選好逆転現象

判断による選好順序と意思決定による選好順序が一致せず,逆転する現象のこと。
これは判断と意思決定の結果が,それぞれ,ある一定の選好を単純に表現しているのではなく,
判断や意思決定に伴う反応のモードが選好の順序などに影響を及ぼすことを示している。

選好逆転現象が見られた実験の一例を以下に示す。


  • 選択課題
選択肢の中でどちらがより好ましいかを選択させる課題。

(具体例)
以下の対策案のうち、どちらがより好ましいか。

    交通事故死者 費用
対策案A 500人 5500万ドル
対策案B 570人 1200万ドル


  • マッチング課題
選択肢が等価になるように抜けている部分を推定させる課題。

(具体例)
以下の対策案が等価になるように「?」を埋めよ。
交通事故死者 費用
対策案C 500人 ?ドル
対策案D 570人 1200万ドル


選択課題において,AとBのどちらかを選択する。
「死者数が少なく,費用もかからない対策のほうが良い対策である」と仮定して,
死者数の少ないAを選んだとする。

次にマッチング課題において,「?」の部分を「4000万」といれたとする。
すると,等価になるように抜けている部分を埋めていると考えられるので C=D -① となる。

CとAを比較したときに死者数は同じだが費用はCの方がかかっていないので,仮定により CをAより選好する -②
また,BとDは数字が変わっていないため B=D -③

①,③より BとCは等価であり,BはAより選好されていると考えることができる。
よって,最初の選択課題においてBよりAを選んだことと逆転した選好が見られたという現象が起きていることがわかる。

これは手続不変性からの逸脱と考えられている。
また,選好逆転現象には推移性の逸脱として考えられているギャンブル課題もある。
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最終更新:2012年05月24日 00:18
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