覇龍 煌めく 刻(3)



 E-7地下施設。
 ブラックサレナはディス・アストラナガンを抱えてここに降下した。
 話すにしても地上では落ち着けない。フォルカやシロッコは心配だが、それ以上に今のクォヴレーを放っておくとまずい。
「クォヴレーさん! 大丈夫?」
 返事はない。
 ミオは機体から降り、ディス・アストラナガンへと駆け寄る。直接コクピットを開けてみるつもりだった。
「ん…わぁっ!」
 その途中、壁際に一機のヴァルク・ベンが設置されていた。
 すわ敵かと慌てたミオだが、そのヴァルクに動く気配はない。
「人…乗ってないんだ。多分あの怨霊も…」
 つまりこれは正真正銘の無人だ。警戒の必要はない。
「そだ、それよりクォヴレーさん!」
 ミオはこの機体に一度乗ったこともあるから、どこがコクピットかも知っていた。
 開いたコクピット、クォヴレーは操縦桿に身を預けるように気を失っていた。
 なんとかコクピットから抱え出し、地面に寝かせる。特に怪我はないようだ。
「―――う、うう………」
 ほどなくクォヴレーは目を覚ました。
「クォヴレーさん! 大丈夫!?」
「ミオ…? ここは、どこだ?」
「地下の基地だよ。上は危ないからとりあえずここに運んだの」
「そうか…ありがとう、世話になったようだ」
 ミオは以前あった時とは別人のような対応に戸惑う。戦闘中ならまだしも平時にこうではギャップが大き過ぎて不気味ですらあった。
「いやー、気にしないで。その、それよりも………」
 手を振り、話を変える。
「………イキマのことか」
「…うん。イキマさんは、これをあたし達に残してくれたの」
 そう言って差し出したのは、血で書かれたメモ。
 目を通したクォヴレーは、これがイキマの「遺書」なのだと悟る。
「そう………か。イキマは、本当に…」
 メモを握り締めるクォヴレーの顔は今にも自害しかねないほど思いつめているように見えた。
「あの、クォヴレーさん…」
 ミオが声をかける。
「クォヴレーさんのせいじゃ」
「俺のせいなんだ」
 だがクォヴレー自身の声に遮られた。
「俺が、中途半端な覚悟でラミアを説得しようとしたから彼女を追い詰めた。そしてそのツケは俺ではなく、イキマが被った………」
「………」
「すべて、俺のせいなんだ」
 ミオがゆらりと立ち上がる。
「そうだ、お前にはヴィンデルのことも謝らなければならない。俺があの時もっと冷静だったなら、彼は死ぬこともなかった」
 クォヴレーは俯いていたから気付かなかった。
「虚空の使者としてユーゼスを止めるべき立場の俺が記憶を奪われるなどあってはならないことだったのに。
 そうだ、俺がユーゼスを止められていれば、こんなふざけた殺し合いはそもそも起きもしなかったはずだ」
 口を挿まないミオの顔、そこにあったのは紛れもない「怒り」。
「俺さえしっかりしていれば、こんな、」
 そこまで言ったところで、ミオが座りこむクォヴレーの襟を取る。
「…ミオ?」
 やっと顔を上げたクォヴレー、だが視線がミオを捉える前に。

