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正統派さとみお・・・と見せかけて

 
窓の曇りを手で拭くと、ひんやりとした感覚が伝わって来た。外は相当寒いんだろう。
辺りは田んぼが広がっている。10cmほどに刈られた稲の跡が規則正しく並んでいて、子供の頃に踏みつけて遊んだ事を、聡は思い出した。
終点まではあと5駅。しばらくは自分の他に、2歳くらいの子供とその母親が乗っていたが、親子は2つ前の駅で降りていったので乗客は一人になった。この先は家もあまりなさそうだし、乗ってくる客は多分いない。

揺れが眠りを誘う。列車が止まるたびに目を覚ましたが、終点ではなかった。
駅の間隔がどんどん長くなるように感じたが、眠りを挟んだせいかもしれない。

もうすぐ終点というアナウンスで目を覚ました。暖房が弱かったので寒気がした。
外を見ていると集落に入ってすぐに列車は止まった。荷物を持って出口へ向かう時、ついにここに来てしまったな、と思った。
列車を降りると湿気を多く含んだ空気の匂いがした。駅員に切符を渡すときに海はどっちかと訊いた。
ここに来たのは澪姉さんが見た冬の海を見たくなったからだ。

駅を出ると道が線路と平行に走っている。
駅員に言われた通りにその道を線路がない方向へ歩き出した。
近くにベニア板に手書きで書かれた地図があったが住民の名前ばかりで海は書いてなかった。
あたりは古い家ばかり、店らしいものはなかった。

澪姉さんもこの道を通ったんだ。
何を思いながら歩いたんだろう?

去年の冬のこと
「今日は夕飯いらない。さっきハンバーガーを食べたばかりだから。」
姉と一緒に映画を見に行った日曜日。日が暮れた後に帰宅してきた姉がそう言った。
そして、母が何か言うのも聞かず2階の僕の部屋にやって来てその日の出来事を話し始めた。その時に冬の海に一人で行く澪姉さんの話をした。
「詩を書くために海に行って来たんだとさ。」
昔からよく知っている人だったが、冬の海に一人で行くのは意外な気がした。
他にも猫がどうとか髪型がどうのこうのとも言っていたが、海の話だけがずっと頭に残っていた。僕の知らない澪姉さんがいる気がして。

駅から少し離れると、畑が広がっている。
無人野菜売り場の横に、知らないメーカーの自動販売機がぽつりとあった。
そこでココアを買った。缶を捨てるところが他になさそうだと思い、その場で飲みきることにした。
飲んでいると遠くのほうに犬の散歩をしている人が見えた。町の住人を見たのはその時だけだった。
ここに来ようと決めたのは先週のこと。

学校帰り、降りる駅が近くなって来たので、携帯のゲームを切り上げて窓の外を見た時、
このまま乗っていれば海まで行くよな、
と思った。
そこで海に行った澪姉さんの話を思い出した。
時が経てば、思い出す事もなくなるだろうと思っていたが、それは外れだった。
再び冬になったことで、最近は頻繁にその時の姉の話の記憶が蘇って来る。
行ってみよう、この目で見てみるべきだ、
そう思った。

海が見えて来た。
波はなく、静かな海だった。空は厚い雲が覆っていた。
座るのにちょうどいい岩があったのでそこに座った。
しばらく海を見ていた。時々鳥の鳴き声がした。

澪姉さんはこの海を見ながら詩を書いたんだ。
どんな詩を書いたんだろう。
澪姉さんの書く詩をいくつか思い出してみたが、そのイメージとは全然違う風景が目の前にあった。
自分の壁を打破しようとしてここに来たのかもしれない。
そう思うと、澪姉さんに少し近づけた気がした。
いつか、ここで書いた詩を見せてもらおう。
でもきっと恥ずかしがって見せてくれないだろうな。

4時半を過ぎるとうす暗くなって来た。

自分だったらどんな詩を作るだろうか
思い浮かんだのは姉の顔だった。
やっぱり自分はお姉ちゃん子だな、と思った。
次に大切な人は…


携帯が鳴った。姉さんからだ。
今、海に来ていることは言わないでおこうと思った。
言ってしまうと何かが逃げてしまうように感じたからだ。

聡「もしもし。」
律「ああ聡、今、ムギのバイト先で澪と一緒にいるんだけど、前貸した《潮騒》は読んだのかと怒っていらっしゃる。澪に替わるな。」
澪「感想ぜんぜん言いに来ないじゃないか」
聡「ああ、忘れてた。」

