部品構造
- 大部品: オープン・ダイアローグ(T23) RD:9 評価値:5
- 部品: オープン・ダイアローグとは
- 部品: 特徴
- 部品: 対象
- 部品: リフレクティング・プロセス
- 部品: オートポイエーシス理論
- 大部品: 詩学(T23) RD:4 評価値:3
- 部品: 詩学とは
- 部品: 不確実性への耐性
- 部品: 対話主義
- 部品: 社会ネットワークのポリフォニー
部品定義
部品: オープン・ダイアローグとは
オープン・ダイアローグ(open dialogue)とは、依頼から24時間以内に、ふたり以上のスタッフからなる専門家チームがクライエント本人やその家族、他の重要な関係者(親戚・友人・知人・関係機関の担当者など)と一緒にミーティングをおこなう、精神科医療のアプローチである。
最初に依頼を受けたスタッフ(たいていは看護師)が責任者となる。
ミーティングはできる限りクライエントの自宅でおこない、ひとつの部屋に車座になって座り、自由に意見を交換する。
ミーティングの目的は、参加者が自分たちのおかれた状況を理解できるよう対話することである。
ミーティングはクライエントにとって必要な頻度・回数で実施され、その間、同じチームが参加する。
クライエントをよく知る同じ専門家チームが最初からずっと続けて対応することにより、様々な支援をひとつのまとまりのあるものとして統合し、相互の効果を高め合うと考えられている。
そのため、異動などあった場合も誰か一名はチームに残って橋渡し役になることが望ましい。
部品: 特徴
オープン・ダイアローグの特徴は、クライエント本人に一切の隠し事をしないこと、本人のいないところで本人についての重要な決定をせず、事前・事後に支援者だけで話し合いをしないことである。
治療・投薬・入院などの医療的な介入は、必ず全員で話し合って決める。
また、参加者全員がリーダーであると意識し、お互いを信頼し合うこと、説得・詰問せず、結論に結びつけず、相手の言葉に必ず反応すること(対話すること)も重要である。
一対一の対話は権力関係になりやすく、言葉は「言わされている」感じになりやすいが、集団の中で皆がそれぞれ自分の思いを話すことにより、当事者が自発的にふるまう余白を作り出せると考えられている。
誰も一方的に話をせず、さまざまな声が響きあうことから、オープン・ダイアローグのミーティングは波乗りにたとえられる。
部品: 対象
オープン・ダイアローグは、発症初期の精神疾患を主な対象としている。
急性期は他者からの影響に無防備であるため、このタイミングにオープン・ダイアローグをおこなうと効果が高いとされる。
急性期とは、病気のなりはじめのことである。
統合失調では入院治療期間の短縮、服薬を必要とした患者の減少、再発率の減少などのエヴィデンスがある。
エヴィデンス(evidence)とは、科学的根拠のことである。
オープン・ダイアローグは、引きこもりに対しても適応事例がある。
レンタルおねえさんのような異性の魅力で引きこもりを解消する方法と比べ、オープン・ダイアローグは対話の参加者が多いため、転移性恋愛のような人間関係のトラブルに発展しにくいとされる。
精神疾患に限らず、困難や悩み事を抱えていて、対話を必要とする者たちはすべて、オープン・ダイアローグの対象となりうる。
また、スタッフがオープン・ダイアローグの手法を習得するためのトレーニングとして、スタッフ自身がクライアントとなって、オープン・ダイアローグの対話をおこなうこともある。
部品: リフレクティング・プロセス
リフレクティング・プロセス(reflecting process)とは、当事者についての専門家の話し合いを、当事者やその家族に観察してもらう技法である。
当事者と専門家の間の相互性に重きをおいており、「本人の前で噂話をする」とたとえられている。
クライエントは、観察される立場と観察する立場の両方を経験することとなり、その過程で自分の問題を外在化し、自分自身を客観視する機会を得ることができると考えられている。
/*/
リフレクティング・プロセスは、「いくつもの視点をお盆の上にのせていくこと」と表現されることもある。
「他のスタッフがまだお盆の上にのせていない視点を自分の中から取り出す」と考えることで、異なる意見も発言しやすくなる。
なお、ここでいうお盆とは、比喩表現であり、実際にお盆があるわけではない。
