覇龍 煌めく 刻(1)


「ちょっと! あの機体って!」

D-6。
激戦の跡を窺わせる大地、倒れ伏す赤の巨人。
ミオ、シロッコ、フォルカの三人がここに現れたのは全てが終わった後のこと。
主のもとへ飛び去ったラミアを追い、また新たな仲間を迎えるためにここに来た。
「クォヴレーさん………の、機体だよね?」
そこにいた…、いや、「在った」のはもはや立ち上がることなき正義の旋風。
ミオからすればブライガーはヴィンデルを殺した、どちらかと言えばあまり好意的には見られない機体。
イキマからクォヴレーの状態に関する大方の事情は聞いたものの、そう簡単に納得できるものではない。
…だがそんな気持ちを一時忘れさせるほど、大破したブライガーの姿は衝撃的だった。

「どう、なってるのこれ? イキマさんはどこ?」
「………ふむ、落ち着きたまえミオ。とりあえずは調べてみよう。あの機体にもう戦闘力はないだろうしな。フォルカ、構わんな?」
「………ああ」
さすがの修羅王にも予想外の光景らしく、声に戸惑いがある。
シロッコはそんな二人を尻目に、ジ・Oをブライガーの近くに降着させた。

「………なるほどな。我々は一足遅かったようだ」
イキマが遺したメモには、ここで起こったことの全てが記されていた。
「まず、クォヴレー・ゴードンとディス・アストラナガンが接触、記憶を取り戻した」
「そこに木原マサキとユーゼスも立ち会った」
「うむ。そしてこの空間がもはや崩壊の危機にあるとユーゼス自らが宣言した」
「ああ。そして………」
メモを読み終えた三人は情報の整理を行っていた。といっても、話しているのはシロッコとフォルカのみだったが。
二人の男は話を止め、ミオを見やる。
彼女はメモを読み終えてからまだ一度も言葉を発してはいなかった。
その顔は痛みに耐えているようであり、悔やんでいるようでもあった。
「…そして、ラミア・ラヴレスが来襲しクォヴレー達と戦闘になった。結果、イキマは………」
ブライガーの傍らには事切れたイキマの姿があった。
つまりは、そう。
「ラミアちゃんが、イキマさんを殺した。そうなんだよね?」
「そうだ。彼女が選んだ道は、ユーゼスの剣となることだったのだろう」
シロッコは内心そうなる可能性は高いと踏んでいたため、この結末を見ても冷静でいられた。
だがフォルカとミオは違う。
彼女自身の意思に委ねたとはいえ、止めはしなかったのだ。ユーゼスの元へ行くことを。
こうなったのは自分たちにも責任の一端はあると考えているのだろう。
だが今はそんな感傷に浸っている場合でもない。
「二人とも、後悔は後にしたまえ。クォヴレーはどうやらラミアを追ってE-7に向かったようだ。我々も後を追うぞ」
イキマのメモにはクォヴレーとその乗機、ディス・アストラナガンこそが脱出の鍵とあった。
今、彼に死なれるようなことになれば、たとえユーゼスを倒してもここから元の世界に帰還できない。
地球に巣食う俗物を駆逐し、新たな世界を構築しようとするシロッコにとっては到底看過できない事態だ。
「思うところは私も同じだ。だがそれはここで悔やんでいても解決するものではあるまい?
E-7にはクォヴレーが、そしてラミアがいる。直接会いに行こうではないか」
「うん………そうだね。ちゃんと、話をしなきゃ、ね」
「…ああ、だが、少し待ってくれないか? 彼を………イキマを、弔ってやりたいんだ」
「すまないが却下だ。この空間は間もなく崩壊する。埋葬したところで意味はない」
しかしシロッコはどこまでも現実的だった。
「だが、彼をこのままにして行くなど!」
「時間がないと言っているんだ。彼を埋葬している間にクォヴレーが殺されるようなことになれば、それこそ彼の遺志を無下にしているのではないかね?」
「それは!………そう、だが」
それが正論と分かっていても、やはりフォルカには簡単に納得できはしない。
命が紙のごとく軽い闘争の中に生きる修羅だからこそ、命をまっとうした者に敬意を払うのは当然と考えるのだから。
「フォルカさん、行こう。ここで私たちがするべきことは立ち止まることじゃないよ」
そんなフォルカに前に進めと促すのは、同じくイキマの死に悲しんでいたミオだ。
「きっと、イキマさんは私たちにクォヴレーさんを支えてほしいって思ってたはずだよ。だから私たちは先に進まなきゃいけない」
二人の視線を受け、言葉を続ける。
「だから、行こう。クォヴレーさんを助けに。そしてラミアちゃんともう一度話すために」
「………ああ、そうだな。イキマの意志を継ぐのなら、ここで時間を使うのは彼の戦いを侮辱することになる」
フォルカの声に覇気が戻る。ミオは決意に満ちた顔で頷き、乗機へと駆けていく。
「強いな、彼女は」
ミオにどこか感嘆とした視線を向けながらシロッコが呟き、フォルカもつられて微笑んだ。

