大会閉幕 泣かないと決めた日

~大会を終えて~

先生「旅立つのですね,ライト兄弟・・・」
イワオ「いっちゃやだよおぉおぉぉうぅうう」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を二人の体に押し付ける。
困ったような顔を見合わせながら,ライトレイが語りだす。
ライトレイ「そりゃ俺たちだって別れるのはつらいさ,見てみろ?トニーだって泣いてんだぜ」
ライトニング「レ,レイ!!いらないことは言わなくていいのです...イワオ,寂しいけど先生と仲良く暮らすんだよ」
イワオ「うわあああああああああああああああん!!」
ライトニング「...イワオ!!」
泣くのをやめ,体をびくっと震わせる。
ライトニングとイワオはお互いの鼻先がくっつくくらいまで顔を近づけた。
ライトニング「ロビンは泣いたか?」
イワオ「・・・」
ライトニング「ロビンがロビンファミリーと別れて旅立つとき,ロビンは泣いたか?」
イワオ「・・・泣いてない」
まだあどけない少年の瞳は凛と輝いている。覚悟を決めた者の目。
口を強く結び,もう泣くまいとする少年にライトレイがそっと言葉をかける。
ライトレイ「泣くより笑え!!笑顔は世界を救うんだ!!サンダー一家を思い出せ!!」
イワオ「・・・サンダー一家?」

サンダー一家とは,異次元エスパーロビンが開始する10年ほど前に放映されていた特撮もの。
イワオは見たことがなかった。これぞジェネレーションギャップ!!

ライトレイ「な,し,知らないのか?くそっビデオ借りてみておけ!!俺たちが次にお前に会いに来るまでに見ておけよ!!」
イワオ「にかー」
ライトレイ「な,なに笑ってんだよ!!」
ライトニング「レイが笑えと言ったんだすよ」
ライトレイ「あ,そうだった」
小さな道場は大きな笑顔に包まれた。しばらくこの笑顔には会えなくなる。そう思うとなかなか笑うのをやめられない。
だから最後まで笑っていた。少年の顔にあったのは,大きな大きな笑顔。もう泣かないと決めた日。

先生「ライト兄弟,これを」

果倉部道場免許皆伝。

先生「両名とも,よく頑張りました。ここに長年の鍛錬をたたえ,皆伝を送ります」
ライトレイ・ライトニング「押忍!!」
先生「なにかあったら中のお守りを開けてください。きっとあなたたちの役に立ちますから」
ライトレイ「では早速...」
お守りを開けて中を見ようとする兄を制する弟。
ライトニング「おいっ」
大きく手を振りながら別れを告げる,皆の顔は笑顔であった。

~パフェ屋風車~

ディック「やっぱり嫌だ!!せっかく仲間になったのに・・・」
いつになく声を荒げてチョコパフェをほおばる彼の前には,にろく,ナル,シャーク,そして…
ルナ「ディック,少しは落ち着きなさい。あなたがこのチームのリーダーなんだからしっかりしてよ」

突然シャークが連れてきたルナと名乗る女性決闘者。
大会には参加しなかったがPLUNGERのマネージャーとしてともに決勝トーナメントを争った。
勝気な性格であるが,仲間を重んじ大切にしていたのをメンバーのだれもが知っていた。

ナル「すまない。だけど解散ってわけじゃない。しばらく俺たちはチームから離れると言ってるんだ」
にろく「なに,またすぐ会えるさ」
シャーク「ディック,俺たちPLUNGERは【突破する者たち】だ。人と人の別れを克服することも必要だ。
それに俺たちは同じ星の上,同じ空の下にいるんだかからな」

ディック「・・・チームPLUNGERは,永遠に不滅だ!!今日は最後の晩餐だ!!おばちゃん"あれ"お願い!!」
店員「あいよ」
テーブルに運ばれてきたのは超特大チョコパフェ。風車が創業してから誰も完食したものがいない伝説のパフェ。
にろく「・・・まじか」
ナル「いけぇっぇ見せてくれお前の男気を!!」
シャーク「ロマンチックとは程遠いが,それがお前のいいところだな」
ルナ「うんうん,男っぽくていいよ。ではよーいどん!!」

~3on3大会会場~
一部がぼろぼろになった会場でチームメサイアのメンバーたちが語り合っていた。
ボルケーノ「優勝しちゃったな」
ラメイル「はい,優勝しましたね」
まさかここまで目立つことになろうとは。誰がこれほどの結果を予想できただろう。
メサイア「ま,いいっていいって。目的は達成できたんだから」
気持ち悪く飛び回る使い魔が二人に近づく。
メサイア「でも確かに目立ちすぎたのは事実だよ。少しおとなしくしていようか」
ボルケーノ「そうか。じゃあ俺はもっと強くなるために修行の旅といくか!」
アポロニウス「熱い。それにしても熱い男だ,ボルケーノ。時がくるまでさらなる進化を遂げるがいい」
ボルケーノ「では早速,おっと"これ"は持ってていいんだよな?」
彼の手に握らるは,赤く光る水晶の欠片のようなもの。
メサイア「いいよ。でもでも,使っちゃいけないよ。あと"声"に注意してね」
ボルケーノ「ほーい。じゃグッドラック!!」

アポロニウス「あのフレーズ気に入ったのか?」
ラメイル「うん、そうみたい。アポロニウス,もしよかったら僕と一緒に来てくれない?」
アポロニウス「・・・水の国,か?」
ラメイル「聞いてたんだ。そう水の国。アビスライジングの彼らの故郷。そして…」

水の国レモンド。
トルコ北西部に位置する美しき海,川,湖に恵まれた国。

アポロニウス「かつてシャカイナの侵攻を受けたトロイ朝があった国だな」
ラメイル「僕は知りたい。トロイ朝が滅亡した真相を明らかにしたい」
アポロニウス「よし,その話乗った。おいメサイア」
呼びつけられたメサイアの背に,椅子に座るかのように,つかまって二人と一匹は飛び立った。
目指すは水の国レモンド。
最終更新:2012年08月17日 17:18