部品: オートポイエーシス理論
オートポイエーシス(autopoiesis)理論とは、神経生理学者によって提唱されたシステム論。
結晶を例にした場合、これまでのシステム論では、結晶をシステム、溶液をシステムの環境として、結晶を自己組織化するシステムととられていた。
オートポイエーシス理論では、結晶と溶液の界面で生ずる結晶生成のプロセスをシステムの構成要素として、生成プロセスの集合をシステム、結晶を生成プロセスから除去された廃棄物と考える。
この理論を応用したものが社会システム論である。
社会とは人間を環境として、コミュニケーションがコミュニケーションを自律的に再生産し続けるシステムであり、社会でのさまざまな事件や出来事が社会システムの廃棄物と考える。
オープン・ダイアローグにおいては、参加メンバーがシステムで、対話が対話を再生産し続けることで、廃棄物として治癒や改善が生成されると考える。
部品: 詩学とは
詩学とは、対面して診療をおこなう場面で、言葉づかいやコミュニケーションをどのようにすべきかという、実践についての理論のこと。
部品: 不確実性への耐性
通常の診療では、初診の時点で診断と同時に、「どんな治療をするのか」「病状の見通しはどうか」といった内容が伝えられる。
しかしオープン・ダイアローグでは、そのあたりをあいまいなままにする。
このようにあいまいなままにすることは、不確実性への耐性(tolerance of uncertainty)と呼ばれている。
最終的な結論が出されるまでは、このあいまいな状況に留まりながら、病気による恐怖や不安を支えていく。
こうしたあいまさ・不確実性への不安を支えるのが、繰り返されるミーティングと継続的な対話である。
ミーティング中にクライエント本人がいなくなったり、クライエントが自分で話したいことを決められなかったりなど、どのような応答があっても、対話の流れを操作せず、関心を示すことで対話が続くように配慮する。
これによって、参加者はどんな考えも話しても安全であるという雰囲気を生んでいく。
不確実性への耐性は、詩学の原則のひとつである。
部品: 対話主義
対話主義(dialogism)とは、対話をすることを目的とし、多様な声に耳を傾けることである。
対話主義は、言語とコミュニケーションが現実を構成するという社会構成主義の考えに基づく。
言葉の意味は「人とのかかわり」から生まれるという考えである。
対話主義の提唱者によれば、あらゆる対話は応答を求めており、「言語にとって応答の欠如ほど恐ろしいものはない」と指摘している。
オープン・ダイアローグでは、患者の苦しみに声を与える言語は、対話から生まれると考える。
対話主義は、詩学の原則のひとつである。
部品: 社会ネットワークのポリフォニー
社会ネットワークのポリフォニーとは、対話において中心的な立場を認めない、専門家も当事者も対等という考え方である。
この考え方は、専門家中心主義だけでなく、当事者中心主義への批判でもある。
発話者ひとりひとりに独立した意識を認めるが、目標を定めて対話を操作する支配的な立場を認めないため、対話はつねに次の対話へと開かれた状態におかれる。
詩学において、ポリフォニー(polyphony)とは、多様な声・意見のことである。
ポリフォニーは、多声性とも呼ばれる。
対話には、水平のポリフォニーと垂直のポリフォニーがある。
水平のポリフォニーは、対話に参加しているすべての知類から構成される。
垂直のポリフォニーは、専門家・配偶者・親・子・生徒・先生・上司・部下など、個人が持っている様々な役割の関係性から響く声である。
社会ネットワークのポリフォニーは、詩学の原則のひとつである。
提出書式
大部品: オープン・ダイアローグ(T23) RD:9 評価値:5
-部品: オープン・ダイアローグとは
-部品: 特徴
-部品: 対象
-部品: リフレクティング・プロセス
-部品: オートポイエーシス理論
-大部品: 詩学(T23) RD:4 評価値:3
--部品: 詩学とは
--部品: 不確実性への耐性
--部品: 対話主義
--部品: 社会ネットワークのポリフォニー
部品: オープン・ダイアローグとは
オープン・ダイアローグ(open dialogue)とは、依頼から24時間以内に、ふたり以上のスタッフからなる専門家チームがクライエント本人やその家族、他の重要な関係者(親戚・友人・知人・関係機関の担当者など)と一緒にミーティングをおこなう、精神科医療のアプローチである。