「イキマさん、ごめん。でも必ずクォヴレーさんを助けてみせるよ。だから見守っててね」
ブラックサレナのコクピットでミオは呟く。
悔やむ気持ちは重すぎるほどにある、それでも今はその気持ちを抑えなければならない。
「全部終わったら、お墓、作ってあげるね。それまでちょっとだけ待って、………?」
モニターに、ブライガーから少し離れたところに何か光るものが映った。
拡大して見えたそれは、狼の意匠が刻まれた剣。
「あれ、たしか…そう、ブライソード」
かつてこの手の中にあったブライガーのマニュアルに記載されていた武器。
「持って行けって言ってるの? イキマさん」
死してなお、反逆の意志は消えない。ミオにはあの狼がそう言っているように思えた。

「ではこの剣は私が持とう。ミオの機体は手が短いし、フォルカにはむしろ邪魔だろうしな」
ジ・Oの背部にはグラビトンランチャーとともにブライソードが装着された。
シロッコの言うとおり、彼の機体が一番上手く扱えるからだ。
「うん。イキマさんも一緒に行こうって言ってるんだよ、きっと」
「この剣には彼の魂が込められている。きっと俺達に力を貸してくれるさ」
フォルカの言葉に呼応するようにブライソードが煌めいた。
銀河旋風はまだ途絶えてはいない、そう叫ぶように。


「イン……グラム……?」
 E-7に到達したクォヴレーが対峙したもの。
 それは意志を持った人形の駆る天使ではなく、自らのオリジナルたるイングラムの顔の巨人。
 全てを調律する機械仕掛けの神、その紛い物にしてあるいはそれ以上の力を手に入れたモノ、真聖ラーゼフォン。
 神々しいとさえ言えるその威容は、かつてクォヴレーが相対した死霊の王、霊帝ケイサル・エフェスに匹敵するほどのプレッシャーを放っていた。
「あの機体は………ラーゼフォンか? だが、あの顔は一体」

「ようこそ、虚空の使者。全ての終わりにして始まりの場所へ」

「貴様…ユーゼスかッ!」
「君は運がいい。新たな神の誕生に立ち会えたのだからな。
 さあ、見たまえ。これが真聖ラーゼフォン、いや全能の調停者、ゼストの姿だ!」
 声とともに巨人は翼を広げ―――――――――
「うおおっ!?」
 翼から迸るエネルギーは風を生み、嵐となってディス・アストラナガンを木の葉のように吹き飛ばした。

「なんて力だッ………!」
 羽ばたくだけで凄まじい力を放ったラーゼフォンを見据え、機体の体勢を立て直したクォヴレーは気付く。
 あれがラーゼフォンだというなら、一人、ここにいなければならない人物がいる。
「貴様、ラミア・ラヴレスはどうした! その機体がラーゼフォンだというなら彼女はどこにいる!」
「どこに? ここにいるとも。あれはもはや私と一つになったのだ」
「一つに?………まさか、取り込んだのか、彼女を!?」
 かつてイングラムが自身にそうしたように。いや、おそらく融合したのではなく―――吸収。
 その意思など関係なく、一個のパーツとして
「貴様………!」
「何を怒っているのだ? 君にとってあれは敵だろう。イングラムを殺した、な」
「そんなこと…わかっているさ! だが、彼女に自らの『意志』があった! それは貴様に取り込まれるためのものではなかった!」
「ふん、人形の意思などもはやどうでもいいのだよ。肝要なのはゼストの糧になるかどうか、それだけだったのだから」
 その言葉を聞いた途端、クォヴレーの腕は意識するよりも早く動いた。
 これ以上やつに喋らせるな………! その意思をメス・アッシャーに込め放とうとした、その瞬間。
 ―――――避けろ―――――
 背筋を貫く悪寒、これまた意識するより早く操縦桿を押し倒す。
 ディス・アストラナガンの翼が光を吐き出し、その体を大きく弾き飛ばす。
 空いた空間を間髪入れず黒色の球体が駆け抜ける。まるでブラックホールのような球体が。
 その球体の向う先は真聖ラーゼフォン。
 だが天使はおもむろに手を翳し、そこに光が集まり障壁となる。
 球体と障壁が激突。
 凄まじいエネルギーが撒き散らされた。
 数瞬の後、そこには依然変わりなく佇む真聖ラーゼフォンの姿。
「楽しそうじゃないか、ユーゼス。俺も混ぜてもらおうか?」
 響く冥王の声。
 ユーゼス、クォヴレーの位置と三角形の場所にグランゾンが現れる。
「それが貴様の切り札というわけか」
「これはこれは。君まで神の誕生を祝いに来てくれたのかね?』
「ハッ、笑わせる。ここで俺に殺される貴様が神を名乗るなどな」
 状況は構図だけ見るなら数時間前と同じ。
 クォヴレー、マサキ、そしてユーゼス。
 誰もが己以外の二人を排除しようとする三すくみの状況。
 だがクォヴレーにはあの時と違い焦りはなく、まずは敵の出方を見るために自分から仕掛けない。
 対照的に今にも仕掛けようとするグランゾン。
「ふむ。相手をするのはやぶさかではないが………」
 だがユーゼスは戦うそぶりを見せなかった。
「あいにく私はここから飛び立つための準備があるのでね。君たちにはしばし、彼らと遊んでいてもらおうか」
 そのユーゼスの言葉が流れた瞬間―――――――

