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少数決 ジャージ篇」を以下のとおり復元します。
*少数決 ジャージ篇
 古来,多人数で物事を決める際に使われる技法として多数決と呼ばれる手法がある.しかし,この出来事は,必ずしも多数決において多数が勝つわけではないという良い事例を体験した出来事だったと言ってよい.

 クラブにはやはり揃いのジャージってものがある.全員揃ってないとかっこ悪いしね.さらに加えて言うと,学年ごと(それも男女別)に自由に決めていいというすばらしい自由度だった.しかし,これは中々センスの問われることである.

 1つ上の人たちのジャージは圧倒的にかっこいい!ってわけではなかったけど,なかなかシンプルで落ち着いたデザインでまぁまぁ良い感じに見えた.だから,当時9人いた男たちは「上の人のと一緒で良っか~」てなノリになってた.まぁとりわけそれより優れたデザインが見つからなかったのも事実だ.

 ところが,それに待ったをかけた男がいた.その男は言った.
''「え,やっぱかぶってるのは良くないって~.」''
彼はどことなく申し訳なさそうに遠慮がちにそう言った.''心なし唇は青い''.が,誰よりも力強く,かぶるのは良くないことをひたすら主張していた.1対8の戦いに物怖じすることなく,彼はひたすら主張を続けた.頑固だ….この男,見た目によらず頑固だ….彼の提案したのは,一つ上の人のものと同じデザインのもの.ただし,肩から手にかけてのラインの色が紫.カタログには「青」と書かれているが,どことなく紫….

 なんだか不安な配色だ.しかし,彼の微妙に譲らない強い信念は周りを動かしたのだろうか….次第に「そこまで言うんなら,それでもいいんちゃう.」ていうノリになってきた.そしてついには''1対8で1が採用''された.多数決も何もあったもんじゃない.

 ……

 2週間後くらい経った頃だろうか.問題のジャージが届いた.いっぱいにつまったダンボールから出てきたのは,やたら悪趣味に際立った''紫''だった.そう,大阪のおばちゃんの髪の毛みたいな色.

 強情にそれを勧めていた男も一瞬黙った.そして,後日''「カタログ見た感じではあんな色じゃなかった」''と弁明していた.失敗だとは思っていたらしい.あのジャージあんまり着た記憶ないなぁ.

 ちなみに印象悪かったのは,始めに試着した''そーりと紫の愛称が悪かった所為だ''という説もあったような….

<いと>

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