「結びの橋」
それは昔のお話。
幼い頃の淡い記憶。
ルグナスは
リッタイに連れられ、鍛冶道具の材料を集める手伝いをしていた。
すると目の前に大きな人魚の石像が彫られた橋が見えた。
「なぁー、あの大きな人魚の橋なにー?」
「ん?あぁ、あれは結びの橋だ。んで、あの人魚はこの橋を作った伝説人魚の石像だ。」
「でんせつ?」
ルグナスはキョトンとリッタイを見上げる。
「ん?ルグ坊は知らなかったか。あの人魚には伝説があるんだ。
昔、ここがまだ未開の地だった頃な、この場所に川はなかった。この崖と崖は繋がってて、一つの土地になってたんだ。
んで、ここには綺麗な人魚が一人でひっそりと住んでいたんだと。
ある日、そこに一人の男が迷い着いた。お互いに一目惚れだったらしい。それから男は人魚に会いに頻繁に訪れるようになった。」
「りょーおもいってやつ?」
「あぁ、そうだな。でもな、その男は急に来なくなったんだと。」
「どうして?好きなの嫌になったの?」
「それは違うな。世界の戦争で死んでしまったんだ。でも人魚はそれを知らず待ち続けた。」
「人魚さん、かわいそう…」
「ある日、この土地が地割れを起こしてな、今みたいな崖になった。
人魚はこれ以上の土地の分裂を食い止める為に自らの命を使い崖と崖をつなぎ止める“結び”となったんだ。
男が好きだったこの土地をこれ以上バラバラにしたくなかったんだな。その結びが今は橋として残っているってわけだ。」
「しんじゃったら好きな人にあえなくなるのに…」
「はは、そこは分かってただろうな。薄々、男が死んでることも気づいてたんだろう。だから思い出を守ったんだ。」
「ふぅーん…」
「つまらなかったか?お、そういえば、さっきこの橋は結びの橋って言っただろう?この橋は恋結びとしても有名だ。」
「れんあいってこと?」
「あぁ、ここで男女がキスをすると必ず結ばれるって言うな。両想いだと更に絆が深く結びつくってな。
人魚の結びの加護があるんだと。噂だからよく分からないがな。」
「じゃあおれここで好きな子とキスする!」
「ルグ坊がか?わっはっはっ、ルグにはまだまだ早いな。」
ぼすっぼすっと頭を叩くように撫で、リッタイは笑った。
あれから10年以上。
ふと思い出した記憶にふっと笑う。
「まだまだ俺には早いっしょ。」
今誰かが脳裏を掠めた気がしたが、それはきっと気のせいだ。
【END】
最終更新:2012年08月15日 23:07