主人公:三沢「これが俺の力・・・」
先日行われた大会を優勝した三沢であったが、その心は空虚であった。
主人公たる者最後には必ず勝たなければならない。
かつて主人公だった者たちは、そのセオリーを守ってきた。
そして三沢も。
優勝を遂げた三沢は自身の力をもってして、ある境地にたどりついた。
主人公:三沢「退屈と断ずるにいささかの迷いもないわ!!」
もはやそこに、主人公に憧れた三沢の姿はなかった。
主人公補正ともいわれる「運」の要素すら排除した「絶対的勝利」のみを目的とした彼にとって、
すでに「敵」はいなかったのである。
主人公:三沢「俺の存在はこんな世界には収まらない」
主人公:三沢「もはや主人公の肩書などいらぬ!!」
挑戦者:三沢「俺は追い求める!!己が欲するすべてを!!」
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ナレーター「緊急ニュースです。中継につなげます」
全世界同時生中継。
数多くの決闘者がその内容に驚愕した。
挑戦者:三沢「挑戦を止めた時が人生の終わる時!!」
挑戦者:三沢「立ちふさがる数々の障害は、この俺が取り除いてみせよう!!」
挑戦者:三沢「可能性は須く誰しもが等しく持つべきだ!!」
挑戦者:三沢「挑戦する心を持つ者を俺は一切拒まない!!」
挑戦者:三沢「当然、主人公ではないものであっても!!」
挑戦者:三沢「必要なのは一歩踏み出す勇気のみだ!!」
挑戦者:三沢「集え!!俺の城へ!!」
挑戦者:三沢「行こう!!新天地へ!!」
挑戦者:三沢「必ず俺が連れて行く!!」
三沢がいう新天地とは、古の決闘者が集まるとされるある国家。
誰もが入国できるというわけではなく、大きく3つの資質が必要となる。
「絶対的強さ」「絶対的カリスマ」「絶対的未来」
強さ、カリスマはさることながら、重要視されるのはその未来性。
あらゆる状況に対応できる資質は、これからの決闘の変化に対しても同様。
今の三沢にはすべてが備わっているという。
そして、彼のもとに集った決闘者たちは、三沢軍団の一人としてその国への帯同が許されるのだ。
三沢のもとに、名のある決闘者たちが続々集まりだしている。
...
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謎の男「やはりこうなってしまったか」
先の大会に6体の
使い魔を送り込んだ男、
空白の次元にてつぶやく。
実のところこの男、三沢なのである。
好敵手:三沢「時空跳躍の副作用によって、跳躍するごとに意識が分離する」
好敵手:三沢「俺が行った跳躍は2回。今、三沢は3人いる」
好敵手:三沢「
最初の主人公を名乗る三沢は最初に分離した意識」
好敵手:三沢「そして俺がオリジナルの
三沢大地」
空白の次元から脱出するには、空間を跳躍しなくてはならない。
しかし、脱出したあと、空白の次元にはオリジナルの三沢が残ってしまったのだ。
好敵手:三沢「ジュウダイのライバルとしての役割」
好敵手:三沢「今ならわかる。俺の役割は主人公なんかじゃない」
好敵手:三沢「主人公が光なら、俺は影」
好敵手:三沢「光が大きければそれだけ影は大きくなる」
好敵手:三沢「俺の存在は、そこにある」
突如、空白の次元に亀裂が入る。
三沢の体が光に包まれた。
好敵手:三沢「!?」
そこはもといた世界。
デュエルアカデミアの前に、三沢は立っていた。
好敵手:三沢「ついに帰ったこれた」
空白の次元は、そこにいる人間の心そのもの。
三沢の心が満たされた今、空白の次元は消滅し、三沢はもとの世界に帰った来たのであった。
探究者:三沢「これからは、主人公のそばで微力ながらも協力していきたい」
探究者:三沢「そして俺の力で主人公をさらに強くしてやるさ」
探究者:三沢「さて、旅に出るか」
探究者:三沢「ん?」
傍らに転がる桃の形をした石を手に取る三沢。
次第に色が赤みを増していく。
ももじり「ぼ...ぼくも一緒に」
三沢は小さくうなずくと、荷物を背にして歩き出した。
新しい可能性を求めて。
...
...
...
しゅじんこうがいなくなったいま
かつてしゅじんこうだったもの、しゅじんこうたるしかくのあるものが、しゅじんこうとなったんだ
そう、おもいがつよければだれでもしゅじんこうになれる
それがぼくがかんそくをつづけたけっか
おっともうしおくれたね
かんそくしゃ:みさわことQBというものだ
にかいめのじかんちょうやくのときにぶんりしたひとりだ
どういうわけかすがたかたちはいんきゅべーたーそのものになってしまったよ
みさわがまほうしょうじょにはまっていたせいかもね
さて、ぼくはいままですこしはなれたところでふたりのみさわをかんそくしていたわけだけど、
どうやらそれぞれにもくてきをみつけてあるきだしたようだね
やっぱりみさわにしゅじんこうはにあわないよ
ぼくはといえば、さいきんしずかなおりじねいたーのたいさくをねることにしたよ
ちあんいじきょくのにろくのほかにもけっとうしゃをあつめなきゃ
さぁいそがしくなってくるぞ
...
...
...
三人の三沢が選んだ道は、これから先決して交わることはない。
しかし彼らの選択はきっと間違っていはいないだろう。
三沢たちが切り開く明るい未来を信じて。
いまはここで筆を置くことにする。
最終更新:2012年03月20日 12:45