夕暮れ時。廃ビルの隙間で、オレはコンクリートと鳥の糞混じりの雪を舐めていた。
鼻が潰れて、胃はゴボゴボ湧き、手足は全部あらぬ方向に折られて痛み、
やっと一発殴ってやった拳は大して聞いた様子もなく、こっちの手首にダメージがいく始末。
朦朧として立ち上がることもできず、膝と顔面を支えにケツだけを空に向かって突っ伏している。

体格、運動能力、鍛錬、経験。あらゆるものを持たざる者が無謀な格闘戦を挑んだ末の、当然の帰結。
それが、オレ一人の闘いの限界であり、現実だった。

ゴツリ、と奪われた拳銃が後頭部に突きつけられるのを感じた。


「……死にたくねえ」


――嗤っちまうぜ。一度死んだオレがもう一度死ぬ時、同じこと言うんだぜ。
一度死んだオレが、聖杯戦争とやらで生き返されて、
それから1分もしないうちに別の主従に襲われて――。

オレの引いたサーヴァントが"魔術師(キャスター)"で、
いまオレの頭に拳銃突きつけてる奴のが"槍兵(ランサー)"だってのが最悪だった。
キャスターってクラスは、周到に準備を整えてようやく他と互角にやり合えるクラスだからだ。
だがそれでも、キャスターがランサーを引き付けて逃げてくれたのは、あの時点では最善だった。
必然、残ったのはそのマスターたちで、当然のように直接対決にもつれこんだ。

奪われたはずの拳銃がなぜか手元に戻ってきていたのに気づいた。
オレはとっさに銃を向け、引き金を引いた。
だが奴は、拳銃の弾道が見えていたかのように掻い潜り、
ついでと言わんばかりに拾い上げた棒切れでボコボコにされて、このザマだ。
こいつ、素人じゃねえ――。
糞っ、糞っ――。

    ◆ 

『オマエ…まだ
 オレがタイムリーパーだと思ってんのか?』

『オレは――』

花垣武道。オレの全てを奪った男。そして、オレのヒーロー。
オレの全てとは、橘日向という女。
オレは勉強だけは誰よりもできた。だが、誰もがオレを遠巻きに眺めて、神童と持て囃すだけだった。
橘日向。あの女だけだった。そんなオレにまっすぐな笑顔を向けて、褒め称えてくれたのは。
だからあの女は、オレのことが好きに違いないと、無邪気にもそう思っていた。

そこに花垣武道が突然現れ、橘日向の心を奪い去った。
日本一の不良(ヒーロー)になると、屈託なく笑うあいつが。
だったら、オレが花垣武道を乗り越えて、日本一の不良になれば橘日向を取り返せると思っていた。
上背もなく、運動神経も人並みで、格闘技の経験もないオレがケンカでトップに立てるとは考えられない。
カリスマと腕力を兼ね備えたトップの頭脳(ブレーン)になることが唯一の道だった。

そうなるための情報を集めるのさえ命がけだった。
オレの足より太い腕をして、虫を叩くように人の顔に全力の拳を向ける、不良ども相手の情報集めだ。
機嫌を損ねれば割り箸のようにへし折られる。出会った時点で不機嫌だったら即アウトだ。
そうして渡り合っていくうちに、多少なりともナメられないための外面の繕い方を学んだ。

何より大事なのは、笑顔。余裕の象徴、笑顔を常に絶やすな。
この世界、余裕がないと悟られれば、舐められ、脅され、殴り合いになり――そうなればオレは即死。
メガネはアッパーリムの厳ついデザインに、肌は日サロで焼き、
髪は染めてツーブロックで刈り上げて、ワックスでソフトモヒカンに。
チームの特攻服(トップク)を着込んでようやくそれなりに"らしく"なった。

収穫もあった。どうやらオレは、人の心を読む才能があるらしい。
いや、才能というよりは、地雷原を歩くような情報集めの過程で、必然的に身についた技能というべきか。
お陰で、人の感情――それも不満、憎しみ、恐怖といったマイナスの感情は、事前の情報が十分にある相手なら、
表情や仕草で、わかるようになった。だいたい、アナログ温度計を読むくらいの精度だろうか。