最初に依頼を受けたスタッフ(たいていは看護師)が責任者となる。
ミーティングはできる限りクライエントの自宅でおこない、ひとつの部屋に車座になって座り、自由に意見を交換する。
ミーティングの目的は、参加者が自分たちのおかれた状況を理解できるよう対話することである。
ミーティングはクライエントにとって必要な頻度・回数で実施され、その間、同じチームが参加する。
クライエントをよく知る同じ専門家チームが最初からずっと続けて対応することにより、様々な支援をひとつのまとまりのあるものとして統合し、相互の効果を高め合うと考えられている。
そのため、異動などあった場合も誰か一名はチームに残って橋渡し役になることが望ましい。
部品: 特徴
オープン・ダイアローグの特徴は、クライエント本人に一切の隠し事をしないこと、本人のいないところで本人についての重要な決定をせず、事前・事後に支援者だけで話し合いをしないことである。
治療・投薬・入院などの医療的な介入は、必ず全員で話し合って決める。
また、参加者全員がリーダーであると意識し、お互いを信頼し合うこと、説得・詰問せず、結論に結びつけず、相手の言葉に必ず反応すること(対話すること)も重要である。
一対一の対話は権力関係になりやすく、言葉は「言わされている」感じになりやすいが、集団の中で皆がそれぞれ自分の思いを話すことにより、当事者が自発的にふるまう余白を作り出せると考えられている。
誰も一方的に話をせず、さまざまな声が響きあうことから、オープン・ダイアローグのミーティングは波乗りにたとえられる。
部品: 対象
オープン・ダイアローグは、発症初期の精神疾患を主な対象としている。
急性期は他者からの影響に無防備であるため、このタイミングにオープン・ダイアローグをおこなうと効果が高いとされる。
急性期とは、病気のなりはじめのことである。
統合失調では入院治療期間の短縮、服薬を必要とした患者の減少、再発率の減少などのエヴィデンスがある。
エヴィデンス(evidence)とは、科学的根拠のことである。
オープン・ダイアローグは、引きこもりに対しても適応事例がある。
レンタルおねえさんのような異性の魅力で引きこもりを解消する方法と比べ、オープン・ダイアローグは対話の参加者が多いため、転移性恋愛のような人間関係のトラブルに発展しにくいとされる。
精神疾患に限らず、困難や悩み事を抱えていて、対話を必要とする者たちはすべて、オープン・ダイアローグの対象となりうる。
また、スタッフがオープン・ダイアローグの手法を習得するためのトレーニングとして、スタッフ自身がクライアントとなって、オープン・ダイアローグの対話をおこなうこともある。
部品: リフレクティング・プロセス
リフレクティング・プロセス(reflecting process)とは、当事者についての専門家の話し合いを、当事者やその家族に観察してもらう技法である。
当事者と専門家の間の相互性に重きをおいており、「本人の前で噂話をする」とたとえられている。
クライエントは、観察される立場と観察する立場の両方を経験することとなり、その過程で自分の問題を外在化し、自分自身を客観視する機会を得ることができると考えられている。
/*/
リフレクティング・プロセスは、「いくつもの視点をお盆の上にのせていくこと」と表現されることもある。
「他のスタッフがまだお盆の上にのせていない視点を自分の中から取り出す」と考えることで、異なる意見も発言しやすくなる。
なお、ここでいうお盆とは、比喩表現であり、実際にお盆があるわけではない。
部品: オートポイエーシス理論
オートポイエーシス(autopoiesis)理論とは、神経生理学者によって提唱されたシステム論。
結晶を例にした場合、これまでのシステム論では、結晶をシステム、溶液をシステムの環境として、結晶を自己組織化するシステムととられていた。
オートポイエーシス理論では、結晶と溶液の界面で生ずる結晶生成のプロセスをシステムの構成要素として、生成プロセスの集合をシステム、結晶を生成プロセスから除去された廃棄物と考える。
この理論を応用したものが社会システム論である。
