律「(ガチャ)聡~、入るぞぉー」
聡「!!やべっ(ササッ)」
律「ん?どした?」
聡「何でもねーよ!!ってかちゃんとノックしろよな。」
律「まーまー細かいことは気にしなくていいってことよ。それより~ 今何隠した?」
聡「だっ・・だから何でもねーって言ってるだろ!!」
律「ふぅーん。そーですか、、、、とりゃっ」
聡「あっなにすんだよ!!離せよバカ!!」
律「お姉ちゃまに隠し事なんて10年早いですよ~、聡ちゅわん♪」
聡「だああああ、はーーなーーせーよーーー」
律「見ーーーせーーーろっと。ほいゲットだぜっ。って・・・ん?」
律「なんでお前がこんなの持ってるんだ?」
律の手には1枚の写真が握られていた。
― 太陽が照りつけるあまり人気の無い浜辺で、ピンクの水着を
着た少女が満面の笑みでこちらにピースサインをしている ―
それに続く言葉を律が発する前に、聡は思いっきりドアを叩きつけて部屋を出て行ってしまった。
普段は温和な性格の弟が見せた凄まじい怒りの動作に、律は少しだけ反省するようにこう呟いた。
律「そーゆーことかぁ・・・」
そしてその夜
律「なぁー、何度も謝ってるじゃんかー。いい加減口きいてくれよー。」
聡「・・・・・」
律「(しゃーねーなぁ。こーなったら)ガバッ
あっしが悪ぅございました。!!どうかお許し下せェー聡さまぁー!!ジョリジョリジョリ・・・」
聡「(うっわ、土下座しながらデコを床に擦り付けてる)
わわ、わかったよねーちゃん!俺もう怒ってねーよ。うん。」
律「ふぅ~、良かったー。(痛ェよー)」
聡「何やってんだよまったく。」
律「で、さっき言おうとしたんだけど。唯のこと、好きなんだね?」
聡「・・・・・・・・・・・・あぁ。」
律「ねぇ教えてよ。唯のどんなところが好きになったのさ?」
聡「うーん・・・・・・かわいいとこ・・・・・・・かな。」
律「(何だかコイツも唯みたいな奴だな) でもさ、あんたと唯って会ったことあったっけ?」
聡「何回かねーちゃんとこの軽音部の人たちがうちに遊びに来たじゃん?それでその時に。」
律「そっかー。それで、唯となんか喋った?」
聡「あんまり・・・・」
律「じゃあさー。唯を誘ってどっか遊びに行ってくればいいじゃん。2人きりで。」
聡「そ、そんなことできるわけねーだろ!!まだ数回しか会ったことないのに。
なんか・・・・不自然じゃん。俺から誘ったら。」
律「かーっ、情けねー奴だなぁお前はー。お姉ちゃんはそんな子に育てた覚えはないぞ!!」
聡「育てられてねーよ。」
律「いいか聡、女の子をモノにしたいんだったらなぁー、強引にいかなきゃダメなんだよ強引に。
ましてや相手が唯だったらなおさらだ。あんな鈍さの塊みたいなもん、
ひ弱な体当たりじゃポヨーンって跳ね返されるだけだぞ!!」
聡「そ、そうなのか・・・・」
律「そうだ。まあかわいい弟のためだ、今回はあたしが手伝ってやるよ。」
聡「ほんと!?」
律「おうよ!!桜高軽音部の頭脳であるこの私に任せておけば不可能は無い!!」
聡「あ、ありがとう。ねーちゃん!!」
律「しかしなんだなぁ~。まさか唯があたしの義理の妹になるとはなぁ~。人生どうなるかわかんねーなぁ~。」
聡「はえーよ。」
数日後、平沢家
唯「あれれーおかしいなぁ~、またピックが無くなったよー。」
憂「お姉ちゃん、本当にちゃんと探したー?」
唯「うん。自分の部屋はちゃんと探したよー。おかしいなぁ~。」
憂「お姉ちゃんごめんね。わたし夕飯の買い物に行ってくる。帰ってきたら探すの手伝うよ。」
唯「ありがとー憂。大丈夫だよ。見つかんなくてもまた買えばいいんだし。」
憂「わかった。じゃあ行ってくるねー。」
唯「行ってらっしゃーい。」
唯「・・・・・本当にどこいったんだろうなー。」
♪チャッティナガチデカシマシネーバ・・・♪
唯「およ、メールだ。りっちゃんからだ。なになにぃ~。」
唯「遊園地・・・・招待券が4枚手に入った・・・・
今度の休み・・・・澪ちゃんとりっちゃんの弟も・・・・」
唯「うっひょー!!行く行く!!行きますともー!!」
唯「ゆっうえんちー、楽しみだなー。」
日曜日の朝、田井中家
聡「じゃ、行ってくるわ。」
律「おーう、行ってこい。健闘を祈る!! そーいや聡ー。」
聡「ん?なーに?」
律「○○○はちゃんと洗ったかぁー!?(笑)」
聡「ばばばバカ!!オメーは何言ってんだよッ!!!!」
律「ハハハ、冗談だってば。」
