「彼と彼女の外道な日常。」
月夜の綺麗な夜のこと。人里から遠い、湖に囲まれた豪邸。
カツン、カツン
鋭いヒールの音が静まりかえった邸内に響き渡る。
紫色の髪に猫耳、赤いドレスを着た女。彼女の名はキルキル。
他人の不幸から甘い蜜を作り出すことのできる能力者。
その能力を使い、様々な人間を貶めて蜜集めをしている。
「あの人はどこへ行ったのかしら…」
邸内に人の気配はなく静まり返っている。
周りを見渡しながら顔をしかめる。
「汚いわね…嫌になるわ。」
床に横たわる死体、血がついた壁。
そう、生きている人間の気配は…ない。
グサッ
ある一室で鈍い音が聞こえてきた。
部屋に入ると月光に照らされた白髪の長髪の男の姿がそこにあった。
窓は割れ、壊れた家具が散らばる荒れ果てた部屋に佇む一人の男。
「終わったかしら?」
「えぇ、今終わらせたところです。」
クックックと不気味に笑う青白い顔の男。彼の名前は
ネスリミッジ。
人を裏切り、他人の不幸を見て楽しむのが趣味。
キルキルとは数ヶ月ほど前に出会い、利益が同じの仕事仲間として手を組んでいる。
しかし、お互い相手は信用していない。利用できるかできないか、それだけの相手。
「殺すのに手間がかかったのかしら?随分遅かったわね。
どうせ貴方のことだから遊んでいたのでしょうけど。」
ネスリミッジが今しがた殺した相手を見ると、一突きで殺されたとは思えない傷の数だった。
また甘い言葉で囁き希望をちらつかせ、絶望に突き落としたのだろう。彼がよく使う手段だ。
まぁ、そのほうが蜜も甘く美味しくなるから好都合なのだけど。
胸元から小瓶を出し、溜まった蜜を確認する。
「ククッ…蜜は程よい甘さになったようですねぇ。」
それでは行きましょうか、とネスリミッジは部屋を出ようとしたが、キルキルは動かなかった。
部屋の隅に置かれた古びた鏡台に何か惹かれ目を離すことができなかった。
…なんなの、この鏡。私は古ぼけて曇ったこの鏡のどこに惹かれたのかしら。
「キルキルさん?その鏡がどうかしましたか?」
「なんでもないわ。ただ少し気になっただけよ。行きましょ…」
突然鏡から眩しい光が放たれ、2人は目が眩みしばらく動くことができなかった。
徐々に目に色が戻り、警戒しながらゆっくりと目を開ける。
そこには先程の荒れ果てた部屋とは思えない整えられた部屋の光景があった。
部屋の作りは先ほどの荒れ果てた部屋と変わらないところを見ると、同じ部屋だろう。
突然の出来事に少し言葉を詰まらせていると、ネスリミッジが言った。
「ここは先程の部屋ですね。しかし私達がいた時代より何年も前の、ですが。」
カウンターの上の小さな卓上カレンダーを手に取りながら冷静に景色を見ている。
部屋の中央に置かれたベッドはシーツにしわひとつなく綺麗に敷かれている。
机の上には飲みかけのグラス。先程まで人が使っていたかのような。
だが、人の気配はしない。開け放たれた窓から鳥の鳴き声だけがやけに聞こえてきた。
「つまらない場所ね。戻りましょ。また鏡を見ていたら戻れるかもしれないわ。」
キルキルは冷めた様子で後ろ振り返った。が、そこに鏡台はなかった。
数年前はこの場所にあの鏡台はなかったのだろうか。
「これはこれは。すぐに戻ることは困難のようですね。」
「本当、つまらない場所ね。」
キルキルはもう一度、吐き捨てるように言った。
しばらく邸内を歩き回ったが、人の姿はおろか、動物一匹見かけなかった。
外から鳥の声は聞こえるが、姿は見えない。まるで音だけがしているかのようだった。
部屋を一つ一つ調べ、鏡台を探す。そして次の部屋へ。繰り返しの作業が続いた。
「本当にこの屋敷に置いてあるのかしら。」
うんざりした様子でガチャッとドアを開けると、そこには小さな女の子が泣いていた。
少女の前に胸から血を流し横たわる女性。少女と髪色が似ているところを見ると母親だろう。
銃で胸部を数発撃たれて死んだようだ。まだ死んでから時間は経っていない。
少女が2人に気づき顔を泣きながら見上げる。
「お姉さんたち…ぐすっ…さっきの人のなかま…?」
「さっきの?さぁ、私達をそこら辺の人達と一緒にしないで頂戴。」
「ひぐっ…お母さん殺されちゃったよぉ!お母さんを返してよぉ!」
少女は泣きながら母親だったものにしがみついた。
すると、ネスリミッジが少女の前に行き、怪しげに言った。
「貴女は、お母さんに会いたいですか?」
「会いたい!お母さん生き返―――」
希望の表情を見せた少女の言葉は最後まで続かなかった。
なぜならその時にはすでに首と体は別々になっていたから。
少女の首は絨毯の上を転がり、部屋の隅で止まった。
「これで母親に会えますねぇ…めでたしめでたし、です。」
「ちょっと、血が飛んできたらどうするのよ。」
「ククッ…すみません…。私の好きな悲鳴ではなかったので少々耳障りでしたので…。
それに、大切な物を失った絶望は死で癒すしかないでしょう?」
「…そうね。」
ふと、首の転がった先を見ると、そこには先程の鏡台があった。
手入れが施されピカピカの新品同様だったが、間違いなくあの鏡台だ。
「少女がお礼に教えてくれたのでしょうかねぇ…クックック。」
「そうかしら。どうでもいいわ。さっさと行きましょう。」
2人は鏡台の前に立ち、鏡を見つめた。先程と同じ光が放たれ、あたりは白に包まれる。
目を開けるとそこは廃墟と化した一室だった。
「戻って来れたようね。一体なんだったのかしら。」
「先程の少女の思念、だったのかもしれませんねぇ…。」
部屋には白骨化した大人の骨と子供の骨。さっきの親子のものだ。
きっと少女はあのまま母親から離れず餓死したのだろう。
少女の母親への想いがあの鏡を通し、2人を過去に連れていった。
今もきっと成仏できずにこの屋敷をさまよっている。
「貴方の顔って本当に青白いわね。」
「クックック…何を今さら。」
「さっき鏡を見て思っただけよ。本当に気持ちが悪いわ。」
「では、行きましょうか。次の予定もありますから。」
2人はいつもと変わらぬ様子で屋敷を後にした。
この後の予定はディナーを食べながら鑑賞会。
幸福だった者が絶望の底に落ちる様子を鑑賞しながらの食事。
彼らは今日も蜜を集める。甘い不幸の蜜を。
~お借りしました~
キルキルちゃん (ぽて宅)
なんだかグダグダになってしまった感がYABEEEEE!!!w
とりあえず、あれ、完全に仕事の2人を書きたかった!
まぁ、例の場所ではどうなっていることやら…///フフリ
キルキルちゃん大好きすぎて!(*^ω^*)
ネスリミッジは一体いくつなのか!そこが問題だ!
きっともう█████████ぐらいはいってるんじゃないかな←
またお借りしたい!ヾ(*・ω・)ノってか借りるに決まってる!(笑)
最終更新:2012年10月05日 14:23