 眼下の大地が爆発した。

「ッ―――なんだ!?」
 ディス・アストラナガンを後退させる。
 ユーゼスは何もしていない。もちろんマサキも。
 だが今、レーダーには新たに9つの機動兵器の反応が出現していた。
「この機体は!?」
 クォヴレーにとって馴染みのある機体、ゴラー・ゴレム隊の量産機、ヴァルク・ベン。それが9機、地表の施設から飛び出しラーゼフォンを囲うように陣を組む。

『・・・・・・・・・・・・・・・・!!!』

 それらが放つプレッシャーは、パイロットが並のバルシェムではないと確信させるほどに強いものだった。
「なんだ、この感じは……!? アストラナガン!?」
 ディス・アストラナガンが目前の9機を警戒しているように、勝手に出力を上げていく。
「ほう、その機体はわかるようだな。いかにも、これらに乗っているのはバルシェムではない」
 マサキも状況を把握できていないのか、後方に下がり構えている。
「マシュマー・セロにより檻から解き放たれ、フォルカ・アルバークによって形を得た魂たち。彼らは死してなお私に反旗を翻した」
 続くユーゼスの言葉。もはやクォヴレーにも答えはわかりかけていた。
「だが、彼の手を掴まなかった者もいる。そう、この箱庭の世界で怒りや憎しみを持って戦い、その思いを浄化することなく果てた者たちだ」
 ディス・アストラナガンが警戒するはずだ。
 その力を糧としながらも、常に取り込まれる危険を孕んでいるもの。
「ゼストに取り込まれた彼らは輪廻転生の輪に還ることもできず、どこにも向かえない魂となった」
 かつて霊帝とまみえたときに幾度も戦った。
「だから、再び器を与えたのだよ。戦うための器、怨霊としての形をな!」
 生ある者を憎み、喰らう。救われることなき、まつろわぬ魂。
「ネシャーマだというのか………! 貴様、どこまで腐った真似を!」
 クォヴレーの中に怒りが止め処なく溢れる。
 ラミアだけでなく、終わりを迎えた魂までも弄ぶ所業に。
「もちろん、生前と同じ強さと言うわけではないが。遊び相手としては十分だろう?」
 真聖ラーゼフォンが翼をはためかせ、上昇していく。
「逃がすか、クズがッ!」
 その瞬間、沈黙を保っていたマサキが動いた。
 ワームホールを展開、ワームスマッシャーを撃ち放つ。
 全方位からラーゼフォンを貫かんとする無数の光弾。
 だがそれは―――――
「無駄だ」
 即座に密集した9機のヴァルク・ベンがディフレクトフィールドを展開した。
 ワームスマッシャーの威力なら充分にフィールドを貫ける。
 だがそれは一機ならの話。
 幾重にも展開されたフィールドの前に、光弾の嵐はあえなくその輝きを散らす。
「チッ…負け犬が群れをなした程度で調子に乗ってくれる。いいだろう、まずは貴様らから冥府へ送り返してやる!」
 この9機を突破しなければユーゼスへは到達できない、そう考えたのはマサキも同様だったようだ。
 こちらにまで注意を払う余裕はないのか、グランゾンはクォヴレーに仕掛けることなく離れた空域へ移動していく。
「彼らは生前、いずれもエースと呼ぶにふさわしい技量の持ち主だった。まあ、そうでない者も若干混じってはいるが………」
 グランゾンの後を五機のヴァルクが追って飛び去った。
 これでクォヴレーが相手取るのは四機。
 ディス・アストラナガンは本調子ではないとはいえ、勝てない相手では―――――――

