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*261 「嫌ぁ!!」 …又だ。あの戦いからもう2年が経とうというのに、彼女の脳裏にあの光景が広がる。崩壊していく大地、そして1人そこに残る彼… 以前に比べれば回数は減った。しかしそのことすら、彼との記憶を無くしていく自分への嫌悪に変わる。 体が震え、冷や汗が止まらない。このときばかりは、彼女の好きなかわいい物達も、何の役にも立ってくれない。それでも生きて行かなくてはいけない。 そんな時、彼女は胸のペンダントを抱き締める。何故ならそれは彼女の母の形見であると共に、彼が彼女に贈った唯一のプレゼントだから。 崩れ落ちた栄光の大地からは、彼の持ち物は1つも見つからなかった。もはやそのペンダントは、彼女の世界に唯一残された、記憶意外の彼の痕跡…。 彼は言った。必ず帰ると。だから待つ。いつまでも…そう決めた。 彼がいなくなってから、彼女は支えを失った。泣いてもいいと、言ってくれる人は誰もいない。彼女は大切な人達をその手に掛けた罪を、愛する人が消えていく事をどうにも出来なかった自分への嫌悪を、1人で背負って行かなくてはならない。 頭では分かっている。ただ、心が言うことを聞かない。どうしても彼に会いたい。きっと会ったら泣いてしまうだろう。でも彼が支えてくれる。明日は久し振りにみんなと会える。今年もタタル渓谷で彼を待とう。 「涙で腫れた顔じゃあなたに笑われるわね…ちゃんと明日は帰ってきなさいよ?ルーク…」 そして彼女は、支えを取り戻す… *354 「ふぅ…なんだか眠れないわ…何か飲み物でも飲もうかしら」 「あれは…ルーク!?こんな時間に何してるのかしら…」 「ルーク、あなたも眠れないの?」 「(ビクッ!)ティ、ティア!?どうしたんだお前、こんな時間に」 「ちょっと眠れないくて、何か飲み物でも飲もうと思って…あなた今何を隠したの?」 「な、何も隠してねぇよ!気のせいだ、気のせい」 「怪しいわね…見せなさい」 「イヤだ」 「見せなさいってば!」 「イヤだっての!」 「ならいいわ…」 「ホッ…」 「甘いわね。隙だらけよ…って何これ…飲み物?」 「終わった…」 「メロン&ミルク…メロン?(ブチッ)」 「…ルークゥ?これは何?」 「い、いや、それは…その…オレは悪くねぇ、だってカルピスが…カルピスが…」 「…フォーチュンアーク!!」 「ウギャ~!!!!!!」 「…ばか」 *386 「うぅ、疲れた…アニスちゃんもう限界…」 「そうですわね…流石に私も疲れましたわ…」 「それじゃあちょっと休もうか」 「あらティア、見慣れない物を飲んでいらっしゃるのね」 「ほんとだー。ふむふむ…メロン&ミルク?」 「ケセドニアでたまたま見つけたのよ。小さい頃、兄さんがよく買ってきてくれた物なの…懐かしくてつい買ってしまったわ」 「ってことはティアは子どものときはそればっかり飲んでたの?」 「え、えぇ…私がもっと飲みたいって駄々をこねたら、次からは沢山買って来てくれたわ」 「…ということは、ガイ」 「…そういうことだな、ルーク」 「そういうことになりますねぇ…」 「あら、どういうことですの?」 「アレを飲んだらティアみたいになれるってことですよね、大佐?」 「さぁ、確証が持てませんので。そろそろいい加減にしないとティアが怒ってますよ」 「…もういいですっ!!」 *408 スパの会員証をピオニー陛下から貰ったんで ケテルブルクに数日滞在することになった。 スパで疲れを癒して、さぁ行こう!・・・と思ったら 俺が風邪を引いちまったみたいだ。情けねぇ・・・みんな、ごめん ティア「ルークが風邪を引いたんですか?」 