「大雪山おろぉぉぉぉぉぉぉしっ!」

 クォヴレーの体はきりもみしながら宙高く舞っていた。
「がはっ…」
 クォヴレーは背中から地面に落ちた。激痛で呼吸が止まる。
「合気道三段を舐めるなよ~!」
 ミオは拳を高らかに掲げガッツポーズを取る。
 実際、今の投げはバルシェムたるクォヴレーの身体能力も持ってしても受け身すら取れないほど鋭いものではあった。
「な…何を………?」
 痛みよりも戸惑いが勝ったのか、咳を吐きながらもクォヴレーは尋ねる。
「…いや、そうだな。俺はこうされても仕方無い―――――」
「黙れっ!」
 次は頬を張られた。
「さっきから黙って聞いてりゃー、俺のせいだー俺が悪かったーって。
 挙句の果てには俺さえしっかりしていればこんなことは起きなかった?
 それはそうかもしれない。でもね、ここであたし達が出逢ったことは無駄なことなんかじゃない!」
 クォヴレーは頬を抑え呆然としている。
「マシュマーさんにブンちゃん、ハロちゃんにアクセルさん。
 プレシアにシュウ、ヴィンデルさん、フォルカさん、シロッコさんにラミアちゃん、それにイキマさん。
 みんな、自分の意志で生きようとしてた」
 ここで出逢った、あるいは元からの知り合い。その半数以上がもういない。
「こんな殺し合いなんて誰も望むわけない。でも、あたし達が出逢ったことには意味がある!」
 そう、たとえ傍にいなくても。彼らはこの胸の中に生き続けている―――
「みんながあんたに、あたし達に託したんだ! 生きることを、ユーゼスを止めることを!」
 だからこそ、許せない。自分一人ですべてを背負おうとするこの少年を。
「だから、立ってよ! 諦めないでよ!…苦しいのはわかるよ、あたしだって苦しい。
 でも、悔やんでるだけじゃ何も変わらない、変えられないよ!」
 いつしかミオの頬を涙が伝っていた。
 偽らざる本心、だがこれはクォヴレーと同時に、自分に向けた言葉でもあった。
「………イキマさんも、ヴィンデルさんもきっと、今のあなたを見たらがっかりするよ」
 その言葉を受け、クォヴレーは顔を伏せる。
 それきりミオは口を閉じ、数分が経った。
「…あたし、行くね。シロッコさんとフォルカさんを助けなきゃ」
 ブラックサレナへと歩き出すミオ。もう、言うべきことは全て言ったから。
 コクピットへ乗り込もうとした瞬間、
「待て、ミオ。俺も行く」
 クォヴレーの声が聞こえた。
「…イキマに言われたんだ。覚悟が足りない、間違いを恐れるな…と」
 ミオが振り向いたとき、彼はゆっくりと立ち上がるところだった。
「イキマは信念を貫いたんだ。トウマやジョシュア、リュウセイやヴィンデルも、きっと」
 胸に手を当て、想いを確かめるように。
「だから、俺も。いや、俺がその意志を止めてはならない。いつか、誰かに俺の意志を託すときが来るまで」
 ディス・アストラナガンが一人でに動き出す。満身創痍の身ながら、それでも主のもとへと地を這って手を伸ばす。
「ああ…行こう、アストラナガン。俺達の使命を果たすために」
 その手に触れ、今度こその決意を手に入れる。
「ミオ。一緒に戦ってくれ。俺一人では、少し荷が重そうだ」
 最後の言葉はどこかおどけた調子で。答えるミオの声はもちろん―――
「………合点承知! 行こう、クォヴレー!」
 もう、怒りなんて綺麗さっぱりどこかに行ってしまっていた。


「ん………ちょっと待ってくれ」
「どしたの? 早くしないとシロッコさんがやられちゃうよ」
「このヴァルクは無人みたいだな。使えそうだ」
「使うって…乗り換えるの? でもディストラちゃんが」
「乗り換えるんじゃないさ。見てればわかる」
「見てれば…? うわ、それ触手? そんなモノまであるんだ…?」
「…含みがある言い方だな。まあいい、下がっていろ。始める」
「――――――――――――――――わぁ、コンゴトモヨロシク…ってやつ?」


 迫るZZガンダム、閃く光刃。受け止めたのは、同じくジ・Oが展開したビームサーベル。
 だがZZガンダムとジ・Oの出力には致命的な差があった。
 スペック上で言えばZZガンダムのジェネレーター出力は7,340kw、ジ・Oは1,840kw。
 圧倒的と言えるスペック差。だが、モビルスーツの戦いはスペックだけで決まるわけではない。
 赤い彗星が量産機であるザクでもってガンダムという時の超高性能機に抗したように、技量次第でいくらでも結果は変わる。
 だが、肝心かなめの技量がさほど変わらなければ―――モノを言うのはやはりスペックだ。

「不慣れな機体で…よくやるものだッ…!」
 ミオを送り出したシロッコは不本意ながらもZZガンダムと一騎討ちを演じていた。
 機体の性能はZZガンダムが遙かに凌駕している。
 だが操縦はモビルスーツに一日の長がありニュータイプでもあるシロッコに分がある、はずだった。
「ここまで異世界の兵器に順応するのが早いとはな…キラとゼオラが容易く殺されるわけだ」
 そう、鉄也はZZガンダムの扱いに「慣れて」きているのだ。
 あのガイキングという特機と比べあまりにも違う設計思想で開発されたモビルスーツ、その効率的な操縦を戦闘の中で見出している。
「だが、私とてガンダムに敗れるわけにはいかんのだよ…!」
 敵機はどことなくエゥーゴの旗印、Zガンダムに似通っている。
 戦闘機への変形機構、フェイスタイプ。もしかしたら本当に後継機なのかもしれない。
 ならば尚更負けられない。あの機体に敗北するということはZガンダムに敗北すると同議、シロッコはそう確信する。
 ブライソードを抜き、両手で構える。隠し腕にはビームライフル。
 モビルスーツの出力ではブライソードビームこそ使えないが、このジ・Oの全長に迫る質量なら並の装甲など紙同然。
 仕掛けるタイミングをうかがうシロッコ。だが先にレーダーが新しい反応をキャッチする。
「遅いぞ、フォルカ………!?」
 反応が来たのはフォルカが戦っていた方位。てっきりソウルゲインがあの虎型特機を撃破して戻ってきたのかと思ったが。
 そこにいたのは予想に反し虎龍王だった。腕に胴体だけとなったソウルゲインを掴んでいる。
「フォルカが負けた…!?」
 その驚愕は隙となり、一瞬ZZガンダムへの注意がそれる。
「―――――ッ!」
 ギリギリで機体を後退させたものの、飛び込んできたZZガンダムのビームサーベルはジ・Oの右足を溶かし去った。
「ぬかった…!」
 ジ・Oは基本的に宙間戦闘を行うことを念頭において作られている。単体での飛行機能はないし、変形も不可能。
 ここが宇宙だったなら足はさほど重要ではないが、重力のある地上では話は別だ。
 足は機動力とバランスの要。もはやジ・Oは羽をもがれた鳥も同然。
「こんなところで――――――――――ッ!」
 再び襲い来るZZガンダム、今度は防げそうにない。
 だが。

