部品構造
- 大部品: 看護記録 RD:13 評価値:6
- 部品: 看護記録とは
- 大部品: 看護記録の構成 RD:11 評価値:6
- 部品: 看護記録の構成とは
- 部品: 基礎情報
- 部品: 看護問題リスト
- 大部品: 看護計画 RD:3 評価値:3
- 部品: 看護計画とは
- 部品: 患者目標
- 部品: ケア計画
- 大部品: 経過記録 RD:4 評価値:3
- 部品: 経過記録とは
- 部品: SOAP形式
- 部品: フォーカスチャーティング
- 部品: 経時記録
- 部品: 看護サマリー
- 部品: 記録の規則
部品定義
部品: 看護記録とは
看護記録とは、「看護師が見たこと・聴いたこと・考えたこと・したことなど」看護の実践を記録したものである。
医師が診療に関する情報を記載する診療録や、助産師が助産に関する情報を記載する助産録と異なり、看護記録は書かなくても罰則はない。
しかし、看護に関する情報を他の医療従事者と共有し、一貫した看護をおこなうために書くことが望ましい。
また、看護記録は看護の評価や質の向上の面でも必要とされている。
なお、医療訴訟では看護記録は診療録と同様に重要な証拠として扱われるため、看護師が自分の身を守るためにも、不備のない看護記録を書くことが適切である。
看護記録に書かれていない場合、損害賠償の裁判で、看護師はなにもしていなかったとみなされる場合もある。
部品: 看護記録の構成とは
看護記録とは、看護に関する様々な記録の総称である。
看護記録は、基礎情報・看護問題リスト・看護計画・経過記録・看護サマリーの五つから構成されている。
部品: 基礎情報
基礎情報とは、患者についての個別の情報を記載したものである。
いわゆる個人情報である。
たとえば、氏名、種族、年齢、性別、連絡先、宗教、血液型、アレルギー、入院までの経過、入院時の
バイタルサイン、キーパーソン、患者や家族が問題と感じていることなどが基礎情報に該当する。
その中で特に重要なのが、入院までの経過と、患者や家族が問題と感じていることである。
入院までの経過が分かれば、現在、生じている症状や、今後、生じる恐れのある問題をおおまかに考えることができる。
また、患者や家族が問題と感じていることが分かれば、看護するうえで特に注意すべき点が分かる。
なお、紙のカルテでは、基礎情報の用紙を1号紙やアナムネ用紙、データベース用紙などと呼ばれている。
部品: 看護問題リスト
看護問題とは、患者が望む生活を妨げている問題で、看護介入によって問題を解決できたり、軽減できたりするもののことである。
看護問題は看護診断とも呼ばれる。
医師が診断する病名と同様に、看護師が診断する看護診断名も標準化されており、統一された表現となっている。
看護問題リストとは、優先順位の高いものから順に看護問題を列挙したものである。
医療従事者は列挙された看護問題を解決・軽減するため、医療・看護の面で介入をおこなう。
部品: 看護計画とは
看護は漠然と患者を看ているわけではなく、適切な目標と計画に基づいて実施される。
看護計画とは、患者が抱える問題を解決するための計画を記載したものである。
看護計画は、看護問題・患者目標・ケア計画の三つから構成される。
部品: 患者目標
看護計画において患者目標とは、問題を解決するため、いつまでに患者がどのようになってほしいかなど、具体的な期日と目標を示したものである。
看護計画に患者目標を記載する際は患者を主語にする。
たとえば、転倒転落リスク状態という看護問題に対しては「転倒させない」ではなく「転倒しない」と書く。
また、患者目標は評価できるものでなければならない。
たとえば、活動耐性低下という看護問題に対しては「できるだけ車椅子で過ごす」ではなく「1日15分車椅子で過ごすことができる」というように具体的な数値を用いて患者目標を書くようにする。
患者目標はいきなり高い目標を設定せず、比較的簡単な目標から始めることが望ましい。
そのため、看護目標を短期目標と長期目標の二つに分けてもよい。
部品: ケア計画
看護計画においてケア計画とは、患者目標を達成するための医療従事者の具体的な行動計画である。
ケア計画は観察計画、教育計画、援助計画の三つに分けられる。
/*/
ケア計画において観察計画とは、目・耳・鼻・指を使って得られた情報のことである。
たとえば、バイタルサインや採決データの変化、患者の表情や顔色、皮膚の色、爪の様子、チアノーゼや発汗の有無、下痢や嘔吐の有無、咳嗽や喘鳴の有無、排泄物の色・性状・臭いなど、目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅ぐことで得られる情報を観察計画として記載する。
/*/
ケア計画において教育計画とは、口を使って説明することである。
たとえば「トイレに行きたくなったらナースコールを押してください」と説明することや、「身体が動かしにくいときは無理に動いたりしないでください」と指導することなどを教育計画として記載する。
教育計画は指導計画とも呼ばれる。
/*/
ケア計画において援助計画とは、手を使っておこなう援助のことである。
たとえば、バイタルサインの測定や輸液の管理、体位変換、トイレ歩行の付き添い、おむつ交換など様々な援助を援助計画として記載する。
ケア計画において観察計画と教育計画に入らない計画は、援助計画に記載して問題ない。
部品: 経過記録とは
看護において、経過記録とは、看護問題の経過や処置・治療・ケア・看護実践などを記載したものである。
患者が話した内容や看護師が観察したこと、患者に実施した介助や支援の内容について記載する。
経過記録の記載内容を患者目標と照らし合わせて評価し、必要に応じて、看護計画を修正する。
経過記録の記録方法には、SOAP(ソープ)形式やフォーカスチャーティング、経時記録などがある。
/*/
経過記録を書く際に重要なのはPOSである。
POSとは、Problem Oriented Systemの略で、問題指向型システムとも呼ばれる。
診療録の場合はProblem Oriented Medical Recordを略してPOMRとも呼ばれる。
POSやPOMRはその名の通り、患者が抱える医療上の問題に焦点をあわせ考えることである。
医師・看護師・薬剤師など、職種ごとにばらばらの医療記録がつけられている問題からPOSという概念が生まれた。
一名の患者につきひとつの医療記録となるよう、導入されたのがPOSである。
POSは職種に関係のない一元管理であること、患者のための記録であること、医療者の教育資材になることが求められている。
そのため、薬剤服用歴管理記録をつける際にもPOSは重要である。
薬剤服用歴管理記録とは、薬剤の副作用や誤った服用による健康被害を未然に防ぐ目的で、処方内容や併用薬・服薬状況、服薬指導の要点などを記録したものである。
薬剤服用歴管理記録は薬歴とも呼ばれる。
看護の質は、患者を看護する者の教育の高さで決まる。
教育を高めるためには、良い記録に負うところが大きいため、POSにより教育水準が向上することが期待できる。
また医療記録が一元化されることで、効率がよくなる。
SOAP(ソープ)形式とフォーカスチャーティングは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。
部品: SOAP形式
SOAP形式はSubject data(主観的情報)、Objective data(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字をとった、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。
SOAP形式はひとつひとつの医療や看護の問題ごとに経過記録を作成する。
そのため、記録の題名として焦点となる医療や看護の問題と日時を明記したうえで、主観的情報・客観的情報・評価・計画を記載する。
主観的情報・客観的情報は患者側の情報、アセスメント・計画は医療者側の情報である。
SOAP形式にIntervention(介入)、Evalution(評価)を加えたものがSOAPIE形式である。
さらにRevision(修正)を追加する場合もある。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において主観的情報とは、患者が発した言葉や訴え、家族が話す思いなど、患者や家族の話したことである。
主観的情報は主訴とも呼ばれる。
主観的情報はSOAP形式の記録に、患者や家族の話した内容をそのまま書く。