ともかく情報は集まった。
"無敵のマイキー"こと佐野万次郎は傀儡の候補として、うってつけだ。
集めた情報を元に、やつを10年掛かりの緻密なプランで東京の不良どものトップに立てる。オレがその頭脳となる。
まずは適当なケンカ馬鹿をトップに立てて、適当な組織を持ち上げる。
新宿で燻っていた愛美愛主(メビウス)が条件に合っていた。

組織が拡大してきた所でマイキーがトップを張る東卍(トーマン)の幹部にちょっかいを出させ、
刃傷沙汰となる状況をつくる。そうなれば儲けもの。刺された方は死ぬ、刺した方は逮捕(パク)られる。

俺は適当なタイミングで東卍に潜り込む。愛美愛主(メビウス)の構成員ごと連れ込めば、文句は抑え込めるはず。
東卍に潜り込んだ後もやることは変わらない。
オレには半間(ハンマ)という協力者がいる。そいつともウラで通じて抗争を起こす。
怪しい奴だが、腕が立ち、頭も回る。協力の理由は「俺が死ぬまで教えない」という。
オレのことを舞台を転がす玩具(オモチャ)として見ているのだろう。
だが癪だが、アイツなしだと詰んでいた場面も多い。

とにかく東卍に敵をけしかける、どさくさ紛れで幹部候補を刺す。
その繰り返しだ。マイキーがトップ、その参謀としてオレ。その状態を維持しつつ、組織を拡大。
ずいぶん長いスパンの計画だが、こうして東京のウラを一手に収めた組織は
もはや不良組織のスケールに収まらない、日本一のマフィアだ。
傀儡のトップの陰でオレがその実務を一手に担うなら、実質ナンバー1の不良だ。
橘日向もきっと振り返ってくれるはず――だった。

違和感を感じたのは、東卍のナンバー2、ドラケンこと龍宮寺堅を何とかして消そうとした時のことだったか。

マイキー派とドラケン派の分裂による内部抗争の火種が思うほど燃えなかったところまでは、予想の範囲内。
二の矢として東卍三番隊の林良平を引き込んでマイキーにけしかけ、
さらに半間を通じて愛美愛主(メビウス)を操り、東卍と抗争を起こしたまではいい。
かねてからドラケンに不満を抱いていたキヨマサが、乱戦に紛れてドスで刺すまではうまくいった。

問題はその後だ、奴が、タケミチが――抗争の只中にも関わらずドラケンを担いで逃げ出したという。
あのオレと互角にケンカが弱いタケミチが、だ。
乱戦となれば真っ先に殴り倒されてるであろう、あいつが。
ドラケンが刺されることを予見して見張っていた、としか思えない。
そう、予見だ。
タケミチは未来を予見していた。タイムリープしていたのだ。

オレの計画書は修正を余儀なくされ、実行の度にタケミチに潰された。
何度、詰みの状態に追い込んでも、アイツは体張って気ぃ張って、命張って、引っくり返してきた。
いたちごっこだ。タイムリープなんて主人公(ヒーロー)補正もいい加減にしろ。

いや――ヒーローに育てちまったのは、アイツを幾度となくピンチに叩き落とした、オレ自身だ。
もはやアイツは、橘日向を奪った憎きヒーローではない。
オレ自身さえリスペクトするしかねえ、正真正銘のヒーローになっちまった。
こんなやつを敵として育て上げた、オレの役目はもはや道化だ。
――それでも、橘日向だけは、諦めるつもりはなかった。

    ◇

ずいぶんと長い回想の猶予をくれた。
お前のサーヴァントが死ぬのを確認してから殺す、と槍兵のマスターは言う。
初陣の慣らしでもするつもりか。
それとも、キャスターの豊富な魔力で顕界を維持され、後から報復を受けると踏んだか。

令呪を使おうにも、体勢を変えて銃を口に含まされた状態では不可能だ。
オレの首をロックするもう片腕はオレの両手でもびくともせず、
その気になれば絞め落とすどころか首をへし折ることさえ容易そうだ。

で、キャスターはといえば、ランサーの苛烈な攻撃からひたすら逃げ回り、躱し続けている。
コバルト釉薬を思わせる青いロングヘアがなびき、身に纏うのは銅釉薬を思わせる緑のエプロンと頭巾、
そして黄土色のワンピース。
一見すれば美大の工房から抜け出してきた、ただの女にしか見えない。
ひたすら追いかけっこを続けているキャスターとランサーの通り過ぎた先には、
クッキーのように砕かれた廃ビルの残骸が山と積まれていく。