「そうそう、言い忘れていた。ゲストはまだいるのだよ」

 思考を見透かすような言葉、それが耳を通り過ぎるかどうかという刹那の時間。
 ディス・アストラナガン目掛けて多数のミサイルが飛来した。
「ミサイルだとッ―――!?」
 とっさにディフレクトフィールドを展開、一瞬の時間を得て後退。
 フィールドの網にかからなかったミサイルはラアム・ショットガンで迎撃。
 なんとか危機を脱したクォヴレーは、直ちに索敵を開始する。
 ヴァルク・ベンの武装は両肩のカティフ・キャノンに接近戦用のオウルブレード、そして複合武装ツインホイールバスター。
 ミサイルは搭載されてはいない。
 つまりこの攻撃をしてきたのはヴァルク・ベンではないということだ。
 ほどなく一つの反応を捉える。
 地上からこちらを狙う影。見知ったフェイスタイプ、一目でわかる重厚な火器群。
「あれは…ガンダムか!」
 ZZガンダム。本来あるべき世界でその機体はそう呼ばれていた。
「彼は死霊の中でも特に戦うことに執着する魂でね。君も知っている男だ」

『おおおおおおおぉぉぉぉ………おああああああああああぁぁぁッ!』

 ディス・レヴを通じ、ガンダムから意志が…強烈な殺意が伝わってくる。
 ―――この殺意を、クォヴレーは知っている!
「この感じはっ………剣鉄也か!?」
 かつて自らと仲間たちの前に立ち塞がった強敵。
 戦うことに全てを捧げた悪鬼。
 その悪意は死してなお、クォヴレーを威圧するに充分なものだった。
 四機のヴァルク・ベンが、ZZガンダムが。
 狼が獲物を狩るように、一斉に砲撃を撃ち放つ。
「ッ―――――――――!!」
 撤退はない。この怨霊たちを相手に背中を見せればそこで終わりだ。
 ディス・アストラナガンが駆ける。迫りくる過去を振り払うために。


 今や超神となったユーゼス。
 その全てを見渡す瞳で、眼下で舞い踊る二つの機体を観察する。
 クォヴレー・ゴードンと木原マサキ。
 計画を壊す因子たる二人は今、怨霊が抑えている。
 ラーゼフォンという器を得た今、転移機能を持つディス・アストラナガンを無理に取り込む必要はなくなった。
 もちろん取り込めば更なる力とはなるのだが、今となっては虚空の使者にその価値はない。
 そう、あの男に与えるべきは同化ではない。
 その使命、意志を最後の一欠けらまで踏み潰すことだ。
 自分とイングラムが求め、歩むことができなかった道に易々と踏み込んだ男。
 ゼストとなった今、その拘りも些事でしかないとわかってはいる、が。
「そう……奴の存在を消し去ることにより、我々の長き因縁もようやく終焉を迎えるのだ………イングラム」
 もう一人の自分、影たる存在。その運命をここで閉じるために。
「そして木原マサキ。奴ももはや用済み…だが、何をするかわからん男でもある。念には念を入れて、確実に滅ぼさねばな」
 そのためにはここでマサキを殺してはいけない。
 この空間は強き意志を持つ死者の魂に一時的とはいえ力を与えてしまう。
 ネシャーマとなった者たちのように操ることもできないだろう、木原マサキとはそういう男だ。
 放っておいてもこの空間は崩壊するが、それまでまだいくらかの猶予がある。
 ならいっそ、ここに満ちるエネルギーを励起させ、強制的に崩壊へと導けば。
「さあ………歌え、ゼスト! 禁じられた歌を! あまねく世界を破壊し、再生へと導くその歌を!」
 真聖ラーゼフォンがその口を開く。そして――――――

「ラァァァァァァァァァァ―――――――――――――――――――――ッ!」

 そして、歌声が世界を脈動させる。


 シロッコ、ミオ、フォルカ。
 三人がE-7へ辿り着いたのはイキマのメモを発見して数十分後のことだった。
 クォヴレーの危機へ参じるべく、全速力で向かってきたのだ。
 だがそこで彼らを待っていたのは、天使が歌い、悪魔と魔神、死霊と悪鬼が激突する戦場。

「な………なに、あれ………? 人、の顔………?」
 かつてデビルガンダムに取り込まれた少女、ミオ・サスガ。
 そのときの感覚はまだはっきりと覚えている。その感覚が教えている。
 あの天使が放つ気は、デビルガンダムと同質のものだ、と。
「これは、また………凄まじい眺めだな。世界が終るというのはこういうものなのかもしれん」
「あれは………」
 さすがのシロッコも動揺し、修羅王は途方もない危機がここにあると確信する。
 ニュータイプの感覚、修羅として直感、新たに得た念動力。
 それらが示すまでもなく、生ある者なら誰だろうとわかる根源的な恐怖。
「戦ってる…あれは、ディストラちゃんに………グランゾン!?」
「クォヴレー・ゴードンと木原マサキか。だが、あの機体たちは? もはや我々以外に生存者はいないはずだが」
「無人機…ではないな。動きに確固とした意志がある。誰かが乗っているのは間違いない」
 傍目にも二人は謎の機体群に押されている。
「助けなきゃ!」
 シロッコが止める間もないスピードでブラックサレナが飛び出していく。
「ミオ!…やれやれ、フォルカ。行けるか?」
「無論だ…!」
 ソウルゲインが走り出す。一拍遅れてジ・Oも続いた。