ジェイド「ええ、そうみたいですよ。今は部屋で寝込んでますが」 ガイ「あいつ、熱も出てるってのに、(俺は大丈夫だから行こうぜ!)なんて言い張るから さっき、俺から治るまで寝てるよう説得してきたところだ」 ティア「もう・・・ドジね」 そしたらティアが見舞いに来てくれた。 心配してくれたみたいで、色々気遣ってくれた。 俺ティアに迷惑かけっぱなしだなぁ・・・ ジェイド「ティア、後でルークの見舞いに行ってあげたらどうですか?」 ティア「ええ・・・そうですね。そうします。」 ガイ「・・・あんたにしちゃ気が効くじゃないか、何か考えてるだろ?」 ジェイド「いやですねぇ♪私はただ純粋にあの二人を見守りたいだけですよぉ?」 ガイ「・・・まぁいいか」 ルークの部屋 ティア「ルーク?入るわよ?」 ルーク「ティアか?いいぜ、入れよ」 ティア「・・・顔色が悪いわね、大丈夫?」 ルーク「悪りぃな、迷惑かけちまって、少し寝れば治るだろうからさ、そんな心配すんなよ」 ティア「(なんとかは風邪引かないっていうけど・・・)」 ルーク「ん?今、なんか言ったか?」 ティア「い、いえ何も、それよりもお腹減ってない?」 ルーク「いや、別に・・・食欲ないし、」 ティア「駄目よ、ちゃんと食べないと、お粥作るからちょっと待ってて」 ティア「・・・どう?」 ルーク「・・・美味しい!」 ティア「そう?ありがとう・・・」 ティアの作ったお粥は本当に美味しかったよ、ありがとうティア 体も暖まったし、早く風邪治さなきゃ そういえば、ティアが何か作ってるってアニスに聞いたけど・・・何してんだあいつ? アニス「あ、ティア、ルークはどうだった?」 ティア「結構辛そうね・・・心配だわ・・・」 アニス「そりゃぁお姫様を守る騎士様が倒れれば心配にもなるよねぇ♪」 ティア「そ、そんなんじゃないわ!・・・もう」 アニス「ルークもこんな寒い街をいつもお腹出して歩いてれば風邪も引くっつーの!あれで寒くないのかなぁ?」 ティア「そういえば寒そうね・・・(・・・そうだわ!)アニス、編物出来るかしら?もしよければ私に教えてもらいたいんだけど」 アニス「ほえ?編物?ん~私は出来ないけどナタリアなら出来るんじゃないかなぁ・・・」 ティア「そう、ありがとう」 アニス「・・・はっは~ん♪」 *732 心なしか膨らんだ下腹にそっと手を当てると、小さくも力強い脈動が皮膚越しに伝わる気がした。 命の手触り、と言えば大袈裟に聞こえるかも知れないが、そう表現する他にない。 新しい生命。自分達が育んだ、愛情の結晶とも言うべき存在が今、ここにある。 みるみる内に綻んでゆくルークの顔を、ティアもまた優しげな笑みで見下ろしている。 言葉に出来ない感慨に浸るルークは、ティアがたしなめるまでその下腹を撫で続けた。 「なあ、もっと撫でても良いだろ?頼む、もう一回だけ!」 「駄目。あまり刺激を与えると、赤ちゃんがびっくりするでしょう」 「そこを何とか!」 だが当初こそ可愛らしく思えた行為も、度が過ぎれば質の悪い悪戯でしかない。 ティアが突然の不調を訴え、晴れて妊娠が発覚してからのルークは終始この調子なのだ。 これには流石のティアも、少々辟易気味だった。 「あのねルーク、あなたは数ヶ月後にはお父さんになっているのよ?今からそんな態度でどうするの」 「だ、だってさ…こいつがいつ生まれるかと思うと、もう気が気じゃなくて」 「心配しなくてもまだまだ先よ。それより今日は陛下との会食にお呼ばれなのでしょう?早く用意を…」
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