程なくして、廃ビルはきれいさっぱりと解体された。
逃げ隠れする遮蔽物はもうない。
瓦礫の上で膝を着くキャスター、その鼻先に穂先を突きつけるランサー。
オレと、ランサーのマスターが決着を予感したその瞬間、
キャスターは両手で足元を素早くなぞった。瞬間、瓦礫が光を放った。
瓦礫から発せられる赤い炎の弧が視界に焼き付く。
そのキャスターの両手にはペンのようなものが何本も。――いや、アレは彫刻刀と造形ヘラか?

火は瞬く間に収まった。そして代わりに現れたのは、"もう一人"の姿――と、小さな、いくつもの形象埴輪だ。
"もう一人"は――鎧こそ纏っているが、若い女、いや、娘だ。オレと大して変わらない歳に見える。
マトモに戦えるのか? と、思う間もなかった。出現した瞬間、そいつはランサーに頭を貫かれたのだ。
だが、そこでその"もう一人"は――その穂先を素手でつかんだ。
頭部の半分を砕かれ、がらんどうの中身を晒し、それでも歯を食いしばりながら。

"もう一人"が穂先を掴む隙を見逃さず、取り巻きの形象埴輪がランサー目掛けて弓矢を構えた。
不利を判断したランサーのマスター。未だオレの口に押し込まれたままの銃の、引き金を引く。
死ぬ。

死にたくねえ――その一心なのは、今も、そしてついさっきもだ。
死に瀕した人間が考えるのは、だいたいそれだ。
時には死に至るほどの暴力が、オレたち無法者の日常だ。よく知っている。
死にたくねえ――のは、なぜか――オレの場合は橘日向を手に入れるため――だが、無理だ。
無理だと、知っている。なぜ――。

死にたくねえ、のちょっと前だ。
タケミチに拳銃を突きつけた、その時の言葉。


『そしてオレは 晴れて橘日向と添い遂げる』

『なのにテメェは何度オレの邪魔をした? あ!!?』

『何度タイムリープした!!? あ!!?』

『フラれた腹いせに…… ヒナを殺してたのか? 何度も 何度も』


タケミチのあの言葉が事実なら、オレはタケミチの見たどの未来でも、橘日向にフラれ続けていたことになる。
オレ以外に橘日向は殺させない。あいつにフラれて誰かに渡すくらいなら、殺す。
そうとも宣言した。つまりオレが殺していたに違いない。
フラれたというのなら、告白まで済ませており、それはつまり、
オレが日本一の不良になっていたということに他ならないはずであるのに、だ。
なぜだ――橘日向、花垣武道――!

なぜという疑問が頭を過ると同時、オレの体は動いていた。
ランサーのマスターが引き金を引く瞬間、オレは左手で銃身を、右手でグリップを掴んだ。
、とにかく致命傷は避ける。――死にたくない。――死ねないのだ。"なぜ"かも知らないうちに。
全力、渾身の力、キャスターたちの予想外の行動で奴の腕がわずかに緩んだことも功を奏した。
銃撃はオレの左奥歯と頬、左手の薬指を吹き飛ばすに留まる。
銃の反動で腕がほどける、銃そのものも両者の手を離れ、明後日の方向へ。

ランサーは槍を手放し、埴輪どもが放った矢をかわし、こちらに向かう。
キャスターが再び彫刻刀を手に炎の軌跡を瓦礫に描く。湧き出る騎兵の形象埴輪たち。
犬並みのサイズでしかないそれらを、ランサーは文字通りに一蹴する。
槍を放り出した"もう一人"が、砕けた顔面の破片がこぼれるのも構わずに追いすがる。
だが、ランサーとそいつは同速――追いつけない。

オレはといえば、ランサーのマスター相手に、さっきよりなお不利な格闘戦。
バックマウントを取られていた。銃で穴の空いた頬を更に引き裂かれていた。
バリバリと肉が裂ける音が、顔の中から聞こえる。
両腕は足で抑えられている。

ボン、と音が聞こえた。ランサーの全速力、全力の拳が、音の壁を容易く突破し、迫る。
素手とはいえ、その身体能力はオレの顔面をミンチにして余りある。
不良どものケンカじゃないのだ、これは。気合で耐える、耐えないの問題ではない。