 不意に来襲した黒い物体が、ZZガンダムにまとわりつく。

 物体…蝙蝠を模したオールレンジ兵装はまるで生きているかのように巧みに動き、至近距離でZZガンダムに光弾を放つ。
「無事か、シロッコ」
「シロッコさん、生きてる!?」
 今度こそは仲間の声。シロッコは心の底から安堵した。
「うむ、いいタイミングだ。もう少し遅くとも良かったがね?」 
 もちろんそんな気持ちはおくびにも出さないが。
 どうやらミオはクォヴレーの説得に成功したようで、彼はすっかり落ち着いている。
 戦場に復帰したブラックサレナとディス・アストラナガン。だが、シロッコの中に違和感が生まれた。
「…クォヴレー、君の機体はその、そんなに元気だったかね?」
 そう、装甲、翼、あらゆる部分にダメージを追っていたディス・アストラナガンは今や完全に復元していた。
「何、道中にご馳走があったんでな。拝借してきたのさ」
「すごかったよー。こう、メキャってなってグシャってなってガキーン!って」
「意味がわからん…そうだ! そんなことより、フォルカがやられた!」
 虎龍王はソウルゲインを掴んだまま、こちらを品定めするように見ている。
 操縦者がフォルカのみを狙っていたのだから、敵かどうか測りあぐねているのかもしれない。
「―――、シロッコ、俺が奴の相手をする。ミオ、お前は剣鉄也を頼む。ジ・Oの足では奴の動きについていけない」
「わ、わかった! 気合い入れてくよー!」
 ブラックサレナがZZガンダムに向かっていく。
「シロッコ、ミオの援護を。それと、フォルカに呼びかけてくれ」
 クォヴレーの指示が飛ぶ。
「しかしフォルカはもう…」
「死んではいない。感じるんだ、彼の魂はまだあの機体とともにある」
 ディス・アストラナガンを敵と認めたのか、虎龍王が牙をむき出して唸る。
 そのままソウルゲインの胴体を投げつけてきた。
「シロッコ、任せたぞ!」
 胴体だけとはいえその大きさはディス・アストラナガンとほぼ同等。まともには受けられない。
 弱めに展開したディフレクトフィールドで受け止め、勢いを殺しジ・Oの方に落とす。
 あとはシロッコに任せ、クォヴレーは戦闘に意識を切り替えた。