たとえば「体が暑い感じがする」「のどがゴロゴロする」「頭がズキズキする」「しばらく出張に行くので早めに薬がほしい」「読んだ雑誌に薬害問題が書かれていて今服用している薬は大丈夫か不安になった」などの発言が主観的情報としてそのまま記載される。
看護記録や薬歴において、空欄は追記や改ざんができるため、患者が無言の場合、主観的情報を空欄にせず「……」や「(無言)」のように無言であることを示す表現を使うか、主観的情報の欄自体を作らないようにする。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において客観的情報とは、観察したり、手を施すことで得られた情報である。
客観的情報は所見とも呼ばれる。
具体的には、検査データ、バイタルサイン、患者の表情や顔色、実施した看護内容とその際に得られた情報などが客観的情報である。
たとえば「顔面が紅潮している」「全身から大量の発汗がある」「咳をしている」「胸に手を当てている」「喘鳴がある」などが客観的情報として記載される。
「苦しそう」「つらそう」など看護師が考えたり思ったりしたことは客観的情報ではない。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において評価とは、主観的情報と客観的情報から患者がどのような状態であると考えられるかである。
たとえば「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」「のどがゴロゴロするという発言や咳嗽・喘鳴があり、痰がうまく出せていないようである」というように、考えの根拠となる主観的情報や客観的情報が分かるように記載する。
別の資料に記載した客観的情報を評価の根拠とする場合は、「フローシート参照」のように引用元を客観的情報に明記するとよい。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において計画とは、評価で考えられた患者の状態を改善するためにどのようにするかである。
評価が「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」なら「呼吸苦症状が出現しており、酸素飽和度の低下がないか観察する」のように、評価からのつながりを意識して計画を記載する。
/*/
SOAPIE形式において介入とは、実施したケアや処置の具体的内容のことである。
/*/
SOAPIE形式において評価とは、実施したケアや処置の結果とその評価のことである。
/*/
Revision(修正)とはEvalution(評価)を考慮したうえで、Plan(計画)やIntervention(介入)のどこを変更したかである。
/*/
主観的情報や客観的情報などの分類には該当しない有益な情報は欄外に書くことが望ましい。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式は問題ごとに記録を書くため、なにが問題で、どのようなケアをおこなっていくべきかが明らかである。
また、思考の流れが明瞭なため、根拠のあるケアにつながる。
ただし、医療・看護上のある一場面や一日の看護ケアをもとに物事を考えるため、長期間の経過を評価するには適切ではない。
部品: フォーカスチャーティング
Focus Charting(フォーカスチャーティング)とは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法のひとつである。
フォーカスチャーティングでは出来事に焦点を当て、FDARで記載する。
FDARとは、Focus(フォーカス)、Data(データ)、Action(アクション)、Response(反応)の頭文字である。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてフォーカスとは、患者の問題点のことである。
SOAP形式では医療や看護の問題を記録の題名に用いていたが、フォーカスチャーティングでは看護診断名に制約されず、フォーカスを記録の題名とする。
たとえば「頭痛の訴え」「三日間排便がない」などがフォーカスになる。
フォーカスチャーティングのフォーカスは、SOAP形式やSOAPIE形式の評価に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてデータとは、フォーカスに関する情報である。
フォーカスに関する情報であれば、主観的な情報も客観的な情報もデータに記載する。
たとえば、バイタルサインや検査データ、記録者が見聞きしたことなどである。
フォーカスチャーティングのデータは、SOAP形式やSOAPIE形式の主観的情報・客観的情報に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてアクションとは、医療従事者が患者に対して何をしたかである。
フォーカスに対してどのようなケアや治療、指導などをおこなったかを記載する。
また、今後どのような看護を提供していくか、どのような計画にするのかについてもアクションに記載する。
フォーカスチャーティングのアクションは、SOAPIE形式の介入に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいて反応とは、患者がどうなったかである。
アクションで実施したケアや治療、指導などの結果、患者からどのような反応を得られたかを記載する。
たとえば「穏やかな表情になる」「落ち着きを取り戻す」などである。
患者から反応が得られるのに時間がかかる場合はすぐに記載しなくてもよい。
たとえば、効果が発現するまで数時間にかかる薬剤を投与した場合などである。
フォーカスチャーティングの反応は、SOAPIE形式のEvalution(評価)に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングは、フォーカスとして取り上げる内容を柔軟に書くことができるため、適切な看護診断名が知らない場合や一時的で突発的な問題も記録しやすい。
また、看護の内容とその反応について医療過程にそった経過を書くため、一連の流れを把握しやすい。
ただし、フォーカスで取り上げられる内容が医療従事者によって異なるため、複数の医療従事者によって看護している場合、他の日と比較しにくいという欠点がある。
また、刻一刻と容体が変化する患者の場合、フォーカスが多くなり、記録の数が増えやすいという問題もある。
部品: 経時記録
経時記録とは、起きた出来事や患者の状態・状況、患者の対応、医師の指示内容、実施した看護・治療・検査に対する患者の反応などを時系列の順に記録する方法である。
経時記録は、POSの考えに基づかない経過記録である。
経時記録は、突発的な事故や状況を、時間を追って記載できるため、わかりやすいという利点がある。
また、患者の性格や習慣などが浮き彫りになりやすいという特徴がある。
ただし、いつ、どこで、誰が、何をして、どうなったか、患者や医療従事者の細かな対応や様子をすべて明記するため、時間がかかるという欠点がある。
また、記録内容が長くなった場合、どこに何が書いてあるか、わかりにくいという問題もある。
部品: 看護サマリー
サマリーとはsumamary、つまり概要や要約のことである。
看護サマリーとは、患者の経過や実施された看護ケアなどの情報を簡潔にまとめたものである。
看護要約とも呼ばれる。
患者が病棟や病院を移るとき、退院するときなど、必要に応じて作成する。
看護サマリーは入院中の数日、あるいは数ヶ月にわたる経過の中で、大事な要点をまとめたものであるため、入院から時系列の順に出来事や治療、その結果を記載できる経時記録形式が適している。
/*/
看護サマリーにおいて「治療の経過」とは記載する項目のひとつ。
傷を負った日時、あるいは症状が出現した日時、病気の名前、治療の内容とその経過を記載する。
治療の経過は、医師が記載する診療情報提供書に記載される場合もある。
/*/
看護サマリーにおいて「入院中の経過」とは記載する項目のひとつ。
入院した日付、治療の内容、入院中の言動や行動を記載する。
また、上記に当てはまらないものでも特筆すべき内容は入院中の経過に記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「入院時の看護問題」とは記載する項目のひとつ。
その患者が今回の入院中に立案した看護問題をすべて記載する。
さらにそれぞれの看護問題に対し、どのような看護や処置を実施したか、その看護や処置に患者や家族がどのように反応したか、それらの看護や処置は継続して必要か、看護目標の達成状況などについて記載する。