 戦い始めてどれくらいの時間が経ったのか?
 それすらもわからないほど、この戦場は過酷なものだった。
 半壊したとはいえ、ディス・アストラナガンの力は量産機など寄せつけはしない。
 だが現実は、敵を一機とて撃墜することができず逆に細かな損傷が増える一方だ。
 ガンスレイヴはまだ再生せず、左腕はガンダムが放った極太のビームにもぎ取られた。
 そして追い打ちとばかりに、フィールドを出力することが難しくなってきた。
 機体の再生にエネルギーを回す分、常時バリアを展開するだけのエネルギーが確保できないのだ。
「だが、諦めるものか………!」
 闘志は尽きていない。そうだ、まだ戦える―――決意を新たにしたそのとき。
 ZZガンダムが跳んだ。
 単体では飛行できないのかもっぱら地上から火器をばら撒くだけで、接近戦はヴァルク・ベンが行っていた。
 それがここに来て急に仕掛けてきたということは。
「来るか!」
 勝負を仕掛けてきた。
 剣鉄也、死霊となったとはいえ戦いに臨んでこの男を前に油断することは死に直結する。
 ZZガンダム、ガイキングとは比べ物にならないがそれでも豊富な火器を持つ機体。
 特に額のメガ粒子砲の威力はただ事ではなく、当たればその場で終わりだ。
 いつでも回避できるよう、推進系に細心の注意を向ける。
 跳躍したZZガンダムのビームライフルが火を噴いた。
 迫る二条の光芒、クォヴレーはフィールドで防ぐことよりも回避を選ぶ。
 敵機のいない空間に退避。そこに二機のヴァルクがキャノンを乱射、残った二機がツインホイールバスターを振りかぶり突撃してきた。
「遅い!」
 だがかつてアインと呼ばれていたクォヴレーは、ヴァルク・ベンという機体を知り尽くしている。
 キャノンの射程、発射間隔。ホイールが最大限にその力を発揮する間合い。それらが手に取るようにわかる。
 砲弾の雨をフィールドで受け止め、接近してきた二機のホイールをZOサイズで切り払う。
 その勢いのままZOサイズをショットガンに変形、間を置かず放つ。
 散弾は二機のヴァルクに食らいつき、より近距離にいた一機が耐え切れず胴体を吹き飛ばされた。
 ついに一機を撃墜。だがクォヴレーの脳裏に違和感が残る。
「…? ガンダムはどこだ!?」
 ヴァルク達より先に跳んだZZガンダムが初撃しか仕掛けて来なかった。地上に降りたのかと思い眼下を見やるも、そこにガンダムの姿はなく。
「どこにいった…?」
 周囲を旋回する三機のヴァルク。レーダーを見やれば6つの光点。
「ッ!? 6つ…だと!?」
 一機を落としたから反応は4つが正しいはず、それなのに。
 このときクォヴレーは周囲のヴァルク、そして地上にいるはずのZZガンダムを警戒し、上方向への注意を一瞬怠った。
 だから、気付かなかった。上空から迫る三つの戦闘機の存在に。
「があああああッ!?」
 降り注ぐミサイルとビームの雨。
 とっさにフィールドを展開したものの、その全てを防ぐことはできずいくつか直撃を受ける。
 衝撃で地表に落着、その眼前で三機の戦闘機が合体した。
 変形を終え、現れたZZガンダムの額に光が煌めき――――――

