辻斬燕丸
「全員、敵の突撃に備えろ!!突っ込んでくるぞ」
「りょ、了解」
指揮官は苦虫をつぶした様な顔で、すぐにでもこちらに突っ込んできそうな屈強な男たちを見た。
絶望的な戦力差。目の前に広がる光景は最後の希望さえも奪いそうだった。
敵の黒い甲冑が鈍く光る。
「く、クソ。せめてもう少し上手く白兵戦ができれば。事前準備のじかんがあれば」
飛びそうな意識の中、部下に支えてもらって指揮をしている。
指揮官は寝てなかった。重く圧し掛かる責任感と気力だけでそこに立っていた。
「だ、大丈夫ですか・・・」
「馬鹿、大丈夫なわけないだろ。それよりこの状況の心配だけしてろ」
「す、すいません」
「りょ、了解」
指揮官は苦虫をつぶした様な顔で、すぐにでもこちらに突っ込んできそうな屈強な男たちを見た。
絶望的な戦力差。目の前に広がる光景は最後の希望さえも奪いそうだった。
敵の黒い甲冑が鈍く光る。
「く、クソ。せめてもう少し上手く白兵戦ができれば。事前準備のじかんがあれば」
飛びそうな意識の中、部下に支えてもらって指揮をしている。
指揮官は寝てなかった。重く圧し掛かる責任感と気力だけでそこに立っていた。
「だ、大丈夫ですか・・・」
「馬鹿、大丈夫なわけないだろ。それよりこの状況の心配だけしてろ」
「す、すいません」
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「全員、よく聞け」
「この後すぐに敵が突っ込んでくる。絶望的な戦力で」
「だが止めねばならん。守らねばならん」
「我らの後ろには民がいる。何の力もない民がいる」
「彼らを守るのが軍人の役目、自由と正義を守るのは大人の役目だ」
「この後すぐに敵が突っ込んでくる。絶望的な戦力で」
「だが止めねばならん。守らねばならん」
「我らの後ろには民がいる。何の力もない民がいる」
「彼らを守るのが軍人の役目、自由と正義を守るのは大人の役目だ」
「なんていうのはどっかのかっこいい正義の味方だ」
「俺はそんなこと言わない、そんな非現実的なことは」
「俺が言うのは、死ぬな だ」
「こんなところで死ぬのなんて俺は許さん、死んで楽になれるなんて大間違いだ」
「死ぬな。この最悪な状況でもがいてみせろ」
静まり返った部隊全員の顔を確認する。全員まだ顔が死んでない。やれる。
「班長点呼確認。終わり次第防御体制に入れ」
この腐った戦場に、唯一光るものがあるとするならばこいつらだ。
「よし、いいな。攻撃を跳ね除けるぞ、絶対死ぬな」
歩兵たちの声が空に響いた。
「俺はそんなこと言わない、そんな非現実的なことは」
「俺が言うのは、死ぬな だ」
「こんなところで死ぬのなんて俺は許さん、死んで楽になれるなんて大間違いだ」
「死ぬな。この最悪な状況でもがいてみせろ」
静まり返った部隊全員の顔を確認する。全員まだ顔が死んでない。やれる。
「班長点呼確認。終わり次第防御体制に入れ」
この腐った戦場に、唯一光るものがあるとするならばこいつらだ。
「よし、いいな。攻撃を跳ね除けるぞ、絶対死ぬな」
歩兵たちの声が空に響いた。