入院時の看護問題は、看護サマリーを受け取る相手がどのような情報があれば、必要なケアを継続できるか、意識して書くようにする。
/*/
看護サマリーにおいて「介護状況」とは記載する項目のひとつ。
食事や入浴、排尿・排便、移動などで介護や援助が必要かを記載する。
また、介護が必要な場合、どのような介護や援助が必要かを記載する。
紙の場合、記入の時間を短縮するため、チェックマークをつけたり、丸をつけるだけで必要な介護や援助が分かるような書式になっており、該当する項目がない場合は注意点や備考などに記載する形式となっている。
また電子カルテの場合も、記入の時間を短縮するため、チェックボックスで必要な介護や援助を選択する形式となっている。
/*/
看護サマリーにおいて「服薬状況」とは記載する項目のひとつ。
患者に必要な薬を配るのか、配薬の場合一回分ずつ渡すのか、数日分をまとめて渡すのか、薬を患者が自己管理しているか、医療従事者が患者に服薬を確認するのがよいか、患者が服薬を拒否していないかなどを記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「最終排便日」とは記載する項目のひとつ。
入院中、その患者が最後に排便した日を記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「精神症状の有無」とは記載する項目のひとつ。
暴言・暴行、見当識障害、幻聴・幻覚、妄想などがないかを記載する。
記入の時間を短縮するため、介護状況と同様に、選択式となっている。
/*/
看護サマリーにおいて「既往歴」とは記載する項目のひとつ。
現在の病気以外で、過去に罹患した病気と罹患当時の年齢や年月を記載する。
病名は略さず、正式名称を記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「感染症」とは記載する項目のひとつ。
感染症があると入居できない施設や病院もあるため、患者の感染症について記載する。
感染症がない場合はないことを看護サマリーに明記する。
/*/
看護サマリーにおいて「アレルギー」とは記載する項目のひとつ。
患者にアレルギー症状があるか、ある場合はどの物質に対して反応するかを記載する。
アレルギーがない場合はないことを看護サマリーに明記する。
なお、アレルギー症状とは特定の物質に対し、免疫反応が過剰に起こり、自分自身を傷つけてしまう現象である。
/*/
看護サマリーにおいて「家族構成」とは記載する項目のひとつ。
患者の家族構成について、誰と同居しているのかなどを記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「病状説明と理解」とは記載する項目のひとつ。
患者やその家族に対し、現在の病状と治療をどのように説明しているかを記載する。
また、患者や家族がその病気や治療をどのように理解しているかについて記載する。
部品: 記録の規則
紙に看護記録を書く場合は改ざんや不正を伴う追記・修正を防ぐため、鉛筆やシャープペンシルではなく、ボールペンで記入するよう、病院で定められていることが多い。
ボールペンのインクの色は、複写機でコピーした場合に薄くなって読めなくなったりしないよう、基本的に黒が望ましい。
記載した内容を訂正する場合、元の記載内容が分かるよう、二重線を引いて訂正する。
訂正に修正液や修正ペンを使ってはならない。
訂正によって文章の意味が変わる場合、訂正箇所の近くに訂正した日付と時刻、訂正者の署名を書く。
電子カルテは、システム側で自動的に訂正日時と訂正者を記録し、履歴を管理するようになっている場合もあるため、その場合は別途記載する必要はない。
紙に署名をする際は、筆跡や筆圧で本人の署名であることを確認できるようするため、印鑑よりも直筆が望ましい。
紙のカルテで空白の行がある場合は、後から追記できないよう、空白のある場所にその行数を記載するとよい。
造語や略語など、院内規定にない表現は看護記録に用いてはならない。
たとえば「マーゲンチューブ」では独語のマーゲンと英語のチューブが混じっているため、代わりに「マーゲンゾルテ」(独語)・「ストマックチューブ」(英語)・「胃管」(日本語)などと表記する。
また、患者や家族などの当事者が請求すれば、看護記録を開示しなければならないため、医療従事者以外の者が読んでも誤解しないよう表現に気をつける必要がある。
たとえば「エア入り」は「肺の呼吸音」、「ルンゲンクレーブス」「エルケー」は「肺がん」、「ケモ」「ケモセラピー」は「化学療法」、「齲蝕」は「虫歯」など、医療従事者以外にも分かる表現で記載する。
「~と思われる」「~のように見える」といったあいまいな表現は使ってはならない。
「~と思われる」は「~の恐れがある」「~の可能性がある」、「~のように見える」は「~する様子が見られる」などで言い換えても文脈上、問題ない場合、そのように書くことが望ましい。
医師と看護師、あるいは医療従事者と患者の間で上下関係はないため、看護記録に敬語や丁寧語は不要である。
提出書式
大部品: 看護記録 RD:13 評価値:6
-部品: 看護記録とは
-大部品: 看護記録の構成 RD:11 評価値:6
--部品: 看護記録の構成とは
--部品: 基礎情報
--部品: 看護問題リスト
--大部品: 看護計画 RD:3 評価値:3
---部品: 看護計画とは
---部品: 患者目標
---部品: ケア計画
--大部品: 経過記録 RD:4 評価値:3
---部品: 経過記録とは
---部品: SOAP形式
---部品: フォーカスチャーティング
---部品: 経時記録
--部品: 看護サマリー
-部品: 記録の規則
部品: 看護記録とは
看護記録とは、「看護師が見たこと・聴いたこと・考えたこと・したことなど」看護の実践を記録したものである。
医師が診療に関する情報を記載する診療録や、助産師が助産に関する情報を記載する助産録と異なり、看護記録は書かなくても罰則はない。
しかし、看護に関する情報を他の医療従事者と共有し、一貫した看護をおこなうために書くことが望ましい。
また、看護記録は看護の評価や質の向上の面でも必要とされている。
なお、医療訴訟では看護記録は診療録と同様に重要な証拠として扱われるため、看護師が自分の身を守るためにも、不備のない看護記録を書くことが適切である。
看護記録に書かれていない場合、損害賠償の裁判で、看護師はなにもしていなかったとみなされる場合もある。
部品: 看護記録の構成とは
看護記録とは、看護に関する様々な記録の総称である。
看護記録は、基礎情報・看護問題リスト・看護計画・経過記録・看護サマリーの五つから構成されている。
部品: 基礎情報
基礎情報とは、患者についての個別の情報を記載したものである。
いわゆる個人情報である。
たとえば、氏名、種族、年齢、性別、連絡先、宗教、血液型、アレルギー、入院までの経過、入院時のバイタルサイン、キーパーソン、患者や家族が問題と感じていることなどが基礎情報に該当する。
その中で特に重要なのが、入院までの経過と、患者や家族が問題と感じていることである。
入院までの経過が分かれば、現在、生じている症状や、今後、生じる恐れのある問題をおおまかに考えることができる。
また、患者や家族が問題と感じていることが分かれば、看護するうえで特に注意すべき点が分かる。
なお、紙のカルテでは、基礎情報の用紙を1号紙やアナムネ用紙、データベース用紙などと呼ばれている。
部品: 看護問題リスト
看護問題とは、患者が望む生活を妨げている問題で、看護介入によって問題を解決できたり、軽減できたりするもののことである。
看護問題は看護診断とも呼ばれる。
医師が診断する病名と同様に、看護師が診断する看護診断名も標準化されており、統一された表現となっている。
看護問題リストとは、優先順位の高いものから順に看護問題を列挙したものである。
医療従事者は列挙された看護問題を解決・軽減するため、医療・看護の面で介入をおこなう。
部品: 看護計画とは
看護は漠然と患者を看ているわけではなく、適切な目標と計画に基づいて実施される。
看護計画とは、患者が抱える問題を解決するための計画を記載したものである。
看護計画は、看護問題・患者目標・ケア計画の三つから構成される。
部品: 患者目標
看護計画において患者目標とは、問題を解決するため、いつまでに患者がどのようになってほしいかなど、具体的な期日と目標を示したものである。
看護計画に患者目標を記載する際は患者を主語にする。
たとえば、転倒転落リスク状態という看護問題に対しては「転倒させない」ではなく「転倒しない」と書く。
また、患者目標は評価できるものでなければならない。