「こんな、ところで………俺はッ―――――!」

 操縦桿に腕を伸ばす一瞬が永遠に感じられた。
 あの光が俺を殺すのか…そう思った瞬間、極光が解き放たれ―――――
「吹っ飛べええええええぇぇぇぇぇっ!」

 ZZガンダムが吹き飛んだ。

 額からメガ粒子を放出したままあらぬ方向へ吹き飛ぶZZガンダム。
 その光はあと一秒遅ければディス・アストラナガンを貫いていた。
 装甲の塊のような黒い機体。それがクォヴレーを死の運命から救ったのだ。
「お前…は、誰だ? 俺を、助けたのか?」
「クォヴレーさん………だよね?」
「ミオ………ミオ・サスガか?」
 会わなければ、謝らなければならないと思っていた少女。だがさすがに戦場で出逢うとは思ってもいなかった。
 二の句が継げないクォヴレー。その瞬間機体は停止しており、それは当然致命的な隙だった。
 三機のヴァルク・ベンが我先にと殺到する。だが、彼が迎撃の姿勢を取る前に。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
 蒼い影がクォヴレーの前に割り込んだ。
 打ちかかってきたヴァルクを一機、勢いのままに蹴り飛ばす。
 吹き飛ぶヴァルクの向かう先には別のヴァルク。
 衝突し、装甲の破片を撒き散らしつつもろともに吹き飛んでいく。
 そして残った一機のホイールバスターを、蹴りの回転を活かし肘のブレードでいなす。
 敵機の態勢が崩れた隙を逃さず、その腹部へと蒼いエネルギーを纏った拳を叩き込む。
 フィールドを紙のように貫かれヴァルク・ベンが爆散した。
 見るも鮮やかな一連の動きに、クォヴレーは目を奪われる。
 凄まじい技量。数秒の攻防でまざまざと見せつけられた。
「無事かね? クォヴレー・ゴードン」
 通信。ミオでも眼前の蒼いヒゲの機体でもない。それにこれまた知った声だ。
「………パプテマス・シロッコか?」
「ふむ、無事のようだな。間に合ったようでなによりだ」
 クォヴレーからすれば敵か、味方か、定かではなかった男。一時は殺すと誓った相手ではあったが、
「………礼を言う。おかげで助かった」
 今のクォヴレーにシロッコと敵対する理由はない。
「ほう…記憶を取り戻したというのは本当だったようだな。以前とは別人のようだ」
 冷静な素振りで返しつつも、シロッコはこのクォヴレーの反応に内心胸を撫で下ろしていた。
 正直なところ、シロッコは彼に銃を向けられても仕方のないことをした。
 その力が完全に発揮されているなら、ジ・Oで対処できるかはかなり怪しいところ…というか、無理だ。
 だが今のクォヴレーは安定している。話も通じるということだ。
「では早速だがクォヴレー。この状況の説明を願いたいな。」
 イキマの死は伏せつつ尋ねる。せっかく安定しているのに、また暴走されてはたまらない。
「ああ。だが、その蒼い機体は…?」
「この機体はソウルゲイン。そして俺はフォルカ・アルバークだ、クォヴレー」
 若き修羅王が答える。顔を合わせるのは初めてだが、クォヴレーにとっては知った名だ。
「フォルカ………お前が。光の巨人の力を得た修羅王か」
「ッ! ゾフィーのことを知っているのか?」
「イングラムから引き継いだ知識の中にお前がいたからな。大体のことは知っている」
「そうか…説明の手間は省けるな。なら次はそちらの番だ。あの天使…はなんだ?」
「そしてあれらの機体のパイロット。生存している参加者でもなく無人機でもない。ユーゼスの手駒は我々がすべて始末した。なら誰が動かしている?」
 シロッコは油断なく残存する二機のヴァルクとZZガンダムを牽制している。
 ガンダムと戦う…そのことに若干の皮肉を感じながらも。
「ん…? あの動き………」
 心なしか知っている気がする。あの機動は――――――
「あれに乗っているのはゲームに乗った死者の魂。正確には、ネシャーマという死霊だ」
 続くクォヴレーの言葉に納得する。あの動き、知っているはずだ。
「とすると、あれはヤザン・ゲーブルか。度し難いな、死霊となってまで戦いを求めるとは」
「死んだ人まで戦わせてるっていうの………!? そんなの、ひどすぎるよ!」
 しかしミオはシロッコほど割り切ることができず。
「なんとかできないの!? クォヴレーさん!」
「………無理だ。彼らはもう死んでいるんだ。囚われた魂を解放するには、機体ごと消滅させるしかない」
「そんな………」
「………それで、あの天使は? 見たところ、ラーゼフォン…ラミアの機体と似通っているが」
 ミオに代わりフォルカが口を開く。
「彼女は………ユーゼスに取り込まれた。この世界に満ちた負の意志を集め、ラーゼフォンに注いだ結果生まれたのがアレだ」
「取り込まれた………!? 彼女は無事なのか!?」
「………もう、生きてはいないだろう」
 息を呑むミオとフォルカ。
 シロッコだけが冷静に状況を分析する。
「そして、あそこで戦っているグランゾンには木原マサキが乗っている。戦っているということは、目的は打倒ユーゼスということか?」
「おそらくはそうだろう。だが奴は俺達を味方とは見ていない。邪魔になればすぐさま牙を剥いてくるぞ」
「ふむ………ではユーゼスは何をしているのだ? 自らが戦えばいいものを、歌っている…ように見えるのだがね」
「それは俺にも………」