社会とは人間を環境として、コミュニケーションがコミュニケーションを自律的に再生産し続けるシステムであり、社会でのさまざまな事件や出来事が社会システムの廃棄物と考える。
オープン・ダイアローグにおいては、参加メンバーがシステムで、対話が対話を再生産し続けることで、廃棄物として治癒や改善が生成されると考える。
部品: 詩学とは
詩学とは、対面して診療をおこなう場面で、言葉づかいやコミュニケーションをどのようにすべきかという、実践についての理論のこと。
部品: 不確実性への耐性
通常の診療では、初診の時点で診断と同時に、「どんな治療をするのか」「病状の見通しはどうか」といった内容が伝えられる。
しかしオープン・ダイアローグでは、そのあたりをあいまいなままにする。
このようにあいまいなままにすることは、不確実性への耐性(tolerance of uncertainty)と呼ばれている。
最終的な結論が出されるまでは、このあいまいな状況に留まりながら、病気による恐怖や不安を支えていく。
こうしたあいまさ・不確実性への不安を支えるのが、繰り返されるミーティングと継続的な対話である。
ミーティング中にクライエント本人がいなくなったり、クライエントが自分で話したいことを決められなかったりなど、どのような応答があっても、対話の流れを操作せず、関心を示すことで対話が続くように配慮する。
これによって、参加者はどんな考えも話しても安全であるという雰囲気を生んでいく。
不確実性への耐性は、詩学の原則のひとつである。
部品: 対話主義
対話主義(dialogism)とは、対話をすることを目的とし、多様な声に耳を傾けることである。
対話主義は、言語とコミュニケーションが現実を構成するという社会構成主義の考えに基づく。
言葉の意味は「人とのかかわり」から生まれるという考えである。
対話主義の提唱者によれば、あらゆる対話は応答を求めており、「言語にとって応答の欠如ほど恐ろしいものはない」と指摘している。
オープン・ダイアローグでは、患者の苦しみに声を与える言語は、対話から生まれると考える。
対話主義は、詩学の原則のひとつである。
部品: 社会ネットワークのポリフォニー
社会ネットワークのポリフォニーとは、対話において中心的な立場を認めない、専門家も当事者も対等という考え方である。
この考え方は、専門家中心主義だけでなく、当事者中心主義への批判でもある。
発話者ひとりひとりに独立した意識を認めるが、目標を定めて対話を操作する支配的な立場を認めないため、対話はつねに次の対話へと開かれた状態におかれる。
詩学において、ポリフォニー(polyphony)とは、多様な声・意見のことである。
ポリフォニーは、多声性とも呼ばれる。
対話には、水平のポリフォニーと垂直のポリフォニーがある。
水平のポリフォニーは、対話に参加しているすべての知類から構成される。
垂直のポリフォニーは、専門家・配偶者・親・子・生徒・先生・上司・部下など、個人が持っている様々な役割の関係性から響く声である。
社会ネットワークのポリフォニーは、詩学の原則のひとつである。
インポート用定義データ
[
{
"title": "オープン・ダイアローグ(T23)",
"children": [
{
"title": "オープン・ダイアローグとは",
"description": "オープン・ダイアローグ(open dialogue)とは、依頼から24時間以内に、ふたり以上のスタッフからなる専門家チームがクライエント本人やその家族、他の重要な関係者(親戚・友人・知人・関係機関の担当者など)と一緒にミーティングをおこなう、精神科医療のアプローチである。\n最初に依頼を受けたスタッフ(たいていは看護師)が責任者となる。\nミーティングはできる限りクライエントの自宅でおこない、ひとつの部屋に車座になって座り、自由に意見を交換する。\nミーティングの目的は、参加者が自分たちのおかれた状況を理解できるよう対話することである。\nミーティングはクライエントにとって必要な頻度・回数で実施され、その間、同じチームが参加する。\nクライエントをよく知る同じ専門家チームが最初からずっと続けて対応することにより、様々な支援をひとつのまとまりのあるものとして統合し、相互の効果を高め合うと考えられている。\nそのため、異動などあった場合も誰か一名はチームに残って橋渡し役になることが望ましい。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 1