たとえば、活動耐性低下という看護問題に対しては「できるだけ車椅子で過ごす」ではなく「1日15分車椅子で過ごすことができる」というように具体的な数値を用いて患者目標を書くようにする。
患者目標はいきなり高い目標を設定せず、比較的簡単な目標から始めることが望ましい。
そのため、看護目標を短期目標と長期目標の二つに分けてもよい。
部品: ケア計画
看護計画においてケア計画とは、患者目標を達成するための医療従事者の具体的な行動計画である。
ケア計画は観察計画、教育計画、援助計画の三つに分けられる。
/*/
ケア計画において観察計画とは、目・耳・鼻・指を使って得られた情報のことである。
たとえば、バイタルサインや採決データの変化、患者の表情や顔色、皮膚の色、爪の様子、チアノーゼや発汗の有無、下痢や嘔吐の有無、咳嗽や喘鳴の有無、排泄物の色・性状・臭いなど、目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅ぐことで得られる情報を観察計画として記載する。
/*/
ケア計画において教育計画とは、口を使って説明することである。
たとえば「トイレに行きたくなったらナースコールを押してください」と説明することや、「身体が動かしにくいときは無理に動いたりしないでください」と指導することなどを教育計画として記載する。
教育計画は指導計画とも呼ばれる。
/*/
ケア計画において援助計画とは、手を使っておこなう援助のことである。
たとえば、バイタルサインの測定や輸液の管理、体位変換、トイレ歩行の付き添い、おむつ交換など様々な援助を援助計画として記載する。
ケア計画において観察計画と教育計画に入らない計画は、援助計画に記載して問題ない。
部品: 経過記録とは
看護において、経過記録とは、看護問題の経過や処置・治療・ケア・看護実践などを記載したものである。
患者が話した内容や看護師が観察したこと、患者に実施した介助や支援の内容について記載する。
経過記録の記載内容を患者目標と照らし合わせて評価し、必要に応じて、看護計画を修正する。
経過記録の記録方法には、SOAP(ソープ)形式やフォーカスチャーティング、経時記録などがある。
/*/
経過記録を書く際に重要なのはPOSである。
POSとは、Problem Oriented Systemの略で、問題指向型システムとも呼ばれる。
診療録の場合はProblem Oriented Medical Recordを略してPOMRとも呼ばれる。
POSやPOMRはその名の通り、患者が抱える医療上の問題に焦点をあわせ考えることである。
医師・看護師・薬剤師など、職種ごとにばらばらの医療記録がつけられている問題からPOSという概念が生まれた。
一名の患者につきひとつの医療記録となるよう、導入されたのがPOSである。
POSは職種に関係のない一元管理であること、患者のための記録であること、医療者の教育資材になることが求められている。
そのため、薬剤服用歴管理記録をつける際にもPOSは重要である。
薬剤服用歴管理記録とは、薬剤の副作用や誤った服用による健康被害を未然に防ぐ目的で、処方内容や併用薬・服薬状況、服薬指導の要点などを記録したものである。
薬剤服用歴管理記録は薬歴とも呼ばれる。
看護の質は、患者を看護する者の教育の高さで決まる。
教育を高めるためには、良い記録に負うところが大きいため、POSにより教育水準が向上することが期待できる。
また医療記録が一元化されることで、効率がよくなる。
SOAP(ソープ)形式とフォーカスチャーティングは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。
部品: SOAP形式
SOAP形式はSubject data(主観的情報)、Objective data(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字をとった、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。
SOAP形式はひとつひとつの医療や看護の問題ごとに経過記録を作成する。
そのため、記録の題名として焦点となる医療や看護の問題と日時を明記したうえで、主観的情報・客観的情報・評価・計画を記載する。
主観的情報・客観的情報は患者側の情報、アセスメント・計画は医療者側の情報である。
SOAP形式にIntervention(介入)、Evalution(評価)を加えたものがSOAPIE形式である。
さらにRevision(修正)を追加する場合もある。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において主観的情報とは、患者が発した言葉や訴え、家族が話す思いなど、患者や家族の話したことである。
主観的情報は主訴とも呼ばれる。
主観的情報はSOAP形式の記録に、患者や家族の話した内容をそのまま書く。
たとえば「体が暑い感じがする」「のどがゴロゴロする」「頭がズキズキする」「しばらく出張に行くので早めに薬がほしい」「読んだ雑誌に薬害問題が書かれていて今服用している薬は大丈夫か不安になった」などの発言が主観的情報としてそのまま記載される。
看護記録や薬歴において、空欄は追記や改ざんができるため、患者が無言の場合、主観的情報を空欄にせず「……」や「(無言)」のように無言であることを示す表現を使うか、主観的情報の欄自体を作らないようにする。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において客観的情報とは、観察したり、手を施すことで得られた情報である。
客観的情報は所見とも呼ばれる。
具体的には、検査データ、バイタルサイン、患者の表情や顔色、実施した看護内容とその際に得られた情報などが客観的情報である。
たとえば「顔面が紅潮している」「全身から大量の発汗がある」「咳をしている」「胸に手を当てている」「喘鳴がある」などが客観的情報として記載される。
「苦しそう」「つらそう」など看護師が考えたり思ったりしたことは客観的情報ではない。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において評価とは、主観的情報と客観的情報から患者がどのような状態であると考えられるかである。
たとえば「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」「のどがゴロゴロするという発言や咳嗽・喘鳴があり、痰がうまく出せていないようである」というように、考えの根拠となる主観的情報や客観的情報が分かるように記載する。
別の資料に記載した客観的情報を評価の根拠とする場合は、「フローシート参照」のように引用元を客観的情報に明記するとよい。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式において計画とは、評価で考えられた患者の状態を改善するためにどのようにするかである。
評価が「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」なら「呼吸苦症状が出現しており、酸素飽和度の低下がないか観察する」のように、評価からのつながりを意識して計画を記載する。
/*/
SOAPIE形式において介入とは、実施したケアや処置の具体的内容のことである。
/*/
SOAPIE形式において評価とは、実施したケアや処置の結果とその評価のことである。
/*/
Revision(修正)とはEvalution(評価)を考慮したうえで、Plan(計画)やIntervention(介入)のどこを変更したかである。
/*/
主観的情報や客観的情報などの分類には該当しない有益な情報は欄外に書くことが望ましい。
/*/
SOAP形式やSOAPIE形式は問題ごとに記録を書くため、なにが問題で、どのようなケアをおこなっていくべきかが明らかである。
また、思考の流れが明瞭なため、根拠のあるケアにつながる。
ただし、医療・看護上のある一場面や一日の看護ケアをもとに物事を考えるため、長期間の経過を評価するには適切ではない。
部品: フォーカスチャーティング
Focus Charting(フォーカスチャーティング)とは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法のひとつである。
フォーカスチャーティングでは出来事に焦点を当て、FDARで記載する。