近くでバイクの止まる音がした。誰か来たのだろうか。

唯「もしもし聡君?」
聡(唯さんもいるのか)
唯「また遊園地行こうねー。」
聡「ああ、また是非…」
聡(遊園地楽しかったなぁ)
梓「聡君?」
聡(梓さん…)
梓「文化祭での事、忘れないよ。」
聡(梓さんもいるんだ、え、今その話をされると…)
憂「聡君、あのね。」
聡(あ、う、憂さん…)
憂「聡君、鍋パーティーで言った事覚えてる?」
聡(げ、憂さんまで…)
律「こら聡、泣かしたら承知しないと言ったよな。」
聡(ああああ、何という展開!!)

語りあう斉藤とさわ子
斉藤「さわ子さんと見ていると冬の海もいいもんですね。」
さわ子「私もです。」

電話
いつ店に来てくれるのよ?制服姿が見たいっていったじゃない。
遊園地が先だよー。
ニートはおだまり!!
遊園地に行くだけでニート?!
お姉ちゃんはやるときはやる人ですけど聡君と遊園地に行くならニートでいいです。
そんなぁ…
このリボンも聡君からのプレゼント。私こそが聡君の彼女。
そうは行くか、私は入学前から付き合ってるんだ。
とりあえず、聡君の布団の中に入ってみました。な私が勝ち組ね。

浜辺をランニングをする新庄とイチロー。
新庄「おう聡、なんか大変だな。」
イチロー「冬でもトレーニングは欠かしません。あ、聡君、姉がよろしくと。」
聡「純さんまでぇえ!」

電話
私は文化祭でキスしたもん。
文化祭は時間設定がずれてるだろ!無効だ無効!
関係ないです!
よし、こうしよう、最初にやった奴が勝ちだ。

・・・・・・・・・・・


姉としてその発言はどうなのよ!
だいたいあんたは発想が単純なのよ!
和ちゃんかっこいいー。
聡、澪姉ちゃんとも今度どっか行こうな。
ああ、抜け駆けは許さん。聡君、またお料理作るから食べに来てね。
貸せ!聡君、私この時間のシフトに入ってるから是非来てね。
お前は仕事に戻るです。聡君。文化祭の恋愛占いの結果信じていいのね。
あーん、私の電話。

純「聡君。」
聡「純さん?!なぜここに?」
純「イチローの練習には陰から見守るのが姉の役目。
  あと、聡君ひどいわ、私以外にもいろんな人に…。私はまだ日が浅いからいいけど。」
聡「これは、だれかが勝手に作った話で、でたらめです。僕は純さんのことを一番に思ってます。」
純「うそよ、聡君がそんな人だとは思わなかった。どうせ私は捨てネコなのね。さよなら。」
聡「ああ、純さーん。」

斉藤「今、新しい商売を始めようと思っているんです。さわ子さん、付いて来てくれますか?」
さわ子「斉藤さんと一緒ならどこへでも行きます。」

電話
お前ら!!私は聡君とlamyのシャーペンがお揃いなのを忘れるな。
私はけん玉もらったんだぞ。手取り足取り教えてもらったんだ。
プレゼント交換でたまたま当たっただけだろ。私には聡が自ら本を借りたいと言って来たんだ。
どうせ読んでないんでしょ。澪さんはその程度の女です。
なんだと!私は聡とは長い付き合いなんだぞ。
で、私と聡君のSSはいつでるの?
うるせー!めがねは黙ってハンバーガー食ってりゃいいんだよ。

イチロー「次はダッシュ30本だ。浜辺はきついぞ。」
新庄「やるねえ。」

(ハーレーの陰から)
純「イチロー、頑張るのよ。」
聡「純さーん。誤解ですー。」
純「近寄らないで!」

聡君聞いてるの?
あ、はい、聞いてます。
だいたいお前は百合キャラだろ、辞退したらどうだ。
お姉ちゃんだって、私がいなくちゃ弁当の一つも作れねーだろ。
姉としてこの光景はなかなかのもんだな。
もとはといえば、お前が聡と映画に行くからだろ。責任とって聡5つ子にしろ。
ああ、カオス!!

とりあえず《潮騒》を読もうと思った。

終わり

あとがき
斉藤さんのバイクが全部悪い。
最後の方、キャラ崩壊しすぎで、しゃべり方がよくわからん。
電話が鳴った以降を正統派さとみおで読みたい。誰か書いて。
最終更新:2010年01月19日 14:41
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