体が宙に浮く感覚があったのはその時だ。オレは自らの死を悟ったが、違うらしい。
オレも、ランサーとマスターも、誰もが落下――いや、引きずり込まれている。
どこへ――? キャスターだ。キャスターの纏う、炎の中に、地面そのものが引きずり込まれている。
一心不乱に両手を振るうキャスターの両腕の中に、地面が蟻地獄のように吸い込まれていき、
彼女の纏う炎はますます高く燃え盛る。

ほどなくキャスターの炎の中から、元の廃ビルに並ぶ高さの、巨大な人型形象埴輪が誕生していた。
太い脚と胴を持つそいつは、力士型。
力士の偶像が脚を振り上げる。遊園地のフリーフォール宜しく、ランサーが空高く跳ねあがる。
そこへ"もう一人"の少女が飛び上がり、セラミックス製の直剣を一閃。ランサーの首を刎ねた。
そしてそのマスターはといえば、いつの間にか何本も脳天に矢が生えていて、その自慢の腕も力なく垂れ下がっていた。

    ◇

「おい、この指こんな雑にくっつけて大丈夫なものなのかよ」

「耐用年数は少なくとも100年を想定しているぞ。
 そのちぎれた指と奥歯だけの補修で良いのか?」


まったく、気味が悪い。
戦闘を終えてこのキャスターが行ったのは、傷の手当て。
つまりはオレの千切れてどっか行った左薬指の義指と、左奥歯の差し歯の作成だ。それはいい。
材料はそこらの瓦礫や土のハズなのに、あっという間に元の指や歯とソックリに造ってみせた。それもまだいい。
その指や歯を雑に差し込んだら、数分の間にオレの体に馴染んだのだ。
その指は思い通りに動き、感覚も戻っている。
おまけに奥歯は"もう一人"に羽交い締めにされながら無理矢理素手でねじ込まれた。
気味悪ぃ上に、屈辱だ。


「今のうちに全身を私の造った体に置き換えないか?
 外見はそのまま、出力も強度も今とは段違いのものが造れる。お前は戦いが不得手なようだ。
 いまのうちに打てる手は打っておくべきだと思うが?
 聖杯戦争の後の心配も無用だ。サーヴァントととしての枷があるとはいえ、老いとも病とも無縁で、
 お前の魂が腐り果てるまでの間くらいは問題なく動くものができるだろう」

「……いらねえ」


オレだけ不老の体になったら、橘日向と"添い遂げる"ことはできねえ。
それ以前に世間で生きてくこともままならねぇ。
このキャスター、"使える"ようだが、常識が決定的にズレてやがる、


「そうか、気が変わったらすぐに言ってくれ」


気味が悪いといえば、キャスターによって造りだされた"もう一人"。
見れば古墳時代か? ってくらい古くせえ鎧を着ている。
ついさっきランサーの首を飛ばした剣は、細長い埴輪の鞘に収まっている。
問題はそいつの年格好が、オレや、タケミチや――橘日向とも大して変わらない若い女、ということだ。
オレたちの傍らで静かにひざまずき、次の指示を無言で仰いでいる。
あのランサーの槍によって砕かれた顔面の半分は、ひとりでに修復し、既にひび割れがうっすら残るのみだ。


「良い出来だろう? 彼女の名は杖刀偶 磨弓(じょうとうぐう まゆみ)。
 偶像を司る神である私の、最高傑作(マスターピース)だ。
 さっきからずっと見とれているようだな、無理もない。
 外見だって人の好みを鑑みた上での、最高の出来栄えなのだから」

「……こんな女、全然好みじゃねえよ」


痛みも、ケガも恐れずに戦うパーペキな兵隊(ソルジャー)。ケンカするなら、誰もがそう在りたいと思う。
アタマ張るなら、誰もが従えたいと思う。オレだってそうだ。
だが実際に平然とそれをやってのけるコイツは――ターミネーターさながら。
どう見ても中坊くらいの女だが、不気味の谷のドン底にはまり込んでいる、ロボットだ。


「……ほう? 気に召さなかったか。だったら新たに、お前好みの姿の埴輪を造ってやろうか?」

「それだけは、絶ッッ対ェェにやめろ!」


なぜ橘日向は振り向かなかったのか。
オレはあの時、横断歩道無視のトラックに跳ねられなければ、日本一の不良(ヒーロー)になっていたはずだった。
タケミチの証言によれば、そのオレを、あの女は何度となくフッたらしい。
タケミチに、少なくともその理由だけは訊かなければならない。
予感がするのだ。タケミチはきっとここにいる。
いないなら、聖杯奪って呼び出してでも聞き出してやる。
いや、そんな苦労を背負うくらいなら聖杯への願い事は、橘日向を手に入れる、で構わないのか?
――だが、無理矢理に分獲った女は、果たしてあんな笑顔を向けてくれるのか?


