【海と猫】
作:荒ポン(PL:荒ポン)
芥辺境藩国藩士である荒ポンは、現在海に居た。
何も悲しいことがあったわけではない。
単純に、藩国から缶詰の材料と採るために漁を命じられたのだ。
どうやら食糧生産に力を入れているらしいのだが、難しい話は省く。
とにかく、そんなわけで、小型の地引網を引いていた。
「わっしょいわっしょい!(えーいくそ冗談じゃない!」
周りには自分ただ独り・・・。
「わっしょいわっしょい!!(重い、これ重いって!」
一緒に地引網を引いてくれる仲間は居なかった・・・。
それというのも、荒ポンは劉輝藩国が消滅してからこの藩国に来た、新入りであったからだ。
もちろん知り合いはほとんど居ない。
というわけで、寂しく地引網を引いていたのだ。
「はあ・・・あの頃は良かったなあ・・・って、思い出にふけっている場合じゃない!
さっさと運ばないと」
とりあえず引き上げた魚を網ごと荷台に積む。
運ぶのは缶詰生産工場・・・ちなみにここから1kmも先である。
「・・・うん、お国のため、拾ってくれた藩王様のためっと」
悩んでも文句を言っても仕方ない、やれることをやるだけだ。
自分の信条を思い出しながら、荒ポンは荷車を引っ張り発進した。
何も悲しいことがあったわけではない。
単純に、藩国から缶詰の材料と採るために漁を命じられたのだ。
どうやら食糧生産に力を入れているらしいのだが、難しい話は省く。
とにかく、そんなわけで、小型の地引網を引いていた。
「わっしょいわっしょい!(えーいくそ冗談じゃない!」
周りには自分ただ独り・・・。
「わっしょいわっしょい!!(重い、これ重いって!」
一緒に地引網を引いてくれる仲間は居なかった・・・。
それというのも、荒ポンは劉輝藩国が消滅してからこの藩国に来た、新入りであったからだ。
もちろん知り合いはほとんど居ない。
というわけで、寂しく地引網を引いていたのだ。
「はあ・・・あの頃は良かったなあ・・・って、思い出にふけっている場合じゃない!
さっさと運ばないと」
とりあえず引き上げた魚を網ごと荷台に積む。
運ぶのは缶詰生産工場・・・ちなみにここから1kmも先である。
「・・・うん、お国のため、拾ってくれた藩王様のためっと」
悩んでも文句を言っても仕方ない、やれることをやるだけだ。
自分の信条を思い出しながら、荒ポンは荷車を引っ張り発進した。
5分後、荒ポンは一歩も進んでいなかった。
「腹が減って力が出ねえ・・・」
新入りは万国共通で薄給である。
しかも芥辺境藩国は現在国庫が大変厳しい状態だった。
したがって、新入りであり元から薄給である荒ポンの給与明細は・・・(以下略
ともかく、そういうわけで、昨日から何も食べていなかった。
「腹が減っては何とやら、まずは飯だな」
こう見えても、結構料理には自信があった。
長年の独り暮らしの経験と、下働きで培った、独身術の一種である。
だから、愛に飢えていたりもする。
「(彼女絶賛募集中、とくに家庭的な料理の上手い娘・・・」
きっとこんなことばかり考えているからできないのだろうが。
「うし、とりあえずは魚を捌く道具が無いと食えないな」
そうして懐をあさる。
出てきたのはライター、タバコ、100円玉が三つのみ。
「ふうー・・・」
思わず天を仰ぐ。
「(神様・・・俺が何したっていうんだい?)」
そんなとき、足元からこの世の全てを癒してくれるような、「にゃー」という声がした。
猫である。
しゃがみこんで撫でてみる。
また「にゃー」となく猫。
「幸せそうだよな、猫って」
「にゃー」
「にゃー」
「にゃー」
何度もなく猫・・・いや、この猫が鳴いているわけではない。
声は全て後ろから聞こえてきた。嫌な予感。
「(ちょっと待て、なんで後ろから・・・?」
予感は見事に的中、やっとの思いで採って来た魚に群がる猫、猫、猫・・・・。
「待てごるぁあ!!(巻き舌」
一喝すると猫はざざーっと一斉に逃げていった。
荷台には残った魚、その数はさきほどの約半分。
「くっ・・・くっくっくっく・・・・」
そのとき、荒ポンの頭の中で切れてたいけない血管が切れた。
「(どこかの誰かは言いました、猫は食えるとおおおおおおっ!!」
「まてこならーーーーー!!!!」
荷車を引きながら、食欲を燃料にして発進する荒ポン@にゃんにゃん共和国国民。