FDARとは、Focus(フォーカス)、Data(データ)、Action(アクション)、Response(反応)の頭文字である。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてフォーカスとは、患者の問題点のことである。
SOAP形式では医療や看護の問題を記録の題名に用いていたが、フォーカスチャーティングでは看護診断名に制約されず、フォーカスを記録の題名とする。
たとえば「頭痛の訴え」「三日間排便がない」などがフォーカスになる。
フォーカスチャーティングのフォーカスは、SOAP形式やSOAPIE形式の評価に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてデータとは、フォーカスに関する情報である。
フォーカスに関する情報であれば、主観的な情報も客観的な情報もデータに記載する。
たとえば、バイタルサインや検査データ、記録者が見聞きしたことなどである。
フォーカスチャーティングのデータは、SOAP形式やSOAPIE形式の主観的情報・客観的情報に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいてアクションとは、医療従事者が患者に対して何をしたかである。
フォーカスに対してどのようなケアや治療、指導などをおこなったかを記載する。
また、今後どのような看護を提供していくか、どのような計画にするのかについてもアクションに記載する。
フォーカスチャーティングのアクションは、SOAPIE形式の介入に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングにおいて反応とは、患者がどうなったかである。
アクションで実施したケアや治療、指導などの結果、患者からどのような反応を得られたかを記載する。
たとえば「穏やかな表情になる」「落ち着きを取り戻す」などである。
患者から反応が得られるのに時間がかかる場合はすぐに記載しなくてもよい。
たとえば、効果が発現するまで数時間にかかる薬剤を投与した場合などである。
フォーカスチャーティングの反応は、SOAPIE形式のEvalution(評価)に相当する。
/*/
フォーカスチャーティングは、フォーカスとして取り上げる内容を柔軟に書くことができるため、適切な看護診断名が知らない場合や一時的で突発的な問題も記録しやすい。
また、看護の内容とその反応について医療過程にそった経過を書くため、一連の流れを把握しやすい。
ただし、フォーカスで取り上げられる内容が医療従事者によって異なるため、複数の医療従事者によって看護している場合、他の日と比較しにくいという欠点がある。
また、刻一刻と容体が変化する患者の場合、フォーカスが多くなり、記録の数が増えやすいという問題もある。
部品: 経時記録
経時記録とは、起きた出来事や患者の状態・状況、患者の対応、医師の指示内容、実施した看護・治療・検査に対する患者の反応などを時系列の順に記録する方法である。
経時記録は、POSの考えに基づかない経過記録である。
経時記録は、突発的な事故や状況を、時間を追って記載できるため、わかりやすいという利点がある。
また、患者の性格や習慣などが浮き彫りになりやすいという特徴がある。
ただし、いつ、どこで、誰が、何をして、どうなったか、患者や医療従事者の細かな対応や様子をすべて明記するため、時間がかかるという欠点がある。
また、記録内容が長くなった場合、どこに何が書いてあるか、わかりにくいという問題もある。
部品: 看護サマリー
サマリーとはsumamary、つまり概要や要約のことである。
看護サマリーとは、患者の経過や実施された看護ケアなどの情報を簡潔にまとめたものである。
看護要約とも呼ばれる。
患者が病棟や病院を移るとき、退院するときなど、必要に応じて作成する。
看護サマリーは入院中の数日、あるいは数ヶ月にわたる経過の中で、大事な要点をまとめたものであるため、入院から時系列の順に出来事や治療、その結果を記載できる経時記録形式が適している。
/*/
看護サマリーにおいて「治療の経過」とは記載する項目のひとつ。
傷を負った日時、あるいは症状が出現した日時、病気の名前、治療の内容とその経過を記載する。
治療の経過は、医師が記載する診療情報提供書に記載される場合もある。
/*/
看護サマリーにおいて「入院中の経過」とは記載する項目のひとつ。
入院した日付、治療の内容、入院中の言動や行動を記載する。
また、上記に当てはまらないものでも特筆すべき内容は入院中の経過に記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「入院時の看護問題」とは記載する項目のひとつ。
その患者が今回の入院中に立案した看護問題をすべて記載する。
さらにそれぞれの看護問題に対し、どのような看護や処置を実施したか、その看護や処置に患者や家族がどのように反応したか、それらの看護や処置は継続して必要か、看護目標の達成状況などについて記載する。
入院時の看護問題は、看護サマリーを受け取る相手がどのような情報があれば、必要なケアを継続できるか、意識して書くようにする。
/*/
看護サマリーにおいて「介護状況」とは記載する項目のひとつ。
食事や入浴、排尿・排便、移動などで介護や援助が必要かを記載する。
また、介護が必要な場合、どのような介護や援助が必要かを記載する。
紙の場合、記入の時間を短縮するため、チェックマークをつけたり、丸をつけるだけで必要な介護や援助が分かるような書式になっており、該当する項目がない場合は注意点や備考などに記載する形式となっている。
また電子カルテの場合も、記入の時間を短縮するため、チェックボックスで必要な介護や援助を選択する形式となっている。
/*/
看護サマリーにおいて「服薬状況」とは記載する項目のひとつ。
患者に必要な薬を配るのか、配薬の場合一回分ずつ渡すのか、数日分をまとめて渡すのか、薬を患者が自己管理しているか、医療従事者が患者に服薬を確認するのがよいか、患者が服薬を拒否していないかなどを記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「最終排便日」とは記載する項目のひとつ。
入院中、その患者が最後に排便した日を記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「精神症状の有無」とは記載する項目のひとつ。
暴言・暴行、見当識障害、幻聴・幻覚、妄想などがないかを記載する。
記入の時間を短縮するため、介護状況と同様に、選択式となっている。
/*/
看護サマリーにおいて「既往歴」とは記載する項目のひとつ。
現在の病気以外で、過去に罹患した病気と罹患当時の年齢や年月を記載する。
病名は略さず、正式名称を記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「感染症」とは記載する項目のひとつ。
感染症があると入居できない施設や病院もあるため、患者の感染症について記載する。
感染症がない場合はないことを看護サマリーに明記する。
/*/
看護サマリーにおいて「アレルギー」とは記載する項目のひとつ。
患者にアレルギー症状があるか、ある場合はどの物質に対して反応するかを記載する。
アレルギーがない場合はないことを看護サマリーに明記する。
なお、アレルギー症状とは特定の物質に対し、免疫反応が過剰に起こり、自分自身を傷つけてしまう現象である。
/*/
看護サマリーにおいて「家族構成」とは記載する項目のひとつ。
患者の家族構成について、誰と同居しているのかなどを記載する。
/*/
看護サマリーにおいて「病状説明と理解」とは記載する項目のひとつ。
患者やその家族に対し、現在の病状と治療をどのように説明しているかを記載する。
また、患者や家族がその病気や治療をどのように理解しているかについて記載する。
部品: 記録の規則
紙に看護記録を書く場合は改ざんや不正を伴う追記・修正を防ぐため、鉛筆やシャープペンシルではなく、ボールペンで記入するよう、病院で定められていることが多い。
ボールペンのインクの色は、複写機でコピーした場合に薄くなって読めなくなったりしないよう、基本的に黒が望ましい。
記載した内容を訂正する場合、元の記載内容が分かるよう、二重線を引いて訂正する。
訂正に修正液や修正ペンを使ってはならない。
訂正によって文章の意味が変わる場合、訂正箇所の近くに訂正した日付と時刻、訂正者の署名を書く。
電子カルテは、システム側で自動的に訂正日時と訂正者を記録し、履歴を管理するようになっている場合もあるため、その場合は別途記載する必要はない。
紙に署名をする際は、筆跡や筆圧で本人の署名であることを確認できるようするため、印鑑よりも直筆が望ましい。