「……カ!フォルカ! しっかりしろ、フォルカ・アルバーク!」
 声が聞こえる…己を呼ぶ声が。
「ぐ…うう………」
「フォルカ! 気がついたか?」
「シロッコ………? 俺、は………?」
 朦朧とする意識を必死に繋ぎ止める。そうだ、まだ戦いは終わっていない。
「そうだ、フェルナンドッ…! シロッコ、ミオは!? クォヴレーは!」
「落ち着け。二人とも無事だ。…今のところは、だが」
 意識が鮮明になると同時、激痛が体を襲う。見れば至る所に鋭い破片が突き刺さっている。
 それはソウルゲインの欠片。衝撃によって割れ飛んだコクピットの破片だ。
「ぐ…動け、ソウルゲイン! どうした、何故立たない!?」
「フォルカ、立てないのは当然だ。今やソウルゲインは胴体しかない」
 シロッコの声が聞こえる。それは通信機を介してではなく、機体に直接触って振動で声を届けているのだと気付く。
 反応しないハッチを蹴り開く。
 外に出たフォルカは、ソウルゲインがもはや死に体だということを悟った。
 両腕は肩から欠落し、下半身もきれいになくなっている。ヒゲのような突起の付いた頭部もあちこちが抉れ、蒼いはずの装甲は亀裂が縦横に走り黒く見えるほど。
 傍らのジ・Oも片足がない。フォルカに呼びかけながら、時折ビームライフルやグラビトンランチャーでZZガンダムと戦うブラックサレナを援護している。
 そして己を破った虎龍王、フェルナンドは少し離れたところでディス・アストラナガン、クォヴレーと砲火を交えていた。
「俺は…負けたのか」
「そうだな。というかそのケガでよく生きていられるものだ」
 シロッコの言葉に、修羅はこの程度で死にはしない、と自嘲する。
「まあ、機体を失った君ができることはもうあるまい。ここで大人しくしていることだ」
 ジ・Oがブライソードを杖に立ち上がる。
「どこへ行くんだ…? その足ではもう…」
「援護くらいはできるさ。子供にだけ戦わせておくとロクなことにならん」
 フォルカは不意に戦場へ向かおうとするシロッコの背中に声をかける。
「…シロッコ。聞きたいことがある」
「何だね? 手短に頼む」
「俺が間違っていたのだろうか? フェルナンドをあそこまで追い詰めたのは俺だ」
 悪魔と興じる虎を見て息をつく。
「元いた世界ではわかりあえた。ならここでも…そう思った俺は間違っているか?」
 答えが欲しかったわけではない。ただ気持ちを吐き出したかったのだ。
「そんなことは知らんよ。他人の私が口をはさむことではない」
 そしてそれはシロッコにしてみればまさにどうでもいいことだった。
「ただ。この状況で君は本当に迷いなく戦ったかね?」
「迷い…?」
「クォヴレーが言っていただろう。『機体ごと消滅させるしか魂は解放させられない』と」
 たしかにそう言っていた。死霊にもっとも近しい彼の言葉、嘘ではないはずだ。
「君がどう思おうと、君の友はすでに死んだ。
 なら、その亡骸に対し君がしなければならなかったことは、手を差し伸べることではなかった。私はそう思うね」
 言い終わると同時、スラスターを吹かしジ・Oはブラックサレナの援護に向かって行った。
「俺が、しなければならなかったこと…」
 残されたフォルカはシロッコの言葉の意味を考える。
 生きているなら、手も取り合える。だが今のフェルナンドにはもうフォルカへの憎しみしかない。
 復讐を果たしたところで、その魂は安らがないのだ。
 なら、本当に成すべきは―――――
「俺が、フェルナンドを倒さなければならなかったんだ」
「その通り。今頃気づいても遅いがね」
 独り言に答えが返ってきた。
「ユーゼス…」
「見事なものだったよ、修羅同士の果たし合い。私が止めなければ君は今頃挽き肉になっていたろうさ」
「お前が止めた…?」
「そう、フェルナンド・アルバークの意志に干渉してな。君の得た光の巨人の力、ここで失うのは惜しい」
 つまり、あの戦いすらフォルカとフェルナンドだけのものではなかったということだ。
「貴様…どこまでも………ッ!」
 ゾフィーに聞かされたユーゼスという男は、決して完全なる邪悪ではないということだった。
 だがこの瞬間フォルカを満たした感情は怒りだった。友をどこまで侮辱するというのか…!
「ふん、機体のない君に何ができる? まさか素手でゼストを止められると思っているわけではあるまい」
「機体ならあるさ………!」
 言ってフォルカは倒れ伏すソウルゲインへと乗り込む。
「ソウルゲイン? まだそのガラクタが動くと思っているのかね」
 ユーゼスの嘲笑。だがフォルカはこの機体の可能性を信じていた。
「ユーゼス、貴様が求めたのは平和へと至る力だったはず。だが今の貴様は、手に入れた力に溺れているだけだ!」
 そしてゾフィーから託された光の巨人の力。
 ―――――――使うべき時は今!―――――――

「力でしか力を止められぬのなら……力を以て道を正さねばならぬのなら………!
 俺も……さらなる力を求めよう………!」

 ソウルゲインをどこからか現れた光の粒子が包み込む。
 フォルカはその光が、マイの、イキマの、自分たちに想いを託し散っていった魂たちだと確信する。

「なんだ…この力は!? ソウルゲインが人の意志を集めている……!?」

「ソウルゲイン…『蒼い身体に魂を獲するもの』よッ! 俺の覇気をくれてやるッ! 
 だから………示せ、俺と、お前の! 新たなる姿と力をッ! 
 無限の争覇を乗り越える、本当の『力』を証明するためにッ!」