何か間違っている気がするが、理性より怒りと食欲が上回ったらしい。
逃げた猫の一匹を追って追って追って・・・。
30分後、1kmも走ったか、努力と根性と食欲で、荒ポンは見事その猫を辺鄙な工場の前に
「腹が減って力が出ねえ・・・」
新入りは万国共通で薄給である。
しかも芥辺境藩国は現在国庫が大変厳しい状態だった。
したがって、新入りであり元から薄給である荒ポンの給与明細は・・・(以下略
ともかく、そういうわけで、昨日から何も食べていなかった。
「腹が減っては何とやら、まずは飯だな」
こう見えても、結構料理には自信があった。
長年の独り暮らしの経験と、下働きで培った、独身術の一種である。
だから、愛に飢えていたりもする。
「(彼女絶賛募集中、とくに家庭的な料理の上手い娘・・・」
きっとこんなことばかり考えているからできないのだろうが。
「うし、とりあえずは魚を捌く道具が無いと食えないな」
そうして懐をあさる。
出てきたのはライター、タバコ、100円玉が三つのみ。
「ふうー・・・」
思わず天を仰ぐ。
「(神様・・・俺が何したっていうんだい?)」
そんなとき、足元からこの世の全てを癒してくれるような、「にゃー」という声がした。
猫である。
しゃがみこんで撫でてみる。
また「にゃー」となく猫。
「幸せそうだよな、猫って」
「にゃー」
「にゃー」
「にゃー」
何度もなく猫・・・いや、この猫が鳴いているわけではない。
声は全て後ろから聞こえてきた。嫌な予感。
「(ちょっと待て、なんで後ろから・・・?」
予感は見事に的中、やっとの思いで採って来た魚に群がる猫、猫、猫・・・・。
「待てごるぁあ!!(巻き舌」
一喝すると猫はざざーっと一斉に逃げていった。
荷台には残った魚、その数はさきほどの約半分。
「くっ・・・くっくっくっく・・・・」
そのとき、荒ポンの頭の中で切れてたいけない血管が切れた。
「(どこかの誰かは言いました、猫は食えるとおおおおおおっ!!」
「まてこならーーーーー!!!!」
荷車を引きながら、食欲を燃料にして発進する荒ポン@にゃんにゃん共和国国民。
何か間違っている気がするが、理性より怒りと食欲が上回ったらしい。
逃げた猫の一匹を追って追って追って・・・。
30分後、1kmも走ったか、努力と根性と食欲で、荒ポンは見事その猫を辺鄙な工場の前に
追い詰めた。
「くっくっく・・・どんな風に料理してやろうかこの猫め」
追い詰められても怯えもしないその猫へ、荒ポンは一歩一歩確実に近づいていく。
後一歩で捕まえる・・・そんなときに、荒ポンの肩がポンポンとたたかれた。
「いま晩飯を捕まえるところだ、邪魔すんなよ」
手を振りはらって猫を捕獲しようとする。
またポンポンと肩を叩かれた。
「いい加減にしろ・・・・・・・・・よ?」
振り向いて、そのまま固まる荒ポン。
それもそのはず、肩を叩いた主は、我らが芥辺境藩国の藩王だったのだ。
「うちの猫に何をしているのかな?」
顔も声も天使のように優しかった。が、立ち上るオーラはまるで悪魔である。
ちなみに、藩王は缶詰工場の視察に来ていた。
そしてここは缶詰工場・・・つまり、猫を追っているうちに目的の場所についてしまったのだ。
「(神様・・・いったい俺がなにしたっていうんだい・・・」
その日荒ポンは一日中罰労働だったらしい。
合掌。
「くっくっく・・・どんな風に料理してやろうかこの猫め」
追い詰められても怯えもしないその猫へ、荒ポンは一歩一歩確実に近づいていく。
後一歩で捕まえる・・・そんなときに、荒ポンの肩がポンポンとたたかれた。
「いま晩飯を捕まえるところだ、邪魔すんなよ」
手を振りはらって猫を捕獲しようとする。
またポンポンと肩を叩かれた。
「いい加減にしろ・・・・・・・・・よ?」
振り向いて、そのまま固まる荒ポン。
それもそのはず、肩を叩いた主は、我らが芥辺境藩国の藩王だったのだ。
「うちの猫に何をしているのかな?」
顔も声も天使のように優しかった。が、立ち上るオーラはまるで悪魔である。
ちなみに、藩王は缶詰工場の視察に来ていた。
そしてここは缶詰工場・・・つまり、猫を追っているうちに目的の場所についてしまったのだ。
「(神様・・・いったい俺がなにしたっていうんだい・・・」
その日荒ポンは一日中罰労働だったらしい。
合掌。