紙のカルテで空白の行がある場合は、後から追記できないよう、空白のある場所にその行数を記載するとよい。
造語や略語など、院内規定にない表現は看護記録に用いてはならない。
たとえば「マーゲンチューブ」では独語のマーゲンと英語のチューブが混じっているため、代わりに「マーゲンゾルテ」(独語)・「ストマックチューブ」(英語)・「胃管」(日本語)などと表記する。
また、患者や家族などの当事者が請求すれば、看護記録を開示しなければならないため、医療従事者以外の者が読んでも誤解しないよう表現に気をつける必要がある。
たとえば「エア入り」は「肺の呼吸音」、「ルンゲンクレーブス」「エルケー」は「肺がん」、「ケモ」「ケモセラピー」は「化学療法」、「齲蝕」は「虫歯」など、医療従事者以外にも分かる表現で記載する。
「~と思われる」「~のように見える」といったあいまいな表現は使ってはならない。
「~と思われる」は「~の恐れがある」「~の可能性がある」、「~のように見える」は「~する様子が見られる」などで言い換えても文脈上、問題ない場合、そのように書くことが望ましい。
医師と看護師、あるいは医療従事者と患者の間で上下関係はないため、看護記録に敬語や丁寧語は不要である。
インポート用定義データ
[
{
"title": "看護記録",
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"children": [
{
"title": "看護記録とは",
"description": "看護記録とは、「看護師が見たこと・聴いたこと・考えたこと・したことなど」看護の実践を記録したものである。\n医師が診療に関する情報を記載する診療録や、助産師が助産に関する情報を記載する助産録と異なり、看護記録は書かなくても罰則はない。\nしかし、看護に関する情報を他の医療従事者と共有し、一貫した看護をおこなうために書くことが望ましい。\nまた、看護記録は看護の評価や質の向上の面でも必要とされている。\nなお、医療訴訟では看護記録は診療録と同様に重要な証拠として扱われるため、看護師が自分の身を守るためにも、不備のない看護記録を書くことが適切である。\n看護記録に書かれていない場合、損害賠償の裁判で、看護師はなにもしていなかったとみなされる場合もある。",
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},
{
"title": "看護記録の構成",
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"children": [
{
"title": "看護記録の構成とは",
"description": "看護記録とは、看護に関する様々な記録の総称である。\n看護記録は、基礎情報・看護問題リスト・看護計画・経過記録・看護サマリーの五つから構成されている。",
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},
{
"title": "基礎情報",
"description": "基礎情報とは、患者についての個別の情報を記載したものである。\nいわゆる個人情報である。\nたとえば、氏名、種族、年齢、性別、連絡先、宗教、血液型、アレルギー、入院までの経過、入院時のバイタルサイン、キーパーソン、患者や家族が問題と感じていることなどが基礎情報に該当する。\nその中で特に重要なのが、入院までの経過と、患者や家族が問題と感じていることである。\n入院までの経過が分かれば、現在、生じている症状や、今後、生じる恐れのある問題をおおまかに考えることができる。\nまた、患者や家族が問題と感じていることが分かれば、看護するうえで特に注意すべき点が分かる。\nなお、紙のカルテでは、基礎情報の用紙を1号紙やアナムネ用紙、データベース用紙などと呼ばれている。",
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},
{
"title": "看護問題リスト",
"description": "看護問題とは、患者が望む生活を妨げている問題で、看護介入によって問題を解決できたり、軽減できたりするもののことである。\n看護問題は看護診断とも呼ばれる。\n医師が診断する病名と同様に、看護師が診断する看護診断名も標準化されており、統一された表現となっている。\n看護問題リストとは、優先順位の高いものから順に看護問題を列挙したものである。\n医療従事者は列挙された看護問題を解決・軽減するため、医療・看護の面で介入をおこなう。",
"part_type": "part",
"localID": 5
},
{
"title": "看護計画",
"description": "",
"part_type": "group",
"children": [
{
"title": "看護計画とは",
"description": "看護は漠然と患者を看ているわけではなく、適切な目標と計画に基づいて実施される。\n看護計画とは、患者が抱える問題を解決するための計画を記載したものである。\n看護計画は、看護問題・患者目標・ケア計画の三つから構成される。",
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"localID": 7
},
{
"title": "患者目標",
"description": "看護計画において患者目標とは、問題を解決するため、いつまでに患者がどのようになってほしいかなど、具体的な期日と目標を示したものである。\n看護計画に患者目標を記載する際は患者を主語にする。\nたとえば、転倒転落リスク状態という看護問題に対しては「転倒させない」ではなく「転倒しない」と書く。\nまた、患者目標は評価できるものでなければならない。\nたとえば、活動耐性低下という看護問題に対しては「できるだけ車椅子で過ごす」ではなく「1日15分車椅子で過ごすことができる」というように具体的な数値を用いて患者目標を書くようにする。\n患者目標はいきなり高い目標を設定せず、比較的簡単な目標から始めることが望ましい。\nそのため、看護目標を短期目標と長期目標の二つに分けてもよい。",
"part_type": "part",
"localID": 8
},
{
"title": "ケア計画",
"description": "看護計画においてケア計画とは、患者目標を達成するための医療従事者の具体的な行動計画である。\nケア計画は観察計画、教育計画、援助計画の三つに分けられる。\n/*/\nケア計画において観察計画とは、目・耳・鼻・指を使って得られた情報のことである。\nたとえば、バイタルサインや採決データの変化、患者の表情や顔色、皮膚の色、爪の様子、チアノーゼや発汗の有無、下痢や嘔吐の有無、咳嗽や喘鳴の有無、排泄物の色・性状・臭いなど、目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅ぐことで得られる情報を観察計画として記載する。\n/*/\nケア計画において教育計画とは、口を使って説明することである。\nたとえば「トイレに行きたくなったらナースコールを押してください」と説明することや、「身体が動かしにくいときは無理に動いたりしないでください」と指導することなどを教育計画として記載する。\n教育計画は指導計画とも呼ばれる。\n/*/\nケア計画において援助計画とは、手を使っておこなう援助のことである。\nたとえば、バイタルサインの測定や輸液の管理、体位変換、トイレ歩行の付き添い、おむつ交換など様々な援助を援助計画として記載する。\nケア計画において観察計画と教育計画に入らない計画は、援助計画に記載して問題ない。",
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"localID": 9
}
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"localID": 6,
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},
{
"title": "経過記録",
"description": "",
"part_type": "group",
"children": [
{
"title": "経過記録とは",