「ようこそ、パプテマス・シロッコ、フォルカ・アルバーク。そして、ミオ・サスガ。会えて嬉しいよ。これで役者は揃ったというところかな?」

「………なッ!?」
 シロッコは大いに焦る。秘されたカード、ミオの生存を知っている?
 死亡したと放送で自ら名前を呼んだのに。
「そこの男に聞いたろう? ラミア・ラヴレスは私が取り込んだ。すなわちそれは記憶も同化したということだ」
 真聖ラーゼフォンがこちらを見ていた。だが歌は鳴り止むことはなく。
「私が何をしているか気になるかね? 何、大したことではない。
 風船とて空気を入れてしばらく放っておけばいずれは萎むだろう?
 だったらいっそ華々しく破裂させてみたいと思うのは人の性ではないか、と私は思うのだよ」
 風船。萎む。破裂―――――
「まさか、貴様―――ッ!」
 シロッコが動揺から脱し一早く気付く。それがどれだけ危険なことなのかも。
「どういうこと、シロッコさん!?」
「この空間はいずれ崩壊する。だが奴は、人為的にそれを早めようとしているのだッ!」
「そう心配することもないさ。空間が崩壊したとして、すぐに君らがどうにかなる訳ではない。次元の挟間を漂うことにはなるだろうがね」
 次元の挟間。どう考えても安全という響きはカケラもない。
「ユーゼス! ゾフィーから聞いた! お前が望む平和はこんなやり方で手に入れるものではないはずだ!」
 フォルカが叫ぶ。ただユーゼスを倒せばそれで終わる、そうは考えられないから。
「ゾフィー…そうか、彼が君を救ったというわけか」
「平和とは力があれば成せるものではない! こんなことをしてもお前の理想を実現することはできない!」
「平和…か。もういいのだよ、そんなもの」
 だが答えはフォルカの予想していたものではなく。
「何だと………?」
「ゼストの力は新たな世界を構築することすら可能なのだ。私が望む、私だけの世界をな」
「ユーゼス、話を…っ!」
「フォルカ・アルバーク、君に会わせたい人物がいる」
「…何?」
 繋がらない会話に戸惑うフォルカ。
「君にもっとも縁のある男さ」
 ラーゼフォンの指が伸びる。その先にはヴァルクの出撃により露出した地下施設への通路。
 その暗き穴から、弾丸のような勢いで何かが飛び出した。

『フォルカ………フォルカァァァァァァァァァァァッ!』

 野生動物を思わせる四足歩行、鋭い牙、縞模様の装甲。
 まさしく「虎」といえる機体。

「なにあれ…虎?」
 呆れたようなミオの声。純機械製のモビルスーツが専門のシロッコも気持ちは同じ。
「ただ見た目を真似ただけではなさそうだな…!」
 だがそのプレッシャーは並ではなく、油断すればすぐさま噛み付いてきそうな気配を放っている。
「今の『声』は………フォルカ、あの機体を知っているか?」
「…いや、知らないが。何故俺に?」
 だがクォヴレーは他と違う意を持った。剣鉄也のときと同じく、ディス・レヴを通じ声が聞こえたのだ。
 そう、フォルカを呼ぶ声が。

「その機体の名は虎王機、百邪を滅する古代の機人だ。そしてそれを操るのは………」
 悠然と告げるユーゼスの声は嗜虐に満ちていた。
「フェルナンド・アルバーク。知らぬとは言うまいな? フォルカ・アルバークよ」


 いる!
 近くにフォルカが!
 殺す殺す殺す、そうだ、殺してやるぞフォルカッ!
 今度こそ必ず貴様を………貴様を………フォルカァァァァァァァァッッ!


「フェルナンド………だと?」
 フェルナンド・アルバーク。
 フォルカの義弟にして、共に機神拳を学ぶ親友であり、また腕を競い合うライバルだった男。
 フォルカの修羅神、ヤルダバオトと双子の関係にある豪撃の修羅神・ビレフォールの操者。
 彼はフォルカとの勝負に敗れ、しかしフォルカが掟に反しとどめをささなかったことでその矜持を傷つけられた。
 だが幾度ものフォルカとの闘争の果て、ついに分かり合うことができた。
 このゲームで出逢うことこそなかったが、出逢っていたならきっとまた共に戦うことが出来たはずだ。
 ラミアの告げた言葉に一時は動揺したものの、フェルナンドとの絆は容易く途切れるものではない、そう思っていた。

 だが。

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!』

 獰猛な虎の咆哮が響き渡る。
 まるで自らを操るものの声を代弁するかのように。
 虎王機は深くその四肢をたわませ、貯め込んだ力で脚を蹴り出した。
 弾丸のように駆け出すその勢いはまさに疾風、目にも止まらぬ勢い。
「―――――ッ!」
 反応出来たのは操縦者の動きを機体にほぼ100%フィードバックする機体、ソウルゲインのみ。
 フォルカの反射神経は虎王機の動きにすらも対応してのけた。
 振り下ろされる右前脚を両腕で受け止める。
 人型と違い、四足歩行する機体ゆえに後ろ脚だけでは上手くバランスが取れなくなる虎王機。
 虎王機が左前足を引く。だがそれが突きだされる前に、ソウルゲインは体を回し虎王機の持ち上がった懐に潜り込む。
「おおおおッ!」
 腰を上げ、虎王機の体を浮かせ、腕を引いて投げ飛ばす。
 轟音。
 背中側から大地に叩きつけられた虎王機は痛みに呻くように震え、倒れ伏す。

