554 :
ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:13:05.40 ID:f8Dw6XGu0
その時だった。変な音が俺たち兄妹を包んだのは。
「ヒューヒュー!!」
見ると、2人の女子高生が口笛ではなく、声で「ヒューヒュー」と言っていた。
「夏美。誰だあの面白いやつは」
「部活の友達。しかし、今どきヒューヒューはないよね」
「あれは無しだな。見てるこっちが恥ずかしい」
「もう!トモちゃん!ユウちゃん!何してんの!」
「夏美〜!それがいつも言ってるラブラブお兄ちゃんね!」
何?
「ちょ、ちょっと!!」
そう叫ぶと、妹と2人の友達は学校の奥へ猛ダッシュで消えていった。
「おい、案内は・・・・・・・・」
何だ?ラブラブお兄ちゃん?いつも俺の事何て言ってんだろう。
ラブラブお兄ちゃんか・・・・・・・・・・
そんな事を考えていると妹が戻ってきた。
555 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:14:16.15 ID:f8Dw6XGu0
「知ったなあ!」
「何をだ。それよりラブラブお兄ちゃんって何だ」
「どーせ私はブラコンですよ!ふん!!」
「ふんってお前・・・・・・・・」
「もう案内してあげない!」
「何で怒ってんだ。大丈夫。ちゃんと分かってるから。言葉にしづらいがブラコンってのも
ちょっと違うと思うぞ。仲のいい兄妹ってところだろ。俺も夏美の事大好きだしな」
「そ、そう?」
「ちなみに、心理学的に『好き』って言うより『大好き』と言った方がマジっぽさが薄れる効果がある」
「ぷっ、何の解説よwwwww」
「じゃ、さっそく案内してくれ」
「わかったよ。もう!」
そう言うと妹はテレながら笑った。
喫茶店やお化け屋敷など定番のものはやっぱりお約束というか、あるもんである。
喫茶店で、何故かたこ焼きをほおばる俺と妹だった。
556 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:15:14.36 ID:f8Dw6XGu0
「お兄ちゃん青海苔ついてるよ」
「夏美だって。こいつめー!」
シャレでおでこをコツンやる。我ながらサムい。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ん?どうした?」
「今日本当にやるんだね。今まで練習した成果がちゃんと出ると思うけど、でもやっぱり心配。
失敗したらどうしようとか考えると昨日あんまり寝れなくてさ」
「夏美。大丈夫だって。大切なのは楽しむ事だぞ。うまくやろうとするんじゃなくて、楽しもうとするんだ」
「うん・・・・・・・・・あのさあ、ちょっと手出して」
「ん?ああ」
俺が手を出すと妹は俺の手をギュッと握ってきた。
妹は目をつぶって何か考え事をしてるような雰囲気だ。
妹は何か勇気を出す時にいつもこれをやる。「今の何?」と聞いても毎回はぐらかされるので
意味は今も分からないままだ。
「前から思ってたけど、これ何?」
557 :ワンダと俺と妹と(作引き出し) ◆49cq481bMY :2006/11/28(火) 15:19:55.63 ID:f8Dw6XGu0
「あたしだけのおまじない。お兄ちゃんは分からなくていいの!」
その時の妹の目はとても優しい目をしていた。正直ドキッとした。
何か、妹の中で大切な何かがあるんだろう。俺は無理にそれを聞き出そうとは思わない。
いつかは知りたいけど。
「ふふwwwww」
「何だお前は。気色の悪い笑い方をするな」
「いいもーん。元気出たし。私そろそろ時間だから行くね」
「あ、ああ。頑張ってな!」
「うん。期待してて!」
「甦る力だけはマジで頼むぞ!」
「あれ、いい曲だからラストのトリだよ!期待してて!」
時間がそろそろ近付いてきたため体育館に向かった。
妹の高校の体育館はそれほど大きなものではなく、こじんまりしていた。
しかし、これは逆にいいのかもしれない。吹奏楽の演奏を聴くのには一体感が必要だ。
これくらいがいいのかもしれない。何事もプラス思考だ。
中に入ると結構な人がいた。子供連れの親子が多い。俺は真ん中あたりの椅子に座った。
最終更新:2006年11月28日 16:47