竹村(1994)が提案した、“状況に依存して注意の焦点化が変化すると考える数理モデル”である。
フレーミング効果が
意思決定者の注意に依存することを仮定している。
このモデルでは、注目を受けた属性のウェイトが高まることを仮定しており、
意思決定者が注目する属性が言語表現によって変わると仮定する。
■状況依存的焦点モデルの基本仮定
このモデルでは、フレーミング効果が現れるのは必ずしも
参照点が変化するためではなく、
結果の価値と不確実性への当て方が状況によって変わるために生じると考える。
そして、ポジティブ・フレーム条件では「可能な結果の価値」よりも、
「確実性」に相対的な重みをかけるためにリスク回避になり、
ネガティブ・フレーム条件では「不確実性の減少」よりも、
「可能な結果の価値」に相対的な重みをかけるためにリスク志向になると考える。
■状況依存的焦点モデルの数理的表現(編集中)
状況依存的焦点モデルの前提
- 状態集合Θ={θ1,θ2,θ3,・・・,θi,・・・}
- 結果集合X={x1,x2,x3,・・・,xj,・・・}
- 確率の集合P={p1,p2,p3,・・・,pj・・・}
- 選択肢集合A={a1,a2,a3,・・・,aj,・・・}
A⊂X×P
状況依存的焦点モデルでは,
ポジティブ・フレーム条件での価値を
ネガティブ・フレーム条件での価値を
で表現する。(竹村1994)
つぎに、
弱順序性を満たす
選好関係
と

を、それぞれ、
ポジティブ・フレーム条件における選好関係、ネガティブ・フレーム条件における選好関係とする。
ここで、各フレーム条件において、すべての属性の値について、
一方の属性の値が他の属性の固定された値と独立であることを仮定する。
すなわち、任意の

に関して、
ただし、

である。
以上の仮定と選好関係

の弱順序性、X×Pの同値類が順序稠密な加算部分集合を持つという仮定により、X、およびRe×Re上で定義される以下のような関係を示す関数

が存在することが導かれ、さらに、これらの仮定は以下の関数の存在の必要十分条件であることがわかる(Krantz et al.1971)。
すなわち、任意の

に関して、
![\Leftrightarrow{U_i}[F_i(x_i),G_i(p_i)]\geqq{U_i}[F_i(x_2),G_i(p_2)]](http://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chf=bg,s,ffffff00&chco=000000ff&chs=25&chl=%5CLeftrightarrow%7BU_i%7D%5BF_i%28x_i%29%2CG_i%28p_i%29%5D%5Cgeqq%7BU_i%7D%5BF_i%28x_2%29%2CG_i%28p_2%29%5D)
、
ただし、

は、その各引数の単調増加関数である。
上式は、フレーミング効果を説明する状況依存的焦点モデルの一般形である。
最終更新:2012年10月18日 14:32