「フォルカ・アルバーク、貴様! ウルトラマンの力を………ッ!」

「託された意志を明日へと繋ぐために! 争覇の先に望む未来があることを信じてッ!
 今一度! 俺は阿修羅の道を往く――――――――――ッ!!」

 閃光が弾けて―――――――

「―――――――――――バカな」
 ユーゼスの声が震える。
「貴様、それは、その機体は―――ッ!」
 光が収まった後、その中心に立つのはソウルゲイン――――ではない。
 逆立つ真紅の角、龍の顎のごとき両腕、純白の体躯、そして朱に染まった頭髪。
 かつてフォルカを操者に選び、修羅界を、そして混沌の地球を駆け抜けた猛撃の修羅神。
 ヤルダバオト。その神化した姿がここにあった。
「ソウルゲインの再生能力、光の巨人の力―――バカな、それでも修羅神を創造するなど!」
「わからないか………ユーゼス」
 新生したソウルゲイン―――猛撃の修羅神ヤルダバオトの中で、フォルカが呟く。
「たしかにこれは俺の乗っていたヤルダバオトではない。その形を借りただけの紛い物だ。だが………」
 もはや恐れも迷いもない。
「マイの、ゾフィーの、人々の想いを束ね生まれたこのヤルダバオトッ!!」
 怨念に囚われたフェルナンドの魂を解放し、仲間を救う…!
「この確かな想い、誰にも………そう、貴様にも、フェルナンドにも! 砕くことなどできはしないッ!!」

 そして、怒れる修羅神が紅蓮を纏い咆哮と共に疾走する。


 剣鉄也にはもう殺意しかない。
 自我はないに等しく、ただ、殺戮を求める本能に従い戦い続けていた。
 この機体、ZZガンダムの挙動は完全に掌握した。
 今鉄也はブラックサレナとジ・O、二機を向こうに回し互角…いや優勢といえるほどの戦いを展開していた。
 ジ・Oは足が片方なくどうしても鈍重だ。そのジ・Oを庇うため、狙えば自然にブラックサレナが射線に割り込んでくる。
 もうそろそろこいつらにも飽きた。片付けよう――――――
 ありったけのミサイルをジ・Oを覆うように撃つ。
 ジ・Oは驚くべき精度でミサイルを迎撃するが、数が違いすぎた。いくつかが弾幕を抜け、直撃するコースを辿る。
 また、ブラックサレナが割り込んだ。だがそれが今の攻撃の狙い。
 爆風からジ・Oを守るため、ブラックサレナがフィールドを展開。もちろん動きは止まる。
 ビームライフル、ダブルキャノンを乱射し更に足を止める。
 爆風が晴れると同時、ハイメガキャノンのチャージが完了した。
 敵機は同一線上。そして酷使されたフィールドは掻き消える。
 ―――――――もらった――――――――
 もはや言葉もなく鉄也は嗤う。
 二つの命が、瞬きを止める―――――――その寸前。
『!!!!!!!!!??』
 何かがぶつかった? 対処しようとした時、だがすでにZZガンダムは真っ二つに断ち割られていた。
 こうして、剣鉄也は二度目…いや、三度目の死を迎えたのだった。


 激しい銃火を交わす虎龍王とディス・アストラナガン。
 ディス・アストラナガンは中遠距離での射撃戦を得意とする機体。
 対して虎龍王は接近戦に無類の強さを発揮する。
 寄せ付けまいとするディス・アストラナガン、肉薄しようとする虎龍王―――その均衡は一瞬で崩れた。
 虎龍王は、牽制に放ったガンスレイヴをランダムスパイクで叩き落とし、その隙に放ったメス・アッシャーをヴァリアブルドリルで正面から強引に切り裂いてくる。
 ついに己の間合いへと踏み込んだ虎龍王、クォヴレーは覚悟を固めZOサイズを展開する。
 接近戦の技量は負けている、接近戦は危険―――だがここで後退すれば一気に押し込まれる!
「死中に生を見出すのみだ………!!」
 ……だが、メス・アッシャーの光が消え去った後、覚悟していた虎龍王の攻撃はない。
 ディス・アストラナガンと虎龍王の間に真紅の雷神が割り込んでいた。
「無事か? クォヴレー」
「フォルカ! 無事だったのか」
「ああ。こいつは俺に任せてくれ」
 フォルカはそう言い、虎龍王の注意を自らに向ける。
 クォヴレーはディス・アストラナガンを後退させる。ミオとシロッコの元へ。
「二人とも、大丈夫か?」
「………生きてるよ~」
「こちらもだ…いささか疲れたがね」
 二機に大きな損傷はない。
「やつは…剣鉄也は?」
 ZZガンダムがいない。辺りを警戒するも、
「その辺にほら、破片飛び散ってるでしょ? それだよ」
 ミオの言葉に促されて確認して見れば、確かにZZガンダムとおぼしきパーツが散乱している。
「倒したのか…だがこの状況でどうやって?」
「ん~、あたしらも危なかったんだけど。こいつはヤベェェーーー!ってところでフォルカさんが助けてくれたんだ」
「いいタイミングだったよ。目にも留らぬとはああいうことだな」
 そう、フォルカのヤルダバオトは今にもハイメガキャノンを撃たんとするZZガンダムを背後から強襲、神雷のごとき蹴りで一撃のもと撃ち砕いて行った。
「だが、ソウルゲインは大破していたはずだ。あの機体はどこから現れたんだ?」
 あの機体はソウルゲインではないことは一目でわかる。それ以上の力を有していることも。
 あれほどの機体、近くにいれば気づかぬはずがない。それがクォヴレーは気になった。
「私に言わせれば君の機体も似たようなものだが。
 まあ、どうでもいいんじゃないかね? 重要なのは敵か味方か、それだけだ」
 達観したようにシロッコが言う。
「だねぇ。フォルカさんが乗ってるんだし無問題だよ!」
 ミオは…まあいつもどおりに。
「…そうだな。今は、あいつが勝つことを信じよう」
 クォヴレーも考えることはやめた。
 今はユーゼスを追い詰めることだけ考えればいい。
 そして視線をフォルカ達に向ける。まさに今、決着が着こうとする瞬間だった。