},
{
"title": "特徴",
"description": "オープン・ダイアローグの特徴は、クライエント本人に一切の隠し事をしないこと、本人のいないところで本人についての重要な決定をせず、事前・事後に支援者だけで話し合いをしないことである。\n治療・投薬・入院などの医療的な介入は、必ず全員で話し合って決める。\nまた、参加者全員がリーダーであると意識し、お互いを信頼し合うこと、説得・詰問せず、結論に結びつけず、相手の言葉に必ず反応すること(対話すること)も重要である。\n一対一の対話は権力関係になりやすく、言葉は「言わされている」感じになりやすいが、集団の中で皆がそれぞれ自分の思いを話すことにより、当事者が自発的にふるまう余白を作り出せると考えられている。\n誰も一方的に話をせず、さまざまな声が響きあうことから、オープン・ダイアローグのミーティングは波乗りにたとえられる。",
"part_type": "part",
"expanded": true,
"localID": 2
},
{
"title": "対象",
"description": "オープン・ダイアローグは、発症初期の精神疾患を主な対象としている。\n急性期は他者からの影響に無防備であるため、このタイミングにオープン・ダイアローグをおこなうと効果が高いとされる。\n急性期とは、病気のなりはじめのことである。\n統合失調では入院治療期間の短縮、服薬を必要とした患者の減少、再発率の減少などのエヴィデンスがある。\nエヴィデンス(evidence)とは、科学的根拠のことである。\nオープン・ダイアローグは、引きこもりに対しても適応事例がある。\nレンタルおねえさんのような異性の魅力で引きこもりを解消する方法と比べ、オープン・ダイアローグは対話の参加者が多いため、転移性恋愛のような人間関係のトラブルに発展しにくいとされる。\n精神疾患に限らず、困難や悩み事を抱えていて、対話を必要とする者たちはすべて、オープン・ダイアローグの対象となりうる。\nまた、スタッフがオープン・ダイアローグの手法を習得するためのトレーニングとして、スタッフ自身がクライアントとなって、オープン・ダイアローグの対話をおこなうこともある。",
"part_type": "part",
"localID": 3
},
{
"title": "リフレクティング・プロセス",
"description": "リフレクティング・プロセス(reflecting process)とは、当事者についての専門家の話し合いを、当事者やその家族に観察してもらう技法である。\n当事者と専門家の間の相互性に重きをおいており、「本人の前で噂話をする」とたとえられている。\nクライエントは、観察される立場と観察する立場の両方を経験することとなり、その過程で自分の問題を外在化し、自分自身を客観視する機会を得ることができると考えられている。\n/*/\nリフレクティング・プロセスは、「いくつもの視点をお盆の上にのせていくこと」と表現されることもある。\n「他のスタッフがまだお盆の上にのせていない視点を自分の中から取り出す」と考えることで、異なる意見も発言しやすくなる。\nなお、ここでいうお盆とは、比喩表現であり、実際にお盆があるわけではない。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 4
},
{
"title": "オートポイエーシス理論",
"description": "オートポイエーシス(autopoiesis)理論とは、神経生理学者によって提唱されたシステム論。\n結晶を例にした場合、これまでのシステム論では、結晶をシステム、溶液をシステムの環境として、結晶を自己組織化するシステムととられていた。\nオートポイエーシス理論では、結晶と溶液の界面で生ずる結晶生成のプロセスをシステムの構成要素として、生成プロセスの集合をシステム、結晶を生成プロセスから除去された廃棄物と考える。\nこの理論を応用したものが社会システム論である。\n社会とは人間を環境として、コミュニケーションがコミュニケーションを自律的に再生産し続けるシステムであり、社会でのさまざまな事件や出来事が社会システムの廃棄物と考える。\nオープン・ダイアローグにおいては、参加メンバーがシステムで、対話が対話を再生産し続けることで、廃棄物として治癒や改善が生成されると考える。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 5