"description": "看護において、経過記録とは、看護問題の経過や処置・治療・ケア・看護実践などを記載したものである。\n患者が話した内容や看護師が観察したこと、患者に実施した介助や支援の内容について記載する。\n経過記録の記載内容を患者目標と照らし合わせて評価し、必要に応じて、看護計画を修正する。\n経過記録の記録方法には、SOAP(ソープ)形式やフォーカスチャーティング、経時記録などがある。\n/*/\n経過記録を書く際に重要なのはPOSである。\nPOSとは、Problem Oriented Systemの略で、問題指向型システムとも呼ばれる。\n診療録の場合はProblem Oriented Medical Recordを略してPOMRとも呼ばれる。\nPOSやPOMRはその名の通り、患者が抱える医療上の問題に焦点をあわせ考えることである。\n医師・看護師・薬剤師など、職種ごとにばらばらの医療記録がつけられている問題からPOSという概念が生まれた。\n一名の患者につきひとつの医療記録となるよう、導入されたのがPOSである。\nPOSは職種に関係のない一元管理であること、患者のための記録であること、医療者の教育資材になることが求められている。\nそのため、薬剤服用歴管理記録をつける際にもPOSは重要である。\n薬剤服用歴管理記録とは、薬剤の副作用や誤った服用による健康被害を未然に防ぐ目的で、処方内容や併用薬・服薬状況、服薬指導の要点などを記録したものである。\n薬剤服用歴管理記録は薬歴とも呼ばれる。\n看護の質は、患者を看護する者の教育の高さで決まる。\n教育を高めるためには、良い記録に負うところが大きいため、POSにより教育水準が向上することが期待できる。\nまた医療記録が一元化されることで、効率がよくなる。\nSOAP(ソープ)形式とフォーカスチャーティングは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。",
"part_type": "part",
"localID": 11
},
{
"title": "SOAP形式",
"description": "SOAP形式はSubject data(主観的情報)、Objective data(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字をとった、POSの考えに基づく経過記録の記録方法である。\nSOAP形式はひとつひとつの医療や看護の問題ごとに経過記録を作成する。\nそのため、記録の題名として焦点となる医療や看護の問題と日時を明記したうえで、主観的情報・客観的情報・評価・計画を記載する。\n主観的情報・客観的情報は患者側の情報、アセスメント・計画は医療者側の情報である。\nSOAP形式にIntervention(介入)、Evalution(評価)を加えたものがSOAPIE形式である。\nさらにRevision(修正)を追加する場合もある。\n/*/\nSOAP形式やSOAPIE形式において主観的情報とは、患者が発した言葉や訴え、家族が話す思いなど、患者や家族の話したことである。\n主観的情報は主訴とも呼ばれる。\n主観的情報はSOAP形式の記録に、患者や家族の話した内容をそのまま書く。\nたとえば「体が暑い感じがする」「のどがゴロゴロする」「頭がズキズキする」「しばらく出張に行くので早めに薬がほしい」「読んだ雑誌に薬害問題が書かれていて今服用している薬は大丈夫か不安になった」などの発言が主観的情報としてそのまま記載される。\n看護記録や薬歴において、空欄は追記や改ざんができるため、患者が無言の場合、主観的情報を空欄にせず「……」や「(無言)」のように無言であることを示す表現を使うか、主観的情報の欄自体を作らないようにする。\n/*/\nSOAP形式やSOAPIE形式において客観的情報とは、観察したり、手を施すことで得られた情報である。\n客観的情報は所見とも呼ばれる。\n具体的には、検査データ、バイタルサイン、患者の表情や顔色、実施した看護内容とその際に得られた情報などが客観的情報である。\nたとえば「顔面が紅潮している」「全身から大量の発汗がある」「咳をしている」「胸に手を当てている」「喘鳴がある」などが客観的情報として記載される。\n「苦しそう」「つらそう」など看護師が考えたり思ったりしたことは客観的情報ではない。\n/*/\nSOAP形式やSOAPIE形式において評価とは、主観的情報と客観的情報から患者がどのような状態であると考えられるかである。\nたとえば「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」「のどがゴロゴロするという発言や咳嗽・喘鳴があり、痰がうまく出せていないようである」というように、考えの根拠となる主観的情報や客観的情報が分かるように記載する。\n別の資料に記載した客観的情報を評価の根拠とする場合は、「フローシート参照」のように引用元を客観的情報に明記するとよい。\n/*/\nSOAP形式やSOAPIE形式において計画とは、評価で考えられた患者の状態を改善するためにどのようにするかである。\n評価が「胸に手を当てており、呼吸が苦しそうである」なら「呼吸苦症状が出現しており、酸素飽和度の低下がないか観察する」のように、評価からのつながりを意識して計画を記載する。\n/*/\nSOAPIE形式において介入とは、実施したケアや処置の具体的内容のことである。\n/*/\nSOAPIE形式において評価とは、実施したケアや処置の結果とその評価のことである。\n/*/\nRevision(修正)とはEvalution(評価)を考慮したうえで、Plan(計画)やIntervention(介入)のどこを変更したかである。\n/*/\n主観的情報や客観的情報などの分類には該当しない有益な情報は欄外に書くことが望ましい。\n/*/\nSOAP形式やSOAPIE形式は問題ごとに記録を書くため、なにが問題で、どのようなケアをおこなっていくべきかが明らかである。\nまた、思考の流れが明瞭なため、根拠のあるケアにつながる。\nただし、医療・看護上のある一場面や一日の看護ケアをもとに物事を考えるため、長期間の経過を評価するには適切ではない。",
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{
"title": "フォーカスチャーティング",
"description": "Focus Charting(フォーカスチャーティング)とは、POSの考えに基づく経過記録の記録方法のひとつである。\nフォーカスチャーティングでは出来事に焦点を当て、FDARで記載する。\nFDARとは、Focus(フォーカス)、Data(データ)、Action(アクション)、Response(反応)の頭文字である。\n/*/\nフォーカスチャーティングにおいてフォーカスとは、患者の問題点のことである。\nSOAP形式では医療や看護の問題を記録の題名に用いていたが、フォーカスチャーティングでは看護診断名に制約されず、フォーカスを記録の題名とする。\nたとえば「頭痛の訴え」「三日間排便がない」などがフォーカスになる。\nフォーカスチャーティングのフォーカスは、SOAP形式やSOAPIE形式の評価に相当する。\n/*/\nフォーカスチャーティングにおいてデータとは、フォーカスに関する情報である。\nフォーカスに関する情報であれば、主観的な情報も客観的な情報もデータに記載する。\nたとえば、バイタルサインや検査データ、記録者が見聞きしたことなどである。\nフォーカスチャーティングのデータは、SOAP形式やSOAPIE形式の主観的情報・客観的情報に相当する。\n/*/\nフォーカスチャーティングにおいてアクションとは、医療従事者が患者に対して何をしたかである。\nフォーカスに対してどのようなケアや治療、指導などをおこなったかを記載する。\nまた、今後どのような看護を提供していくか、どのような計画にするのかについてもアクションに記載する。\nフォーカスチャーティングのアクションは、SOAPIE形式の介入に相当する。\n/*/\nフォーカスチャーティングにおいて反応とは、患者がどうなったかである。\nアクションで実施したケアや治療、指導などの結果、患者からどのような反応を得られたかを記載する。\nたとえば「穏やかな表情になる」「落ち着きを取り戻す」などである。\n患者から反応が得られるのに時間がかかる場合はすぐに記載しなくてもよい。\nたとえば、効果が発現するまで数時間にかかる薬剤を投与した場合などである。\nフォーカスチャーティングの反応は、SOAPIE形式のEvalution(評価)に相当する。\n/*/\nフォーカスチャーティングは、フォーカスとして取り上げる内容を柔軟に書くことができるため、適切な看護診断名が知らない場合や一時的で突発的な問題も記録しやすい。\nまた、看護の内容とその反応について医療過程にそった経過を書くため、一連の流れを把握しやすい。\nただし、フォーカスで取り上げられる内容が医療従事者によって異なるため、複数の医療従事者によって看護している場合、他の日と比較しにくいという欠点がある。\nまた、刻一刻と容体が変化する患者の場合、フォーカスが多くなり、記録の数が増えやすいという問題もある。",