 拳が激突する。だが先ほどと違い、押し返されたのは虎龍王の方だ。
 覇気を纏う龍の顎は虎の拳を易々と撃ち砕いた。
「フェルナンド…俺も、覚悟を決めたぞ」
 虎龍王が吠え、ランダムスパイクを振り回す。
 先は目で追えなかったその先端を、ヤルダバオトは容易く掴み、引き寄せる。
「武器に頼らぬ機神拳の極意…忘れたとは言わせんぞ、フェルナンドッ!」
 ランダムスパイクは半ばから千切れ飛んだ。
 つんのめった虎龍王を迎えたのはヤルダバオトの膝。
 顎を蹴り上げられ、虎の顔が屈辱に歪む。
「全力で来い、フェルナンド! 俺に全てをぶつけてみろ!」
 フォルカの裂帛の気合に虎の、いやフェルナンドの闘志が燃え立つ。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
 虎龍王の両手に凄まじい覇気が集まる。
 覇気は二匹の龍となり、ヤルダバオト目掛けて解き放たれた。
 真覇・機神豪撃拳。フェルナンドに声が出せたなら、そう叫んだはずの技。
 覇龍はヤルダバオトを天へ打ち上げる。追って飛ぶ虎龍王、勢いを殺さず連撃を放つ。
「オオオオオオオオォォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
 咆哮、乱打はさらにスピードを上げ回転数を上げていく。
 そして締めにありったけの覇気を拳に集め、放つ。
 時空すら歪ませるほどのエネルギーはたしかにヤルダバオトを捉えた。だが、
「見事だ、フェルナンド…だがな」
 その拳がヤルダバオトを貫くことはなかった。
 ヤルダバオトの拳が虎龍王の拳を受け止めている。
「その機体には意志があるという話だったな。
 その意志をねじ曲げ、ただの道具として使う今のお前に、俺を倒すことなど出来はしないッ!!」
 先ほどの連撃、フォルカはすべて紙一重で受け止めていた。
 もしフェルナンドの機体がビレフォールであったなら、たとえ神化したヤルダバオトと言えども全てを受けきることはできなかったろう。
 機体と操者の微妙な感覚のズレ。並の者なら影響のないそれは、修羅同士の戦いでは致命的な差となる。
 そしてそれこそが、虎龍王と真に心を繋いでいないフェルナンドの、ユーゼスの限界。
「俺の番だ、フェルナンド…! 真覇、極奥義ッ!!」
 ヤルダバオトの全身が震える。力を解き放つための一瞬の停滞。
「行け! 双覇龍!」
 虎龍王と同じく、両拳から覇龍が飛ぶ。
 ――フェルナンド・アルバーク。

「でぇりゃあっ!」
 二匹の覇龍が虎龍王を空に巻き上げ、エネルギーの結界を構成し、ヤルダバオトがそれを追って飛ぶ。
 ―――義弟。生まれたときから共にあった。

「でえええええええええいっ!」
 拳の、蹴りの乱撃を加え、機神双獣撃…獣面の衝撃波を浴びせる。
 ――――親友。共に機神拳を学んだ。

「つおおおおおおおおおおおおおっ!」
 殴り、吹き飛んだ先に一瞬で回り込みまた殴り飛ばす。
 ―――――仇敵。掟に逆らい、矜持を傷つけたために憎まれ、争いあった。

