廃墟の中で


 墓標のように立ち並ぶ、廃墟郡の中で・・・
キラ・ヤマトは途方にくれていた。
「僕は確か、サイと喧嘩して・・・」
 そのまま、AA内での自室に戻った・・・はずだった。
フレイと一緒に自室に入り、ベッドに倒れこんで・・・
気がつくと、あの場所にいた・・・そして・・・・

「・・・殺し合い、か」
 巨大な戦艦の中で、仮面をつけた男は言った。
自分達に・・・殺し合いをしてもらう、と・・・
「・・・・・・・・・」
 その直後の惨劇を思い出し、キラは思わず首に手をやった。
指に伝わる、冷たい感触・・・
これが自分達の命を脅かし、コロシアイを強制している・・・
「僕は・・・こんな場所に来てまでも・・・クソ!」
 キラは怒りに任せて、目の前にそびえ立つ物を殴りつける。
トリコロールカラーのその物体が、予想以上に大きな物音をたて、
キラはあわてて辺りを見回した・・・・・・
幸い、その物音を聞きつけて何者かが現れる・・・という事は無かった。
「・・・僕は、何をしてるんだろう・・・」
 本来なら、沢山の仲間を集め、仮面の男とその一味を倒し、
この馬鹿げた『ゲーム』を終わらせるべきなのだ・・・
参加者全員でもって、あの戦艦を襲撃すれば・・・可能性は充分にある。
 ・・・しかし、たった今、自分は誰かが現れるのを恐れていた。
自分の知らない何者かが、自分を殺しに来るのを恐れていた。

 自分はこのゲームに乗るのか・・・それとも、主催者に反旗を翻すのか・・・
わからない・・・が、どちらにしろ、変わらないことが一つある。
「僕は、死にたくない・・・ここで、死ぬわけにはいかないんだ!」
 キラはそう呟くと、目の前の機体に乗り込んだ。
パイロットが乗り込むと同時にシステムが起動し、機体が稼動しはじめる。
皮肉にも、その形状は少年がガンダムと呼ぶ自機と、よく似た形をしていた・・・

「モビルトレースシステムなんてもの、聞いた事ないけど・・・
 僕は・・・使いこなして見せる!」

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム) 
 現在位置: D-3から別の場所へ
 第一行動方針:機体を慣らしつつ、安全そうな場所を探す。
 最終行動方針:思案中】



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最終更新:2008年06月02日 20:59