美少女X
 Author:ID:us8tJCnr(初代スレ>>251)


251 :『美少女X』(1/2):2008/09/07(日) 11:42:48 ID:us8tJCnr

 静けさが耳に付く朝のバス停。
 歩道に人通りは無く、バス停に設置された標識のポールが寂しげに立っている。
 季節は夏に差し掛かっていた。
 朝方にも関わらず、粘りつく様な湿度から汗が滲む。
 たまに通る車の勢いで、生暖かい風が身体に絡みついていった。
 標識の右隣程に立ってバスを待ちながら、ぼんやりと空を見上げる。
 さっきまで小雨が降っていた空は、綿を広げた様な雲で一杯だった。

 ――タッタッタッタッタッタッ。

 不意に、誰かがこちらへ駆けて来る靴音がした。
 音のした方へ振り向くと、ローファーを履いた女子高生が立っている。
 軽く息を整えているのか、白いブラウスがそれに合わせてゆっくり揺れていた。
 片手でバッグを持つその左腕は華奢ながらもしっかりとしており、
 膝上のスカートからすらりと伸びた脚には、紺色のハイソックスがよく似合っている。
 彼女は右足のつま先を立てると、地面をコンコン、と蹴った。
 そしてバッグを逆の手に持ち替えながら、スッと右手側に並んで来る。
 その勢いでスカートが翻ったと同時に、何とも言えない甘い様な淡い匂いが漂った。
 匂いを追った先には、腰まで届く程の滑らかな髪が流れている。
 それに加えて透き通る様な白い肌と、揺らめく漆黒の瞳。
 彼女の強い存在感は感覚に訴えて来るぐらい活き活きとしていて、まるで周りから切り離された様に浮いている。
 視線を落として胸を見ると、ブラジャーが透けていた。先程まで降っていた小雨のせいか。
 その視線に気づいた彼女は、顔をこちらに向けると、綺麗に整った眉をひそめた。しっとりとした唇が力強く動く。
「どこ見てんだクソガキ」
 その冷たく澄んだ声が耳に入ると、おれの頭の中でドスを利かせて反響しながら暴れまくった。

 いつの間にか到着したバスから、地味なシャツとジーンズを履いた男が降りて来た。
 入れ替わりに彼女がバスに乗ろうとすると、
「おはようー」とバスの中から可愛らしい声がした。
「あ、由美ちゃんおはようー」
 すかさずそう返した彼女と由美ちゃんは、どうやら知り合いの様だ。
先程のクールな啖呵が嘘の様に談笑している。
「よう了、何してんだ」
 背後から聞こえた素っ頓狂な声の主は、後から来た将也だった。
「恐ろしいものを見た」
「そうか」
 将也はまるで興味が無いという風にあくびをしながら軽く答えてくれた。
おまけに片手で早く乗れよ、という風に催促して来る。
 バスに乗り込み将也と二人で前の方の座席に座ったが、後ろの方では相変わらず二人の談笑が続いていた。
 横で寝ている将也を後目に、おれはポケットから取り出した携帯でこっそり彼女を撮影したが、
それを将也に見せてやる気は毛頭無かった。






253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 12:05:26 ID:us8tJCnr
   初投稿です。恐縮です。(1/2)の改行失敗しました。
   >>73さん>>120さん>>126さん>>171さんを参考にさせてもらいました。


   登場人物

   美少女X   … 正体不明。>>192さんの九条さんを使わせてもらおうかと思いましたが、
            メインに絡みそうなので設定いじったらあれかなと思い曖昧に。
   観察者    … >>186さんのくんを使わせてもらいました。
   観察者の友人 … 同じく>>186さんの将也くんを使わせてもらいました。
   Xの友人   … 由美という名前以外全く設定考えてないです。
            Xと同じく煮るなり焼くなり好きに使って下さい。
   地味な男   … >>126さんの森下さんを使わせてもらいました。




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最終更新:2008年09月07日 18:53