},
{
"title": "詩学(T23)",
"children": [
{
"title": "詩学とは",
"description": "詩学とは、対面して診療をおこなう場面で、言葉づかいやコミュニケーションをどのようにすべきかという、実践についての理論のこと。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 7
},
{
"title": "不確実性への耐性",
"description": "通常の診療では、初診の時点で診断と同時に、「どんな治療をするのか」「病状の見通しはどうか」といった内容が伝えられる。\nしかしオープン・ダイアローグでは、そのあたりをあいまいなままにする。\nこのようにあいまいなままにすることは、不確実性への耐性(tolerance of uncertainty)と呼ばれている。\n最終的な結論が出されるまでは、このあいまいな状況に留まりながら、病気による恐怖や不安を支えていく。\nこうしたあいまさ・不確実性への不安を支えるのが、繰り返されるミーティングと継続的な対話である。\nミーティング中にクライエント本人がいなくなったり、クライエントが自分で話したいことを決められなかったりなど、どのような応答があっても、対話の流れを操作せず、関心を示すことで対話が続くように配慮する。\nこれによって、参加者はどんな考えも話しても安全であるという雰囲気を生んでいく。\n不確実性への耐性は、詩学の原則のひとつである。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 8
},
{
"title": "対話主義",
"description": "対話主義(dialogism)とは、対話をすることを目的とし、多様な声に耳を傾けることである。\n対話主義は、言語とコミュニケーションが現実を構成するという社会構成主義の考えに基づく。\n言葉の意味は「人とのかかわり」から生まれるという考えである。\n対話主義の提唱者によれば、あらゆる対話は応答を求めており、「言語にとって応答の欠如ほど恐ろしいものはない」と指摘している。\nオープン・ダイアローグでは、患者の苦しみに声を与える言語は、対話から生まれると考える。\n対話主義は、詩学の原則のひとつである。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 9
},
{
"title": "社会ネットワークのポリフォニー",
"description": "社会ネットワークのポリフォニーとは、対話において中心的な立場を認めない、専門家も当事者も対等という考え方である。\nこの考え方は、専門家中心主義だけでなく、当事者中心主義への批判でもある。\n発話者ひとりひとりに独立した意識を認めるが、目標を定めて対話を操作する支配的な立場を認めないため、対話はつねに次の対話へと開かれた状態におかれる。\n詩学において、ポリフォニー(polyphony)とは、多様な声・意見のことである。\nポリフォニーは、多声性とも呼ばれる。\n対話には、水平のポリフォニーと垂直のポリフォニーがある。\n水平のポリフォニーは、対話に参加しているすべての知類から構成される。\n垂直のポリフォニーは、専門家・配偶者・親・子・生徒・先生・上司・部下など、個人が持っている様々な役割の関係性から響く声である。\n社会ネットワークのポリフォニーは、詩学の原則のひとつである。",
"expanded": true,
"part_type": "part",
"localID": 10
}
],
"expanded": true,
"part_type": "group",
"localID": 6,
"description": "流用可能"
}
],
"expanded": true,
"part_type": "group",
"localID": 0,
"description": "流用可能"
}
]
最終更新:2021年06月26日 14:00