「ふむ、生身の男と接する機会は珍しいが、なかなかどうして気難しいな。
 まあいい……紹介が遅れた。私の真名は、埴安神 袿姫(はにやすしん けいき)。
 知っての通り、クラスはキャスター。肉の体が嫌になったらいつでも言ってくれ。
 造形神(イドラデウス)たる私が、100年保証のボディを造ってやろう」

「いらねぇっつってんだろ。……オレは稀咲 鉄太(きざき てった)だ。当面の間、お前らをアテにするからな」


――こんな戦争に呼び出される前から、何年もオレの願いは変わっていない。
――あの日たった一度だけ、オレに向けてくれた橘日向の笑顔をもう一度見るためなら、何だってやってきた。
――まずは花垣武道、未来を見てきたお前と話をしなきゃならねえ。


数々の争いと不和を引き起こし、罪なき少女までその手に掛けた外道が、
死んで行き着く先は、無論のこと地獄――にあらず。

そこは修羅界か、畜生界か、聖杯戦争のいくさ場だった。
温情を垂れたのは閻魔か、それとも聖杯か。
唯一無二の相棒も失い、孤立無援に誂えられた造形神。

外道はその汚れた魂を禊ぎ、人道へと還るか。そのまま地獄へと堕ちるか。


【クラス】
キャスター

【真名】
埴安神 袿姫 (はにやすしん けいき) @東方鬼形獣

【ステータス】
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力A+ 幸運D 宝具A

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
陣地作成:A+
自らに有利な陣地を作成するスキル。
土の神に連なるキャスターの場合、巨大な墳丘墓を作成可能。
しかしてその内部はサイバーチックな意匠の巨大工廠である。
東京23区内にも点在する前方後円墳や埴安神を祀る神社など、
特に相性の良い場所を陣地のベースとした場合、その地の霊格が上昇。
龍脈を引き寄せることさえ可能となる。

道具作成:-
下記保有スキルが代替する。


【保有スキル】
神性:A+
日本神話における国産みの神、イザナミから生み出されたキャスターは最高クラスの神性を持つ。
神性特攻が巷にあふれる近年の環境ではデメリットの方が大きいかもしれない。

造形神(イドラデウス):A
土を焼き、あらゆる偶像を造形する土の神の権能。
象った偶像は、象った対象の機能を果たす。
兵士を象れば兵士の、騎馬を象れば騎馬の機能を。
貨幣を象れば貨幣の機能を果たす。そして人体を象れば人体の機能を果たす。
おまけに多少の破損なら自己修復する。
剣や鏡など、何かを象らずに本物として造ることを試みれば、それは信仰の対象とさえなりうる。
つまりは神社の御神体として祀られるようなマジックアイテムを生み出すことであり、神を新たに生むことに等しい。
材料は土を元とするもの(コンクリート・鉄・ガラスなど)なら何でも良いが、
土そのものから生み出すのが最も効率が良いようだ。

高速造形・焼成:A
神代の昔から造形を重ねてきたキャスターの手捌きは、ありふれた埴輪なら一瞬で造形することが可能である。
造形された土はオーラのように纏う赤い炎でやはり一瞬にして焼成され、偶像として完成する。
このスキルも土そのものに対して行うのが最も効率が良く、土からの加工度が大きい材料ほど効率は悪化する。


【宝具】
『最高傑作偶像・杖刀偶 磨弓(アイドルオブマスターピース・じょうとうぐう まゆみ)』

ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:100 最大捕捉:指揮する埴輪軍団と同数

造形神たるキャスターの最高傑作。五感と人格、造形主への絶対の忠誠心を有する、埴輪軍団の指揮官である。
その姿は 埴輪武装男子立像 に似た鎧を纏った、美しい少女である。
剣術・弓術・騎馬術に通じ、セイバー・アーチャー・ライダーとしての霊基を有する。
つまりは彼女単独で敵サーヴァントと戦うことができる、ということである。
サーヴァントとしてのステータスは以下に相当する。