「うおりゃあっ!」
 覇気を凝縮、特大の覇龍を撃ち放つ。
 ――――――戦友。最後にはわかり合い、また友と呼べるようになった。

 覇龍が何度も虎龍王を打ち据える。そしてヤルダバオトもその覇龍に飛び込んだ。
 胸に去来する万感の思いを拳に込めて―――――――叫ぶ。
「………フェルナンド! お前を縛る怨念の鎖、この拳で引き裂いてやるッ!!」

 覇龍が口を開く。そこに駆け上がってきたヤルダバオトが覇龍と一体になり―――――

「真覇ッ!! 猛撃烈破ァァッ―――――――――――――――――!!」

 虎龍王を、一片の欠片も残さず撃ち砕いた。


「さらばだ…フェルナンド」
 修羅の争覇が終わった。今やフェルナンドの残滓は、この体で鈍く疼く痛みのみ。
 フェルナンドの魂は解放されたのか? それはフォルカにはわからない。
 だが最後の瞬間、真覇猛撃烈破を放つ直前、声が聞こえた気がした。

 ―――――ありがとう―――――と。

 あれはフェルナンドの声だったのか、それともユーゼスに操られていた虎王機と龍王機の声だったのか。
「フェルナンド…いや、また会えるか。俺も、いつかお前と同じところに逝くのだから」
 そのときはまた、拳を交わそう。憎しみではなく、ただ想いを伝え合うために――――――そう、フォルカは心に刻み込む。
 だが、今はそのときではない。今は、ただ―――――
「これで、残るはユーゼス。貴様だけだ」
 フォルカの横にミオが、シロッコが、クォヴレーが並び立つ。
 死霊はすべて退けられ、今やユーゼスに至る道は開かれている。
「決着をつけるぞ、ユーゼス!」
「クククク…クハハハハハハハッハハハハハハッ! ああ、楽しませてもらったよ、実にいい余興だった」
「余興だと…!?」
「私とて死霊ごときで君たちが倒せるなど思ってはいないさ。
 最初に言っただろう? 私には準備があると。おっと、言ったのはクォヴレー、君にだけだったかね?」
 毛筋ほども焦りのない声。
「おや、あちらも終わったようだ。これで段取りは整ったかな?」
 あちら…グランゾン、木原マサキ。
 遠く離れた空域でヴァルク・ベン五機と戦っていた彼も、怨霊のマシンを全滅させ、こちらに向かってきている。
「さあ、では始めよう。これが終わりの始まりだッ!」
 真聖ラーゼフォンが両手を広げる。

「ラァァァァァッ―――――――――――――――――――――――――――!」

 再びの歌声が響き………『世界』が一気に砕かれた。

「何だ…何が起こった!?」
「ちょっと、どうなってるの!? ここ…宇宙!?」
 ブラックサレナ、ジ・O、ディス・アストラナガン、ヤルダバオト。
 四機が今まで立っていた大地は今やどこにもなく、そこはどこまでも続く深淵なる空間。グランゾンの姿もあった。
 真聖ラーゼフォンの歌が響いた瞬間、まるでガラスが割れるように空間が弾け飛び、周囲の光景は一変したのだ。
「ここは…まさか!?」
 ただ一人、クォヴレーのみがここがどこかに思い当たる。
「なんだ、知っているのかねクォヴレー!」
「ここは、ゲートの中だ…!」
「ゲート? 何それ!?」
 説明しようとするクォヴレー、だがそれより早く。
「そう、ここはどこでもあってどこでもない場所。次元にひしめく無数の世界、その通路といったところだ」
 虚空より真聖ラーゼフォンが現れた。
「先ほどまでの箱庭はその存在意味を失い消滅した。ここが我々の最後の闘技場だ」
 一瞬で一つの世界を破壊した―――途方もないその力。
「ここがお前の墓場ということか、ユーゼス。なかなかおあつらえ向きじゃないか」
 マサキは不敵に笑い、
「ここで決着をつけるか…いいだろう、ユーゼス。虚空の使者として貴様を討つ!」
 クォヴレーは使命を果たす時が来たことを悟り、
「よ、よーしっ、あんたなんかケチョンケチョンのボッコボコにしてやるんだからっ!」
 ミオは恐怖を決意で塗り込めて、
「俗物め。ここらで私を利用したツケを払ってもらおうか」
 シロッコは密かにその力に取って代わることを狙い、
「ゾフィーから託された想い…この拳にてお前に届けよう!」
 フォルカはただ、拳に誓う。

 五人それぞれの思い、それを受けユーゼスもまた。
「さあ、かかって来いッ! 貴様らが最後に立ちはだかる『運命』なら、それを打ち砕き唯一無二の超神となるのも―――この私だッ!!」