聡「うぅ・・・・もう行くわ。」
律「がんばれよ~、ちゃんと唯を楽しませてこい!」
バタン
律「あいつ、大丈夫かなぁ~」
遊園地、入場ゲート前
聡「遅いなぁー。ちゃんと来てくれるのかなー。しかもなんか雨降りそうだし。」
唯「ったはー!!やっとこさ着いた!!たしかゲートの前で待ちあわせなはず・・・・あれ?」
聡「まさかスッポカシとかはないよな~。」
唯「りっちゃんも澪ちゃんもいないなぁ~。おっあれは、りっちゃんの弟!!」
聡「うーん・・・・・(トントン) ん?」
唯「やっほー」
聡「うわあああ!!!!」
唯「うわあーとは失礼ナ!まぁそりゃあちょっと遅刻はしたけど・・・。」
聡「ごごごめんなさい!!あ、お、おおはおはようございます!!」
唯「うん、おはよう!!ねーねー、そういえばりっちゃん達はー?」
聡「あ、ねーちゃんと澪さんはその・・・・今朝急に用事が入ってしまって、来れなくなっちゃったんですよ。」
唯「ほえ?そーなの?」
聡「はい。本当ならみんなで行くの延期してもよかったんですけど、この招待券の有効期限が明日までなんで
無駄にするのもったいないからってねーちゃんが。」
唯「そーなんだー。それじゃあ仕方がないよねー。」
聡「あ、そそそその・・・だから・・・・・・」
唯「?」
聡「きょ、今日は、よろしくお願いします!!」
唯「うん。よろしくね聡くん!いっぱい遊ぼうね~。」
聡「聡・・・・くん・・・・・」
遊園地、夕方
唯「ねぇー。最後に観覧車乗ろうよー、観覧車!!」
聡「ま、まだ遊ぶんですか・・・・(ゼエゼエ)」
唯「そりゃあ~、遊園地に来たからには全アトラクション制覇せねば!!」
聡「は、はあ。」
唯「ほらほら、早く行くよ~」
聡「あ、待ってくださいよ!!」
~
一周する時間はたった数十分なはずなのに、なぜか何時間にも感じた。
ちょうど一番高い位置に来たとき、ふとフラチな考えが頭をよぎったが
そんなことは実行できるはずもなかった。
今日一日、自分は何をしていたのかよくわからない。
2人でどのような会話をしたか、どーゆーアトラクションに乗ったのか、
お昼に何を食べたのかもよく覚えていない。
ただそばにその人がいて、自分に笑いかけてくれているだけで、それだけでよかった。
高鳴る心臓の音を感じながら、聡は向かいに座るその人の笑顔をただ見つめていた。
~
遊園地の最寄り駅、夜
唯「あー今日は楽しかった~」
聡「そうですねー。」
唯「・・・・・ありがとうね。聡くん。」
聡「え?」
唯「わたしにはちゃんとわかったよ。聡くんが一生懸命わたしを楽しませようとしてくれていたこと。」
聡「い、いや・・・・別に俺はそんな何も・・・・ハハハハ・・」
唯「本当にありがとう。また来ようね~」
聡「は、はい。是非!!」
唯「じゃあね~。」
― 二人は方向が違うため、別々の電車に乗った。―
田井中家
聡「ただいま~。」
律「おおー、聡二等兵!!どうだ、任務は無事遂行できたか!?」
聡「うん。まあ楽しかったよ。たぶんねーちゃんの期待してたことは起きてないけど。」
律「だろうな~。だってお前ら、メルアドの交換とかもまだしてないんだろ?」
聡「は、しまった!!一日中緊張しっぱなしでつい・・・・って、なんでねーちゃんがそんなこと知ってるんだよ!」
律「だって~、ほら、さっきわたしのケータイに」
満面の笑顔で律が見せたケータイには、一通のメールが表示されていた。
一見、絵文字がやたらと多いそのメールには
聡への感謝の言葉の伝言と、聡の連絡先を教えて欲しいということが書かれていた。
律「よかったなー二等兵。」
聡「なんだよ二等兵って。」
律「ふふふふーん。」
聡「気味わりーなー。」
律「ふーんふふーん。」
舞い上がるような気持ちを抑えて精一杯クールに装うとする弟を見て、
律はただ鼻歌を歌っていた。
数ヵ月後
聡「はあ、はあ、ご、ごめんなさい!!」
唯「もーう!聡くん遅いよ~。誘った人が遅れるってどーゆーことぉ?」
聡「うう、ゴメンナサイゴメンナサイゴm・・・・・」
唯「じゃあねー、遅れた罰として、アイスいっぱい奢ってもらうからねー。
あと、お化け屋敷に1人で入ってくること!!」
聡「ひ、1人!?1人ではシャレにならないです!ご勘弁を~」
唯「へっへっへ~」
先に入場口をくぐったその人の背中を見つめて、聡は改めて心に誓った。
聡「今日こそ決める!!」
おわり
最終更新:2009年10月03日 16:24