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{
"title": "経時記録",
"description": "経時記録とは、起きた出来事や患者の状態・状況、患者の対応、医師の指示内容、実施した看護・治療・検査に対する患者の反応などを時系列の順に記録する方法である。\n経時記録は、POSの考えに基づかない経過記録である。\n経時記録は、突発的な事故や状況を、時間を追って記載できるため、わかりやすいという利点がある。\nまた、患者の性格や習慣などが浮き彫りになりやすいという特徴がある。\nただし、いつ、どこで、誰が、何をして、どうなったか、患者や医療従事者の細かな対応や様子をすべて明記するため、時間がかかるという欠点がある。\nまた、記録内容が長くなった場合、どこに何が書いてあるか、わかりにくいという問題もある。",
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"title": "看護サマリー",
"description": "サマリーとはsumamary、つまり概要や要約のことである。\n看護サマリーとは、患者の経過や実施された看護ケアなどの情報を簡潔にまとめたものである。\n看護要約とも呼ばれる。\n患者が病棟や病院を移るとき、退院するときなど、必要に応じて作成する。\n看護サマリーは入院中の数日、あるいは数ヶ月にわたる経過の中で、大事な要点をまとめたものであるため、入院から時系列の順に出来事や治療、その結果を記載できる経時記録形式が適している。\n/*/\n看護サマリーにおいて「治療の経過」とは記載する項目のひとつ。\n傷を負った日時、あるいは症状が出現した日時、病気の名前、治療の内容とその経過を記載する。\n治療の経過は、医師が記載する診療情報提供書に記載される場合もある。\n/*/\n看護サマリーにおいて「入院中の経過」とは記載する項目のひとつ。\n入院した日付、治療の内容、入院中の言動や行動を記載する。\nまた、上記に当てはまらないものでも特筆すべき内容は入院中の経過に記載する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「入院時の看護問題」とは記載する項目のひとつ。\nその患者が今回の入院中に立案した看護問題をすべて記載する。\nさらにそれぞれの看護問題に対し、どのような看護や処置を実施したか、その看護や処置に患者や家族がどのように反応したか、それらの看護や処置は継続して必要か、看護目標の達成状況などについて記載する。\n入院時の看護問題は、看護サマリーを受け取る相手がどのような情報があれば、必要なケアを継続できるか、意識して書くようにする。\n/*/\n看護サマリーにおいて「介護状況」とは記載する項目のひとつ。\n食事や入浴、排尿・排便、移動などで介護や援助が必要かを記載する。\nまた、介護が必要な場合、どのような介護や援助が必要かを記載する。\n紙の場合、記入の時間を短縮するため、チェックマークをつけたり、丸をつけるだけで必要な介護や援助が分かるような書式になっており、該当する項目がない場合は注意点や備考などに記載する形式となっている。\nまた電子カルテの場合も、記入の時間を短縮するため、チェックボックスで必要な介護や援助を選択する形式となっている。\n/*/\n看護サマリーにおいて「服薬状況」とは記載する項目のひとつ。\n患者に必要な薬を配るのか、配薬の場合一回分ずつ渡すのか、数日分をまとめて渡すのか、薬を患者が自己管理しているか、医療従事者が患者に服薬を確認するのがよいか、患者が服薬を拒否していないかなどを記載する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「最終排便日」とは記載する項目のひとつ。\n入院中、その患者が最後に排便した日を記載する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「精神症状の有無」とは記載する項目のひとつ。\n暴言・暴行、見当識障害、幻聴・幻覚、妄想などがないかを記載する。\n記入の時間を短縮するため、介護状況と同様に、選択式となっている。\n/*/\n看護サマリーにおいて「既往歴」とは記載する項目のひとつ。\n現在の病気以外で、過去に罹患した病気と罹患当時の年齢や年月を記載する。\n病名は略さず、正式名称を記載する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「感染症」とは記載する項目のひとつ。\n感染症があると入居できない施設や病院もあるため、患者の感染症について記載する。\n感染症がない場合はないことを看護サマリーに明記する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「アレルギー」とは記載する項目のひとつ。\n患者にアレルギー症状があるか、ある場合はどの物質に対して反応するかを記載する。\nアレルギーがない場合はないことを看護サマリーに明記する。\nなお、アレルギー症状とは特定の物質に対し、免疫反応が過剰に起こり、自分自身を傷つけてしまう現象である。\n/*/\n看護サマリーにおいて「家族構成」とは記載する項目のひとつ。\n患者の家族構成について、誰と同居しているのかなどを記載する。\n/*/\n看護サマリーにおいて「病状説明と理解」とは記載する項目のひとつ。\n患者やその家族に対し、現在の病状と治療をどのように説明しているかを記載する。\nまた、患者や家族がその病気や治療をどのように理解しているかについて記載する。",
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"title": "記録の規則",
"description": "紙に看護記録を書く場合は改ざんや不正を伴う追記・修正を防ぐため、鉛筆やシャープペンシルではなく、ボールペンで記入するよう、病院で定められていることが多い。\nボールペンのインクの色は、複写機でコピーした場合に薄くなって読めなくなったりしないよう、基本的に黒が望ましい。\n記載した内容を訂正する場合、元の記載内容が分かるよう、二重線を引いて訂正する。\n訂正に修正液や修正ペンを使ってはならない。\n訂正によって文章の意味が変わる場合、訂正箇所の近くに訂正した日付と時刻、訂正者の署名を書く。\n電子カルテは、システム側で自動的に訂正日時と訂正者を記録し、履歴を管理するようになっている場合もあるため、その場合は別途記載する必要はない。\n紙に署名をする際は、筆跡や筆圧で本人の署名であることを確認できるようするため、印鑑よりも直筆が望ましい。\n紙のカルテで空白の行がある場合は、後から追記できないよう、空白のある場所にその行数を記載するとよい。\n造語や略語など、院内規定にない表現は看護記録に用いてはならない。\nたとえば「マーゲンチューブ」では独語のマーゲンと英語のチューブが混じっているため、代わりに「マーゲンゾルテ」(独語)・「ストマックチューブ」(英語)・「胃管」(日本語)などと表記する。\nまた、患者や家族などの当事者が請求すれば、看護記録を開示しなければならないため、医療従事者以外の者が読んでも誤解しないよう表現に気をつける必要がある。\nたとえば「エア入り」は「肺の呼吸音」、「ルンゲンクレーブス」「エルケー」は「肺がん」、「ケモ」「ケモセラピー」は「化学療法」、「齲蝕」は「虫歯」など、医療従事者以外にも分かる表現で記載する。\n「~と思われる」「~のように見える」といったあいまいな表現は使ってはならない。\n「~と思われる」は「~の恐れがある」「~の可能性がある」、「~のように見える」は「~する様子が見られる」などで言い換えても文脈上、問題ない場合、そのように書くことが望ましい。\n医師と看護師、あるいは医療従事者と患者の間で上下関係はないため、看護記録に敬語や丁寧語は不要である。",
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最終更新:2022年06月12日 23:37