プロローグ(2) 戦い
僕は背中にしまっておいた「銅の剣」を取り出す
戦いはあまり好きじゃない
でも、村人を守るためならば、やらなければらないこと、それだけ
イザヤールさんが叫ぶ
「エフィータ、お前は的が絞りやすいズッキーニャを頼む、私はスライム2匹を片づける!!」
そう言い、2匹のスライムに、イザヤールさんは突っ込んでいった…
ズッキーニャは動きは遅いが、攻撃力はそれなりにある…気をつけなければ
そう思っていた矢先、ズッキーニャはやりを自分に向ってついてきた!!
早めに気付いたおかげでよけることはできたが、すぐに耐性を立て直し、突進してくる…
いくら動きが遅いからといって、地面に座っていたら、攻撃はできない!!
そう思い、ズッキーニャの攻撃を剣ではじいた
ズッキーニャのやりは途中で折れ、先が宙を舞う
…さて、ズッキーニャの持ってるやり(だったもの)は今やただの棒
だが、問題は2つある
1つは、どちらにせよ、向こうには武器がある、こちらが攻撃してもはじかれてしまうだろう
もう1つは攻撃が成功しても、自分の力では一撃で仕留められないことだ
なるべく早くしないと、リッカと老人が来て、ズッキーニャは攻撃してしまう…
どうすれば…と考えていたら、ふと折れた槍の先を見つけた
それを見て、少し名案が浮かんだ
「…ズッキーニャ、もう攻撃できないのか?できるんだったら攻撃してきてよ…」
そう言い、指を立て、相手を挑発する
当たり前のようだが、ズッキーニャはこちらに突進してくる
これは、タイミングが命、早くても遅くても駄目だ!!
まだだ…まだだ…まだだ…
…
…よし、いまだ!!
そう思い、槍の先を投げる
向こうはこちらの作戦に気づいたようだが、急には止まれない
そして、自分はズッキーニャの首元(?)を狙い、思いっきりエルボーを仕掛けた!!
向こうは当然倒れた
そして、倒れた後
槍の先がズッキーニャの胸元めがけて刺さった
向こうは植物系だから、血は出ない、だがそれがかえって不気味に思える
そして、ズッキーニャは動かなくなった
魔物は、一生を終えると、寿命の場合はそのまま原型は残る
だが、外敵の攻撃などがあると、形は煙とともに消えてしまう
なぜかはわからないが、たぶん一転に集中した攻撃を受けたことによるショックによるものだと自分は思う
今回のズッキーニャもそうだ
煙とともに、消え去ってしまった
「…どうだ、そっちは終わったか?」
イザヤールさんが僕に話しかける
その様子だと、向こうはあっという間に終わったらしい
「はい、少々苦戦しましたが、大丈夫です」
「そうか、あの相手に苦戦するようならば、少し不安になるな…」
反省しなければ…もっと強く…強くならなければ、だれも守れない…
そう思った
老人とリッカの会話が聞こえる
「ほら、おじいちゃん、ウォルロ村が見えてきたよ!!」
「…おお、もう無理かとあきらめかけたが、なんとか帰ってこられたのう」
「もう、おじいちゃんったら大げさなんだから」
と、リッカが笑いながら言う
「…でも、これもきっと守護天使様のお陰だよね…」
「そうじゃのう、きっと、守護天使様の力あってこそじゃ」
「道中、お守りくださってありがとうございます…守護天使、エフィータ様」
少しびっくりした、今日正式に守護天使になったのに、いきなり自分の名前を言われたのだから
「びっくりしたか?この世では、新たな守護天使が決まると、その村にいるもの、関連してる者の記憶を少し変えるのが習わしになっているのだ」
そ…そうだったのか
いきなり自分のことを言われたから、少しびっくりした
少女が願った後、少女の体から、青く、中心が緑色をした球体のものが、自分の手の中に入ってきた
「それは星のオーラ、人間たちの感謝の心が結晶となったものだ」
と、イザヤールさんは教えてくれた
イザヤールさんから聞いたことは何度かあるが、生で見るのはこれが初めてだ
光を受けると、青く輝く姿が美しい
これだけでも、ずっと見ていたくなった
…でも、天使の世界では、これを「世界樹」へ届けなければならない
それが、天界の使命だから
「…さて、ウォルロ村の守護天使エフィータよ、ここはひとまず天使界に戻るとしよう」
そう言い、イザヤールさんは羽をはばたかせた
自分も、追うように飛ぶ
さぁ、目指すは天使界だ!!
最終更新:2009年08月13日 20:12