「さすが修羅王、見事な体術だ。慣れぬ機体とはいえ、超機人をこうも容易くあしらうとはな」
「あれにフェルナンドが乗っているだと? 面白くもない冗談だ。機神拳を修めたものがあの程度で倒れるものか」
 よくも友の名を騙ったと、憤るフォルカ。
「慣れぬ機体で、といっただろう? まあたしかに、彼が君とソウルゲインを相手取るには虎王機では役不足だな」
 だがユーゼスの声に焦りの色はない。
「だから、こうしよう」
 真聖ラーゼフォンが指を弾いた。
 音ではない何かが空間を駆け抜け、そして。

「…あれは!」
 空間に亀裂が走り、空が割れる。
 そこから出てきたのは巨大な龍。虎王機と対となる超機人、龍王機。
 かつてヤザン・ゲーブルが駆り、幾度もの闘争に臨んだ機体。
 その最期はH-4にて相良宗助に撃破され、グルンガストの下敷きとなって大破。
 コクピットには大穴が空き、とても操縦できそうにはない。
 だが機体そのものは一日もの時間があったからか、ほぼ完全に復元していた。
「ふむ、ここまで復元できていれば問題はないな」
 と、ユーゼス。
「空間を超えて機体を引き寄せた…!?」
 ミオやクォヴレーはまだしも、あくまでまっとうな機械技術が発達した世界出身のシロッコにしてみればまさに常識外の光景だ。
 シロッコとてこの舞台に招かれてから、常識なんてものは既に何度も破壊されているがそれでも驚嘆を隠すことはできなかった。
「この機体は龍王機と言ってね。そこの虎王機と同じく、元は百邪を滅する超機人なのだが…今彼らの意志は私の支配下にあるという訳だ」
 龍王機はユーゼスの元を離れ、虎王機の傍らへと降下する。
「この二機の真価は二人の強念者を得た時こそ発揮される。だが、今の私ならその強念者なき意思を操ることなど造作もないことだ」
 その距離は縮まり、やがては零に―――――
「必神火帝、天魔降伏」
 同時にユーゼスの口から「力ある言葉」が響き―――――

「虎龍、合体」

 龍と虎は、一つになる。

 ―――オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ―――

 閃光が奔り、咆哮が響き渡る。
 先の虎王機のものよりはるかに力強い声。

「合体………した!?」
 呻く声は誰のものか。
 光が収まった後、そこに「立って」いたのは龍でも虎でもなかった。
 そう、「立って」いた。二本の足でしっかりと。
「これが超機人・虎龍王。かつて私とは異なる『私』を追い詰めた、強力な機体だ」
 虎の頭、龍の胸。力強くしなやかに伸びた手足。
 人型となった虎が戦意に満ちた眼差しをフォルカに向ける。
「虎王機ではフェルナンド・アルバーグの闘技を活かすことはできなかった。だがこれならどうかね?」
 虎龍王は先程と同じく身を屈める。来る―――――誰もがそう思った瞬間。
 虎龍王の体がブレる。次いで衝突音が響き、虎龍王がミオ達の視界から消えた。
「消えた!?」
「待て、ソウルゲインもいないぞ!」
 ミオとクォヴレーの前に立っていたソウルゲインがいない。
「後ろだ!」
 フォルカの位置を感じ取ったシロッコが叫び、三人は機体を振り向かせる。
 数百mは離れたかというところ、そこでソウルゲインが虎龍王に圧し掛かられていた。
「ソウルゲインを連れて一瞬であそこまで移動したというのか………!」
 見れば、二機の位置までの地面がまるで爆発したかのように掘り返されていた。
 凄まじい脚力、数秒前の残像すら残し得るほどの。
 呆然とする三人、そこに動きのなかったZZガンダムが躍り込む。
 ハイパービームサーベルを抜き放ち、ブラックサレナの背後から斬りかかった。
「油断するな、ミオ!」
 切っ先が届く寸前、間一髪でディス・アストラナガンがディフレクトフィールドを展開。
 動きの止まったZZガンダムをジ・Oのビームライフルが牽制する。
「ククク、そうだ。気を抜いてもらっては困る。君たちにもダンスの相手はいるだろう?」
 ユーゼスが言うと同時、静観していた二機のヴァルク・ベンも再び接近してくる。
「二人とも、今はフォルカのことは気にするな! まず我々の安全を確保する!」
 シロッコが号令し、ミオとクォヴレーは頭を切り替える。
 フォルカは負けない。あの技、そしてソウルゲインという機体。
 むしろあっさり虎龍王を倒してこちらの援護にすらやってくるかもしれない。
 その強さを肌で感じていた二人はシロッコに倣い、フォルカの心配よりも眼前の敵へと向き直った。




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最終更新:2008年11月07日 08:07