 ―――――そして、最後にして最大の争覇の宴が始まる。

【三日目 13:00】

【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:真聖ラーゼフォン(ラーゼフォン)
 パイロット状況:気力150 最高に「ハイ」
 機体状況:胸にカラータイマー装着。ゼストの力で満たされている。
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:マサキ・クォヴレー・フォルカ・シロッコ・ミオの抹殺
 最終行動方針:ゼストの完成
 備考:真聖ラーゼフォンの顔はユーゼスの素顔=イングラムの顔です】

【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:記憶を取り戻した。イングラムを完全に取り込んだため青髪化。迷いを振り切った 首輪なし
 機体状況:ヴァルク・ベンを吸収したことによりほぼ復元 EN小消費
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:ユーゼス、マサキを倒す
 最終行動方針:ユーゼスと決着を着ける。その後生き残った参加者とともにこの空間から脱出する
 備考:トロニウムエンジンを取り込みました。(機体性能などに変化なし)
    マサキを敵視。
    イングラムの消滅は薄々気づいている】

【ミオ・サスガ 搭乗機体:ブラックサレナ(劇場版機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状況:強い決意。首輪なし。
 機体状況:EN中消費。装甲が少し破損。中のエステバリスカスタムのモーターが磨り減っているため、なにか影響があるかも
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:ユーゼスを倒す。マサキは…?
 最終行動方針:ユーゼスの打倒。最後まで諦めず、皆のことを決して忘れず生きていく。
 備考:ディス・アストラナガンの意思(らしきもの?)を、ある程度知覚できます
    イングラムが知覚したことを、ミオもある程度知覚できる(霊魂特有の感覚など)
    フォルカと情報を交換しました。
    マサキの危険性を認識、また生存を確認】

【フォルカ・アルバーク 搭乗機体:神化ヤルダバオト(バンプレストオリジナル) 
 パイロット状況:首輪なし
 機体状況:EN小消費
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:ユーゼスを止める。マサキは…?
 最終行動方針:殺し合いを止める。
 備考1:フォルカは念動力を会得しました。
 備考2:ソウルゲインはヤルダバオトの形に神化しました。
 備考3:ミオ・シロッコと情報を交換しました】

【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ジ・O(機動戦士Zガンダム)
 パイロット状況:軽度の打ち身(行動に支障はなし)、首輪なし
 機体状況:右脚部消失。右隠し腕消失。ビームライフルをいくつか所持。
      グラビトンランチャー所持。ブライソード所持。
      コクピットにT-LINKセンサー設置。もしかしたら他にもガメてるかも。
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:ユーゼスを倒す。できればその力を手に入れたいが、最優先は生還
 第二行動方針:マサキを排除
 最終行動方針:主催者の持つ力を得る。(ゼストの力に興味を持っている?)
 補足行動方針:これが終わったら最高級紅茶を試す
       (ミオと、まあフォルカとクォヴレーにも賞味させてやらなくもないな)
 備考:マサキを危険視。
    フォルカと情報を交換しました。
    T-LINKセンサーはNT感覚の鋭敏化・空間把握能力拡大の効果があります
    ユウキ・ジェグナン厳選最高級紅茶葉(1回分)を所持】

【木原マサキ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
 機体状況:内部機器類、(レーダーやバリアなど)に加え通信機も異常。照準のズレ修正済み(精密射撃に僅かな支障)。
      EN中消費、全身の装甲にダメージ、右腕に損傷、左足の動きが悪い。グラビトロンカノン残弾1/2
      シュウの魂とカバラシステムを併用することで一度だけネオグランゾンの力を使うことができます。
 パイロット状態:胸部と左腕打撲、右腕出血(操縦には支障なし)首輪なし
 現在位置:次元の挟間
 第一行動方針:ユーゼスを殺す。邪魔をするクズも利用して殺す
 最終行動方針:ユーゼスを殺す
 備考:グランゾンのブラックボックスを解析(特異点についてはまだ把握していません)。
    首輪3つ保有。首輪100%解析済み。クォヴレーの失われた記憶に興味。
    機体と首輪のGPS機能が念動力によって作動していると知りました。
    ダイダルゲートの仕組みを知りました。ユーゼスの目的を知りました。】





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第257話「彼らの選択 ユーゼス・ゴッツォ 第259話「PROMISED LAND
第257話「彼らの選択 クォヴレー・ゴードン 第259話「PROMISED LAND
第254話「それぞれの『意思』 ミオ・サスガ 第259話「PROMISED LAND
第254話「それぞれの『意思』 フォルカ・アルバーグ 第259話「PROMISED LAND
第254話「それぞれの『意思』 パプテマス・シロッコ 第259話「PROMISED LAND
第256話「悪魔転生 木原マサキ 第259話「PROMISED LAND



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最終更新:2008年06月19日 16:32