筋力C 耐久A+ 敏捷B 魔力C 幸運D

保有スキル
対魔力:A 騎乗:C 軍略:C 直感(真):B 自己修復:A 戦闘続行:A

キャスターはこの宝具を1度に1つしか保有することができず、
完全に破壊された場合は作業に集中できる環境で、3時間程度の時間を掛けて造り直さなければならない。
登場話で一瞬にして登場したのは既に持ち込んでいた宝具を呼び出したからである。


【weapon】
造形術によって作成した埴輪の軍団たち。
魔力さえあれば東京23区全土の地殻と建造物を1ヶ月ほどで全て埴輪に変えてしまうことさえ可能。
大軍に兵法なし。数の暴力こそ最強。戦いは数だよ姉御。
だが、そんな常識を破ったからこそ英霊はいる。油断は禁物である。


【背景】
国産みの神・イザナミは火の神・カグヅチを産み、女陰を焼かれて苦しんだ末に死んだ。
死に瀕したイザナミが苦しむ間の吐瀉物・尿・大便もまた神となった。
大便から生まれたうちの一柱が、埴安神(はにやすのかみ)である。
埴安神の権能は土。すなわち豊穣・土木、そして製陶などである。

そして、とある異界においての話。
畜生界に堕ちた人の霊を救うべく、埴安神は"袿姫"という名で自らの権能を切り分け、
人の姿をとって造形神として降り立った。
それが埴安神・袿姫である。

幸運値は本来はBランクだが、マスターの補正でDランクに低下している。


【マスター】
稀咲 鉄太(きさき てった)

【聖杯への願い】
橘日向を手に入れる。
だが、聖杯の力で無理矢理奪い取ったところで、彼女は"あの笑顔"をまた見せてくれるのか――?

【weapon】
一般人よりは多少ケンカ慣れしているが、不良界隈の中では最弱に近い。
どこからか手に入れた拳銃を所持。

【能力・技能】
小学生の頃、全国模試の1位を何度も取るほどの優れた学才。特に数学を得意とする。
情報収集能力、計画性に優れており、不良たちの社会を、戦わずして立ち回りだけでのし上がるほどである。
人のマイナスの感情に敏感で、言葉巧みに人の敵愾心を煽ることができる。
その一方で無関心な他人のことは道具としか思っていない、人格破綻者である。

【人物背景】
身長、164cm。
1992年1月20日生、2006年2月22日没(関東事変勃発日)。享年14歳。
関東事変で花垣武道と口論の途中、トラックに跳ねられ死亡。
今回の聖杯戦争は死亡直後からの参戦である。

小学生の頃、稀咲鉄太は橘日向という同級生に恋い焦がれていた。
しかし、橘日向の心は花垣武道に向いていた。
花垣武道は日本一の不良(ヒーロー)を目指していた。
だから、稀咲鉄太は彼を越えるべく、不良の世界で頂点を極めることを目指した。
両者の意味する"不良"の意味に、決定的なズレがあったにも関わらず、である。

もし稀咲鉄太を輪禍が襲わなければ、彼は必ず、10年の歳月を掛けて不良としての頂点を極めていた。
だがそれは花垣武道の目指す先とは対極、邪悪の極致であった。
よって、稀咲鉄太が彼の思う不良の頂点となったところで、
強く優しい心の持ち主である橘日向の拒絶を受けるのは、当然のことである。

人心を見抜く術に優れても、想い人の心のうちさえ知ろうとしなかったのは――
純粋すぎる思いが煮詰められた結果なのか。

(以上、東京卍リベンジャーズ 単行本29巻までの情報をもとにした記述。
家庭環境、生前の協力者・半間修二など、明かされていない情報はまだあると考えられる)

【方針】
聖杯の力で橘日向を手に入れる。
だが、花垣武道の知る未来では橘日向に求婚しつつも拒絶され、腹いせに彼女を殺しているという。
まずは花垣武道に会い、拒絶される理由を問う。

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最終更新:2022年08月24日 23:16