取られ、その分だけ空間の主であるランサーの能力が強化される。『闇の賜物』による死杭の出現も結界内の任意の地点から自在に行う事が出来、強化・敵の弱化・攻撃範囲と全ての面を完全にカバーした凄まじい性能の結界で、その性質上、結界内での戦いが長引けば長引く程ランサーは有利になっていく。
 但し、宝具の解放と同時にランサーは吸血鬼の弱点をそのまま背負い込んでしまう。この為彼が結界を展開している間は、神秘を持たない一般人でも彼を殺害出来る可能性が生じてくる。また夜に取り込める容量には限りがあり、一般人程度ならいざ知らず、神秘存在であるサーヴァントを何体も取り込むと許容量の限界を迎え、彼自身に負荷が掛かる。

『始まりの禍津花(キッス・イン・ザ・ダーク)』
 ランク:B++ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1(自身のみ)
 第一宝具『闇の賜物』の化身。彼の内界の最深部に存在する禍々しき少女。
 真名、ヘルガ・エーレンブルグ。歪んだ愛情に狂乱した、忌まわしき始まりの女。
 彼女との同調率が強まれば強まる程、前述の二宝具の性能と威力は天井知らずに上昇していく。
 もし仮に全開の性能でそれを解放する事が出来たなら、『死森の薔薇騎士』の威力はA++ランクの宝具にも匹敵する。
 尤も、その為には――

【weapon】

【人物背景】
 聖槍十三騎士団第四位、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイ。白髪白面のアルビノの男。
 夜の間には感覚が鋭敏になるという吸血鬼じみた体質を持ち、それを自らのアイデンティティとしている。
 戦闘と殺戮に目が無い戦闘狂にして殺人狂であるが、本人は一方的な戦いより歯応えの有る相手との戦いを好み、強者であれば人種や男女の別なく彼なりの敬意を払う。
 元は貧民街出身。父とその娘にして実の姉であるヘルガ・エーレンブルグの間の近親相姦で生まれた子。
 この出自が"畜生腹"として純血主義など彼の人格に大きな影響を与えており、"自分の血が汚れているなら取り替えればいい"と言う考えから自傷癖とも言えるほどに自分の血を流すことを躊躇わない。軈て成長した彼は"始まりを終わらせなければ新しい自分になれない"として父母を殺害し自宅に火をつけ、それ以後は暴力で夜の街を生き抜いていく。
 本作の彼は香澄ルート後の彼を想定している。

 ヴィルヘルム・エーレンブルグはその生涯に二つの光を見た。
 一つは、愛すべからざる光。悪魔の如き男。絶対の覇者――黄金の獣。
 そして、眩しく暖かな聖光の女――白夜の中で微笑む■■を、見た。

【サーヴァントとしての願い】
 ハイドリヒ卿に聖杯を捧げる。


【マスター】
 ケイトリン・ワインハウス@Vermilion-Bind of Blood-

【マスターとしての願い】
 聖杯入手。使い道は考え中だが、手に入れる事は変わらない。

【Weapon】

【能力・技能】

縛血者(ブラインド)
 所謂、吸血鬼。
 永遠の寿命と高い身体能力、そして不死性を持ち、忌呪と言う弱点と後述の超常能力を所有する。
 心臓は脈動せず、体温はなく、呼吸もしない。睡眠を取る必要は有り、睡眠中は完全な無防備状態となってしまう。
 生命活動の全てを体内に蓄えた血の消費で賄えるが、縛血者自身は血を生成出来ない為、吸血行為によって血液量を維持する必要がある。
 また人間を魅了する効果を持つ、特殊な視線を放つ事も可能。

蝙翔狂舞(ライヴ・ガールズ)
 夜の住人としての洗礼を受けた際に、忌呪一つにつき一つ備わる"賜力(ギフト)"と呼ばれる超常能力。
 肉体を群生化し、吸血蝙蝠の一団へ化ける賜力。触れば吸われ、噛み千切られては餌へと変わる暴食の森。肉体の一部だけを蝙蝠に変化させる事も可能。
 物理攻撃を避ける事には特に優れているが、殺傷能力自体は然程高くない。

【人物背景】
 "洗礼"により、人間を逸脱した少女。
 性格は非常に活発で享楽的。目先のスリルや刹那的快楽をひたすらに探求する。
 戦闘経験は浅く縛血者となってからも日が浅いが、ある種カリスマ性のような物を持ち、それは特に反社会的な人物や荒くれ者に対して良く作用する。 

【方針】
 聖杯狙い

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最終更新:2017年03月24日 16:21