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About SVX? - (2006/10/30 (月) 01:35:38) の編集履歴(バックアップ)


About SVX?

自動車メーカー富士重工業スバルブランドより1991年から1996まで販売された2ドアクーペです。
サブネームであるアルシオーネとはプレアデス星団(和名:すばる)に属する星のひとつアルキオネを英語読みしたもの。
星団内では一番明るく輝いており、スバル車におけるフラッグシップを意味するものです。
SVXとは【Subaru Vehicle X】の略で
1990年代における新しいグランドツアラーを提唱する意味で未知数を表す【X】を組み合わせています。

キャッチコピーは-500miles a day-
1日に500マイル(約800km)を高速で快適に走破できる究極のグランドツアラーを標榜し、
国内では「スバル アルシオーネSVX」として5951台を販売しました。
国外では「SUBARU SVX」としてメインマーケットである米国で14,257台
欧州やアジアでは約4000台販売されたようです。
2006年現在、国内で現存する個体数は1000~2000台と言われています。

SVXには3つの大きな特徴があります。
ジウジアーロデザイン
その流麗なスタイリングはイタリア人の世界的工業デザイナーである
ジョルジュエット・ジウジアーロ氏が代表を務めるイタルデザイン社のものです。
氏はデザインスケッチのみならず開発が進められていた群馬県太田市を2度訪れ
自ら1/1クレイモデルの手直しを行ったそうです。
グラスエリアが広く三次曲面ガラスを多用したその個性的なデザインは見る者を魅了しますが、
決して見た目のデザインに終わることなく大人4名が違和感無く乗車できる実用的な面も持ち合わせていたのです。
さらに空力性能も優れておりミッドフレームの採用と徹底したフラッシュサーフェース化により
CD値は当時の国産車最高である0.29を実現しました。
美しいフォルムと居住性を高次元で両立させる手法はシウジアーロデザインの真骨頂とも言えます。
余談ですがデザインは富士重工からの発注ではなくイタルデザイン側からの売り込みであったとか…
そのフォルムと居住性は氏がデザインし1981年に登場したいすゞの名車初代ピアッツアに通じるものがあります。
時折、SVXが初代ピアッツアの事実上の後継車と言われるのはそのためなのです。
水平対向6気筒エンジン
エンジンは水平対向6気筒DOHC3300ccのものをオールアルミ製で新開発しました。
当時輸出用としてラインアップされていたレガシィ用の水平対向4気筒SOHC2200ccエンジンに
2気筒を追加してツインカム化したものです。
最高出力240PS/6000rpm・最大トルク31.5kg-m/4800rpmは当時としては控えめな性能でした。
なぜなら平成元年に登場した4代目フェアレディZの登場を皮切りに
280馬力のスポーツカーをフラッグシップに据えるメーカーが多かったからなのですが、
SVXは究極のグランドツアラーにふさわしい自然なパワー感を得るためにNA(自然吸気)を選択しました。
その自然で滑らかなフィーリングはシルキーシックスを謳うBMW直列6気筒エンジンに匹敵すると言われ、
これらを上回るエンジンは理論上V型12気筒エンジンだけです。
また、現在のスバル車におけるフラッグシップはレガシィシリーズの上位グレードである3.0Rですが、
その排気量は3000ccに留まっており下位グレードには4気筒車もラインアップしていることから、
絶版となった今でもSVXがスバルのフラッグシップカーであると考えている人は多いようです。
フルタイム4WD
駆動系はスバルのお家芸であるフルタイム4WDで新開発のVTD-4WDシステムを採用しています。
それは4WD車としての長所である操縦安定性はそのままに、
欠点であるハンドリングの違和感を解消しFR車のような素直なハンドリングを実現した革新的なシステムでした。
トルク配分を通常時(前輪36.4:後輪63.6)から走行状態に応じて(前輪50:後輪50)まで可変制御することで
全天候型グランドツアラーにふさわしい駆動性能を得ることができました。
このシステムは後にレガシィ・インプレッサフォレスターの上位グレードへ採用され
スバル車の性能向上に大きく貢献することになりました。
ちなみに遡る事2年前の平成元年8月に登場した名車日産スカイラインGT-Rでは
やはり新開発の4WDシステムであるアテーサE-TSを採用していますが、
そのメカニズムは酷似しており通常時のトルク配分が異なる(GT-Rは前輪0:後輪100)のみです。
これは当時提携関係にあった富士重工との人事交流によってもたらされた産物であると言われています。